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コロナと花粉症 [世の中]

 緊急事態宣言によって、コロナウイルスの新規感染者数はだいぶ減ってきました。東京都の新規感染者も、連日200~300くらいに抑えられているようで、府県によっては宣言が早めに撤回されるところも出てきたし、おそらく首都圏でも予定どおり3月7日には解除されることでしょう。
 もっとも、去年の緊急事態宣言下では、新規感染者は日にひと桁なんてことも普通にあったわけなので、解除されたところであまり油断できる状態でないことは確かです。解除されたとたんに「第4波」到来なんてことになれば目も当てられません。
 ワクチンの接種もようやくはじまりましたが、これは感染を遮断するというものではなく、感染しても症状が出るのを抑えるのが主眼です。また最近増えている変異株には効き目が薄いように思われます。これから何年かかけて、ワクチンを接種しつつ、集団免疫を獲得することを期待するしかないのでしょう。
 それにしても、コロナウイルスへの対策──マスク着用、うがいや手洗いの習慣、密集を避ける、など──により、例年この季節になかなか厄介なインフルエンザの蔓延を極小に抑えることになったのは快事と言って良いでしょう。インフルエンザの感染率は、例年の何千分の一と言ったか、ほとんど問題にもならない低さでとどまっているようです。さらにそのおかげで、死亡者数そのものが、例年よりずっと少ないそうです。
 この「コロナ禍の中で全体の死亡者数が大幅に減っている」という日本の様子は、多くの海外メディアで報じられて、驚きをもって受け止められているようです。そんなことがありうるのか、と信じがたい気分になるのでしょう。たいていの国では、「コロナによって」死亡者数が激増しているのですから。日本の対策はなってない、遅れている、どこそこを見習え……と、テレビなどではあいかわらずあやしげな「識者」がわめいていますが、すでに結果は出ていると思います。日本は、ベストではないにせよ、かなりベターな選択をしてきたのではないでしょうか。
 そんな中、この季節のもうひとつの厄介ごとがはじまってしまいました。
 その名は、「花粉症」……。

 去年のこの時期に、ちょうどコロナウイルス騒ぎが勃発しました。私がこの日誌にはじめてコロナ騒ぎについて書いたのも、ちょうど1年前、2020年2月29日のことでした。つまり、去年もまさに花粉症シーズンだったことになります。
 それにしては、去年はそれほど花粉症に悩まされた記憶がありません。コロナの印象が強すぎるせいで忘れているのかとも思いましたが、どう記憶をこねくってみても、くしゃみが止まらなかったり、あとからあとから出てくる鼻水のためにティッシュペーパーが足りなくなったということがあったようではないのです。
 だいたい、去年の2月末から3月くらいにかけては、トイレットペーパーやティッシュペーパーがものすごく品薄になっていました。まずマスクが手に入らなくなり、それからそういう紙製品が店から消えました。女性の生理用品なども入手できなくなって、困った人も多いでしょう。
 マスク不足は、どうやら中国の工場で作っていたものが、日本に納入されず、他の国に対する戦略物資のように使われたらしいのですが、国内で売っていたものも買い占めがおこなわれ、なぜか中華料理屋などで高額で売られていたと聞きます。5月頃にいわゆるアベノマスクが配布されると、途端に値崩れを起こしたようです。
 トイレットペーパーやティッシュペーパーが品薄になった理由はよくわかりません。紙が不足しているというデマが拡がっていました。メーカーは何度も、品不足ということは無いとアピールしていました。しかし、大半の人はデマと知りつつ、それでも実際に店頭に出てこないために、大層な行列を作って待たざるを得なかったのです。あの行列で「密」になったケースも多いに違いありません。
 要するに供給はあっても流通がトラブっていたのでしょう。私が子供のときにオイルショックがあり、そのときもなぜか紙が無いというので大騒ぎになっていましたが、あれも半ばデマであったと聞きます。日本の消費者は、半世紀経ってもあまり賢くなっていないのではないかと疑いたくなりました。
 紙不足は、ひと月ほどでおさまりましたが、マスク不足はしばらく続きました。アベノマスク配布で値崩れたとはいえ、マスクが従前の値段で入手できるようになるには半年くらいかかったように思います。国内工場で作るためのラインを整備するには、それなりの準備が必要だったのでしょう。
 うちは、コロナの前に買ってあった使い捨てマスクが残っていたので、そんなに焦らずとも済みました。もっとも、毎日使い捨てていてはたちまち無くなってしまいますので、1枚を1週間以上、下手をすると半月くらい使い続けていたような気がします。いい加減薄黒くなってきてようやく替える、みたいな状態でした。
 それにつけても、花粉症で大変だったという記憶があまり無いのです。
 どうも、去年は花粉量がだいぶ少なかったようでした。今年はかなり増えるという話を聞いて、うんざりしました。
 花粉量が少なくて、症状が軽い年があると、ついわが花粉症もいくぶん快方に向かったかなどと考えてしまうのですが、翌年花粉量が多くなるとやっぱり憂鬱な症状がぶり返し、がっかりするということを、すでに何度も繰り返しています。最初に花粉症の症状が出たのは確か1995年で、もう四半世紀のつき合いとなってしまいました。
 毎年、市販の鼻炎薬だけでなんとかしのいでいます。耳鼻科に行けばもう少しよく効く薬をくれたりもするのかもしれませんが、根治するためには1回2万円だかの注射を毎月、数年間続けなければならないそうで、さすがにそんな余裕はありません。気長につき合ってゆくしかなさそうです。

 花粉症の症状といえば、とにかく絶え間ないくしゃみ、それに引き続いての鼻水がメインです。鼻をかむとその刺戟でまたくしゃみが出て、きりがありません。それから耐えがたい眼のかゆみ。咳が出る人も少なくありません。
 そして、その年の症状が出はじめる前には、たいてい、頭が重かったり、節々が痛かったり、疲れを感じたり、微熱が出たりします。
 この先駆症状が、コロナの症状と非常に似ているため、花粉症持ちは戦々兢々なのでした。
 そしてくしゃみや咳、鼻水なども、最近は街中や電車内などで出すと、かなり白い眼で見られる風潮になっています。去年は花粉量が少なかったために、コロナと花粉症を混同する人が少なかった可能性がありますが、今年はけっこう間違われるケースが増えるかもしれません。
 また、コロナウイルスが眼から侵入するなんて話も出ています。手で眼をこすると感染するおそれがあるというのでした。しかし、花粉症持ちにとって、眼をこするなと言われても、それは大変な苦行となります。
 コロナの感染防止のため、花粉症の人は、外で鼻をかんだら、その紙は街中のゴミ箱などに捨てず、ポリ袋などに入れて家まで持ち帰るようにとのお達しも出ました。この調子だと、うっかりティッシュを外で捨てたりしたら、「ティッシュ警察」にとがめられることになるのかもしれません。コロナ以来「〇〇警察」というのがやたら増えました。いろいろと不寛容な風潮が蔓延して、いささか人の世が暮らしにくくなっています。
 外へ出る機会が減ったために、花粉の猛威に接することもそう多くはないのですが、症状は家の中に居ても変わらず襲ってきます。5月の連休くらいまでは、やむを得ないこととして耐えるしかないのでした。春という、一年の中でもいちばん佳い季節が、花粉症で塗りつぶされるのは、まったく業腹です。
 ともあれ、花粉症でない皆さん、くしゃみや咳込み、鼻水など、コロナと紛らわしいかもしれない花粉症の症状に、この時期あまり目くじらを立てないでいただけると助かります。

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