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「おばあさんになった王女」再演近づく [お知らせ]

 昨年末、品川区の児童館で初演した子供向きオペレッタ『おばあさんになった王女』が、狛江市泉の森会館ホールで再演されることになり、先日から稽古に入っています。
 初演時のエントリーの末尾に、「再演が決まっている」ということを書きましたが、実はその話は流れました。追加の曲を1曲作った時のエントリーに、流れた話も書きましたが、なぜ流れたかという理由はぼかしてあります。
 少し具体的に言うと、ある「男女共同参画センター」のイベントで再演するはずだったのですが、その主催者から、かなりうるさい注文がつけられたのでした。まず、ヒロインのお姫さまが呪いで「おばあさん」になってしまうという筋書きが、

 ──高齢者に対してネガティブな内容である。

 という理由で、再考を要求されました。そんなことを言っても、そこを変えてしまうとタイトルすら違ってきてしまいます。バカな話ですが、そこのイベントでは「魔法使いのお婆さん」が出てくるようなお芝居はご法度なのだそうです。それでも「ヘンゼルとグレーテル」が上演されたことはあるらしいのですが、それは「よく知られた昔話」であるからであって、新作の場合は却下ということなのでした。よく知られた昔話でも、「浦島太郎」はNGだったとか。

 理不尽な要求のように思えましたが、それでも再演するのが大切だということで、台本作者のICHICOさんは頑張って台本を書き直しました。お姫さまにかかる呪いは、おばあさんになるのではなく、動物になるということでなんとか辻褄を合わせました。タイトルも「魔法をかけられた王女」と変更したのでした。幸い、歌の部分には「おばあさんになった」ことを明示する歌詞は含まれていなかったので、私が曲を書き直す必要はありませんでしたが、少々時間が短かったために、1曲追加したのは前に書いた通りです。
 ところが、男女共同参画センターからのクレームはそれだけではなかったのです。

 ──これ、男性の助けによって女性が自分を取り戻すって話ですよね。助けるのが男性である必要ってあるんですか?

 La Canorはソプラノ3人によるユニットの音楽劇ですが、ひとりは男役となっています。確かにその役(木こりの若者)がお姫さまの呪いを解くきっかけを与えてくれるわけなのですが、自立した女性のサポートをしたい男女共同参画センターとしては、男に助けられる筋書きでは承知できないというわけでした。
 なんというか、形骸化したフェミニズムの愚かしさというものを感じずにはいられません。女性の自立は結構ですが、自立というのは何も、誰の助けも借りずに唯我独尊的に生きてゆくことではないはずです。生きるということは、他者と助け合うということでもあるでしょう。その他者が女同士ならOKだが男はダメ、などというのもばかばかしい限りです。そんなのは「共同参画」でもなんでもありません。
 ICHICOさんもあきれはてて、そこでの再演を諦めました。センター側もなかば、辞退を期待しているような態度であったそうです。

 そんなわけで当初の再演の予定は流れてしまったのですが、La Canorのかたがたはなかなか行動力があって、ほどなくホールをおさえて上演の段取りをつけてしまいました。サイトのMIDIファイルを試聴しただけで、まったく面識もつても無い作曲家にオペレッタの作曲を依頼してしまうという勇敢な(笑)人たちなので、それも不思議はないと言うべきでしょう。
 上記のイベントでの上演であれば、若干ギャラも出たようなのですが、今度は自主公演ですから、おそらく持ち出しとなるはずです。それでもこの作品を再演したいと考えてくれたことは、私としても大変ありがたい限りだと思います。
 高齢者にネガティブだなどと文句をつける手合いはもう居ませんので、心おきなく、元のタイトルに戻しましたし、動物に変身するということにした変更ももちろんキャンセルしました。
 変更にあたって、追加は2曲頼まれていたのですが、その片方はお姫さまが動物に変身するという筋書きに沿った歌で、幸いと言って良いのかどうかわかりませんが、そちらに着手する前に男女共同参画センターでの上演とりやめが伝えられました。それで、そちらの曲はさしあたって作曲しないことにしておきました。その時点ですでに作ってあったもう1曲は、呪いにかかったお姫さまの「嘆きの歌」で、別に何に変身したという具体的な歌詞があるわけではないので、今回の再演ではもちろん採り入れます。従って、この歌だけは今度が初演ということになります。

 稽古は主に、武蔵新城というあまり馴染みの無い場所でおこなわれます。去年の初演の前に何回か通いましたので、だんだん馴染みは出てきましたが、川口から行くのはなかなか大変です。
 最短時間の経路と、いちばん安い経路と、いちばん楽な経路というのがみんな違うというのが厄介な場所です。
 往路で言えば、最短時間経路は、赤羽湘南新宿ラインに乗り換え、武蔵小杉南武線に乗り換えるというルートになります。
 ところが、渋谷から武蔵小杉を、東横線を使うほうが安いので驚きます。最短時間ルートでは620円かかりますが、東横線をはさむと500円で済んでしまいます。JRだけで行くよりも、間に東横線をはさんだほうが安くなるという運賃設定はどうしたものかと思います。
 最短時間ルートでは乗り換えが2回必要です。東横線を使う最安値ルートは、さらに1回増えます。しかも、どちらのルートでも、武蔵小杉の乗り換えはかなり遠く、とりわけ最短時間ルートではほとんどひと駅分歩いているのではないかと思われるような不便さなのでした。
 そこで、乗り換えの少ないいちばん楽なルートを考えると、京浜東北線で川崎まで行き、そこで南武線に乗り換えるという行きかたなら、1回だけで済みます。しかも川崎の乗り換えはそれほど歩かされることはありません。ただ、もちろん全体の時間は他の2ルートよりもだいぶかかります。運賃はJRの「近郊区間では実際の乗車経路にかかわらず最短距離で計算する」という規定により最短時間ルートと同じです。
 その時その時の事情に従ってルートを選ぶことになります。まあ、ある意味ではそれもまた楽しいのですが。
 今日の稽古などは、他にまわる場所も無かったので、行きは最短時間ルート、帰りはいちばん楽なルートで移動しました。行きは気がせいているので、どうしても最短時間を使ってしまいます。帰りは少し疲れていたので川崎まわりで帰ってみましたが、1時間近くに及ぶ京浜東北線の車中で少し眠ることができました。

 この前コーロステラの練習の時に宣伝してみたところ、場所のせいもあってか、同時期の板橋の「ラ・ボエーム」よりも人気があったようです。コーロステラは世田谷区内で活動しており、練習場所は主に小田急沿線なので、狛江には非常に行きやすいのでした。
 しかしお客集めにはまだまだ苦労しているようです。チケットというものがなく、予約を電話やメールで受けて名簿に記入し、当日入場時に精算するという方式を採っているのですが、意外とそれが面倒くさいと思う人も多いのかもしれません。
 子供向けの音楽劇ですが、私はもちろん本気で作りましたし、歌い手のLa Canorの面々も本気で歌っておりますので、大人が観ても楽しめると思います。お時間のある向きはぜひご来聴ください。
 6月9日(土)、狛江駅前の泉の森会館3階ホールにて、14時開場14時半開演です。入場料は大人1000円、3歳~小学生500円、2歳以下は無料で、上記の通り予約・当日精算となります。お問い合わせはか、もしくはLa Canorまでどうぞ。プレイガイドにも詳細を記載しておきました。


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