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「鉄道探偵と氷点下2℃の幻影」リプレイ(2) [趣味]

 3月10日(日)にプレイした京王電鉄・都営地下鉄共同開催の鉄道謎解きイベント「鉄道探偵と氷点下2℃の幻影」のリプレイ続きです。
 先にやった「京王編」では、鉄道探偵「K」「橋本永山」という写真家と共に、最近亡くなったライバル写真家「菊川めじろ」の残した挑戦を受けるという趣向でした。
 それに対して「都営編」では、事務所で留守番をしていた探偵助手「J」のところへ、女性の依頼人がやってくるところからはじまります。なんとその女性は菊川めじろの一人娘で「菊川春」と言い、亡くなった父の最後の写真を探して貰いたい、という相談だったのでした。ややお調子者の「J」は、このくらいなら自分でも解決できるだろうと考えて、依頼を受けることにしたのでした。
 登場人物に駅名にちなんだ名前をつける鉄道探偵シリーズですが、「春」という駅はありません。「春日」のアレンジかな、とも思いますが。
 菊川春の持参した何枚かの写真とメモをもとに、ふたりは都営地下鉄の駅をめぐることになります。
 京王編のリプレイでは、訪れるべき駅の割り出しかたは、行くことになったところで書いておきましたが、都営編ではまとめて記しておきます。8番まである「謎」のうち、「謎4」「謎6」「謎8」については、プレイ内で得られる情報がカギになるため事前には解けませんでしたが、残りは出かける前に解くことができました。
 「謎1」は「竹ぼうき」の写真と組になった駅名板の写真ですが、どちらもピンボケでタイトルが読めません。「竹ぼうき」の写真には「きう××た」と文字が入っており、駅名板の写真には同じように「しばの××あ」と入っています。××には同じ文字が入るようです。「ぼけ」と入れてそれぞれ右から読むことにはすぐに気づけます。「曙橋」が答えです。
 「謎2」は何かの看板が並んでいる写真ですが、カメラのストラップの影が映り込んでしまっています。どうも菊川めじろ氏は、ストラップを外し忘れることの多い写真家だったようです。看板には、昭和っぽい手書き風文字で「ハウ××グ」「××リング」「×××チンアンコウ」と書かれており、絵も添えられているので、元の言葉は簡単に推測できます。「ハウジング」「ボウリング」「チョウチンアンコウ」で、隠れていたところの文字を読むと「ジン」「ボウ」「チョウ」……「神保町」でした。
 「謎3」はやや頭を使います。変な「箱」の写真で、中に緑色の三角形のような図形が入ったものと、黄色い球が入ったもの、いずれも透明な立方体です。箱の辺の一部は赤く彩色されていて、緑の三角形のほうは手前の面の下辺以外の3辺と向こう側の上辺、黄色い球のほうは手前の面の4辺が赤くなっています。なんのことだろうかとしばらく考えましたが、黄色い球の入った立方体は、四角形の中に「玉」だと判断して「国」の字を表しているのだろうと思った途端、「両国」だろうとわかりました。ひとつの立方体が漢字一文字であるならば、「国」を含む2文字の駅名は、都営地下鉄にはそれしかありません。緑の三角形がなぜ「両」になるのか少し迷ったものの、赤い辺が一の字と「どうがまえ(けいがまえ)」のような形で、その中にある緑の三角形は「山」であったのです。
 以上3駅における手がかりを踏まえて「謎4」を解くわけなので、ここはまだわかりません。
 次の「謎5」は、「撮影のヒント」だというメモ書きを解読するもので、実は謎というほどではありません。

 ──君の苗字から始め、1つ隣で乗り換えて、1駅でつく漢字4文字の駅に行くんだ。

 誰が誰に宛てたメモだか、この時点でははっきりしませんが、故人の菊川めじろが誰かから貰ったのか、菊川が娘に宛てたか、そんなところでしょう。いずれも「君の苗字」は菊川になります。新宿線の菊川のひとつ隣で乗り換えられるのは森下です。住吉も乗換駅ですが、相手がメトロ半蔵門線なのでこの場合は不可です。鉄道探偵の世界に東京メトロは存在しません。森下で大江戸線に乗り換え、ひと駅で着く4文字の駅と言えば「清澄白河」しかありません。素直に読めば答えの出る問題なのでした。
 「謎6」は清澄白河駅での探索によって判明する駅なので、まだ不明です。
 「謎7」は何枚かの写真が印刷されたメモ書きで、

  [山の写真]→[海岸の写真]→お釜

 という流れの下に、

  [天使が飛び交っていて、向こうに虹と扉がある写真]→?

 と設問されていました。写真には偽装した形でアルファベットが描かれており、山の写真には「H」、海岸の写真には「K」とあります。また天使や何やらの写真には「S」の字が見て取れます。上は「山(YAMA)」→「浜(HAMA)」→「釜(KAMA)」ということでしょう。ローマ字で書いた場合の冒頭の一文字を、描かれたアルファベットに変換するのです。してみると下の流れは

  「天国(TENGOKU)」→「千石(SENGOKU)」

 に違いありません。
 「謎8」つまりゴール駅はまだわかりません。いずれにしろ、

 ──最初の曙橋→神保町は新宿線だからまあいいとして、次が両国? そこから清澄白河は2駅だけど、あいだにひと駅はさむって、どこに行かされる? それにそこから千石って、どこに行くにしろだいぶバラバラなことになってそうだな。

 と思ったものです。

 さて、新宿駅に戻ってきた私たちは、都営まるごときっぷの入場記録をつけるために一旦改札を出て、あらためて新宿線の電車に乗りました。階段を下りるとタッチの差で乗り遅れたのですが、それは最近珍しい急行だったので、曙橋には停まりません。
 新宿線の急行はしばらく前に激減し、平日などはほとんど絶滅状態(1往復だけ残っている)なのですが、土休日は少し多くて、4往復が残っているようです。こんなに思いきって減らしたのは、「JRと自社線との乗換駅に優先的に停める」という急行の方針が、どうもいささか使いづらくなっていたのだと思われます。浅草線東日本橋へのひどく歩かされる乗り換えのために馬喰横山に停めるくらいなら、追い越し設備のある岩本町に停めて緩急接続してくれ、秋葉原にも近いんだし……と言いたい人も多かったでしょうし、市ヶ谷なんか停めなくて良いからむしろ九段下に、と思う人も少なくなかったでしょう。開業以来、旅客動態を見て停車駅を変えるということをしなかったために、実情に合わなくなっていたのではないでしょうか。
 ともあれ急行には乗らず、次の各停に乗ってふた駅、曙橋に着きます。前にクール・アルエットが活動していた頃は毎週のように訪れていた駅でした。
 ここは珍しく手がかりステッカーが無く、地上に通じる階段に描かれた模様の色を記録すれば良いことになっていました。階段には緑色の逆三角形が随所にペイントされています。従って「みどり」と、「謎4」の手がかり記入欄に記します。
 ふたたび新宿線に乗り継いで神保町へ。「運命を感じるものを見つけた」と菊川が書いていたのは、カメラ雑誌のポスターで、ストラップの特集記事が載っているというものでした。やはり菊川は、しょっちゅうストラップをかけたまま撮影して失敗していた模様です。特集名は「カメラのひも」。赤字の「ひも」が転記すべき言葉でした。

 そこから両国へ行くには、いくつかの方法がありますが、三田線に乗って春日大江戸線に乗り換えることにしました。いつも思うのですが、神保町には三田線のほうが先に通っていたのに、それと交差する新宿線が三田線の上を横切っているのが不思議です。よく上を通せたな、と思います。
 馬喰横山まで行って浅草線の東日本橋に乗り継ぎ、浅草線の蔵前で大江戸線に乗り継ぐ、というルートのほうが、電車の距離は短そうですが、上に書いたとおり馬喰横山から東日本橋まではえらく遠く、ここ何回かのシリーズで必ずそこを歩かされてうんざりしていたものです。また蔵前も、一度地上に出ての乗り継ぎとなって、不便です。
 春日の乗り換えもだいぶ歩かされるのですが、浅草線よりはましでした。ここはメトロの後楽園駅との乗換駅にもなっていて、三田線より大江戸線のほうがメトロ駅に近いのが一瞬不思議な気もしましたが、別に不思議はありません。もともと後楽園と春日は別の駅であったところに、あとから大江戸線が通ることで接続駅と見なされるようになったのです。メトロ千代田線新御茶ノ水丸の内線淡路町・都営新宿線の小川町の関係と似ています。
 春日から5駅で、両国に到着します。ここも手がかりステッカーは無く、改札外のコンコースの床に描かれている絵がネタになっていました。4枚の絵が並んでおり、いちばん左が桜の花の図案、次が花火の図案、それから月とススキの図案、いちばん右が竹の図案でした。菊川は、この4枚を、それぞれひらがな2文字でメモしていたというのです。その4つの言葉を推理したものが手がかりとなります。
 最初、「はな」「つき」「たけ」などと考えましたが、花火だけがどうしても2文字になりません。ふと、竹の図案のところに白い丸がいくつも描かれていることが気になり、これは雪なのではないかと思えば、なんのことはない「はる」「なつ」「あき」「ふゆ」の絵だったのだとわかりました。

 ここまでの手がかり「みどり」「ひも」「はる」「なつ」「あき」「ふゆ」を踏まえて、「謎4」に取り組みます。「ひらめきメモ」というのが提示されており、長方形の中を非常に細かくジグソー風に分割した図が示されています。それぞれのピースには一文字ずつひらがなが入っており、手がかりの文字のところを塗ってゆくと次の駅が判明するというのでした。いくぶんメタ的な問題ではあります。
 ピースが非常に細かくて、目指すひらがなが容易に見つかりませんでしたが、なんとか13文字を見つけて塗ってみると、

 ──ミズエ

 とカタカナで浮かび上がりました。
 ミズエといえば新宿線の瑞江でしょう。驚きました。
 というのは、瑞江は新宿線の終点である本八幡の2駅手前で、かなり先にあるのです。いままでのシリーズでいちばん奥まで行ったのは、東大島でした。瑞江はそれよりさらに3駅先になります。ゴールの駅でもないのにそんな先まで行かされるとは、まったく予想していなかったのです。京王編の山田駅と同様、今回は思いきって移動範囲を拡げた観があります。

 とにもかくにも、瑞江へ向かいます。大江戸線にひと駅乗って森下へ、新宿線に乗り換えて16、7分揺られ、到着しました。ここは今回の都営編では珍しく、地上まで上がって情報を拾う必要がありました。また、瑞江駅は地下鉄には珍しく、駅舎を備えています。地下鉄と言っても、地上に出ている部分にはたいてい駅舎がありますが、地下駅なのに駅舎があるのは少ないように思います。地上に上がってみると、もうすっかり暗くなっていました。
 その駅舎の壁にある「銀色のもの」の名前のアルバムにメッセージを残した、というのが菊川のメモ書きでした。私は最初、構内にある緊急用具収納箱(銀色をしている)かと思ったのですが、先に外へ出たマダムがあっさり発見していました。駅名板の上に、大きな桜のレリーフが飾られていたのです。
 桜の名前のアルバムとはなんぞや、と迷いましたが、ここはwebに「さくら」(もしくは「サクラ」「桜」となんでも良さそう)と送信すると、勝手に話が動いてくれました。「桜」というアルバムを見ると手紙などが入っていて、スランプに陥っていた菊川に助言をくれた人が居り、こんどはその人を探すことになります。
 それで最初に行くのが、「謎5」で割り出した清澄白河であるわけです。また新宿線に16、7分揺られて森下に戻り、大江戸線に乗り換えてまたひと駅、清澄白河駅に到着しました。森下から瑞江まで行ってまた森下に戻ってくるまで、1時間近くかかっています。思った以上に瑞江は遠かったのでした。

 清澄白河で出題される「謎6」は、なかなか歯ごたえのある問題でした。まず、ネガフィルムが示されます。23コマあり、各コマに一字ずつ文字が書いてあります。文字は、

 ──和菓子屋紙の模こ様をふたつつなげ台形作制を破れ

 と、そのままでは意味の通らない文章になっています。文字をピックアップする必要がありそうですが、そのカギとなるのがコンコースの壁にずらりと並んだ窓でした。数えてみるとちょうど23個あります。フィルムにははじめのところに「改札」とあり、18コマめと19コマめのあいだにフキダシがあって「→A1・A2」とあり、最後のところには「←改札」と書いてありました。確かに18番めと19番めの窓のあいだに「→A1・A2」の、最後のところに「←改札」の看板がありましたので、フィルムのコマと窓を対応させるのは間違いありません。
 しかし、どの文字をピックアップするかという決め手がまだありません。私は頭をひねりながら何度かコンコースを往復しました。そして、唐突に判明しました。
 窓はすべてが素通しの窓になっているのではなく、いくつかは鏡になっていることに気づいたのです。なんでそんなことにしているのかはわかりませんが、とにかくガラス窓と鏡が混在していて、鏡の場所に相当するコマの文字を落として読めば意味が通るようになったのでした。

 ──和紙の模様をつなげ台形作れ

 和紙の模様、というのがよくわかりませんでしたが、冊子のページを折って、印刷された線をつなげ、台形を作ることはできました。よく見ると台形の背景に和紙のような模様が散らされていました。また、台形の四隅にひとつずつ十字が、台形の斜辺を差す矢印が3つ、書かれています。
 この先がちょっと面倒くさい。文意もとりづらいものがあります。

 ──作ることができたら、先ほど見た黒い壁の反対、A2出口近くの白い壁にある四角に紙を平行に映し片目で見ながら4つの十字を重ねてくれ。上から順に3つの十字が重なったとき、矢印の先の駅、改札を出て、A8出口の手前を左に向いた先にある「ギャラリーコーナー」で待っているよ。

 確かに先ほどの窓のある壁の反対側にも、窓のような四角い窪みがついています。ただしこちらはすべて鏡です。
 覗き込んでみると、今回のイベントのための細工がなされていました。「10箇所に設定しているので譲り合ってご使用ください」との、プレイヤー向けの注意書きも掲示されていました。
 鏡面に絵が3つ描かれています。上から、傘の絵、クルマの絵、女の子の絵で、それぞれの周囲に十字がついています。この十字に、先ほどの台形のまわりの十字を、鏡に映して一致させれば良いのでした。両眼で見ると位置が定まりにくいので「片目で」と指示しているのでしょう。
 絵の周囲にはアルファベットがいろいろ書かれていましたが、台形を鏡に映すことで、矢印がいくつかのアルファベットを指し示します。絵の様子によって、矢印が隠れてしまっていることもありました。
 最終的には、「M」「I」「T」「A」の4文字が矢印の先に見えることになっていました。次の駅は「三田」です。

 大江戸線で大門まで行って浅草線に乗り継ぎ、三田に向かいます。なるほど、三田を経て千石であれば、三田線で1本ですから楽に移動できますが、それにしても10駅も離れており、今回の移動距離の長さにはやはり瞠目します。
 見た駅には確かに「ギャラリーコーナー」と名付けられた一角があり、そこに「ギャラリーのスタッフ」による証言という体裁の手がかりステッカーが貼られていました。ただしリアルの「ギャラリーコーナー」にはいまのところ何も展示されておらず、スタッフらしき人も居ないようでした。
 スタッフは、ここによく写真を展示しているのは「鈴木写真ギャラリー」の店主だろうと言います。その店主こそ、菊川が師匠と仰ぐ人物なのでした。彼はここで鈴木氏と出会い、指導を受けるようになったようです。
 この店名をwebサイトに送信すると、ストーリーの上では鈴木氏に連絡をとったことになり、すぐさま実際に会って、菊川めじろのことをいろいろ語ったのでした。別れ際に鈴木氏は、なぜか菊川から託されていた娘への手紙を春に渡します。そこに同封されていた写真の解読が「謎7」でした。
 すでに答えは千石とわかっているので、三田線の電車に乗ります。白金高輪始発の電車だったようでガラ空きでした。
 先ほどの瑞江に向かう新宿線よりもさらに長く、20分ほど三田線に揺られて、千石に到着します。

 千石のステッカーは、駅員からメモを渡されるという体裁です。生前の菊川は、なぜか駅員にまで娘へのメッセージを託していたのでした。
 メモは冊子にもほぼ同じものが載っていたのですが、一箇所だけ文字が隠されていました。手がかりステッカーで、その隠された部分が明らかになります。
 「むすめがうまれた」という言葉でした。これだけで、次の駅を割り出さなければなりません。なんだか雲をつかむようです。
 実際にはそのあたりの文章は

 ──私の最後の写真は、過去のひらめきとむすめがうまれたことからひらめきを受けて撮ったんだ。

 となっています。「ひらめき」と、文章がややおかしくなるのも構わず2回繰り返していることと、「娘が生まれた」と書かないで全部ひらがなで書いてあることなどから考えて、「謎4」で使った「ひらめきメモ」が使えるのではないかと気がつきました。
 実際に「む」「す」「め」「が」「う」「ま」「れ」「た」という文字のあるピースを追加で塗ってみると、さっきの「ミズエ」とは違う文字が浮かび上がりました。ミのところは中の線と下の線がつながって、「う」だか「ラ」だかの文字となりましたし、ズのところも右払いと左払いがいっしょになってしまって「づ」だか「ブ」だかと読める文字になりました。さらに「ノ」が追加され、エのところは周囲にピースが付け加えられて明確に「中」になりました。
 うづノ中……? いや、ラブノ中のほうがありそうです。しかしそれはどういうことなのか?
 ここではマダムが先に答えを出しました。ひらめきメモの中央付近に、明らかに「LOVE」というローマ字の形になっているピースがあり、その4つのピースに囲まれるように、「に」「し」「だ」「い」と書かれたピースが配置されていたのです。ラブの中に、「西台」がありました。
 西台は三田線で千石からさらに10駅進んだところにある駅です。いままでのシリーズで、三田線でこんなに遠くまで行ったものはありません。京王線の山田、新宿線の瑞江と共に、今回の「氷点下2℃」は、移動範囲を広くすることにこだわりをもっていたかのようです。
 実は、マダムは西台という答えに、千石到着前から気がついていました。というのは、ゴール駅での行動を指示した文面に、「東改札」という言葉が含まれていたのです。地下鉄の駅で「東改札」と言われるところはあまりありません。「東口改札」ならよくありますが、「東改札」は聞き慣れないのです。それでマダムは、「都営地下鉄 東改札」と検索したところ、真っ先に「西台駅」の記事がひっかかってきたのでした。おそらくゴールは西台だろうという予測をもって「ひらめきメモ」を見たので、逆に「LOVE」の仕掛けにも簡単に気づけたのかもしれません。すぐにヒントサイトを見たがる困ったマダムですが、こういうひらめきを時おり見せるので端倪できません。
 すでに時刻は21時近く、私たちは西台でステッカーを見てから、バスで赤羽まで帰ることにしました。都営バスなら都営まるごときっぷで乗れるのですが、残念ながら西台からのバスは国際興業です。三田線の先のほうの駅で都バスに乗り換えられるのは板橋本町くらいですが、そこまで戻るともう終バスが無くなるのではないかと思われました。西台の終バスも21時30分です。西台駅には10分ほどしか滞在できませんが、たぶんゴール駅ではクリアキーワードを取得するだけで、もう謎解きは無いと思われますので、間に合うでしょう。

 三田線は志村三丁目から先はすべて高架線になっています。西台も高架駅でした。最後のステッカーは、ちょっとわかりづらいところではありましたが、すぐに見つかりました。「春への想い」というクリアキーワードを入手し、すぐにバス停へ。このバス路線は、マダムが仕事の帰りにちょくちょく使っていたので、今回のラストランとしてもすぐに思いついたのでした。
 赤羽まで、日曜の晩とあってスムーズに走り、25分ほどで着きました。川口駅前で食事をして帰宅しました。
 新宿駅から新宿線で出発したのを「都営編」のスタート、西台到着をゴールと見なすと、4時間10分かかっています。京王編と異なり、ティーブレイクや寄り道もまったく無しの、純然たる謎解き時間でした。移動範囲が広かったわりには、良いペースだったのではないでしょうか。私たちは西台からショートカットして帰ることができましたが、そういう手段を持たないプレイヤーの場合は、また都心まで戻らなければならず、大変だったかもしれません。私たちも、京王編をあとにやっていたら……と想像すると、夜も更けた山田駅にたたずむという、あんまりありがたくない事態に陥っていたでしょう。
 そういえば、京王編のプレイ中に一緒だったほかのプレイヤーは、都営編ではまったく姿を見ませんでした。私たちと同ペースだったのであれば、京王編をクリアしたところで今日のプレイは終わりにしていたのかもしれません。都営編でも何箇所かで見かけたプレイヤーが居ましたが、ゴールの西台では私たちだけでした。さすがに時刻が遅すぎたのかな。
 家を出てから帰宅までは、約13時間半となりました。一日のんびりと遊んだような、妙に忙しかったような、裏腹な想いです。

 さて、帰宅してから「エクストラ編」に取り組みます。京王編のクリアキーワード「朱い光の花」と、都営編の「春への想い」を送信すると、web上で続きがはじまります。
 「K」が橋本永山と同行したり、「J」が菊川春と同行したりした日の数日後、春が探偵事務所に駆け込んできて、菊川めじろの最後の写真は「春への想い」ではなく、別に存在したらしいというのでした。それは、残されたメモによれば「青白く光る花」と題されることになったはずの写真で、出世作「朱に光る花」(朱い光の花、ではなかったらしい)と対にしたいと考えていたらしい。
 実際には菊川はその写真を撮ることはできなかったようなのですが、どんな写真のつもりであったのかは誰も知りません。橋本も、師匠筋だった鈴木も知らないと言います。
 しかし「K」はメモの情報から、菊川の構想を推理するのでした。メモには、「朱に光る花」の二部作となる写真を撮りたいこと、やはり電車と火花をテーマにしたいこと、せっかくなら電車が走る所の近くが良いことなどが記されていました。それと春との対話から、

 1. 二部作ともタイトルに「光る花」がつく
 2. 朱に光る花は「電車と火花」がテーマ
 3. 二部作とも「電車走る所」の近くで撮影できる
 4. 一作目の『朱に光る花』は写真家人気の「火付け」役となった作品

 という情報を得ます。web上ではカギカッコのところがブランクになった文章が示されており、プレイヤーはブランクに書き込むということができないため、この穴埋めを記憶しなければなりません。
 次がややメタ的なのですが、カギカッコの中の文字をバラバラに配置し、ほかにもいくつかのカタカナが書かれた盤面が示されます。1~4のブランクに入る言葉になるよう線を引き、その線が通過するカタカナを読むと、菊川の構想が判明するというのでした。
 一問につき1個のカタカナしか通過しないようで、それを順に読むと「スパーク」となりました。菊川は、電車のスパークを題材にしようと思っていたのでした。
 電車のパンタグラフから出るスパークが見られるときは限られています。「K」は「J」に命じてスパークのことを調べさせます。すると、

 ──なかなか見られない光景ですが、雨が降った日の翌日、雨が止んで始発電車が走るようなタイミングであれば見ることができるかもしれません。

 と書いてあるブログが見つかりました。
 さて、天気のこととなれば、「ツツジッター」に広告の出ていた天気予報サイトです。これのおかげで、京王編のゴール駅を定めることができました。
 同じように、「16~24時」が雨、翌日の「0~8時」が晴れという組み合わせの日を探します。最初の面に出ている「1月28日」までにはそれはありませんが、前回書いたとおり、ここは翌週の天気も見ることができるようになっています。翌週の表を呼び出してみると、「1月30日」の夜から「31日」の朝にかけてが、その条件にあてはまりました。
 「1月31日」という日付をwebに送ると、そのことを春に伝えて探偵としての業務は終了、となりました。ただ「K」も「J」も写真に興味津々で、橋本永山を巻き込んでスパークの撮影会をおこなうことになりました。橋本は橋本で、撮影ポイントと時刻についても自分で調べ、そして1月31日の早朝、いよいよ撮影がはじまります。

 菊川めじろの最後のメモはこうなっていました。

 ──まずは、写真がとれる日の日付と、写真がとれるタイミングの気温を確認する。写真の撮れる可能性の高い日を狙うんだ。
 ──そうしたら、被写体をフィルムに収めカメラを構える。
 ──あとは時が来るまでじっくり待つんだ。
 ──画面の奥に強い光が見えたとき、「光る花」は姿を現す。…………私ももう長くない。あとはアイツに想いを託そう

 ここからが工作タイムです。赤字になっている日付、気温、カメラを「作り」、写真を撮る準備を整えよう、とメタ的な指示がありました。そして準備を万全に整えて「青白く光る花」を撮影することができたとき、現れる言葉を4文字で報告しよう、というのです。
 「日付」と「気温」はわりに簡単に「作る」ことができました。A3判見開き3枚になっている冊子の、中の2枚を上下に折りこむと、「1月31日」という文字と、寒暖計のような絵が同時にできます。寒暖計の指す温度は「氷点下2℃」……ここに至ってタイトルテーマ回収です。
 しかし、「カメラ」を「作る」のは苦労しました。そもそも冊子に印刷されているどのパーツを組み合わせれば「カメラ」の形になるのかよくわからないのです。これかな、と思って紙を折ってみても、その先がつながりません。
 ふと、外側の1枚のページの周囲に、ストラップのような黒線がついていることに気づきました。中の2枚をさらに左右に折りこみ、そのストラップがうまくつながるような折りかたをすると、どうやら「カメラ」らしきシルエットの中央に、女性(菊川春)が映っているような絵がぴったりと入りました。そうか、デジタルカメラでは被写体が大きなスクリーンに映るんだよな、とはじめて気づきました。小さなファインダーを覗く旧来型のカメラのことしか頭に無かったので、なかなからちがあかなかったのです。
 しかしまだ、「4文字」が現れそうにはありません。窮した挙句、私はついに禁を破って、ヒントサイトを見てしまいました。実はタカラッシュ!の企画でヒントサイトを見てしまうと、クリアポイントが半減してしまうのですが、それはこのイベント全体ではなく「エクストラ編」だけで計算されるらしいとわかったので、いくぶん気が楽だったのでした。
 ストラップを外すように、という意味のヒントが書いてありました。菊川めじろのように、ストラップが写り込んでしまう失敗を犯すべからず、というのでした。
 そうは言っても、どうして良いのかよくわかりません。折りこんだ中の2枚の紙を、表紙である外の1枚と切り離すのだと理解するまでに、だいぶ時間を要しました。
 切り離してから、「カメラ」を灯りに向けます。「画面の奥に強い光」はそのことです。すると、画面の背後に「メモリー」の文字が見えました。2枚重ねのあちこちに書かれていた文字が裏映りしている状態なので、かなり強い光に当てないと見えなかったのです。
 これが最終キーワードでした。橋本永山は見事に「青白く光る花」の写真をものにし、彼も指示していた鈴木氏から「弟子に抜かれる日が来たか」と評価され、一躍売れっ子写真家となったのでした。めでたしめでたし。「青白く光る花」のモデルになった菊川春も有名になって、のちにドラマ化もされたのだとか。こちらもめでたしめでたしです。

 面白い謎解きイベントでしたが、移動範囲の広さに対して、「8駅ずつに下車」というのはいかにもあわただしい気がします。謎解きで下りる駅だけでなく、乗り換えのための乗り下りもあり、例えば都営編だけでも合わせて12回乗り下りしています。京王編のほうは駅を間違えたりしたので多くカウントされてしまいますが、行き帰りの分も含めると、この日は全部でなんと33回、乗り物に乗ったり下りたりしていました。移動範囲が広いのは大歓迎なので、下車駅を6駅ずつくらいにしておいて、謎をもう少しじっくり考えられるものにして貰えればありがたい、と思いました。
 あとは、せっかくシリーズものなので、以前の登場人物などがまた出てくれば面白いとも思います。「神保チョウジ」など謎のキャラクターでなかなか好きでした。「山口タカオ」とか「DJ428」なんかのその後も知りたかったりします。「消えた1億の謎」で出てきた助手の男の子と女の子、「10の証拠」で助手に採用されたはずのワルキュール・ポアロ金田二耕助はどうなったのでしょうか。
 それにしてもこのシリーズで、いままでずいぶんいろんな駅で乗り下りしてきたものです。プレイしなければまず下車することが無かったであろう駅もたくさんあり、毎度愉しませて貰っています。次回も期待しています。

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