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「舞曲」を考える(1) [いろいろ]

 舞曲というのは、読んで字のごとく「舞踊のための」楽曲であるわけですが、実際にその曲に合わせて踊ることができるかどうかはなんとも言えません。「もともとは」踊りのための音楽であったものが、次第に実際のステップなどを離れて、純音楽化してゆくという現象はよく見られます。また、同じ名前の舞曲が、場所により時代により、だいぶ変形してしまうということもあります。
 いろんな国にいろんな踊りがあり、その踊りのための楽曲も非常に多種多様で、すべてを網羅するのは無理でしょう。日本の「音頭」なんかも舞曲と言えば舞曲です。日舞に用いられる「謡曲」なんかもその一種と言えます。ここではいちおう西洋音楽の範疇で考えてみることにします。
 舞曲には歌を伴うこともありますが、器楽のみで演奏されることが多く、その後のさまざまな器楽曲の原型ともなっています。ルネサンス期までの器楽曲と言えば、たいていは舞曲なのでした。それらをいくつか組み合わせたものが「古典組曲」のもとになっているという話は前にも書きました。バロック期に入ると、器楽曲の流儀として「教会ソナタ」「世俗ソナタ」が生まれますが、この世俗ソナタというのが、複数の舞曲を組み合わせた形になっており、古典組曲の祖型となったわけです。

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