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「地下謎への招待状2023」解決篇(1) [趣味]

 2月16日(金)プレイしてきた「地下謎への招待状2023」が、今日(3月17日)でイベント期間が終わったので、例によって解決篇を上げておきます。
 コロナ禍で「2020」と「2021」が見送られ、「2022」は以前のイベントのリニューアル「2014revival」でお茶を濁し、いわば4年ぶりの「地下謎」です。それだけにいろいろと気合いが入っているように感じられました。「東京にまつわる物語」をいろいろと探訪するというテーマになっていました。
 それはそれで興味深いものがあるのですが、ここではとりあえず、謎に関する部分だけピックアップして、私たちが探索した道順で記しておきたいと思います。 

 朝の10時ころに、メトロ南北線王子駅定期券売り場で、予約してあった「謎解きキット」を入手した私たちは、とりあえず王子駅のプラットフォームのベンチに坐って、「第一章 東京メトロ」に取り組みました。これは、訪れるべき駅を割り出すための謎です。いままではこれもパズルになっていることが多かったのですが、今回は趣向が変わっていました。
 その前に、謎解きキットの中身を紹介しておきます。まず恒例の「ファイルバッグ」。ほかのアイテムが全部入るようになっていて、持ち手もついているクリアファイルです。今回は「ペグシル」を差すポケット、「東京メトロ24時間パス」を差すポケットもつけられていました。24時間パスは、これも例によって今回のイベントのための特別仕様です。ポケットにはなぜかいくつかの窓があいていて、そこは透明になっていたのですが、その理由はあとで判明します。
 ゲームブックとなる「謎解きガイドブック」。以後「ガイドブック」と表記します。いくつかのページは袋とじになっています。 
 それから、大きな「緑の封筒」「謎の紙」「黄色の本」。これらは「指示があるまで開かないこと」と注意書きがあります。さらに「賽銭箱カード」「シールシート」「車掌さんのコラムシート」が入っていて、アイテム数だけでも今回はけっこう多めです。これらを駆使して謎を解いてゆくわけです。
 「第一章 東京メトロ」は、

 「東京メトロで最初に開業したのは□□□線」
 「路線カラーで、有楽町線はゴールド、東西線んはスカイ、南北線は□□□□□」
 「□□□□□を2025年までに全線に設置する□□□□がある」
 「駅番号は原則として□□や□□□にあるほど小さく、□□□や□□にあるほど大きい」

 という4つの文章の穴埋めをする問題で、パズルというよりもクイズです。しかもこれは、「車掌さんのコラムシート」を読むと、答えが全部書かれています。最初に開業したのは「銀座」線、南北線のラインカラーは「エメラルド」、2025年までに設置するのは「ホームドア」という「計画」、駅番号は「西」「南」が小さく「東」「北」が大きくなるようにつけられています。
 これらを穴埋めして、いくつかのマスについている番号に従って文字をピックアップすると、

 ──「みぎした」の「かど」から黄色の「ほんひらけ」

 という文章が出てきます。そこで「黄色の本(1枚の密閉紙に過ぎませんが)」を開いてみると、行くべき駅がいくつか並べられていました。

 グループA……神保町・四谷三丁目
 グループB……九段下・月島・東銀座

 だそうです。グループAとグループBからひとつずつ目的駅を選べ、というわけでした。王子からは少々行きにくい駅が多いようです。東銀座にはわざわざ、「謎解き高難度駅」と註記されていました。晩にChorus STの練習に出なければならないので、無制限に時間は使えませんから、東銀座は選択肢から外します。
 マダムがいきなり、
 「月島にしよう。月島でもんじゃ焼きでお昼にしよう」
 と叫びました。グループAは神保町を選んだので、グループBは九段下なら隣の駅だから便利なのですが、マダムはもうもんじゃ焼きを食べる頭になってしまったらしく、月島から離れません。もんじゃ焼きなど食べに入れば、そこそこの時間を要しそうですし、私はあまり乗り気でなかったのですが、結局押し切られました。神保町と月島を訪れることになりました。

 南北線で永田町まで行き、半蔵門線に乗り換えて神保町へ。神保町というのはいろんな線が交わっていて便利な駅というイメージがあったのですが、考えてみるとメトロでここを通っているのは半蔵門線だけでした。あとは都営三田線都営新宿線の接続駅になっているのです。
 「第二章 旅のはじまり」の開幕です。神保町の駅から地上に出て、靖国通りを歩きます。通りに面した書店のいくつかがネタになっています。
 まず神保町ブックセンターなのですが、看板に描かれている食べ物はどれか、という問題でした。ところが、その看板が工事中だかで見えなくなっており、その下に「『地下謎』をしている方へ」という紙が貼ってありました。「看板はこういうものです」という写真が添えられています。長い期間やっているイベントだと、こういうことも起こりうるのでした。写真により、看板に描かれた食べ物はサンドイッチとわかります。
 次は矢口書店で、外観に書かれていないのは? という問題で、映画・シナリオ・小説・戯曲という選択肢がありました。矢口書店は演劇や映画関係の本の専門店ですので、無いのは小説が正解。
 それからブックホテル神保町のロゴをネタにした問題です。ロゴの窓付きの本にはさんであるしおりの色は? というので、が正解。
 次に「@」が店名に入った書店を左に曲がり、右に突き当たるまでまっすぐ進め、と指示されます。ブックホテルのすぐ先に「@ワンダー」という書店があるので、その角を曲がります。さくら通りに行き当たると、右手にピンクの街灯が見て取れます。この色が次の問題の答えでした。
 街灯と反対向き、つまり左に曲がると、すぐに「社員の家」という中華料理屋の看板があり、この「社員」というのが次の問題の答えでした。
 これで神保町での手がかり収集(STEP1)は終わり、いままでの答えを使ったパズル(STEP2)に進みます。答えの選択肢番号はさまざまなカタカナになっていたのですが、その選択肢番号を指定された順に並べると、「エキノナマエ」となります。

 ──「エキノナマエ」を左から順にすべてつないで通る指示にしたがえ

 という問題文になります。駅の名前とはなんだろう、と一瞬思いますが、パズル面に散らばった記号や文字を見ると、「ネ」「申」「イ」「呆」「田」「丁」が含まれていたので、その順に線を引きます。なお「左から順に」というのは、パズル面での各パーツの位置ということではなく、「偏」が先で「旁」があとという意味だったようです。
 つないだ線は、

 ──[山の頂上のような形の記号]を▲にかきかえて先よめ

 という文字・記号の上を通りました。最初の[山の頂上のような形の記号]がなんなのか気づけば簡単です。実はブックセンターの問題のところにあった食べ物の選択肢のうち、おにぎりの上半分がこの形と同じだったのでした。それでその部分を黒い三角形で置き換えると、おにぎりに巻いてある海苔とつながって、上向きの矢印になります。
 矢印の先、つまりその上に書かれている文字を順に読むと、「いろどり」となりました。これが神保町の「ANSWER」ですが、まだ終わりではありません。次のページにある「エピローグ」の下のほうに、ひらがなを連ねた6×4マスの文字盤があります。

 ──この駅のANSWERの下を読んでキーワードAを導き出せ

 と指示があります。この題意はわかりやすく、「い」「ろ」「ど」「り」の各文字の下にあるひらがなを探せば良いわけです。
 「ふ」「う」「せ」「ん」となりました。キーワードAは「ふうせん」です。これ、四谷三丁目のほうに行っていても、ANSWERは違いますが同じく「ふうせん」というキーワードが出てくるはずです。逆に言えば、四谷三丁目のANSWERもこれで逆算できます。
 神保町の標準所要時間は「20分」となっていましたが、神保町に到着してから次に向けて出発するまで、46分を要しました。そんなに手間取っていたつもりはないのですが、ずいぶん時間がかかっています。ひとつには、私は神保町の駅に戻って改札を通る前に「ふうせん」を導き出していたのに対し、マダムは改札を通ってプラットフォームのベンチに坐り、おもむろにANSWERを割り出す作業に入ったりしていたので、電車を数本見送ることになり、そのためかとも思いますが、26分も余計にかかったというのは不思議です。標準時間はどうやって算出しているのだろうかと首を傾げました。

 次は月島です。永田町に戻って有楽町線に乗り換えました。月島は都営大江戸線との連絡駅であって、大江戸線で下りたことはあるのですが、確かこれも謎解きの途中で、地上には出なかった記憶があります。この駅で地上に出るのははじめてです。
 ガイドブックに書いてある指示どおりに歩くと、清澄通り勝鬨橋に向かってずんずん進むことになっていました。大江戸線の直上を歩くような感じで、信号5つめまでまっすぐ行くというからかなりの距離です。もう月島駅より勝どき駅のほうが近いのではないかと思われるあたりまで歩いて、ようやく右に折れます。大きな「四」の字があるところでさらに右に折れるとなっていましたが、要するに西仲通り商店街に入るということでした。「四」の字は、商店街の「四番街」を示す看板でした。駅からずいぶん離れたので、戻るのが大変だなと思いましたが、手がかりを得るために、商店街を月島駅に向かって歩くことになるので、最終的にはそう遠くありません。
 四番街から入って、そこから参番街、弐番街、壱番街と戻ってゆくことになります。ここの手がかり入手は、そうやって道を歩いてゆく上で眼に入る看板その他をチェックすることで、ガイドブックに記載されている小さな写真と同じものを見つけてゆけば良いのでした。私は最初ひとつ見落としたりしましたが、リカバリーはわりと簡単にできます。四番街では右手にひとつ、弐番街では左手に4つなど、親切に説明してくれていました。
 これらのポイントを、発見した順に写真を線で結びます。すると、パズル面に散らばっているひらがなのいくつかが、三角形で囲まれることになります。囲まれた文字を拾い、さらにそれを指定された順に問題文の空欄に入れて読むと、

 ──「どてつくり」、矢印の先にある4文字のひらがなに「ちいさいこて」を使ったものがANSWERだ。

 となりました。
 土手とかこてとかいうのは、もんじゃ焼きを作るときの術語です。ガイドブックにはご丁寧に、もんじゃ焼きの作りかたまで載っていました。具材を炒めてからドーナツ状に拡げることを「土手を作る」と言うのでした。パズル面に「土手」の一部と思われるイラストがあり、簡単にページを折ると「土手」の絵が完成します。そうすると、折ったページに矢印があって、その先のほうを読むと、「だがはや」となりました。なお最後の「や」は写真の看板に記された文字なので、ちょっと見逃しやすいかもしれません。
 「だがはや」では意味を成さないので、指示文の後半「ちいさいこて」を使うことを考えます。ガイドブックにあったもんじゃ焼きの作りかたのところで、もんじゃ焼きを食べるための小さいこてのことを「はがし」とも呼ぶことが書かれていました。これで鉄板からはがしながら食べるわけです。
 「はがし」……この手の謎解きでよく使われる文字変換法です。「『は』が『し』」つまり「は」を「し」に換えろということですので、「だがはや」は「だがしや」となりました。これが月島のANSWERです。神保町のと同じような文字盤があり、こんどは「駄」「菓」「子」「屋」の下を読むと、「し」「ん」「く」「う」です。「しんくう」がキーワードBだったのでした。

 キーワードA、Bが出そろったので、次に進むための謎を解くことができます。キーワードA「ふうせん」、キーワードB「しんくう」の文字を、

 ──「池」から始めて□□と□□□□を順番に[GOAL]までたどり、通るカタカナを順に読め

 という空欄に、振られている数字に従って入れると、「『ふく』と『しんせん』」つまり「副都心線」となります。となります。その下にまた文字盤があり、カタカナと漢字が入っていますが、[START]が「池」、[GOAL]が「渋」となっているので、副都心線の駅名の最初の漢字をつないでゆけば良さそうだと見当がつきます。実際、「雑(司ヶ谷)」「西(早稲田)」「東(新宿)」「新(宿三丁目)」「北(参道)」「明(治神宮前)の文字が拾えたので、それらを線でつなぎ、通過したカタカナを読むと、

 ──チヨダセンノホームドアココデヒラケ

 となりました。実はこの謎の記されたページ全体が、ホームドアのような絵になっており、緑色の帯があるので千代田線のホームドアなのでしょう。ページは密閉紙となっており、ここでそれを開くことになります。
 まず第1段階として、

 ──有楽町線と東西線の色を順に作り、指し示される指示にしたがえ。
 ──そのとき現れるポケットに、「同じ色」「同じ形」のものをぴったり差し込め。

 という指示文があります。有楽町線と東西線の色というのは、「車掌さんのコラムシート」にあって第一章でも使ったアレでしょう。有楽町線はゴールド、東西線はスカイ、というヤツです。開いたページやその裏にあたるページを眺めてみると、組み合わせれば「金」「空」という文字になりそうなパーツが描かれています。つまり折り紙をしてパーツを組み合わせる必要があります。
 ところが、ページをいかに折ろうとしても、「金」の上半分と下半分を密着させることができないのでした。数センチ届かない感じです。
 ここまで判明したところで、マダムの要望に従ってもんじゃ焼き屋に入り、昼食をとりました。もっと早い時間かと思っていたら、すでに12時半を大きく回っています。確かに昼食時ではあるのでした。
 もんじゃ焼きの焼きかたは、ガイドブックを参照できましたので、この日の謎解きキットは謎解き以外にも役に立ったことになります。それにしても、私が予想したとおり、やはり1時間くらい滞在するはめになりました。
 店の中でも、なんとか折り紙をやってみようと試みましたが、どうしても届きません。狭い店内ではらちがあきそうにありませんでした。
 店を出て、ベンチに坐れる広場に行ってふたたび試みました。どうも、ページの境目を越えるようにして折らなければならないらしいと気がつきましたが、ページを留めてあるホチキス針が邪魔になってうまく折れません。針からページを外さなければならないようです。器用な人ならつけたままできたかもしれませんが、私には無理でした。このページはもともと少し厚い紙でできており、針から外して折り紙をするのが前提になっているようでもありました。
 ガイドブックから紙を外すと、簡単に折り紙ができました。「金」と「空」の文字を作るように折ると、ホームドアの絵のところにあった3つの矢印が、先ほどの文字盤のなかの「青」「谷」「折」の漢字を指し示しました。紙を折ったことで、ひとつながりの青い線ができていましたので、それを谷折りします。
 すると確かに、オレンジ色の、細長い台形のポケットができました。ここに「同じ色」「同じ形」のものを差し込めというわけです。あちこち見回してみると、「ファイルバッグ」の持ち手のところが、オレンジ色の台形になっていることに気づきました。ポケットに差し込んでみると、ぴったりとはまりました。
 持ち手の指を通す部分が、長方形の穴になっており、紙にこの穴が重なったところに、小さな電車の絵が描かれています。どこかで見たと思って、「24時間パス」を出してみると、ビンゴです。確かに「24時間パス」にも電車の絵があり、しかも長方形の穴にパスがぴったりとはまるようになっていました。
 第2段階の指示は、

 ──最後にぴったりあてはまるものを置き、[メトロのロゴ]から線をたどって最初に行きつく駅が、次に向かう駅だ。

 ということでした。「あてはまるもの」とはもちろん「24時間パス」でしょう。そこにはメトロのロゴも印刷されています。
 ただ、「線をたどって最初に行きつく駅」というのがなかなかわかりませんでした。ロゴから線など出ているようには見えません。しばらく頭をひねりました。
 なんのことはないので、「ファイルバッグ」を差し込む面が逆になっていたのです。裏面の、路線図が描かれているほうを出していたのですが、それでは解けないのでした。表の面を上にして差し込めば、「24時間パス」のロゴのすぐ近くに緑色の線が伸びています。千代田線を表す線です。そして最初にある駅は根津でした。
 月島を発ったのは、到着して2時間20分あまりあとのことでした。すでに時刻は14時半近くなっています。しかし、謎解きはまだ半分も終わっていない段階で、これでちゃんとその日のうちにクリアできるのかと心配になりました。
 ともかく根津へ向かいます。有楽町線で有楽町へ戻り、乗換駅となる日比谷から千代田線に乗りました。

 「第三章 文豪の面影を感じる文学の旅」が開始されます。このあとの章は、すべて章ごとに袋とじになっていて、行く先を割り出してからでないと開けられません。まあ、ズルをして開けることは可能ですが、それで面白いのかという話です。
 袋とじの内容を読むと、根津駅での手がかり集めは、どうやら根津神社の中でおこなうことになるようです。根津駅から根津神社までも、そこそこの距離があり、手がかり集めのために神社内を突っ切る形になるので、反対側の鳥居から出れば、もう次の千駄木駅のほうが近いくらいです。「地下謎」は駅をめぐりながら、けっこう歩かされるイベントであったことを、今さらながらに思い出しました。
 神社の絵図の中の、3つの地点にあるものを調べ、その写真が掲示されているものを「シールシート」から選びます。「シールシート」には「きつね」「とりい」「すいどう」という文字が添えられた写真の載ったシールがありますので、これをガイドブックの指定された箇所に貼りつけます。
 それは、しりとりになっている一連の流れの中で、その「きつね」「とりい」「すいどう」を手がかりに、しりとりを完成させるのがここでのミッションです。言葉の文字数だけは示されており、その言葉に相当するイラストの描かれたシールを1枚ずつ欄に貼りつけてゆきます。
 基本的にさほど難しくはないのですが、「ショートヘア」なる言葉が、イラストからはなかなかわかりづらく、しばし考え込んでしまいました。答えのしりとりを記すと、

 「①ひよこ」→「②コート」→「③とりい」→「④いもむし」→「⑤しんせき」→「⑥きつね」→「⑦ねがお」→「⑧おたまじゃくし」→「⑨ショートヘア」→「⑩アイス」→「⑪すいどう」

 でした。ショートヘアがわからなかったとき、アイスキャンディーの絵を「シャーベット」と解して⑨に貼り、にっちもさっちも行かずに頭を抱えたものでした。
 さて、いくつかの文字に、アルファベットの添え字がつけられており、それを次に掲げられている文章の空欄に入れると、

 ──ひつじからセーターを「みらい」でつなげるとき、へびから財布、いねから餅を読めばこたえの導き方がわかる。

 となりました。これだけ読むとわけがわかりませんが、謎解きキットの中の「賽銭箱カード」に、羊だのセーターだのヘビだの稲だのの絵が描かれていることに気づけばわけはありません。賽銭箱のイラストの、コインの投入口のところが縦縞になっているのですが、そこにシールを貼りつけると、文字拾いあみだくじが出来上がります。シールは2枚あって、どちらをどう貼るか迷いますが、上の指示のように、羊の絵とセーターの絵を「み」「ら」「い」という文字を拾いつつあみだくじでつながるように貼れば、あとのものもわかります。ヘビと財布をつなぐ道では「八両から十両」、稲と餅をつなぐ道では「にしNの下」と拾えました。

 ──八両から十両にし、Nの下

 というわけです。「八両から十両」というのもこれだけではわかりませんが、「賽銭箱カード」の裏面に8輌編成の電車のイラストがあり、ガイドブックの神社の絵図のページをよく見ると、両側に電車の車輛の絵の一部みたいなものが描かれています。ここに賽銭箱カードのイラストを当てるとぴったりとはまり、8両編成だったものが10輌編成に変貌しました。また、「賽銭箱カード」裏面の上下には、メトロのラインコードが並んでいます。銀座線はG、丸の内線はMというアレですね。南北線を表すNが、下に3つ並んでいて、神社の絵図にカードを重ねた状態で見ると、そのNの字の下に、「舞殿」の「舞」の字、「ひろい場所で」という文の「ひ」の字、「おすすめ!」という言葉の「め」の字が来ていました。すなわちここのANSWERは「まいひめ」です。
 こんどは、文字がいろいろと散らばっているパズル面で、周囲に大きな文字で書かれているカタカナの中から「マ」「イ」「ヒ」「メ」を選んで線で結ぶと、その線が文字の上を通過します。

 ──①④⑧の成長後同士つなぐ線で順に山折

 ①はひよこ、④はいもむし、⑧はおたまじゃくしでしたから、成長後というと、カエルです。確かにそのあたりのページに、鶏と蝶の絵がありました。しかもページの上下に1対ありましたから、それを結ぶ線で折り紙します。カエルだけはなかなか見当たりませんでしたが、どこかで見た記憶はあったので注意深く探してみると、さきほど切り離した「千代田線ホームドア」の紙にありました。この紙はかなり複雑な折り紙をしたわけですが、元の形に戻しておくようにという指示があったのです。つまり、切り離したところも戻しておくべきでした。私は面倒でやっていませんが、マダムは律儀に、セロテープをわざわざ購入して、もとのガイドブックに貼り直していました。
 それで3箇所を折ると、ひとつながりの矢印が出てきて、その先に太陽の絵があります。それが次の目的駅であるようですが、これだけでは途方に暮れます。
 近くに「ふたつつながった橋」の絵もありましたし、「桜の花びら」の絵もありました。このあたりがヒントであるようですけれども、私にはまだわかりません。
 実は、折り紙をわりと慎重にする必要があったのです。そうすると、そのほかに「竹」の絵、「大きな手」の絵、「9段ある階段」の絵もあることに気づいたはずでした。ここまで示されていればさすがに見当がつきます。私は折りかたがやや雑だったので、これらの絵に気づきませんでした。ここはマダムがヒントを見て教えてくれたのでした。
 「ふたつつながった橋」は「二重橋前」、「桜の花びら」は「桜田門」、「竹」は「竹橋」、「大きな手」は「大手町」、「階段」は「九段下」の各駅を意味しているようで、それらの絵の配置もだいたい駅の位置関係と一致します。してみると「太陽」は「日比谷」に違いありません。私は太陽の絵からして、日比谷か日本橋ではないかと予想はしていたのですが、絵を全部見つけられなかったがために、決め手を欠いていたのでした。
 上に書いたとおり、根津神社の北門のほうまで来ていたので、千駄木駅のほうが近く、千駄木から再び千代田線に乗って日比谷に舞い戻りました。時刻はすでに16時を過ぎています。

 「第四章 首都の誕生に秘められた物語を追う旅」は、ほぼすべて東京ミッドタウン日比谷の中で済む点、歩く距離はさほどのこともありませんでした。しかし謎のほうは手が込んできます。
 ここの謎は、見開きのページにちりばめられた、いろんなキャラクターの「セリフ」を追う形になっています。「まずはハムスターにしたがえ。」と冒頭に書かれているので、ハムスターのセリフを読んでみると、ミッドタウンの玄関前の舗装タイルのデザインを確認する問題となっていました。ガイドブックには3つの選択肢が示されており、それぞれ違う者のセリフに飛ぶようになっていましたが、正解の図形を選ぶと「洋梨にしたがえ」となりました。
 洋梨は、玄関前の広場から延びる階段の、M1エレベーターのあるところまでの段数を数えるという問題で、正解の「9段」を選ぶと、こんどは「車椅子にしたがえ」と指示されます。
 車椅子は、そこから見えるある文字列を読み取るのが問題です。ヒントもあるので、文字列とは「TOKYO MIDTOWN HIBIYA」であることはすぐにわかります。この中から指示に従って文字をピックアップすると「HIYOKO」となり、次はひよこにしたがうことになります。
 ひよこは、そのすぐ先にある岩の様子をチェックする問題を出します。斜めになっている岩がふたつ、あとひとつの岩はどうなっているか? というので、正解の「真っぷたつにされている」を選ぶと、「クワガタにしたがえ」となりました。
 クワガタは、エスカレーターを下りて地下の広場に行くよう指示し、そこの柵の上にある鳥の像がいくつあるかを訊ねます。正解の18羽を選ぶと、こんどは「リンゴにしたがえ」となります。
 リンゴの問題は大がかりです。方眼になった長方形があり、線の交点には丸印に囲われたカタカナが、マスにはひらがなと漢字がところどころに書かれています。まず、交点のカタカナから、いままで従ってきたキャラクター「ハムスター」「ヨウナシ」「クルマイス」「ヒヨコ」「クワガタ」「リンゴ」を拾い、それぞれ実線でつなぎます。すると、いくつかの区画に区切られ、そのうちひとつは迷路のような形になりました。
 そのとき、「TOKYO MIDTOWN HIBIYA」のロゴの前から、メトロの日比谷駅の看板の真下まで進み、通るものにしたがえ、と指示されています。この題意は少々つかみづらかったのですが、方眼に含まれている黒い四角形や、右端がギザギザになっているところから、この長方形は地下広場そのものを模しているという見当がつきます。黒い四角形は柱です。また壁は波打つようなタイルで覆われて、ギザギザに見えます。
 するとミッドタウンのロゴというのは迷路の上の端、メトロの看板は迷路の右の端で、ここを結ぶ道にある文字を拾えば良いわけです。なお迷路と言っても枝道は無く、そのまま読めばOKです。

 ──だいやのえーす

 と文字が拾えました。ダイヤのエースに従えば良いのでした。
 ところが、ダイヤのエースというキャラクターはありません。あるのはハートのエースです。そしてハートのエースのセリフは、「さいしょのマスをバッグにしてもう一度解け」というもので、意味がつかめません。
 しかし、その右のほうに、ダイヤマークのついた虹の絵があります。「観光案内センターでネコを探して扉開け」とセリフがあり、これもわけがわかりませんが、ハートのエースのマークがダイヤになるようにページを折ると、指示が

 ──さいセンバコを開け

 と読めました。
 根津神社で大活躍した「賽銭箱カード」をもういちど取り出してみると、このカードはかなり厚くて、はがせそうです。試みてみると、やはりふたつ折りになった密着紙なのでした。中の面は一面緑色で、色とりどりの線が走り、さらに次のような指示が書かれていました。

 ──オレンジ、白、黄の順に山折りし、AとBから「う」を取り除いたものを作って3つの矢印が示す指示を実行しろ。

 前半はこの「賽銭箱カード」の折り紙のしかたなので、迷う余地はありません。AとBというのは、第二章で導き出したふたつのキーワードでしょう。実際にはキーワードにも、この指示にも色がついていたのですぐにわかりました。
 「ふうせん」「しんくう」のキーワードから「う」を取り除くと、「ふせん」「しんく」です。「付箋」らしき絵は見開きページのキャラクターの中にあり、あまり意味の無さそうなセリフをしゃべっています。ただし、付箋にしては丈が短いのですが、「賽銭箱カード」を折ったものに、それとつながりそうな絵が描かれていました。ふたつつなげて付箋であるようです。また、台所のシンクの絵の半分が、段ボール箱のキャラクターの隣に描かれており、これも「賽銭箱カード」につながりそうな絵がありました。それらがつながるようにガイドブックの上にカードを置いてみると、「賽銭箱カード」にあった3つの矢印が、キャラクターのリンゴと、方眼長方形の中の「作」「れ」という文字を指し示しました。
 「リンゴ作れ」では意味がよくわかりません。ここはマダムが気づきました。リンゴではなく、そのリンゴの絵に添えられている「葉っぱ」を作れという指示だったのです。
 先ほど折った賽銭箱カードを裏返すと、意味不明のアルファベットと、薄緑色の斜線が描かれています。この斜線が、なんとなく葉っぱの葉脈のように見えることに気づいたのがマダムのお手柄でした。
 「ファイルバッグ」の、「24時間パス」を入れることになっているポケットに、折った「賽銭箱カード」がぴったりと差し込めます。差し込んでみると、透明になっている窓のうち大きなものが、ちょうど葉脈を持った葉っぱのように見えます。そのほかに小窓が6つあいているのですが、そこには「F」「R」「L」「E」「O」「W」というアルファベットが見て取れました。小窓には、それぞれをつなぐ線がついており、線に従って読めば「FLOWER」となります。これが日比谷のANSWERなのでした。
 例によって、ANSWERをもういちど変換する必要があります。ここでは、アルファベットをひらがなに変換する表が出ていて、それを見ればどんな言葉になるか一目瞭然なのですが、ただしまだ駅名は出てきません。出てくるのは「はんばーがー」という言葉です。ハンバーガーは見開きページのキャラクターの中にあり、問題文にも「変換したものにしたがえば」と書いてありました。
 さてハンバーガーは何を言っているのかといえば、

 ──九月1日をつくったとき、その横にあるものを読め。

 なんのこっちゃ、と思いますが、「九月」という漢数字に対して「1日」がアラビア数字になっていること、「九月1日」が丸ゴシック体で書かれていること、それから実際には「1日」と「そ」の字が白抜きになっているのがヒントです。
 最初に使った「黄色の本」の表面には、白抜き文字でいろいろアオリが書いてありました。その中に、「1日」と読める箇所があったのです。実は「1」は長音符号、タテ書きなのでつまりはタテ棒なのですが、丸ゴシック体なので「1日」とも読めるのでした。
 裏面には、第二章で行く駅が示されています。「九段下」と「月島」が並んでいるので、紙をうまく折れば「九月」と読めるようにできます。「九月1日」はちょうど横並びになるように配置されていました。
 白抜きの文字の中には「そ」という文字もあり、折ったままその左側を見ると、「神谷町」という文字がありました。「神保町」の神、「四谷三丁目」の谷、そして白抜きのアオリ文句の中の「町」の字が並んでいたのです。次に訪れる駅は神谷町であり、それがどうやら最終の駅ということになりそうです。なるほど、この仕掛けのために前半の駅を選んでいたというわけなのでした。いつもながら手が込んでいます。
 日比谷線に乗って、そのまま神谷町に向かいます。

 この項、続きます。

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