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「鉄道探偵と氷点下2℃の幻影」リプレイ(1) [趣味]

 「地下謎への招待状2023」と同じく、この3月17日で終了した鉄道謎解きイベント「鉄道探偵と氷点下2℃の幻影」ですが、マダムと私は終了1週間前の3月10日(日)にプレイしてきました。思いのほか時間がかかって、帰宅したのは22時半頃になってしまい、しかもそのあとで自宅で続ける「エクストラ編」をやっていたらあっさりと日付が変わってしまいました。そのため、当日の「挑戦記」が書けなかったわけですが、どうせもう1週間でイベント期間が終了するので、もう終わってからリプレイとして書いてしまおうと思い、いままで触れずにおりました。さきに「地下謎」の解決篇が入ってしまったので遅くなりました。
 私はもっぱら自己満足のために解決篇やリプレイを書いていたのですが、案外と役立ててくださる読者も居られるようです。途中でリタイアしてしまったので先がわかってありがたかったとか、偶然ゴールはできたものの途中経過がよくわかっていなかったとか、そんなコメントもいただきました。そしてこの「氷点下2℃」も、リプレイを楽しみにしていますというコメントが寄せられていました。そういうかたがたには少々じれったい想いをさせてしまったかもしれず、お詫び申し上げます。
 イベントの趣旨を簡単にご説明いたしますと、京王電鉄都営地下鉄が共同開催している「鉄道探偵」シリーズの、第9弾ということになるのでしょうか。第3回から参加している私らが、確か7回めになりますので、そんなところでしょう。いろいろと謎解きイベントに参加していますが、ストーリー性がもっとも強い鉄道謎解きと言えそうです。ストーリーと謎を記した、12ページばかりの、黄色と黒を基調にした警戒色みたいな冊子(無料)を入手すれば誰でも参加できます。最初のころ……というか私たちが最初に参加した第3回までは、訪れる駅も京王と都営の両方に点在していましたが、後半でプレイヤーが集中してものすごい混雑になったためか、第4回からは「京王編」「都営編」に完全に分けて、それぞれの中でストーリーが完結するようになりました。そして両者を統合する「エクストラ編」も置かれるようになりましたが、これは帰宅してからで良く、もっぱらweb上で進行します。
 最近では「京王編」「都営編」とも8駅ずつくらい訪れることになっており、それなりに時間がかかります。しかも今回の「氷点下2℃」は、移動範囲もいままでに無いほどに広く、電車に乗っている時間だけでも相当なものになりました。
 さらに、あとで触れますがかなりの難問があり、私も2回ほど間違えた駅を訪れました。私の場合はわりにすぐリカバーできる間違えかたではあったのですが、それでもだいぶ時間を浪費しました。しかし、それどころではない間違えかたをした人が実際に少なからず居たようで、その人々は心が折れてリタイアしてしまったのではないかと心配しています。どうしてそんなことになったのかものちほどご説明いたします。

 さて、前置きはこのくらいにして、とにかく出かけましょう。私たちは9時過ぎに家を出ました。川口発9時19分の電車に乗り、赤羽で乗り換えて新宿着9時41分。ちなみに川口に戻ってきたのが22時03分だったのですから、往復を含めてほぼ13時間を要したということになります。新宿は京王と都営地下鉄の唯一の結節点ですので、たいていそこで京王の一日券と「都営まるごときっぷ」を購入してスタートします。確かいままで一度だけ、渋谷からスタートしたことがありましたが、それは最初に訪れるべき駅が渋谷であることを事前に知っていたからでした。
 今回は、訪れるべき駅は事前に割り出せるところが多く、京王編では8駅中6駅、都営編でも8駅中5駅は、家を出る前にわかっていました。が、とりあえずストーリーがその箇所に進んだときに記すことにします。
 明るいうちに地上を走る京王線に乗ってしまいたい気持ちがあって、先に京王編に取り組みます。おなじみ鉄道探偵「K」が、電車内で知り合った「橋本永山」という写真家と共に、物故した橋本のライバルの写真家「菊川めじろ」からのメッセージを追うというストーリーです。
 このシリーズの登場人物は、京王や都営地下鉄の駅名をもとにした名前が多いのですが、橋本(京王相模原線)と永山(同)、菊川(都営新宿線)とめじろ台(京王高尾線)と、今回は姓も名も駅名由来という豪華版です。ただし橋本というのは、以前橋本ヨウヘイという鉄道員コスプレ好きの会社員が何度か出ていました。鉄道員コスプレ好きが昂じて、本当に鉄道会社に就職してしまったというのではなかったかな。また菊川は、2度ほど登場した「初代鉄道探偵」と同じ名前ではなかったかと思います。そろそろネタが尽きてきたのかもしれません。
 ともあれ、橋本永山は、菊川から送られてきた「光る花」の写真を、故人からの挑戦状のように思い、同じような写真を撮るべく情報を集めているとのことでした。最近写真が趣味になった「K」は興味を覚えて同行することになります。故人からは、「光る花」の写真のほか、手がかりとなりそうなもう一枚の写真が送られてきていたそうです。
 それは、花びらが1枚ずつ欠けている4輪の花の写真。花びらにはおのおの、ひらがなが書かれています。青い花には「がしらひまば」、黄土色の花には「ょじいらうすく」、褐色の花には「むいのしだ」、紫色の花には「ただいみ」。これが「謎1」です。
 これらは、欠けている1文字を補ってアナグラムすると駅名になります。「がしらひまば」は「つ」を補って「東松原」、「ょじいらうすく」は「さ」を補って「桜上水」、「むいのしだ」も「さ」を足して「武蔵野台」、「ただいみ」は「か」を足すと「三鷹台」。難しそうですが、実は花芯のところに数字が書いてあり、それが京王の駅ナンバーに対応しています。青い花芯は井の頭線、赤い花芯は京王線なので、冊子巻頭の路線図を見ればすぐにわかるのでした。
 さて、欠けていた文字「つ」「さ」「さ」「か」を並べ替えると、出てくる駅名は「笹塚」です。笹塚は「ささづか」であって、これだと「つ」の濁点が無いようですが、1枚ずつ落ちている花びらの青いもののかたわらに、さりげなく濁点らしきものが添えられているのでした。
 というわけで、まずは笹塚に向かいます。新宿発9時55分、謎解きタイムはここからカウントでしょう。

 駅に着いてから、タカラッシュ!社のイベントではおなじみの「手がかりステッカー」までの経路は、謎ということもなく明確に示されています。笹塚のステッカーもすぐに見つかりました。花屋の女の子の証言というていです。かなりたくさんしゃべっているようですが、そのうち赤字で示された「工夫した写真」という一文だけ、手がかり記入欄に写します。手がかり記入欄は、「謎7」のところにありました。つまり、「謎6」までに明かされる6つのキーワードをここに転記してゆくという形です。
 菊川は終電後に笹塚あたりをうろうろしていたと言います。で、それまでどこで時間を潰していたかということになり、橋本が思い出して取り出したのが1枚の名刺ですが、あちこちかすれています。それを解読して第二の駅名を割り出すのが「謎2」です。
 これはほとんど謎ではなく、京王線と井の頭線の路線図を把握していればほぼ一瞬でわかります。渋谷から一駅、または新宿から明大前で乗り換えて各停6駅、つまり神泉です。なおこの「名刺」には「準特急」という居酒屋の名前と、「公式tsutsujitter」のQRコードが表示されています。スマホでQRコードを読んでみると、「このアカウントは停止されています」という「tsutsujitter」なるSNSのページらしきものにつながります。
 笹塚で上厠しようとして、どこのトイレも塞がっていて案外手間取ったために、30分近くも滞在してしまいました。神泉に着いたのは10時45分です。
 笹塚で見られなかったほかのプレイヤーが、神泉ではずいぶんたくさん現れました。さすがにイベント終了1週間前の日曜日とあっては、プレイする人も多いようです。
 近隣のアパートに住む住人の証言というていで、次のステッカーが貼られていました。菊川は3年ほど前に、深夜に居酒屋から飛び出してきて、線路のほうを見て「これだ!」と叫んで走って行った、とのこと。「何事と思った」というのが第2のキーワードです。

 居酒屋「準特急」は移転していました。京王線から「準特急」種別が無くなったのと同じくらいのタイミングであったのでしょうか。その移転先を割り出すのが「謎3」です。閉まったシャッターに貼られていた移転先の駅名が読めなくなっているのを解読するという問題ですが、これも難しくはありません。紙と、はがれ落ちたフィルムに写ったものを一緒にすれば、「ハチマンヤマ」と読めます。八幡山が次の駅です。
 明大前に戻ると、マウント高尾号と特急に続いて快速が入ってきました。快速は八幡山に停車するので都合が良いと思いましたが、八幡山までの4駅のうち通過するのは上北沢だけであることに想い至り、京王の快速なるもののしょぼさを再認識しました。実際快速は、いちおう通過運転をする新宿から調布までの18駅中、通過するのは6駅に過ぎない「隔駅停車」なのでした。
 居酒屋の大将にはすぐに会えて、菊川は何か「電車関係の物」でも撮っていたのだろう、との推測を聞かされます。これが第3のキーワードです。さらに、菊川から預かっていたというもう一枚の写真を橋本に渡すのでした。

 その写真の解読が「謎4」です。写真は2本の桜の樹のあいだを電車が走り抜けるという構図ですが、デジタルカメラのファインダーをそのままスクリーンショットしたみたいに、白い枠やインジケーターがかぶさっています。バッテリー残量やメニューコマンドと共に、左の樹の上下にふたつずつの丸印と右側に「11」という数字、右の樹の下にもふたつの丸印と左側に「6」という数字、11と6のあいだに顔センサーの枠のようなものがあって、そこに「??」と書かれています。
 これは、京王線に「桜」という字が含まれる駅名がふたつあることに気づけばすぐに解けます。桜上水聖蹟桜ヶ丘ですね。それぞれの字数を考えると、下にふたつの丸がある右の樹が桜上水、上下にふたつずつの丸がある左の樹が聖蹟桜ヶ丘を示していることになります。となると、数字は駅の数でしょう。ここで「6駅め」「11駅め」と考えてしまうと、それぞれつつじヶ丘国領になってしまい、どちらかわかりません。「あいだに6駅」という具合に考えると、両方とも柴崎と定まります。
 柴崎には各駅停車しか停まりません。京王線の各駅停車は日中は10分おきと、案外少ないのですが、幸いほとんど待たずにやってきました。
 下り改札を出たところの窓を探すよう指示がありました。すぐにステッカーが見つかります。菊川の書いたメモがはさまっていたという設定です。

 ──例え撮りたいものが同時に2つあっても、「両方を撮ろう」と思わずに片方に絞れ。

 とあり、赤字の部分が第4のキーワードです。なおこの「たとえ」は漢字なら「仮令」と書くべきで、「例え」というのは菊川の、いやタカラッシュ!の担当者の誤用です。
 柴崎での用事はそれで済んだのですが、この駅の近くに「ポンチキヤ」という店があります。ポーランド菓子の「ポンチキ」という、バラのジャムが入ったドーナツみたいなものを売っている店で、マダムも私も好きなもので、ちょっと寄ってみようと思っていました。もちろん柴崎に下りることは事前にわかっていました。
 前に来たときには、うっかり通り過ぎてしまいそうになったような、小さな地味な店ですが、今回はすぐに見つけました。しかし、長期休業中だったのでがっかりです。3月の前半はほとんど店を閉めているようで、ポーランドにでも行っているのかもしれません。
 そろそろ空腹を訴えはじめたマダムを、それで虫押さえさせようという魂胆もあったのでしたが、休みでは仕方がありません。あてにしていたものが入手できなくて、マダムの空腹が亢進したようです。

 さて、柴崎駅に戻り、次の駅へ進みます。柴崎駅のキーワードをwebに送信すると、ストーリーがまた少し動くのですが、謎解きにはあまり関係がありません。菊川からのさらなる挑戦が待ち受けていたという話です。「謎5」ですね。
 側線に工事用車輛が停まっているところですれ違おうとする2本の列車の写真が示されています。それを、例示されたタイミングで撮ってみろというわけでした。線路の枕木のあいだにはひらがなが書かれています。例示されたタイミングになったところの文字を、指示された順に読むと、「けいおういなだづつみ」となります。次の目的駅は京王稲田堤です。
 調布で相模原線に乗り換えて2駅。実際には特急だったので次の停車駅です。
 指示された場所に行くと、また菊川のメモが残されていました。「良い作品を撮る為には……」と上から目線で教えを垂れる文章が書かれているのですが、第5のキーワード「作品を撮る為」を手がかり欄に転記すれば用は済みます。
 このステッカーは改札内にあったので、そのままプラットフォームに戻っても良かったのですが、マダムがちょっと出てみたいというので一旦改札を通ります。良い感じの店があったら昼食に入りたい気が見え見えでしたが、駅前にさほどの飲食店は無く、隣接した京王スーパーでおにぎりを1個購入していました。

 「謎6」は、電車の扉附近にいろいろとローマ字が散らばっている写真が示され、扉が開いた場合にどの字が見えるか予測しろというものでした。扉自体に書かれている文字は、当然扉が開けば見えなくなりますが、ガラス部分の文字は、扉の横の窓のために、見えるものと見えないものとが出てきます。指示に従って下から読むと「TAMAREIEN」。次は多磨霊園となります。
 多磨霊園は本線の駅ですから、一旦調布に戻らなければなりません。この駅は上り線下り線でフロアが違うのですが、エスカレーターで下り線プラットフォームに上がると、ほどなく各停電車がやってきました。
 ここまでの駅を割り出す謎は、プレイ中に得られる情報が特に不要なため、私は事前にすべて解いていましたが、この先の2駅はわかりません。いよいよ本格的になってきたという気分です。
 指示された場所には、またメモが残されていたことになっており、その中の第6のキーワード「レンズを回せ」を転記します。これでキーワードは出そろいました。このキーワードから次の駅を導き出すのが「謎7」です。

 「工夫した写真」「何事と思った」「電車関係の物」「両方を撮ろう」「作品を撮る為」「レンズを回せ」と、すべて6文字であるところがミソです。キーワードひとつひとつが、停まっている電車の写真と組み合わされており、電車の写真にはそれぞれ番号が振られています。よく見ると、その番号はすべて、扉の上に置かれており、写っている扉は全部で6つ。扉が文字に対応しているのだろうと見当がつきます。
 「何事と思った」「電車関係の物」だけ左から2番めの扉に番号があり、ほかはすべていちばん左に番号が振られていますので、それぞれの位置にある文字を拾ってみると、「工事車両作レ」となりました。「作れ」というのは鉄道探偵シリーズの場合、冊子を折り紙することを意味します。
 「工事車両」のサンプルは、先ほどの「謎5」の写真にありました。その左のページを見ると、端のところにそれを拡大したようなイラストが描かれています。ただし本体だけで、左右についているショベルやクレーンはありません。
 しかし、同じページにショペルやクレーンの絵もあって、これらを本隊にくっつけるようにページを折れば良いわけです。
 ちょっと折りかたに迷いましたが、タテ半分に折ってから斜めに折れば良いことに気づきました。そして「工事車両」を作ってみると、周辺に「RAIL CRAFTER」という文字が現れます。本来はショベルのところに「RAIN」、クレーンのところに「THUNDER」と書かれていたのですが、ページを折ることで余計な文字が隠れ、本体に書かれた文字とつながったわけです。
 この「RAIL CRAFTER」というのが「工事車両」の名前であるようです。そしてそれについての菊川の説明メモも見つかっている設定です。
 車輛の名前がわかれば、いまの時代いくらでも目撃情報は集められるはず、というのですが、スマホで普通に検索しても出てきません。検索候補には「RAIL CRAFTER 京王」とか「RAIL CRAFTER 謎解き」とか挙がるのですが、実際には具体的なページに結びつきません。候補に挙がったのは、私と同じように検索しようとした人が多かったのでしょう。
 そこで思い出すのが、居酒屋「準特急」の「公式ツツジッター」です。鉄道探偵シリーズでは「ツブヤイター」というSNSが前から登場していましたが、今回は名前を変えたようです。当の公式ツツジッターはアカウント停止となっていましたが、何か関係が無いでしょうか。
 私自身がツイッター(X)をやっていないのでなかなか気づかなかったのですが、マダムが、画面上のロゴをタッチすると「ツツジッター」のホーム画面に飛ぶことを発見しました。そこには検索ワード入力窓もあったのです。
 そこに「RAIL CRAFTER」と入力すると、終電後に百草園駅でそれを見たという「15時間前」のコメントと、工事車輛の運用について説明してあるコメントとが表示されました。それによると、「RAIL CRAFTER」は終電後、始発電車までの深夜時間帯に線路を整備する車輛で、一日に3駅進むこと、2駅めで激しく火花を散らすことが書かれていました。
 ここで私は間違えます。実は目撃情報のあった百草園に行けば良かったのですが、それが「15時間前」ということで惑わされました。「一日に3駅進む」という説明から、つい「8時間でひと駅か」と勘違いしてしまったのです。終電後から始発までの時間帯だけ走るということを失念していたのでした。
 それで、15時間前に百草園に居たのだから、現在はその次の高幡不動、まだそのまた次の南平までは行っていないだろうと思い、高幡不動に向かうことにしてしまったのです。不注意ですね。

 ところが、ここが面白いところで、多磨霊園のプラットフォームに戻ると、上下線ともに冊子を携えた人が散見されたのです。正解の百草園に向かうにしろ、私の間違えた高幡不動に向かうにしろ、多磨霊園からは下り線に乗るしかありません。しかし、上り線にも相当数のプレイヤーが居たのでした。
 これは私の予想ですが、彼らは「ツツジッター」の「準特急」のアカウント停止ページまでは辿り着いたのだと思います。しかし、そこから「検索」する方法がわからなかったのではないでしょうか。それで、菊川がおそらく「RAIL CRAFTER」をはじめて見て「これだ!」と叫んで走り出した……という証言のあった神泉に戻ることを考えたのでしょう。検索方法がわからない状態で、いままで出てきた「目撃情報」に類するものといえば、神泉しか無いのです。実際、マダムが検索方法を発見するまでは、私も
 「え~、まさか神泉まで戻れってんじゃないだろうな」
 などと呟いていたくらいです。
 神泉に戻るのであれば、上り線に居たことの説明がつきます。ぱっと見た感じ、下り線よりむしろ上り線のほうが数が多いほどでした。多磨霊園から神泉へは、条件が良くても40分近くかかります。それだけかけて戻って、神泉に何もないとわかったら、心が折れそうです。もういちどよく考えて正解を出しても、また小一時間かけて戻らなければならず、ほとほと億劫になるに違いありません。彼らの多くがリタイア組になってしまったのではないかと、心配になりました。

 さて私らは、「間違った駅」である高幡不動で下車しました。そして、ここで下車してくるプレイヤーも少なからず居たのです。冊子にある、下車してからの道順が明らかに高幡不動駅の構造とは異なっているので、これは違うかな、と思うのですが、違うと思った先で冊子を拡げて頭を抱えているふたり連れが居たりもしました。私と同様の間違いを犯す人が多かったということでしょう。
 冊子のストーリーをもういちどじっくり読んで、「RAIL CRAFTER」が現在居るかもしれない駅ではなく、単純に「目撃された駅」すなわち百草園に向かえば良かったのだとようやく納得しましたが、すでに時刻は13時半を過ぎており、マダムのおにぎり効果もそろそろ切れたので、駅ビルの中華定食屋で昼食をとりました。本当は京王編を終えてからにしたかったのですが、この分だといつになるかわからないし、柴崎や多磨霊園のように駅前に飲食店がろくに無いような駅になる可能性もあります。大駅である高幡不動で済ませるのが妥当でした。
 ひと駅戻って百草園に行くと、無事ステッカーを見つけました。こんどのは駅からの案内という体裁で、「RAIL CRAFTER」の運行計画が記されています。府中から高尾まで運行する予定で、そのうち当駅(百草園)に関連するのは1月21日(中河原~百草園)と22日(百草園~南平)だというのでした。なるほどひと晩に3駅ずつ進んでいるようです。なおこの探索は「1月22日」の出来事ということになっていました。例のツツジッターは、21日の深夜に、その晩の役目を終えて百草園駅に停車していた「RAIL CRAFTER」を目撃したということでしょう。
 ふた駅めで激しく火花を散らす、という「RAIL CRAFTER」。どうやら「光の花」はその火花のことであった様子です。橋本がそれを撮るためには、ふた駅めに相当する駅で待機しなければなりません。
 すると、やはりその日の晩、高幡不動ということになるのではないかと思われました。しかし、実はさきほど高幡不動駅に滞在しているあいだに、もしかしてゴール駅がこちらなのではないかと考え、最後の駅を割り出す「謎8」の下車後の行動も試してみていたのでした。しかしどうも、見つかるはずのステッカーが影も形もありません。

 しかし、そのときはわりとあっさりした探索だったので、私らはもういちど高幡不動で下車して、「切符を買う場所の背後」にあるはずのステッカーを探してみました。自動券売機のところだけでなく、定期券売場の背後も見てみましたが、まったく見当たりません。そもそもそういうものがあるのなら、少なくとも何人かのプレイヤーがたまっているはずです。
 あいかわらず、高幡不動で下りてくるプレイヤーもあとを絶ちません。しかし、みんなステッカーが見つからなくて、首を傾げながらどこかへ行ってしまいます。
 マダムが眠気を覚えたというので、構内のコーヒーショップでカフェインを摂取しながら考えました。

 ひとつ見逃していた情報がありました。菊川のメモにあったことで、「光の花」は雨が降っている時には見られない、というものです。
 いや、実は見逃していたわけではありません。ツツジッターのホーム画面に、100%当たるという天気予報サイトの広告がありました。私はすでになにげなく、その広告にタッチしていたのです。ストーリー上の「今日」、22日から一週間の天気予報が、8時間ごとに区切られて一覧表になっていました。なおこのサイト、翌週の天気も閲覧できます。
 それによると22日の夜間(16~24時)は晴れになっていたので、そのこともゴール駅を高幡不動と判断した理由でした。しかしよく考えてみると、「RAIL CRAFTER」が動くのは終電後です。京王は24時以後にも運転している鉄道ですので、見るべきは夜間の天気ではなく、次の日の0~8時だったのです。
 23日の0~8時は、雨になっていました。つまり、この夜の高幡不動駅では、「光の花」は見られないことになります。
 では見られるのはいつか。冊子にはご丁寧に、駅名と日付を記した白表が添えられており、「RAIL CRAFTER」が何日の終電後にどこに居るかチェックできるようになっていました。22日の終電後には南平まで行き、23日は長沼まで、24日は京王片倉まで、25日はめじろ台まで、そして26日に高尾に到達して作業を終えます。そのうち、「翌日」の0~8時が晴れになるのは、25日しか無いのでした。あとはすべて雨か雪です。
 つまり京王片倉からめじろ台までの作業をおこなう、25日の終電後の工程、そのふた駅めにあたるのは、山田駅です。

 驚きました。まさかこのシリーズで、高尾線まで入ることになるとは。
 いままででいちばん奥まで行ったのは聖蹟桜ヶ丘でした。調布あたりまでしか入らず、せっかく買った一日券の元が取れないということもありました。それから考えると驚くべき深入りで、私がゴール駅を高幡不動と間違えたのも、ひとつにはまさか高尾線にまでは入らないだろうという先入観があったからでもあります。今回は井の頭線も使い、相模原線も使い、そして高尾線と、京王の主要路線には残らず乗り入れたわけで、移動範囲がいつもに較べて非常に広かったと言えます。
 高尾山口行きの特急に乗り、山田へ向かいました。現在、特急は高尾線内は各駅停車となります。数少ない急行はめじろ台にしか停まらないので、高尾線内では急行と特急の地位が逆転しています。
 丘陵に差しかかった小さな駅で、「切符を買う場所の背後」には確かにステッカーがありました。クリアキーワード「朱い光の花」です。
 これをwebに送信すると、京王編のエピローグがはじまります。25日の深夜に出直した「K」と橋本は、無事に「RAIL CRAFTER」を待ち受け、火花の写真を撮ることに成功したのでした。これにて、ひとまず一件落着です。
 都営編をはじめるためには、新宿まで戻らなければなりません。次に来た上り電車は各停でしたが、北野で特急に乗り換えました。新宿まで約45分。マダムも私もいささかくたびれて、うとうとしていたようです。新宿着はほぼ17時で、これから都営編に取り掛かって、終わるのはいつになるのだろうかと、やや不安になりました。京王編では、2回間違えたり、昼食やコーヒーブレイクをはさんだりしたにせよ、新宿を出てからゴールの山田に辿り着くまで、約6時間を要しました。都営編でも6時間かかると、23時になってしまいます。まあ、駅を間違えなければそんなにはかからないと思いますが……
 ところが、「氷点下2℃の幻影」は、都営編でもびっくりするほどの移動範囲が用意されていたのでした。

 この項、続きます。

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