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「ロケハントレイン!」リプレイ [趣味]

 先週の水曜日(4月24日)、小田急電鉄の謎解きイベント「特急! ロケハントレイン! アシスタントと奇妙な手紙」をプレイしてきました。
 最近、この種のイベントへのアンテナがいささか鈍くなっていたようで、この謎解きイベントのことを知ったのはプレイ日のほんの2週間ほど前のことでした。去年の夏ごろから、毎週のように実家に通っていることは前にも書きましたが、その帰り、世田谷代田駅のプラットフォームに貼られていたポスターを発見して、はじめて認識したのでした。このイベントが1月26日からはじめられていたこと、4月28日には終わってしまうことをそこで知り、遅ればせながらプレイすることにしたのでした。それでもいろいろと忙しくてなかなか暇がとれず、イベント終了直前と言って良い24日になって、ようやくできたというわけです。
 昨日(28日)に終了したので、ほんの5日前のリプレイを書けることになりました。まだ記憶に新しいうちにリプレイできるのはありがたいですね。ただこの謎解き、ヒントページで答えまで見ることができましたので、解法の詳細までは記す必要もないかと思います。謎解きの解説は適当に流しつつ、当日の行動を振り返ってみることにいたします。

 10時ごろに新宿に着き、小田急1日全線フリー乗車券を購入しました。西武京王の同種のフリーパスの倍額なのは、さすがに小田急の規模の大きさの反映でしょう。前にプレイした「小田急サスペンス劇場」では、小田原までまるまる利用して、小田急を満喫できました。今回はどこまで使うことになるでしょうか。2000円という値段の元が取れると良いのですが。
 新宿でもひとつ謎があったのですが、実はそこだけは約1週間前、イベントの冊子を入手したときに済ませてありました。「物語の始まり」という項目です。西口地下改札の外にある「ODAKYU MARCHE SHINJUKU」の看板を見て答えよ、というので、冊子に記された空欄と記号により、この看板に記された文字列から言葉をピックアップする問題でした。答えは「まくあけ」で、それをイベントサイトに送信するとストーリーが動きはじめます。
 ここに限らず、かなり頻繁にスマホでキーワードを送信する必要のあるイベントでした。また、カギになるのは既設の看板やパブリックアートで、かのタカラッシュ!イベントのような特設手がかりステッカーのようなものは使われていません。実のところそういうタイプのほうが私は好きだったりします。

 さて、そのストーリーはというと、プレイヤーは映画監督「小田」のアシスタントとなった元気そうな女の子の役になります。小田は天才的な監督と言われつつ、ひらめきが下りて来ないとさっぱり仕事のできないたちで、今回もクランクインが3日後に迫っているのに脚本が全然書けていないのでした。アシスタントであるプレイヤーは、小田のために映画の発想の源となるロケ地テーマキーアイテムを探す……ということになっています。
 小田の考えているのは、3章仕立ての探偵ものだそうで、アシスタントは各章ごとに、ある駅に移動し、そこでテーマを探し、そのテーマを活かすためのロケ地を見つけなければなりません。それで「ロケハントレイン!」というわけでした。
 最初に移動する駅については、プレイ前にあらかじめ割り出すことができます。比較的簡単なパズルで、第一章は参宮橋、第二章は下北沢、第三章は登戸と判明します。実はそのあとの「キーアイテム探し」で訪れるべき駅も事前割り出し可能で、第一章は町田、第二章は相模大野、第三章は本厚木であることがわかっています。少なくとも6駅に立ち寄る必要があるわけですが、実際に始めてみると、なかなかそれどころではないのでした。
 アシスタントは、新宿で駅員から渡された謎のノートに従って探索を進めることになります。このノートの内容が、大体冊子に書かれていることであるようで、最初に行くべきところが参宮橋であるのも、ノートに書かれた謎を解いた結果わかったという体裁になっています。
 とにかく各停電車に乗ってわずか3分、参宮橋へ。駅に着いてからの行動は全部記されています。西口改札を出て、右側にある案内板を見よとのこと。案内板はよくある、格子状のマス目がかかった地図の形でした。そのマス目と同じものが冊子に印刷されていて、そこに1から3までの番号を振った長方形が描かれています。案内板にはそれに対応する長方形は無いのですが、描かれた道路に着目し、その長方形に相当するところを見てみると、カタカナのような形になっていることがわかりました。1は「カ」、2は「イ」、3は「ヌ」のように見えます。「答え」は「1223」と薄く描かれたマス目に記入することになっているので、「カイイヌ」でしょう。それを小田監督に伝えるという体裁で送信すると、なるほど話が動きます。
 小田監督はアシスタントからの報告を受け取って、何やらひらめいた模様。そのまま、ロケ地を探すよう要求してきます。
 「小田原線の『06』の場所を目指してくれ!」
 と言われるのでした。
 これは考えるまでもなく駅ナンバーでしょう。06の駅ナンバーを持つのは東北沢です。で、実際に東北沢駅へ行って謎を解かなければならないようです。
 冊子をよく見ると、章ごとの「ロケ地探し」の項目に、それぞれ駅名を記入する欄が設けられています。そしてそこへは実際に行かなければならないのでした。つまり立ち寄る駅は、一挙に最少でも9個へとふくらんだわけです。「小田急サスペンス劇場」では7駅で済んだので、今回は思った以上に忙しいプレイになりそうです。

 東北沢は、地下駅になってからはじめて下りたかもしれません。その地下駅になった年の数字、そして駅が開業した年の数字を、改札口外の看板を見て調べるのが、ここでのミッションでした。
 冊子には、「スタート」からはじまって「ゴール」につながる双六のようなものが附記されています。各コマには簡単なイラストが添えられており、「1.自転車」「2.シャボン玉」「3.こけし」という調子で「52.のこぎり」まで進み、その先がゴールです。この双六は何度か利用することになりますが、東北沢での謎解きがその最初となります。
 地下駅となって新しい駅舎ができたのは2016年、この「2016」が「写真」と読み替えられるとき、駅の開業した「1927」は何になるか? というのが問題です。これを、双六を使って解くわけです。
 しばらく考えましたが、2がシャボン玉、そこから0個進むのでまた2、そこから1個進むと3のこけし、さらに6個進んで9の階段……であり、シャボン玉の1文字めと2文字め、こけしの3文字め、階段の4文字めを読むと「しゃしん」となることに気がつきました。「1927」で同様にしてみると、「1.てんしゃ」「10.はこ」「12.もみ」「19.でんし」となり、「じんじゃ」が答えであるようです。
 これを小田監督に伝えると、どんどんインスピレーションが湧きだしてきたようでした。そして第二章以降もよろしく、と頼まれるのでした。

 第二章の出発点は下北沢です。1駅だけ乗って、個人的にもよく乗り降りする下北沢へ移動します。
 南西口改札を出たところの広場の案内板を見るようにノートの指示がありました。そのあたり一帯の施設の配置を示す案内板で、建物を表す妙な図形にアルファベットが振られています。
 その図形の解読が第一段階で、冊子に書かれた図形の順にアルファベットを読むと「CAFE」となりました。そして、その「CAFE」を左端に置いた説明の行を探してみると、

 ──cafe | lounge | cinema | studio

 というのが見つかりました。lounge以後の文字数を表す丸印のいくつかに数字が振られており、その数字にあたる文字を順に読むと「tomodacni」となります。これでは意味を成しませんが、記入欄をよく見ると、「n」が入るところの左上に、短いタテ棒が添えられています。nの左上にタテ棒を加えれば、「h」です。「tomodachi」となって、無事「ともだち」という答えが導かれました。
 また監督に伝えます。監督のテンションはさらに上がり、ストーリーが湧き上がってきた様子です。そして「コルティ」という駅前施設がある駅に行ってみるよう指示されるのでした。
 これだけでは途方に暮れるところでしたが、冊子の同じページに、「観光情報」として「経堂コルティ」を案内したメモが貼りつけられている(という体裁で印刷されている)のでした。ロケ地は経堂です。

 経堂もよく知っている駅です。駅前ビルのコルティは、横に4階まで続く大階段があり、この大階段がネタでした。
 2階の踊り場に、ゾウとクマとシカの足跡が描かれています。

 ──スタートからゾウの足あとの数分進み、さらにクマの足あとの数分進み、さらにシカの足あとの数分進んで止まろう

 という少々わかりづらい指示がありました。ゾウの足跡は11、クマは14、シカは18です。冊子の双六で該当する番号を見ると、11が「上」、14が「左」、18が「ジャム」であまり意味を成しません。それぞれの数字ではなく、加算してゆくのかと考えてみると、11+14で25は「雪だるま」、25+18で43は「親子」でした。
 次のミッションを見ると、3階の踊り場に上がって、

 ──「止まったマス」でいる動物を6種類見つけマスに埋めよう

 とあり、スケルトンパズルのようなマス目が描かれています。
 ともあれ3階に昇ってみると、いろんな動物の絵が床に描かれています。10種類かそれ以上居たようですが、そこから6種類見つける必要があるわけです。
 見ると、親子で描かれている動物が6種類居ました。途中の「上」とか「雪だるま」とかは関係なく、最終的に到達した「親子」だけわかればよかったのでした。
 親子になっていたのはゾウ、シカ、ウシ、カンガルー、ライオン、キリンで、それらをスケルトンにあてはめて数字のあったマスを読むと、「イカ」と出てきました。双六のマスを組み合わせてイカを作ったときに、赤い矢印が指しているものが最終的な答えだそうです。
 双六の27に「ゲソ」があり、ページを斜めに折ってさきほどの「左」のイラスト(左向きの矢印)とくっつけるとイカの絵になりました。すると、「上」のイラストにあった赤い矢印が、「34.けいだい」を指しました。神社などの境内のことらしく、第一章と関連ができました。
 小田監督に連絡して伝えると、さらに大喜びで、第三章もよろしくと頼まれます。

 急行電車に乗って登戸へ。この駅で下りたことはほとんどありません。北口改札を出るようノートに指示がありました。この北口改札、出口専用なのだそうで、戻ってきたときには使えないようです。
 デッキから地上に下りて、指示どおりに歩くと、多摩川べりに出ました。この日は朝から雨模様だったのですが、ここで本格的に降ってきていささか難儀します。多摩川の土手を歩いて、水門のところまで行かなければなりません。
 もっとも、遠くに見えていた水門ではなく、もっと小規模なのが手前にありました。そこにあった「登戸の渡し」の石碑がネタでした。石碑の模式図が冊子に描いてあります。文字は四角や丸で表されています。「登」に相当する四角に「A」、「戸」に相当する四角に「B」、「渡」の左半分に「C」と書かれていました。Cはサンズイなのでしょう。

  [涙の絵]ーCーB=③③(②〇)
  [木の絵]+A=あ①+②

 というふたつの等式が示されており、これを解くと「①②③②」という第三章のテーマが割り出せることになっています。
 「涙」からサンズイと「戸」を除くと「大」が残ります。これはダイと音読みするのではなく、「おおきい」と読むのでしょう。カッコの中は送り仮名であることを示していると思われます。つまり、②は「き」、③は「お」です。
 「木」と「登」を合わせると「橙(だいだい)」です。今度の右辺は、文字の形ではなく、ダイダイ色を作るための色の混ぜ方でしょう。「+②」のところで見当がつきます。つまり「あか(赤)+き(黄)」であって、①は「か」と判明しました。
 これを「①②③②」にあてはめると「かきおき」となります。
 監督に伝えると、また妙なテンションになり、唐突に「とりあつかいせつめいしょ」というラーメン屋の話をして電話を切るのでした。
 なんのことやら、と一瞬思いますが、これも冊子の同じページに「観光情報」のメモがありました。「取扱説明書」ではなく、「鶏扱説明書」だそうで、新百合ヶ丘にある「RAMEN FACTORY TORISETSU」という店の命名のもとになっているとか。第三章のロケ地は、新百合ヶ丘です。

 快速急行に乗って新百合ヶ丘まで行き、改札を出て外に出ると、楽譜のレリーフが飾られた階段があります。この楽譜が次のネタでした。
 適当に音符を並べたのか、何かの曲の一部なのかはわかりませんが、

  ──ラーシドーシド|レファファ

 という楽譜になっています。冊子のほうにも五線が書かれていたので、この音符を書き写します。
 冊子の五線の横のところに、番号がついています。中央のドにあたるのが①、レにあたる場所が②……という具合に⑪まで振られています。これによって音符を数字に変換し、またそれによって双六のコマを進めます。
 数字に変換すると「6・7・8・7・8・9・4・4」になりますので、双六のスタートから、6、6+7=13、13+8=21、という風に動いてゆき、それぞれの頭文字をつなげると、「えいしゃきにこ」となり、最後の「4」でゴールに到達しました。
 第二段階として、この「えいしゃきにこ」を同時に作り、もう1回解こう、と指示されます。冊子のあちこちに細かいイラストが散らされていて、その中に「映写機」の一部のようなものもありました。前のページを折ってみると、そのイラストとつながるようなものもあって、映写機2個が同時に完成します。
 すると、前のページとつながることによって、冊子の五線に添えられた数字が変わりました。それによって再度音符を変換してみると、「3・2・1・2・1・5・4・4」となり、同じように双六で解読してみると「こたえはかいもの」となりました。「かいもの」がここの答えです。
 小田監督に伝えると、三つの章の概略ができてしまったようで、台本の要旨が送られてきます。それぞれの台本のほか、監督が描いたらしい謎めいたイラストも添えられていました。第一章のイラストは絵馬、第二章のイラストは招き猫の後ろ姿、第三章のイラストは一見レシートのような数字・文字対照表です。
 監督の意図としては、三つの章の盗難事件はすべて同一の怪盗の仕業ということにして探偵と対立させるということになります。ただ、三つの章の場所と怪盗が盗んだものとのあいだに、なんらかの法則性を持たせたいとのこと。その法則性に気づいた探偵が怪盗を追い詰めるというストーリーにしたいというのでした。
 そのために、怪盗が盗んだキーアイテムを考えて貰いたい、とアシスタントに無茶振りがなされます。

 第一章のキーアイテム探しは、町田でおこなわれます。町田の小田急百貨店の屋上にある小さな神社が題材でしたが、雨降りなのでまたしても難儀しました。
 神社の名は「小田急豊川稲荷」です。この文字列と、冊子に描かれた奉納額のまわりにある文字を見較べて、同じものがあれば消してゆくという、神経衰弱式のパズルなのでした。ただし、「小」「田」「川」のように一字で1ブロックになっている文字もありますけれども、たいていは部首ごとのブロックになっています。3部分に分かれている文字もあります。
 最初のうち少々コツがつかみづらかったのですが、どんどん消えて、最終的には「小」「田」「豆」それに「草カンムリ」が残りました。これらを組み合わせて「小豆」と「苗」という漢字が作られ、その読みかたがカギとなります。「あずき」と「なえ」ですが、それぞれのカナを、マンガのフキダシのようなものが囲っています。フキダシの矢印の向きが、五十音表におけるカナの位置を示しており、最終的には「おはじき」という言葉が導かれました。
 幸い、キーアイテム探しのほうは、章の中で別の駅に移動する必要は無く、すぐに第二章のキーアイテム探しの舞台である相模大野に行きます。

 相模大野では、北口のコリドー街で探索をすることになります。短い商店街なのですが、道端にさまざまな楽器を演奏する人間のシルエットが描かれた看板が林立しています。
 演奏者のシルエットに加えて、さまざまな花や葉などの植物の一部が背景に描かれています。それで、「マリンバ奏者」「トロンボーン奏者」「ヴァイオリニスト」「指揮者」と共に描かれている植物を確認するのが第一段階です。
 それぞれの看板はすぐに見つけられました。マリンバ奏者はイチョウの葉、トロンボーン奏者はひまわりの花、ヴァイオリニストは四葉のクローバー、そして指揮者は桜の花びらと共に描かれていました。
 さて、冊子には扉付き迷路が記されています。盤面が扉付きのマス目に区切られており、扉のあいているところしか通れないという型の迷路です。いくつかのマス目には、上に書いたイチョウ、ひまわり、クローバー、桜を含む植物の絵が描かれています。ほかにはチューリップの花とか、ドングリの実とか、カエデの葉などがありました。
 で、看板にあった4つの植物の絵のマスは通れないという仕掛けです。その上で、スタートからゴールまで、それ以外のすべてのマスを通過するルートを見つけ、そのルートの順番に、扉のところどころにあるカタカナを拾って読むというのが第二段階です。
 この種の迷路は私は比較的得意で、ナンバーリンクという以前よくやっていたパズルに似た解き味を感じます。ほとんど時間をかけずに解くことができました。

 ──ヨニンノショクブツノマシタ

 という文字が拾えました。それで、イチョウの下、ひまわりの下、クローバーの下、桜の下にある文字を順に拾います。この絵のマスは通れないのですから、当然それらの文字もこれまでには拾っていません。
 「ハンカチ」となりました。これが第二章のキーアイテムです。

 次に本厚木です。これは駅前にある時計台が題材になります。この時計台、ヨコ5列、タテ15列の正方形に区切られたようなオブジェが台座になっています。上のほうと下のほうは鏡になっており、まんなかあたりは素通しのガラスになっているのですが、この鏡になっている正方形の位置がカギでした。
 ここに、冊子に用意された10個ほどの単語を対応させます。オブジェの模式図は冊子にも描かれているので、そのマス目に文字を書きこんでゆくことになります。いくつか、ヒントになる言葉なども示されているので、そう難しくもありません。
 ところで、すでに13時半を過ぎています。3時間半で9駅に立ち寄りここまで来たのだから、まあ良いペースと言えそうですが、そろそろ空腹を覚えました。本厚木で解くべき謎はもう少しありそうでもあるので、駅ビルの上の食堂街で昼食をとりながら考えることにしました。
 時計台のオブジェの謎からは、「カタログ」という答えが得られました。これで3つの章すべてのキーアイテムが出揃ったことになります。怪盗は「おはじき」「ハンカチ」「カタログ」を盗むことになるわけです(しょぼ!)。
 小田監督は大喜びで台本を書きますが、クライマックスシーンの場所とキーアイテムを思いつかないというので、これもアシスタントに丸投げされます。場所とキーアイテムの法則性を、彼女はすでに作っているのだから、というのでした。
 しかし、アシスタントは自分が作ったはずの法則性に気がついていません。これを考えて、最後のキーアイテムと最後のロケ地を割り出すのが、本厚木で解くべきミッションでした。

 キーアイテムのほうは、「おはじき」「ハンカチ」「カタログ」を用いたスケルトンによってすぐに割り出せます。「たんちき」でした。この探偵、やたらと「なんでも探知機」という万能アイテムを持ち出すことになっていたのですが、怪盗が最後に狙ったのはその「探知機」というわけです。
 しかし、その「たんちき」に法則をあてはめてロケ地を選定するほうは簡単ではありませんでした。
 整理すれば、「おはじき」→東北沢、「ハンカチ」→経堂、「カタログ」→新百合ヶ丘 のとき、「たんちき」→? という問題になります。
 ここでヒントになるのは、監督が送ってきた謎のイラストです。第一章の絵馬には「キーアイテム 〇△□※」(4つめのマークは本当は五角形なのですが、表示できないので※で代用します)と書かれており、第二章の招き猫の後頭部には円の中に「OH 目的地」と書かれたもの、また背には「〇×△+□ー※」と書き込まれています。そして第三章の数字・文字対照表。
 まず数字・文字対照表を見ると、

  0123456789
  オキハチカンタジログ

 となっていて、文字のほうに「おはじき」「ハンカチ」「カタログ」がすべて含まれています。そうなると当然、そこからスケルトンで導かれた「たんちき」も数字に変換できることになります。
 それぞれ変換すると、「おはじき」が0271、「ハンカチ」が2543、「カタログ」が4689、「たんちき」が6531です。
 キーアイテムがすべて4文字であることもひとつの法則性でしょう。
 そして、招き猫の背に書かれた式にあてはめると、「おはじき」は0×2+7-1=6。「ハンカチ」は2×5+4-3=11。「カタログ」は4×6+8-9=23。東北沢の駅ナンバーはOH06、経堂はOH11、新百合ヶ丘はOH23です。アシスタント嬢は知らずにこんな法則性を作っていたのでした。
 「たんちき」は6×5+3-1となるので、答えは32。OH32の駅ナンバーを持つ駅は、海老名です。

 最終章は海老名ということになりましたが、海老名のどこを舞台にするのか、それからラストシーンで明かされる怪盗の正体を考えるよう監督から頼まれたアシスタント。そんないちばん大事なところまで丸投げしてくる監督にいささか不信の念を抱きつつ、アシスタント、つまりプレイヤーは海老名へ向かいます。本厚木でUターンということになるのはちょっと意外でした。
 ノートに従い、海老名駅では西口に出て動く歩道に乗り、ViNA GARDENS PERCHという建物に入ります。それで6階まで上がってテラスに出ろ、ということなのですが、6階は医療フロアで、いろんなクリニックが軒を並べているので、なんだか場違いな気がして落ち着きません。また、テラスには出られましたが、相変わらず雨が強く降っており、屋根もろくろく無いので、たちまち濡れてしまいます。
 ともあれ、テラスに出ると、向かい側の、たぶんViNA GARDENS TERRACEという建物の外観が見えます。この建物、10階まであるのですが、ビルの中央附近に4つの窓が並んでおり、その窓の外に細いポールがたくさん立って目隠しのようになっています。ただ、各階とも一箇所だけそのポールが欠けているところがあり、しかも階によってどこが欠けているかはランダムです。この窓がカギとなります。
 これまでに出てきた4文字のキーワードをすべて4つの窓を模した空欄に書き込み、そのうちポールの欠けた窓のところだけを読む、という謎です。キーワードは、キーアイテムの「おはじき」「ハンカチ」「カタログ」以外にも、「まくあけ」「かいいぬ」「じんじゃ」「ともだち」「けいだい」「かきおき」「かいもの」とあって、何階の窓に書き込むかは、それぞれのキーワードについていたスペードマークや歯車マークなどのマークで示されます。
 それによって導かれた言葉は「ろけちはあかのだいや」……「ロケ地は赤のダイヤ」というものでした。これは次の「作品のオチを考える」という項目に載せられている海老名駅周辺の地図に関係します。地図には青い丸と三角形、赤い四角形とひし形といったマークが附記されていますが、その赤いひし形マークのところが最終ロケ地だということです。
 こんどは東口のほうへ行きます。ビナウォークというデッキが続いていますが、その突端のほうへ行くと、ひし形マークのところに何があるか判明します。なんと、周りの近代的ビル群にそぐわないような、五重の塔ならぬ七重の塔が建っているのでした。これが最終ロケ地、対決の場だというわけです。
 そしてオチについては、

 ──手元でその建物を作り、片目で真下から見上げろ

 という指示がありました。
 冊子の隅っこに、確かに塔の絵が半分ずつ印刷されています。それを合わせて、見上げるようにすると、いささかわかりづらかったものの、「自分自身」という文字が見て取れました。怪盗の正体は探偵自身であったというオチであったわけですね。
 「ロケハントレイン!」の本編はこれで終わりとなります。アシスタント嬢の集めたロケ地やキーワードを採り入れた小田監督の台本は、未来の探偵が現在の探偵の成長を促すために、怪盗の姿を借りて事件を演出した……というストーリーになっていたのでした。めでたしめでたしです。

 しかし、実はこれで終わりではありません。このイベントには「スペシャルエピソード」が用意されていました。冊子を貰ったときに、なんの気なしに隣にあったA4判の紙を持ってきてしまったのですが、それがスペシャルエピソードのリーフレットなのでした。web上でも続くようになっています。
 時刻は15時過ぎ。実はスペシャルエピソードの最初の目的地は大和であることを私はすでに知っていました。本編では結局10の駅を訪ねたわけですが、スペシャルのほうはたぶん4つくらいです。そちらを解いてから帰ってもそう遅くはならなさそうです。
 海老名から大和への移動は、小田急でも良かったのですが、相鉄に乗れば乗り換えなしで直行できます。時間も節約できるはずです。フリーパスの範囲を外れてしまうので別運賃がかかりますが、大した距離でもないので、相鉄ののりばへ行ってみました。ちょうど特急電車が発車するところです。
 埼京線の車輛で「特急」というのは違和感がありまくりですが、ともあれ大和までノンストップ、6分ほどで移動できました。
 スペシャルエピソードは、ロケハンからしばらくあと、アシスタント嬢が次の仕事に向かう前に、ゆきずりの女性に頼まれて、彼女のモノ探しにつき合うという設定でした。
 行くべき場所については、こんどはweb上でのみ明かされ、リーフレットには記されていません。謎を解く必要もなく、女性のセリフとして示されます。
 大和のあと、湘南台藤沢、そして片瀬江ノ島が探索地でした。大和では周辺地図の看板とショッピングモールのロゴがネタになっており、湘南台では構内のパブリックアート、藤沢では構内の地図と近くのビルが題材です。それぞれの謎についての詳細は省略しますが、難易度は本編より上がっているような気がしました。私がくたびれてきてボケただけかもしれませんが、ひと駅ごとの滞在時間が明らかに長くなっています。
 片瀬江ノ島駅では、駅構内の水槽に居る動物(クラゲ)を確認しなければならないことになっていましたが、目下、水槽の清掃のためクラゲが居なくなっていました。「動物が居なかったとき」のリンクがあったから助かりましたが。また、駅舎を見ながら折り紙しなければならない段階があったのですけれども、雨が降っていることもあって私はあわてて駅の中に戻ってしまい、駅舎を確認できない状態になってしまいました。残念ながらここではヒントを見ざるを得ませんでした。片瀬江ノ島駅の駅舎が竜宮城みたいだというのは有名なのですが、折り紙をするにあたってはもう少しディテールが必要だったのです。
 あと、駅構内で新田恵さんと遭遇したことを附記しておきます。お互い、こんなところで出遇うとはまったく思っていなかったので、大いに驚きました。彼女は片瀬江ノ島駅に近い新江ノ島水族館で、ヴォイストレーナーをしているというのでした。定期イベントで歌を歌ったりすることがあるのでしょう。

 片瀬江ノ島まで女性の探し物につき合ったアシスタント嬢は、お礼に女性の家に招かれます。その家というのが、リーフレットを折り紙して作った「竜宮城」で、つまり女性は乙姫さま、思い出の人の「太郎さん」は浦島太郎だったというぶっ飛んだオチとなりました。
 乙姫は、つき合ってくれたお礼に、アシスタント嬢に「一度だけ過去に干渉する力」を授けます。
 それで、アシスタント嬢は、先日のロケハンのときの自分を導くべく、ノートを作成したのでした。つまり謎のノートは、未来の自分からのメッセージだったのでした。それはまた、小田監督の映画の探偵と重なるという、ちょっとこじゃれたオチでもあったわけです。
 なお、最後に「おまけ謎」がついていました。これは、間違いないだろうと思う答えを入力したのに、不正解と返されて憮然としてしまいましたが、後日確認してみると、答えの前に余計な半角スペースがはさまっていたからだとわかり、拍子抜けしたのでした。

 せっかく片瀬江ノ島なんてところまで来たので、特急ロマンスカー「えのしま」に乗って帰ることにしました。ちょうど、17時46分発という便があったのです。「えのしま」は平日では、下りは朝のみ、上りは夕方以降のみの運転となってしまいましたが、うまくつかまえられました。
 藤沢・大和・相模大野・新百合ヶ丘に途中停車しましたが、どの駅でもけっこう乗降があったのには驚きました。藤沢や大和で乗ってくる客が居るのはまあわかりますが、相模大野で下りる人が多かったのは意表外で、江ノ島線内だけという短距離での利用客がこんなに居るとは、と思いました。また新百合ヶ丘で乗車してくる人も少なくありませんでした。
 新宿到着18時48分。14駅に立ち寄り、8時間半ほどをかけての帰還です。立ち寄るべき駅が多すぎて、いささかあわただしいイベントでしたが、一日愉しめました。雨が降っていなかったらと思います。

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