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首都圏私鉄への提言 [趣味]

 今日、京成千葉線に乗る機会があったのですが、何度乗っても、京成電鉄がこの線区をローカル線のままにしておく料簡がわかりません。すべての電車が鈍行であり、ときに本線新京成線と直通する電車はあるにせよ、ほとんどが京成津田沼ちはら台のあいだを行ったり来たりしています。
 もちろん京成電鉄の側にも言い分はあるでしょうが、上野から千葉という、条件の良い区間にレールを持っているのに、それを活かしていないのがどうにもじれったくてなりません。
 スカイアクセス線が完成し、成田空港への旅客運輸をそちらにゆだねられるようになったとき、本線のほうには余裕ができるはずだから、何かいままでやらなかったことをしてくれるのではないかとワクワクしたものでした。具体的に言えば、それが千葉線の再開発でした。
 上野から、京成千葉線の終点である千葉中央までは42.6キロあります。これは大阪~京都間よりわずかに短いくらいで、阪急京阪も頑張って走っています。所用時間的にはJRの新快速にはかなわないながら、さまざまな方法でお客を増やそうとしのぎをけずっています。たとえば阪急も京阪も、特別料金無しで乗れる豪華車両を投入しました。以前もクロスシート車輌や二階建て車輌を走らせていましたが、最近投入されたものは、よそものが見ると、本当にこの車輌に運賃だけで乗っても良いのか気後れしてしまうほどのハイグレードな座席になっています。
 似た距離である上野~千葉間で、京成がJRとの競争を投げてしまっているようにしか見えないのは、まことに嘆かわしいものがあります。東京と、人口百万に及ぼうとしている大都市千葉との輸送需要が少ないはずはありません。
 前にも書いたことがありますが、スカイアクセス線で160キロ運転をさせるためのスカイライナーを投入したわけなので、旧型車はだいぶ余ったはずです。それを千葉へのライナーとして活用すれば良かったと思います。千葉線はローカル線扱いとはいえ、それぞれの駅には6輌編成の電車が停まれるだけの長さのプラットフォームが設置されています。ライナーなら問題ありません。
 停車駅は上野・日暮里・青砥・船橋・京成津田沼・幕張本郷・千葉・千葉中央といったところで、JRの快速のグリーン車よりも少し安くなるくらいに料金を設定します。千葉線内は本線よりもややレールが貧弱だし線形も良くないので、スピードは出ないかもしれませんが、しばらくはそれでも仕方がありません。この区間を確実に坐ってゆけるとなれば、利用者は必ず居るでしょう。山手線との接続が上野あるいは日暮里となれば、池袋あたりからの利用も見込めます。収益が上がってきたら、だんだんと線路や線形を改良してゆけば良いのです。
 そんな列車が走ることを期待したのでしたが、京成がやったのは、あいかわらず本線経由の成田空港行きライナーを走らせることだけでした。これまでのようにノンストップではなく、途中で停車して乗客を拾おうとしたようですが、あんまり利用者が無く、どんどん便数を減らされて、結局無くなってしまいました。現在ではイブニングライナー、モーニングライナーは走っていますが、日中の本線ライナーはありません。

 京成の名前どおり、この会社は成田への輸送を自己のアイデンティティにしているようですが、スカイアクセス線があるのに本線にもライナーを走らせるというのは無駄な話で、船橋とか八千代あたりから拾える空港利用客など限られていたでしょう。スカイアクセス線が完成した時点で、本線側は京葉間輸送に注力するべく、頭を切り換えるべきだったと思います。
 ライナーが難しければ、たとえば快速を直行させるのはどうでしょうか。快速は本線ではどうせ京成津田沼以遠は各駅停車になってしまうので、千葉線に乗り入れさせると共に、もう少し先まで快速運転させればいかがかと思います。本線のほうの代替としては、京成津田沼発着の普通電車を接続させれば充分でしょう。八千代市、佐倉市、成田市の利用者の全部を併せたよりも、おそらく千葉に直通させたときの利用者のほうが多くなるはずです。
 本格的に通過運転をするようになると、途中駅のどこかに待避線が欲しいですね。快速やライナーが、前を進む普通電車を追い抜けずにノロノロ走るのはいただけません。しかしどの駅も、すぐ近くまで住宅などが迫ってきていて、なかなかそんなスペースがとれそうなところが無いのがつらいところです。しかしまあ、そんなことはまたあとで考えれば良いことでもあります。
 いまからでも、千葉線にてこ入れしてみてはどうでしょうか。

 京成千葉線について考えているうちに、ほかの私鉄でもいろいろ思い浮かびます。
 東武であれば、これも何度も書きましたが、宇都宮線をなんとかすれば良いのに、と思います。
 新栃木から東武宇都宮までの線区ですが、全部単線で、雰囲気はローカル線そのものです。ここも、JRとの勝負を投げてしまっている気配があります。日光までなら圧勝しているのに、人口約52万人の県都宇都宮へのアクセスをなぜこれほど閑却しているのか、これまた理解に苦しみます。かろうじて電車を日光線の分岐駅である新栃木から、ひと駅乗り入れた栃木発着にしたくらいの改良しかしていません。栃木~宇都宮間は、これでもJRの両毛線東北線を乗り継ぐよりは速いのかもしれませんが、一歩を進めて、東京~宇都宮間でJRと張り合う気概は無いのかと言いたくなります。
 直通列車すら特急「しもつけ」が1往復走るだけで、これは特急というよりホームライナーみたいな列車です。
 東武宇都宮線に関しては、東武の有料急行が廃止され、その見返りというべきか、日光や鬼怒川へ向かう特急の停車駅がやたらと増えたころに、次のことを考えました。
 いまの特急の停車駅は、かつての快速並みと言って良く、従って快速を日光や鬼怒川へ向かわせる意味があまり無くなったと考えるべきです。以前は、特急は基本的にノンストップで、新栃木や新鹿沼に特別停車する列車がときどき走っていたくらいでした。途中の駅から日光や鬼怒川への客をこまめに拾う役を快速が担っていたわけです。しかしその役を特急がやりはじめた以上、快速はもうそちらへの運転は用済みみたいなものです。それで、快速は基本的に宇都宮に直通する運行形態にしたらどうかと思ったのでした。
 東武の日光線系快速は、関東地方の私鉄では、京急の快特と並んで、特別料金不要でクロスシートに乗れる数少ない電車でした。だいだい1時間に1本の割で走っていました。その程度ではJRの宇都宮線電車にかなわないかもしれませんが、JRのほうがじゃんじゃん車輌をロングシート化しているので、東武快速はちょっとお出かけ感があって良かったのではないかと思います。
 これを宇都宮線に乗り入れさせます。停車駅は、浅草・北千住(いまならとうきょうスカイツリー曳舟も?)・春日部・東武動物公園・板倉東洋大前・新大平下・栃木・新栃木・壬生・おもちゃのまち・江曽島・東武宇都宮といったところでしょうか。
 東武宇都宮は、JRの宇都宮駅からは1キロほど離れていますが、独自の繁華街を形成していますので、需要はあるはずです。実際、宇都宮線の利用者は、宇都宮近辺がいちばん多く、新栃木に近づくほど電車はすいてきます。これからすると、宇都宮周辺の利用客は、あまり東武の本線系との行き来が無いようでもありますが、それは不便だからだろうと思われます。1時間に1本でも、東京に直行できる列車があれば、また違ってくるのではないでしょうか。
 とにかく関東の鉄道会社は、インターシティ(都市間連絡)という感覚に乏しいのです。沿線人口が多すぎて、インターシティを意識しなくとも商売が成り立ってしまうからかもしれませんが、大都市の拠点駅をなるべく高速で結ぶという観点をもう少し持って貰いたいと思うことがしばしばあります。
 東武宇都宮線に乗って線路沿いを見ると、ほとんど全線にかけて、複線用の用地が確保されているのに気がつきます。複線化するつもりはあったのだと思われますが、まだ手が回っていないのでしょう。複線化し、おもちゃのまちあたりに待避線を設置すれば、もっと頻発&通過運転が可能になります。
 そんなことを考えていたのですが、結局快速も無くなってしまいました。快速に使っていたクロスシート車輌は、現在日光線の急行や区間急行に使用されていますが、1日4往復とかその程度で、申し訳程度の活用に過ぎません。日光線・鬼怒川線で快速の役割が無くなったから廃止されたのだと思いますけれども、これも京成のスカイライナー同様、ひとつだけの目的から発想を変えられなかった結果なのではないでしょうか。

 西武に関しては特に提案も無いのですが、新宿線快速急行拝島線拝島快速が短期間で廃止されてしまったのが残念でなりません。もちろん利用度が思わしくなかったから廃止ということになったのだろうとは思いますが、利用を促すための工夫を充分に積んでいたかといえば、まだまだできることがあったのではないかと言いたくなるのでした。
 たとえば快速急行は、1時間に1本程度の運行でしたが、これではあんまりレギュラーな利用客が見込めなかったのも無理はなかろうと思います。せめて30分に1本くらい走らせるべきでした。そうなると特急とのカネアイがまた微妙になってしまいます。私が思うに、新宿線の日中の特急というのはわりといつもガラガラで利用度が低いようなので、ホームライナー的に朝夕だけの運転にし、日中は快速急行メインで走らせれば良かったのではないでしょうか。近鉄奈良線がそのような運行になっています。
 拝島快速については、少なくともJRの青梅特快よりも速く新宿~拝島間を結ばないと存在意義が無かったかもしれません。その意味では快速急行同様、高田馬場田無間をノンストップで走らせたほうがインパクトが強かったでしょう。

 京王に関しては、できることはだいたいやっている印象があり、こうしたら良いのにと感じることはあまりありません。
 せいぜい京王ライナーの地下鉄乗り入れくらいでしょうか。現状ではいろいろな制約があって難しいとは思いますが、都営新宿線はもともと急行を走らせてもおり、通過運転についての拒絶感は無さそうです。山手線東側から乗れれば助かる人も多いでしょう。本八幡からとは言わず、船堀あたりから走らせ、岩本町・神保町・新宿三丁目あたりに停車させれば利用客が見込めそうです。

 小田急は、代々木上原登戸の複々線を最大限活用できるダイヤを追究して、もっと試行錯誤して貰いたい気がします。いまのダイヤもけっこう良くできているとは思うのですが、最適化されているかといえば、たぶんもっとうまい方法がありそうに思えます。部分的な複々線の時期が長く、それをどう使えばいちばん有効なダイヤが組めるか、小田急はずいぶんと模索したわけで、その探求心を失って貰いたくないというのが希望です。
 メトロロマンスカーを増やすのは賛成ですが、ただ地下鉄部分はけっこう長いわりに、追い越し設備のある駅が無いために先行電車を追い抜くことができずノロノロ運転になっているのが残念です。地下鉄の駅を拡幅するのが非常に面倒なことはわかりますが、小田急も出資して、待ち合わせができる駅をいくつか作って貰いたいものです。幅を拡げるのは難しくとも、上下二段式にしたりするのは可能かもしれません。
 「あさぎり」沼津発着が無くなったのは小田急というよりJR東海の判断であったかもしれませんが、やはり残念です。復活の目は無いのでしょうか。

 東急は現時点でもいろいろ企んでいるようで、その意味ではこちらから要望するというよりもお手並みを拝見していたい気分です。まずは神奈川東部方面線の開通でどう変わるかですね。これは相鉄とも関わります。
 神奈川東部方面線は、計画完了時には、東横線日吉相鉄本線西谷を結ぶことになります。途中、新横浜駅を通ります。
 相鉄の意向としては、ゆくゆくは海老名もしくは湘南台から、東部方面線、東急目黒線メトロ南北線を介して埼玉高速鉄道まで直行する電車を走らせたいようです。海老名発浦和美園行き、みたいなのが走るのでしょうか。埼玉高速が岩槻まで延びれば、かなり長距離の運行になります。東急のほうも、目黒線を日吉まで東横線に並行させたのは、東部方面線に直通させるもくろみがあってのことかと思われます。
 直通運転がはじまると、特急が走るかもしれません。停車駅は、大和いずみ野線ではいずみ野・二俣川・西谷・新横浜・日吉・武蔵小杉・大岡山といったところで、南北線内は通過運転は難しいかな。全駅ホームドア設置済みなので、駅でも速度を落とさずに通過できる仕様なのですが。埼玉高速側も、岩槻まで延びれば優等列車が走るのではないかと予想されています。副都心線Fライナーみたいのができれば良いですね。

 京急は関東の私鉄で唯一インターシティとして活躍していると言えますが、とにかく最近は快特の便数に対して優等車輌が足りず、かなり運が良くないとクロスシート車に乗れないというのが不満です。都営浅草線に直通する、いわゆるエアポート快特は何か別の名称をつけたほうが良いのではないでしょうか。京急の快特は、以前のように、特別料金無しでクロスシートに乗れるおトク感を保っていて貰いたいものです。東京・川崎・横浜・横須賀を結ぶインターシティに特化する意味で、京急蒲田に停まるのをやめても良いかもしれません。

 後半は提言というより、単なる願望になってしまいましたが、鉄道というのは、これで完成形ということがなかなか言い切れないシロモノであることにはつねづね感じています。あらたにできた線区が思わぬところまで影響したり、既存資源をつなげ直すだけでもまるで違う効果が生まれてきたり。
 JR系の鉄道は、何やら年々面白さが無くなっているような気もしないではありませんが、それゆえにこそ、私鉄は現状に満足することなく、ダイナミックに変化し続けて欲しいと思うのでした。

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