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雨煙の墓参行 [旅日記]

 コロナの新規感染者は増える一方ですし、都知事が里帰りの自粛要請をしたりして、この夏は旅行をしたりするのも若干肩身が狭い感じではありますが、10日ほど前にマダムが
 「今年はお墓参りしないの?」
 と言い出したときに、ほぼ思案もせずに宿をとってしまいました。私もしばらく遠出していないし、気分的にくさくさしていたようです。
 マダムと私と、双方の父方の祖父母の墓参りを連ねておこなう「夏の墓参行」は、2011年からはじめて今年で10年になります。2012年2019年にはやりませんでしたし、両方を連ねなかった年もありますが、いちおう高尾にある私の祖父母の墓、前橋にあるマダムの祖父母の墓に参るのがわが家の年間行事のようになっています。特に私たちが信心深いとかそういうわけでもなく、それを口実にして外出して来たいというのがいちばんの要因です。そもそも最初は、青春18きっぷの枠が残っていたのでそれを活用すべく、というのがはじまりでした。
 3回目から泊まりで行くようになり、ほぼ毎回、前橋駅前のコンフォートホテルに投宿しています。もはや定宿ですね。数年前に、その近くに温泉付きのドーミーインができたので、今年はそちらにしてみようかと思って調べてみたら、まだ償却が済んでいないのか、えらく高いようだったので、やはりコンフォートにしてしまいました。コンフォートホテルに泊まって、数軒先にある天然温泉ゆ~ゆで入浴するというのが鉄板パターンとなっています。

 さて、墓参りについては特に目新しいこともないのですが、今年は少し趣向を変えたところがあるので、そのあたりを主に書いておこうと思います。
 まず、今回は青春18きっぷをまったく使いませんでした。去年(2020年)などは2泊で出かけて、那須のほうへ足を延ばした関係で、1日目は青春18きっぷを使用しなかったのですが、その代わりにバスタ新宿から出る高速バスで前橋まで移動しました。これは、その前の年(2019年)、夏に墓参行をせず、秋に私が仕事で新潟へ行ったときにひっかけて高崎でマダムと待ち合わせて前橋のほうの墓参りだけした際に、帰りに使った手段でした。秋なので青春18きっぷの発売・有効期間ではなかったので、なるべく低価格で移動できる方法を考えたら、そうなったわけです。それで翌年である去年は、往路にそのバスを利用したのでした。
 新宿から前橋までの高速バスだと、湘南新宿ラインの特別快速などよりは時間がかかるし、定時性でも心許ないものがあるのですが、快適さと値段ではまさっています。青春18きっぷを使わない場合の新宿ー前橋のJR運賃はSUICA利用で1980円、高速バスだと1650円となります。
 それで、今回は往復とも高速バスを使うことにしたのでした。他に足を延ばす予定があるならばともかく、前橋までの往復だけでは、青春18きっぷは元が取れません。高尾に行くとしてもそれほどの旨味は無いのでした。
 さらに調べてみると、高速バスには回数券があります。4枚綴りなので、ふたりで往復するならちょうど良いわけです。回数券の値段は5940円。1650円を4倍すると6600円ですから、つまりは6600ー660,一割引きです。これは利用するしかありません。
 ただし、回数券を入手する方法はちょっと面倒で、バスタ新宿の窓口などで購入することができません。前橋行のバスの座席は、予約はできますが事前購入すら不可能で、去年などわざわざ一週間ほど前にバスタの窓口まで出かけて行ったのに買うことができませんでした。回数券も、日本中央バスの営業所まで行かないと入手できないのでした。
 その営業所はどこかというと、東京の営業所は浮間舟渡という変なところにあります。それも駅からは少し歩きます。
 日本中央バスのサイトには簡単な地図がついていたので、もう少し詳細な地図と照らし合わせ、場所を確定して、数日前に自転車で出かけてきました。自転車だとうちから30分ほどです。事務所はバスだまりこそ広いようでしたが、部屋はとても狭苦しく、私のほかには訪ねてきた客も居ないようでした。ここで大丈夫なのだろうかと若干不安になりつつ、高速バスの回数券をと申し出ると、すぐに応対してくれました。ついでに便の予約もその場で済ませました。
 ところで、この路線のバスは、もともとけっこう便数があったはずなのですが、現在は一日4往復しか走っていません。去年利用したバスタ新宿14時40分発の便は姿を消し、一昨年利用した前橋発15時20分の便も無くなってしまいました。去年乗ったときもえらく空いていましたが、コロナ禍で利用客が減ったために減便したのかもしれません。事実上利用できるのは、往路は12時発、復路は17時20分発という便だけでした。
 往路は12時の次は17時台となり、前橋到着が20時を過ぎます。前橋の墓参りを翌日にまわさなければならないばかりか、昨今の事情により20時を過ぎると夕食すらとれません。また復路は17時20分の前は11時で、いささかあわただしいようです。墓参り以外なんにもできない感じで、それはそれで私たちとしては歓迎できない行程です。
 そうであってみれば、高尾の墓参りは午前中に済ませて新宿に戻ってこなければなりませんし、前橋についてから墓参りする時間もとれますので、初日に両方終わらせられます。2日目については、ぐんまフラワーパークにでも再訪してみようかなどという話も出ましたが、デマンドバスを呼ばなければならないとか面倒なことになるようなので、まったくノープランで出かけることになりました。

 家を13日(金)の7時半ちょっと前に出て、新宿経由京王線で高尾に向かいます。青春18きっぷを利用する際も、だいたい同じくらいの出発時刻でした。実はうちから高尾なら、新宿から京王線に乗るより、武蔵野線経由のほうが少しだけ速いのですが、青春18きっぷを使わない以上、京王線ルートのほうが圧倒的に安いのでした。かたやJRのみ、かたや2社にまたがるというのに、200円くらい違います。往復ですから、ふたりで千円近く浮くことになります。
 お盆近くとはいえ平日の下りの準特急電車はたいへんすいていて、気分良く高尾まで坐ってゆけました。高尾からは西東京バスで7分ほど、これはいろんな目的地へ行く便が共通して通る区間ですので便数が多く、ほとんど事前に計画するにも及びません。今回も、予定していたのより早いバスに乗れました。
 そんな風に、交通に関しては申し分なかったのですが、残念なのは天候です。初日の13日も、2日目の14日も、天気予報は雨でしたし、九州あたりでは災害級豪雨が降っているようでした。私たちが外を歩いているときは豪雨というほどのことはありませんでしたが、それでも傘を手放せない2日間であったことは事実です。
 考えてみると、この墓参行シリーズ、雨に祟られたことはけっこう多いのでした。2度目(2013年)が雨模様、3度目(2014年)は墓参りでは降られなかったけれどもそのあとで大雨に遭遇、4度目(2015年)は土砂降り、6度目(2017年)も雨模様。そうでなければむちゃくちゃ猛暑(2016年2020年)で、雨も降らず暑すぎもせず、申し分ない天候だったのは7回目(2018年)くらいです。
 何もそんな日に出かけてこなくとも、とは思いますが、宿をキャンセルするのも面倒だし、ある意味馴れてしまいました。
 高尾の墓参りは傘を差しながらとなりましたが、ここは公営霊園なので芝生の管理などがしっかりしており、特に掃除などはする必要がありません。持ってきた花を活け、線香に火をつけ(去年から着火装置を利用しているので、雨の中でも問題なく点火できました)、菓子などを供えて手を合わせ、そそくさと退散します。
 この霊園、山の中腹を切り拓いて作ったので、けっこう起伏があって、特に帰り道では蜿蜒と登りになります。猛暑だった去年など、マダムが弱音を吐いて、なかなからちがあかなかったほどでしたが、今回は雨が降っているためか気温も低く、マダムも元気に歩けていました。少し前に腰をやってしまっていてやや心配だったのですが、なんとか普通に歩けるくらいまでは回復したようです。
 そそくさとしすぎて、帰りのバスは予定していたのより15分くらい早い便になりました。高尾からはまた京王線の特急電車で新宿へ向かいますが、おかげで1本前の特急に乗れました。新宿到着が20分早くなるので、バスに乗る前にだいぶ余裕ができます。
 12時発のバスなので、昼食は車内で食べようと思い、新宿駅地下のコンビニで弁当を仕入れました。しかし直職を簡単に済ませたせいか小腹がすいていて、乗車前に軽く食べるつもりでサンドイッチも買いました。
 バスタ新宿の待合所でサンドイッチは食べましたが、さてバスに乗ると、飲食禁止と言われて茫然としました。それはまあ時節柄仕方のないことかもしれません。飲食と言っても、飲み物くらいは乗客はみんな持っていたようですが、さすがにそう言われて公然と弁当を拡げるのもはばかられます。先に待合所で弁当を食べてしまえば良かったと後悔しました。サンドイッチくらいならごまかして食べられたかもしれないのです。やむなく、中途半端な空き腹を抱えて前橋に向かうことになりました。

 新宿を出ると、明治通りを走って池袋へ行きます。そこでも客を拾い、明治通りを引き返して高戸橋から新目白通りに入り、練馬区役所前でも停車してさらに客を拾いました。途中の道はマダムがよく知っているようで、あれこれと註釈してきます。
 去年は練馬区役所など通りませんでしたし、通る便も無かったと思います。池袋から直接、あるいは新宿から直接高速道路に入っていました。なぜ練馬なんてところに停車することにしたのだろうかと不思議に思いましたが、そういえばオリンピック期間中、首都高速の交通量を制限するために、通行料を一時的に千円加算していたことを思い出しました。これは当然高速路線バスでも適用されます。それを避けるため、首都高速を走らないようにして、練馬インターから直接関越道に乗ることにしたに違いありません。それで、そこまで一般道を走るならということで、練馬区役所前でも客を拾うことにしたのでしょう。
 関越道に乗るまでに、すでに1時間くらい経過しています。このため、所要時間も去年とはだいぶ違っていました。以前の想定所要時間は2時間55分だったのが、今回は3時間20分となっています。
 高速道路を走る部分が1時間くらいしかないということにはじめて気づきました。藤岡ジャンクション上信越道に乗り換えて、すぐにある藤岡インターで高速を下りるのでしたが、川越とか東松山とか、わりと馴染みのある地名のところを走っていたと思うと、その先はもうわりと短いのでした。
 降車停留所は、前橋のほか藤岡インター、高崎駅新前橋駅、それからいくつかの「Nパーキング」(駐車場で、そこにマイカーを駐めておいて高速バスに乗り換える)が用意されていますが、この日は乗客が10人足らずで、下車する停留所も限られていました。高崎バスセンター、高崎駅、前橋駅だけです。それで、ほかの停留所は立ち寄らないことになりました。新前橋駅にも立ち寄らなかったのが驚きです。おかげで高崎駅からはほんの20分ほどで前橋に着き、予定よりだいぶ早く、15時ちょっと前に到着しました。
 それはそうと高崎環状線から高崎駅へ向かう伊勢崎街道に折れるあたり、最左側車線にものすごい車列ができていました。何事かと思ったら、大規模ワクチン接種会場へ向かうクルマの行列だったのでした。途中から曲がって行く群馬コンベンションセンター、通称Gメッセが接種会場になっているようです。もちろんその曲がった道にもずらずらとクルマが並んでいます。接種できるまで何時間待つことやら。時間決めの予約などはしなくて良いのでしょうか。私もなかなか予約が取れず、まだ接種はしていません。

 前橋に早く着いたおかげで、その後の行動が予定よりすべて30分前倒しにできました。霊園に行くときに利用する上毛電車が30分おきの運転で、そこまでのシャトルバスなどもそれに合わせてあるので、そっくりそのまま30分前の行動ということができます。
 駅前にあった、エキータなる商業施設ビルが、ずっとテナントがほとんど無い廃屋みたいな状態で気になっていたのですが、今回来てみるとAQERU(アクエル、と読ませたいらしい)と改名し、1階のほとんどがツタヤブックストアとなっていました。かたわらに前からあるコンビニ、それからPRONTが併設され、ツタヤ=スターバックスと同様、PRONTで買った飲食物をツタヤに持ち込んで本を「試し読み」できるシステムにしたようでした。見た感じ来客もなかなか多いようです。駅前の一等地なのに年々さびれてゆくのを按じていたのですが、いい感じに生まれ変わって何よりです。
 霊園最寄り駅の心臓血管センターに着いても、あいかわらず雨です。ここからマダムの祖父母の墓まではけっこう歩くので、暑さが厳しいときなどそれはそれでしんどかったりするのですが、雨がそぼ降るのもあまりありがたくはありません。
 こちらは前は草むしりなどしなければならなかったのですが、何年か前にマダムの伯父さんが亡くなってこの墓に入って以来、その子供たち、つまりマダムのイトコたちがわりにこまめに墓参りにきて掃除などしているらしく、かなりきれいになっていました。それでこちらでも、花を活け、線香に火をつけて供え、さらにやはり菓子などを供えて手を合わせただけで退散します。心臓血管センター駅は上下線の電車が交換するところなので、どちら行きの電車も発車時刻は同じになります。2本あと、つまり1時間後の電車に乗る予定だったのですが、こちらもだいぶ早く用が済んでしまいました。
 高尾と違って、早く済んでも電車に早く乗れるわけではありません。駅のベンチでぼーっとして、マダムと会話を交わしていました。次回はレンタサイクルを借りるのも良いな、という話になりました。上毛電車は自転車を載せられ、そのための積載料金なども不要です。おまけに中央前橋駅で、タダで自転車を借りることができるのでした。自転車だと心臓血管センター駅からは行きづらいので、ひとつ手前の赤坂まで電車に載せてきて、そこから走るのが良いでしょう。いや、天候さえ問題なければ、中央前橋からダイレクトに自転車で霊園まで行けるかもしれません。
 中央前橋で借りなくとも、今回来てみると、前橋市内の至るところにシェアサイクルのステーションができたことに気づきました。調べてみると、つい先月からの運用であるようです。定宿のところにもステーションがひとつありました。借りて走って、元のところでなくともステーションであれば返すことができるそうです。値段もそう高くはないようです。これは、次回は自転車を活用する前提でプランを立てるべきかもしれません。少し遠くて歩くのが物憂いショッピングモール、けやきウォークまででも、自転車ならわけはないのです。
 あるいは今回もシェアサイクルを借りるべきだったかもしれません。というのは、この8月8日から群馬県蔓延防止措置が取られることになり、けやきウォークの飲食店も、天然温泉ゆ~ゆも、共に20時閉店ということになってしまったのです。両方行きたい私たちとしては非常に悩ましいことになってしまいました。
 宿には17時半くらいにチェックインして、ひと息つくともう18時です。けやきウォークまで歩くと20分近くかかります。天然温泉ゆ~ゆは宿の近くですが、ともかくけやきウォークの方角とは反対側になります。20時までの2時間で両方に行こうとすると、徒歩時間だけで40分ほど要することになります。自転車なら15分も要らないでしょう。なお、土休日ならけやきウォークまでシャトルバスが運行しているのですが、平日には行っていません。
 今回は急いで出て、店でも提供時間が10分ほどかかったのでさらに焦り、猛烈な勢いで食べて、それで急いでゆ~ゆへ向かい、ちょっと物足りない入浴時間でしたがほぼ閉館まで居ました。かなりあわただしい2時間でした。

 翌14日も朝から雨です。
 ぐんまフラワーパークは諦めたものの、まったくノープランでした。敷島公園前橋公園にでも行ってこようかと思いましたが、ともかく屋外は避けたいような天候です。
 それで、とりあえず前橋文学館を見学することにしました。午前中くらいはそれで過ごせるでしょう。
 帰りのバスまで、大荷物を持ち歩くのは嫌だったので、まず前橋駅のコインロッカーに預けて身軽になろうと思います。それで前橋駅に行くと、最近あちこちで見る「駅ピアノ」が置いてありました。いや、置いてあるのは前日から知っていたのですが、前日は何か行事があるようで弾くことができませんでした。この朝はピアノが解放されていましたので、マダムがいそいそと寄って行って「月の光」を弾きました。ついでに私も数少ない十八番のひとつである「トロルハウゲンの婚礼の日」を弾いたら、思いのほか大きな音が響いて驚きました。もっとも、道行く人が足を止めて聞き惚れるということもなかったようです。
 そんなことで時間を潰し、それから文学館まで歩いて行ったら、11時くらいになってしまいました。文学館は広瀬川のほとりにあり、その広瀬川は雨で増水して何やら剣呑な濁流となっています。中央前橋駅のプラットフォームからも間近に眺められる広瀬川ですが、なんとなくいつ見ても水があふれそうに見えます。
 前橋にゆかりのある文学者を扱ったミュージアムということですが、ほとんど萩原朔太郎で埋め尽くされているようなものでした。文字通りの地元の巨人であって、ほかの文学者などは木の端みたいな扱いであるようです。マダムは朔太郎がわりと好きらしく「朔ちゃん」呼びしているほどですが、ならばどのくらい作品を知っているかと聞くと「秋の日のヴィオロンの……」などと言い出すので当方は頭を抱えます。それは上田敏訳のヴェルレーヌではないかと。
 私も別に詳しくはなく、「ふらんすへ行きたしと思へども」くらいしか浮かんできません。心許ない見学者ですが、しかしかなり長時間愉しむことができました。朔太郎の詩のイメージによって動かす人形芝居などもあって、時間をつぶせましたが、そのほかの展示も、じっくり見て歩くとかなり時間を要するのでした。
 朔太郎がマンドリンに堪能だったのは有名ですが、作曲もしていたようで、2曲ほどの楽譜も展示されていました。その楽譜がクリアファイルになって売店に置いてあったので、それを買いました。私はこういうところで滅多に買い物をしない人間ですが、詩人の作曲したものとして、いわば資料として買い求めたのです。
 文学館と川を挟んで反対側に、朔太郎の記念館もあります。そちらは書斎や実家の離れや実家の蔵などを移設したもので、蔵以外は中に入れませんので、すぐに眺め終わります。
 午前中を潰せれば良いというくらいのつもりで訪れた文学館と記念館でしたが、すでに13時近くなっています。そのあとをどう過ごそうかということになります。マダムがスズラン百貨店に行きたいと言いました。
 スズラン百貨店はいわばご当地デパートで、埼玉県でいえば丸広百貨店みたいなものです。前橋と高崎にしか無いそうで、マダムは以前から行きたがっていたのですが、中央前橋駅よりさらに先ではあり、なかなかそちらに足を延ばす機会がありませんでした。文学館からならそう遠くないので、それならばというので行ってみることにしました。
 8階建てで別館もある、思いのほかの立派なデパートだったので驚きました。地下の食品売り場でしばらく過ごしましたが、ここもしっかりデパチカという感じで、贈答品なども充実していました。実家への土産物などを買いました。桐生まで行かないと入手できないと思われた「忠治漬け」も置いてあったのでした。
 スズラン百貨店に着く前にも、近くの味噌漬け屋に寄っていたりしたので、だいぶ時間が経ちました。空腹にもなっています。百貨店のレストラン街で昼食をとりました。

 その後、百貨店の入口前にあるコミュニティバス「マイバス」の停留所から、「南循環」のバスに乗って前橋駅に戻りました。実は南循環は一方通行で、前橋駅に戻るには非常な大回りになるのですが、マイクロバスみたいな小さなバスに乗って、ゆるゆると市内を走る気分は悪くありません。マダムも喜んでいました。
 前橋駅に戻るとまだ時間があるので、マダムの要望により、こんどは「東循環」のマイバスに乗りました。マイバスはどれだけ乗っても100円均一です。南循環と北循環は関越自動車、東循環と西循環は永井運輸と、運営会社が違いますが、同じコミュニティ路線として扱われています。
 東循環のバスはまるまる1時間かけて周回してくるかなり大きな路線でした。車内アナウンスが子供の声なのが面白く感じました。停留所ごとに別の子の声で案内されます。滑舌はどの子もしっかりしているので、児童劇団にでも吹き込ませたのではないかと思われます。
 マダムはずっとスマホとにらめっこしていたように見えましたが、愉しんではいたようです。地方へ行って、地元のローカルバスに乗って裏道などを走るのがわりに好きなのでした。この東循環、本当に

 ──えっ、こんな道を走るのか?

 と驚くほどの細い生活道路なども通り、いままで知らなかった前橋市を知ることができたような気さえします。

 帰りの高速バスは定時17時20分に発車しましたが、高崎駅近くで、例の大規模接種会場へ向かう車列に巻き込まれました。高崎環状線から伊勢崎街道へ入る際、往路は左折だったのでさほど影響を受けなかったのですが、復路は右折になるので、いちどの右折信号で4,5台しか曲がることができず、かなり待たされました。約30分くらい余計にかかってしまったようです。
 高速道路上は渋滞してはいませんでしたが、遅れを取り戻すには経路が短すぎたのかもしれません。30分遅れのまま走って、19時50分池袋着予定のところ、20時21分に到着したのでした。
 墓参行にひっかけてあちこち旅したことはあるのですが、前橋市内を見て回ったのははじめてのことです。次回は(天候にもよりますが)ぜひ自転車を利用して、もっと細かく見て回ろうかと考えています。

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