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「快速」を考える(1)JR編その1 [いろいろ]

 先日「準急」について考えていたら、「快速」についても気になりはじめました。
 「準」とか「准」とかいう「文字」が気になったことから、自分の鉄道趣味における「準急」の話になったわけですが、一旦「準急」を考えだすと、連鎖的に似たレベルの言葉である「快速」も気になってしまうのは趣味からしてやむを得ません。
 それで今回は「快速」を考えてみたいと思うのですが、こちらは「準急」に較べると非常に範囲が広くなります。
 「準急」は言うまでもなく「急行に準ずるもの」ですから、走っている路線もほとんどは「急行」があって、その下位ランクの列車として準急があるというものでした。以前は優等列車が準急だけだった北陸鉄道石川線高松琴平電鉄という特殊な例もありましたが、今はどちらも廃止され、前回考えてみた「準急」運転路線はほぼすべてが「急行」運転路線でもありました。例外は阪急京都線で、現在は「急行」という種別がありません。しかし「快速急行」なら走っています。
 だから簡単にリストアップができましたし、全部について考えることも可能でした。
 ところが、「快速」はそれでは済みません。
 まずもって、JRにおいて「快速」は非常に隆盛を誇っています。上は特急並みのスピードと車内設備を持つ関西圏の「新快速」から、ローカル線で数駅通過するだけのしょぼい列車まで、非常に多彩です。「快速」ランクの種別だけでも、新快速、特別快速、通勤快速、区間快速、準快速などなど、地域によってさまざまの変種があります。これらの実態を調べるだけでもひと苦労しそうです。
 それに私鉄や第三セクターにも「快速」はいろいろ走っています。「準急」とは違い、「快速」という言葉は、基本的にその線区で唯一種の優等列車として使えますから、走っている路線の数は準急の比ではありません。
 そんなわけで、そうそう網羅的な話ができるかどうかはわかりませんが、とりあえずJRを走る快速から考えてみたいと思います。

 JRの快速には、いくつかのルーツがあります。
 まず第一に、大都市近郊区間で走っている、かつての「国電」の中の速達列車です(仮にI型と呼びます)。
 戦後しばらくまで、「急行電車」とも呼ばれていました。その頃までは「電車」というのは近郊区間を走るものと決まっており、長距離列車に使われるものではなかったので、「急行電車」は「急行列車」とは別のものとして認識されていました。「急電」と略されたりもしていたようです。
 湘南電車を皮切りにして、中長距離の区間にも電車が投入されるようになり、紛らわしくなったので、「急行電車」は「快速」と改名されました。その前も「快速」と称した列車はあったと思いますが、「快速」が種別として確立したのはこの時だったと思います。
 首都圏の中央線常磐線総武線など、関西圏の東海道・山陽線阪和線関西線などの快速が「急電」上がり(「急電」時代にはまだ走っていなかったところもありますが、イメージとして)と言えるでしょう。
 第二に、同様に大都市圏において、中長距離の「普通」列車が、上記の「国電」区間において快速的な扱いを受けるというケースがあります(II型)。関西ではこのパターンは比較的少なく、しっかり「快速」と呼ばれています(ただし東海道・山陽線の快速は、時刻表では普通列車扱いになっていて、快速という表示はありません)。目立つのは首都圏で、東海道線・東北線京浜東北線に対して快速的な扱いになっていたり、常磐線の中距離普通列車が快速電車と同格になっていたりします。
 それから第三に、かつての急行列車などが格下げされた快速があります(III型)。ローカル線に走っている快速はたいていこのパターンです。急行時代に由来した列車愛称がついているものが多くなっています(一部は改名しています)。これらの列車は、ルーツからして旅情豊かに感じられる気がします。
 第四に、観光用に走らせている快速があります(IV型)。JRとしては本当は特急にしたいところでしょうが、特急料金を取るとなるとどうも乗客が減りそうだと判断されるところに投入されています。結構豪華な特別車輌を使っていることもあり、特急料金こそ取らないものの、全指定席で指定席料金を取ったり、全グリーン車でグリーン料金を取ったりと、なんらかの追加料金を徴収されるのが普通です。多くは臨時列車ですが、人気が高まって定期化されたところもあります。
 第五に、それらいずれにも属さない快速があります(V型)。これについてはその都度考えてみたいと思います。
 さて、これから各列車について考えてゆきたいのですが、いくつか条件をつけないと収拾がつかないことになりそうです。
 イベント時に運転される臨時列車などは除外したいと思います。また、時々「快速」を名乗らずに通過運転する列車が走りますが、上記の東海道・山陽線快速のようなケースでない限りこれも除外します。
 要するに基本的には、JRやJTBの時刻表の本文(色のついていないページ)に、なんらかの「快速」を意味する符号がつけられている列車に限って扱ってみるつもりです。

●JR北海道●
 北海道の快速列車は、札幌近郊にI型の快速「エアポート」区間快速「いしかりライナー」、その変形と考えられる「ニセコライナー」が走り、その他の路線にIII型の快速がほそぼそと走っています。
 「エアポート」はその名のとおり、新千歳空港を起終点とする快速で、基本的には15分に1便というきわめて高い頻度で走っています。朝夕は多少変則な列車がありますが、日中は整然としたパターンダイヤを形成しています。下り電車で言うと、1時間に1本は札幌で特急「スーパーカムイ」に化け、旭川まで行きます。また1時間に1本は札幌止まり、残りの2本は函館本線の上りとなって小樽へ行きます。
 新千歳空港駅では、「エアポート」が必ず1本以上停車しており、空港に到着した乗客が待たずに乗り込めるようになっています。札幌市街から決して近い空港ではありませんが、空港アクセスの便の良さは日本国内でもトップクラスと言って良いでしょう。
 「いしかりライナー」は「エアポート」を補完する列車で、小樽江別手稲岩見沢などの区間に走っています。小樽発着の便は手稲~札幌間が快速、手稲もしくは札幌発着の便は札幌~江別間が快速となり、他の区間は各駅停車です。函館本線の札幌附近は、全区間が各駅停車という列車は案外と少なく、「いしかりライナー」の互い違いな各停運転がその役目を肩代わりしているようなものです。
 「ニセコライナー」は、朝に下りが1便、夕方に上りが1便だけ、札幌蘭越間を走っているディーゼル快速で、小樽以遠の通勤通学の便宜を図っています。快速区間は札幌~小樽間だけで、停車駅も「エアポート」と同じ、しかも使っているキハ201系ディーゼルカーは「エアポート」の721系電車と似たデザインですので、「エアポート」の一員と考えて乗ってしまう人も多いでしょう。もう少し便を増やしても良いような気もしますが、日中のパターンダイヤにうまくあてはまらないという事情があるのかもしれません。

 函館本線の長万部函館間に、朝の上りだけですが「アイリス」という快速が走っています。以前は下りもあったのですが、普通列車に格下げされてしまいました。「アイリス」はもと「せたな」という急行列車で、函館と、今は無き瀬棚線の終点・瀬棚を結んでいました。瀬棚線は長万部よりふたつ函館寄りの国縫(くんぬい)で分岐していた支線ですが、急行「せたな」は国縫で分割併合をおこない、長万部方面へ向かう運行もあって、そちらが現在の「アイリス」に受け継がれているわけです。函館~長万部は特急が頻繁に走っているので、あまり快速の存在意義が感じられないというのが、下りが廃止された原因かもしれません。上りだけでも残っているのが良しとすべきなのでしょう。

 根室本線に走っている「狩勝」2往復、それから「はなさき」「ノサップ」も、いずれも急行由来の由緒ある快速です。
 「狩勝」はかつて札幌釧路を走っていた雄大なイメージの急行列車でした。蒸気機関車時代の狩勝峠越えの重連走行はまさに圧巻で、今なら撮り鉄たちが群がるに違いありません。私はディーゼル急行時代に何度かお世話になりました。現在は旭川・滝川帯広間に運転区間が縮められ、停車駅もずいぶん多くなりましたが、由緒ある急行の名が残っていることは嬉しい限りです。
 なお、滝川富良野・新得間の無名の快速も2往復走っています。うち1往復は旭川発着の「狩勝」に接続するようになっているので、「狩勝リレー号」とでも名付ければ良いと思うのですが。
 「はなさき」と「ノサップ」は急行「ノサップ」の後身です。根室本線は、根室本線という名前のくせに、大半の列車は釧路止まりで、釧路根室間は古くから支線みたいな扱いになっていました。いまでもこの区間は「花咲線」と愛称がつけられて区別されています。終点の根室駅も、単線片面のうら寂れた小駅に過ぎません。
 この寂しい区間に、ディーゼル急行「ノサップ」がかつて2往復だけ走っていました。それが今の「ノサップ」「はなさき」となっています。昔も今も、「花咲線」区間の優等列車はこれしかありません。函館発着の急行「ニセコ」が根室まで直行していたような時代もありますが、もう40年以上前の話です。
 この2便の快速の他の普通列車も、いくつかの駅を通過するものがありますが、快速とは呼ばれていません。

 釧網本線に1往復だけ走っている快速「しれとこ」も急行からの格下げです。現在では通過駅より停車駅のほうがずっと多い状態になっており、いつ普通列車に格下げされるかわかったものではありません。急行時代は2往復くらい走っていたように記憶しています。
 知床が世界遺産になって、釧網本線も少しは活性化されるかと期待していたのですが、訪れようという人の大半は、鉄道なぞ使おうとしないようで、あいかわらず遅いディーゼルカーが行ったり来たりしているばかりなのは残念な話です。

 宗谷本線の根もとである旭川名寄間を走る「なよろ」も急行由来ですが、こちらは急行時代よりも繁盛しているようで、4往復が運転されています。ローカル線の快速としては頑張っているほうでしょう。
 なおこの区間、「快速」を名乗らずにいくつかの駅を通過する普通列車もかなりあります。たぶん以前の「仮乗降場」と呼ばれていたところには停まらないのでしょう。仮乗降場というのは、地元の要望で設置されていた簡易停車場で、朝礼台みたいな小さなプラットフォームに駅名板が立っているだけといった感じのものが多数でした。全国版の時刻表には掲載されず、「北海道時刻表」というのを見なければ存在がわからない独特の存在でしたが、JRになるにあたって一律に駅に格上げされました。しかし今でも利用者は少ないので、通過してしまう列車も多いのです。

 最後に石北本線ですが、ここにはなぜか特別快速を名乗る「きたみ」という列車が旭川北見間に走っています。北海道では唯一の「特快」です。「快速」が無いのに「特快」だけ走っているという変なことになっています。
 かつて石北本線を走っていた急行に「大雪」があります。御多分に洩れず、特急「オホーツク」に格上げされたりして消滅しましたが、JRになってからも、季節列車として運転されたことがありました。その主要部分が料金不要列車「きたみ」として定期化されたのです。
 北海道でこの列車だけ「特快」と呼ばれるのがなぜなのかはわかりづらいのですが、たぶん「特急」である「オホーツク」とあまり変わらない所要時間で突っ走ることをアピールするためだろうと言われています。そうは言っても「オホーツク」は表定時速60キロ台の鈍足特急ですから、それと遜色ないと威張ってもあんまり偉くは見えないのですが、一生懸命走っている印象があることは事実です。

 北海道の快速を増やすとすれば、札沼線でしょうか。札幌附近の駅が近年だいぶ増えてきたので、通過運転する便を導入しても良いと思います。電化区間である北海道医療大学までだけでも快速電車を走らせてはどうでしょう。実は「エアポート」が1往復だけ乗り入れてきているのですが、線内は残念ながら各駅停車となっています。

●JR東日本●
 JR東日本管内の「快速」は相当に数が多く、全部把握できているか心許ないものがあります。
 まず首都圏からはじめてみます。I型、つまり旧「急電」タイプの快速として、中央線・常磐線・総武線・埼京線・京葉線・南武線・横浜線があります。また、京浜東北線は日中に限り、山手線並行区間(田端品川)で全列車が快速運転をおこなっています。
 中央線快速が乗り入れることのある青梅線五日市線、常磐線快速が乗り入れることのある成田線などもありますが、いずれも線内は各駅停車です。青梅線には季節によってホリデー快速「おくたま」が走ることがあり、それは線内も通過運転をおこないますが、これはノーカウントといたします。また武蔵野線には「むさしの号」「しもうさ号」という愛称付きの電車が走りますが、これは線内は各駅停車で、「快速」という表示もありません。
 これらの快速電車の中で、文字通り「快く速く」走ってくれるのは常磐線と京葉線くらいで、あとはなんだか遠慮深くノロノロと走っている印象があります。中央線など、最初の「中」の字を分解して「ノロ央線」などと悪口を言う人も居るくらいです。
 中央線の快速は、導入時のいきさつから中野以西を各駅停車にせざるを得なかったため、遅いのもやむを得ません。そして、上位種別である特別快速も同じ線路を走るため、さっぱりスピードが出ません。中央線の特快は、「特別に速い」電車ではなく、「特別に通過駅の多い」電車に過ぎないのです。せっかく複々線になっているのだから、快速が中野から緩行線に転線すれば、特快はもっと速く走れるのですけれども、緩行線のほうにはメトロ東西線直通電車が入ってきたりしているので、それも難しいと思われます。
 現状では中央線は、スピードよりもまず混雑をなんとかしなければ仕方がない状態であり、そのためラッシュ時には通勤快速通勤特快なども繰り出して乗客の分散を図っています。4種類もの違う名称の快速が走っている路線はここだけでしょう。
 特別快速は常磐線にも走っています。ただでさえスピードの速い常磐線に、もっと速い種別を導入したのは、明らかにつくばエクスプレスに対抗してのことと思われますが、1時間に1便という現状ではとてもかないません。少なくとも30分ごとの運転にすべきでしょう。それにしても北千住我孫子を通過というのは思いきった設定です。
 埼京線と京葉線には快速の他、通勤快速も走っています。いずれも快速の上位という扱いになっています。京葉線通勤快速の、新木場蘇我間33.6キロ無停車というのは、首都圏の快速電車としてはきわめて長い距離だと思います。
 総武線の快速は横須賀線と直通運転しているので、各停と車輌が異なります(まあ、最近のE231系あたりになると共通なのですが、内装が違っています)。また、旧国電区間の終点である千葉より先でも、わずかながら通過運転しているのも他の路線とは違う点でしょうか。ただし、年々停車駅が増え、内房線では巌根外房線では長田・本納・新茂原・八積総武・成田線では東千葉しか通過駅が無くなりました。千葉以遠全駅停車になるのも時間の問題かもしれません。なお総武・成田線では、東千葉に加えて物井を通過するのが数便だけあり、それだけの差なのに通勤快速という名前を与えられています。
 南武線の快速は、ずっと昔走っていたのがしばらく無くなり、近年になって復活したものですが、まだまだ走りっぷりが控えめです。武蔵中原で追い抜きができるのだから、もう少し便を増やし(現状では日中30分に1便)、速く走っても良さそうです。その点横浜線の快速は20分に1便ですから、かなり使い勝手が良いと思います。

 首都圏独特の「II型」快速、つまり中距離電車が旧国電(E電なんて名前もありましたね)区間で快速として扱われるというのも見てみましょう。
 東海道線の普通列車は、京浜東北線・横須賀線に対する快速と考えても良さそうです。ただし日中は、快速運転をしている京浜東北線は新橋に停車しませんが、東海道線は快速「アクティー」を含めて全部停車していますから、ここは逆転しています。
 その「アクティー」は、東海道線普通列車に較べ、通過する駅がわずか4駅(辻堂・二宮・大磯・鴨宮)しか無いので、口の悪い人は「準快速」だ、などと言っていますが、普通列車がそもそも快速として機能しているので、「アクティー」はいわば特別快速と言えます。湘南新宿ラインの快速・特別快速は、東海道線内ではそれぞれ普通列車と「アクティー」に相当しますから、混乱を避けるために「アクティー」も特快を名乗ってしまえば良さそうに思えます。
 東北線・高崎線の普通列車も、京浜東北線に対する快速と見なせます。従ってそれぞれの線内快速である「ラビット」「アーバン」も特別快速と考えて良いかもしれません。ただちょっとややこしいのは、湘南新宿ラインの快速は、高崎線に入ると普通列車に相当し、「アーバン」に相当するのは特別快速であるのに対し、東北線に入った快速は「ラビット」と同等であることです。この辺、呼称の整理をしたほうが良いように思えます。
 なお、夕刻以降の「ラビット」「アーバン」は、平日には通勤快速に振り替えられることが多くなっています。日中は快速運転を湘南新宿ラインに託し、「ラビット」「アーバン」は走らなくなりました。
 常磐線の普通列車は、上にも書いたとおり「快速電車」と同じ扱いになっています。以前は三河島・南千住を通過していて、「快速電車より普通列車のほうが駅をたくさん飛ばす」ということになっていましたが、整理されました。だからそれより上のランクの列車が導入された時、自然に「特別快速」となったわけです。
 中央線は新宿発着の「普通列車」は無くなりましたが、立川発着があって、立川~高尾は旧国電区間と重なっています。以前はこの区間、八王子にしか停車しなかったので、「特別快速電車より上の普通列車」でしたが、最近は各駅に停まるようになり、整理されました。私の子供の頃は、まだ新宿発松本行きといった普通列車があり、新宿を出ると立川まで無停車だったりして、ワクワクしたものです。社会派鉄道作家と呼ぶべき原武史氏が、『滝山コミューン一九七四』の時代に「重苦しい現実」からの不思議な「避難所」としていたのもその種の列車でした。

 JR東日本の「I型」の快速は、首都圏以外にもう一箇所存在します。仙石線です。
 昔は仙台石巻ノンストップの特別快速や「うみかぜ」と名付けられた快速が走っていたこともありますが、現在では2種類の快速となり、片方は実際には区間快速です。仙台~多賀城間をノンストップで走るA快速赤快速)、各駅停車で走るB快速緑快速)という区別です。赤とか緑とかいうのは車輌の色などではなく、路線図での塗り分けの色です。
 高城町~陸前小野東日本大震災の影響でいまだに不通になっており、仙石線は目下分断状態ですが、それでも2種類の快速はしっかり走り続けています。早く全線復旧して欲しいものです。

 仙台からかなりたくさん出ているもうひとつの快速が、仙山線快速です。これはIII型だったのがI型に近く変化したという態の、珍しいタイプです。
 つまり、もとは急行「仙山」の格下げというルーツを持っているのですが、いつしか増殖し、8往復にもなってしまったのでした。仙台と山形というふたつの県庁所在地を70分ほどで結ぶので、快速の運転にちょうど良い距離と言えるでしょう。
 また、福島とのあいだには「仙台シティラビット」という快速電車が走っています。こちらは2往復だけですし、通過する駅も少ないのですが、新幹線の開通このかた貧弱になっている東北線にはえがたい存在とも言えます。
 仙石線の不通中、石巻とのあいだに、小牛田石巻線経由のノンストップ「直通快速」というのが運転されています。仙石線が復活すれば無くなるわけで、ちょっと惜しいような気分と、早く無くなったほうが良いという気分とが、私の中でないまぜになっています。
 盛岡側へは仙台からの定期快速は走っていません。水沢~盛岡の下りのみ、「アテルイ」という快速が朝に走っています。不定期や季節運転の快速はときどきあるのですが……

 東北地方の支線区には、III型の快速が頑張っています。大湊線「しもきた」花輪線「八幡平」山田線「リアス」釜石線「はまゆり」陸羽西線「最上川」磐越西線「あがの」など、元の名前を継承したものもあり改名したものもありますが、いずれも急行由来の快速です。運転区間は縮小され、停車駅も増えましたが、なんとか残っているのは、やはり東北地方ならではでしょうか。五能線「深浦」米坂線「べにばな」は線内は各停で、乗り入れる本線のほうでだけ通過運転をしているていたらくですが、それでも一応「快速」として名前が残っているのは喜ぶべきことでしょう。「しもきた」「はまゆり」は複数の便が運転されています。
 磐越西線には、新潟会津若松間の「あがの」の他、会津若松~郡山間の快速がかなり多数運転されています。そのうち3往復には指定席がついており、指定席券発行の都合上「あいづライナー」という愛称もつけられています。かつての急行「ばんだい」を種子として、仙山線快速と同様、増殖したのだと言えそうです。
 奥羽本線・羽越本線には無名の快速がいくつか走っています。これは急行由来ではなく、普通列車が通過運転をするようになったのが元ではないかと思います。奥羽本線には湯沢から秋田までの下り快速、秋田~大館間の快速(下り1便、上り2便)、青森から弘前までの上り快速があります。
 また羽越本線には、新潟村上白新線経由で結んでいる快速が2往復ありますが、これは実は「ムーンライトえちご」の残骸です。夜行快速「ムーンライトえちご」は主要部分の新宿新潟間が季節運転列車となってしまいましたが、新潟から足を伸ばして村上まで行き、村上で折り返して新潟に戻ってきていました。それが夜になると今度は新潟から村上まで行って、折り返して「ムーンライトえちご」となっていたのです。その新潟~村上間だけ独立させた快速が、いまだに定期列車として走っているというわけです。この他、羽後本荘から秋田までの下り快速もあります。
 「リゾートしらかみ」「きらきらうえつ」などの観光用快速(IV型)もいろいろありますが、不定期列車なのでここでは触れません。

 中部地方に移ると、新潟新井間の「くびき野」はなかなか本格的な快速です。直江津~新井だけ各駅停車になってしまいますが、主要部分である新潟~直江津間の飛ばしっぷりはなかなかのもので、特急にひけをとりません。3往復あるのも頼もしい感じです。ルーツは急行「赤倉」あたりかとも思いますが、定かではありません。
 ほぼ同じ新潟~直江津間に、下りは「おはよう信越」上りは「らくらくトレイン信越」と名付けられた快速も走っています。これはどう考えてもペアになるべき列車なのですが、「おはよう信越」は全指定席でグリーン車付き、「らくらくトレイン信越」は指定席ではないものの乗車整理券が必要、というちょっと異なる編成になっています。たぶん同じ車輌を別の扱いにしているのだろうと思います。一種のホームライナーで、わざわざ「快速」と表示してあるのはむしろ珍しいケースであるかもしれません。
 信越本線ではこの他、磐越西線の馬下(まおろし)から入ってきて、新津~新潟間だけ快速になる列車が下りに2便あります。
 また、長野~直江津間に、「妙高」と愛称のついた列車が下り3本、上り2本走っていますが、このうち「妙高2号」だけが快速となっています。これはちょっと不思議な気がしますが、指定席が連結されているので愛称が必要だったと思われます。
 篠ノ井線松本長野間にも快速が走っています。下り1本、上り3本という、少々アンバランスな運転ですが、下りは普通列車の需要が高かったのでしょう。この区間、飯田線の快速「みすず」も乗り入れてきていますが、篠ノ井線内は各駅停車で、飯田線はJR東海の路線と言って良いので、ここでは触れません。

 JR北海道とJR東日本の快速について触れただけでえらく長くなりました。一旦筆を置くことにいたします。


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