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「健康ランド」ハシゴの旅(その2) [旅日記]

 「駿河健康ランド」はJR東海道線興津駅の近くにありますが、附近には飲食店などもあまり見当たらず、いちど入館したらほとんど外出の用は無くなります。施設内にはいくつもの飲食店が軒を並べていますし、売店もわりと充実しています。自己完結型のレジャー施設であると言えるでしょう。外出するとしたら、せいぜい海辺を散歩する程度ではないかと思います。
 宿泊した場合、夕食も朝食も施設内で済ませることになります。そう高額にはならないにせよさほど安いというほどでもなく、何かとお金を使わせるようになっているのは事実です。
 1月に泊まった際、最上階の食堂で朝食をとっていたら、ちょうど日の出の時刻になって、一望する駿河湾に紅い光の満ちるような幻想的な光景を見ることができました。マダムはモネの絵のようだと大いに感動していました。今回もそれを期待していたようですが、あいにくと7月の現在では、日の出の時刻が2時間くらい早く、まだ食堂が開いていません。
 それなら部屋で日の出を観ようと、マダムはわざわざ日の出時刻の4時半頃にアラームをセットして起き出していましたが、雲が多くてよく見えなかったようです。旅先の感動というのは、なかなか再現が難しいものです。

 朝にもひと風呂浴びて、この前とは違う1階大広間で朝食をとりました。最上階の食堂と同じくビュッフェでしたが、こちらのほうが料理の種類が多かったようです。
 マダムはビュッフェとなると見境の無くなるひとで、例によって私の倍くらいとってきていました。並べられている全種類を食べたいという気持ちはわからないでもありませんが、それなら1種類ごとの分量をできる限り減らせば良さそうなものを、なんとなく「見ばえの良い分量」みたいな感覚があるようで、ついつい大量になってしまうのでした。年がら年中ダイエットダイエットと騒いでいるひととはとても信じられないほどです。
 28日(月)は、駿河健康ランドから信州健康ランドまで、無料連絡バスで移動するだけですので、そんなに食べると後悔するのではないかと思いました。

 バスは9時40分に玄関前を発車します。少し大型のバスなのかと思ったら、興津駅から乗ってきたのと同じ型の中型車でした。乗客は10人でしたので、まあそれで充分です。乗客のほか、石和や信州の施設に運ぶ荷物なども搭載されていました。
 バスには「駿河健康ランド~石和健康ランド」と表示されています。信州健康ランドへ行く場合には石和で乗り換えになるようです。発車直前に、フロントの係の人が私の名前を呼んでバスに乗ってきました。なんでも、石和健康ランドでの昼食を予約できるということでした。様子がわからないので、とりあえず仰せに従い、ほうとうをふたつ頼んでおきました。私の名前しか呼ばなかったところを見ると、信州まで長途移動するのは私たちだけだったようです。
 駿河健康ランドを出てすぐ、国道52号に入ります。静岡甲府を結ぶ国道ですが、静岡側の起点はちょうど興津にあったのでした。山越えの道で、かなりアップダウンが激しいルートでした。
 途中、「ゆばの里」でトイレ休憩がありました。身延に近い道の駅みたいな施設です。4年ほど前にここを訪れたことがあります。山梨クレストホテルにはじめて泊まった時の帰りに立ち寄ったので、ここで昼食をとった記憶があります。今回はまだ10時半くらいで、食事どきには早く、バスも10分ほどで立ち去ります。
 夜中に眼が痛くてしばらく起きていたり、朝風呂に入るために早起きしたりしたせいか、睡眠時間が足りていない感じで、少しうとうとしたようです。気がつくと石和健康ランドに到着するところでした。
 駿河と同じく──というか多くのスーパー銭湯と同じく──まず履き物をロッカーに入れ、そのロッカーの鍵を持ってフロントに行きます。食事の予約券を見せると、食堂用のキーというのを渡されました。この種の施設では、ロッカーや部屋などのキーにバーコードがついていて、食事やエステなどを中でするとそのバーコードに登録されて、退館時に一括でお金を払うというシステムになっていることが多いのですが、食堂用のキーというのはサックにバーコードだけついていて、鍵が無いというものでした。
 大広間に行って、予約したほうとうを食べましたが、別に予約しなくても良かった様子でした。特に混んでいるような時でない限り必要はなさそうです。それどころか、館内で食事をすることが義務づけられているわけでもありません。石和は興津と違って周囲も都市型温泉郷ですから、飲食店のたぐいもいくらでもあったことでしょう。まあ、炎天下外をうろつく気にもなれませんでしたが。

 信州健康ランドへの連絡バスは、さらにひとまわり小さい小型バスでした。乗客は私たちを含め6人だけです。しかし運ぶ荷物は駿河~石和便より増えていたようです。
 こちらは高速道路を走ります。入ったところで少し渋滞していたので、勘弁してくれよと思いましたが、ほど近いところで事故があったせいらしく、現場を過ぎるとスムーズに動き始めました。塩尻北インターを出るとほどなく信州健康ランドで、クルマで来やすい場所だと言えましょう。鉄道でも、JR篠ノ井線村井駅から徒歩7分で、駿河に較べると交通の便が良くなっています。篠ノ井線と言っても塩尻松本のあいだですので、事実上は中央本線の一部みたいなもので、運転頻度もかなり高い区間です。
 部屋は駿河のようなオーシャンビューではないものの、北アルプスの山並みがよく見えて、気分の良い景色でした。
 到着は15時15分頃で、だいぶ早い時間です。早速風呂に出かけようと思いましたが、マダムが食堂の研究に没頭していて、夕食に何を食べるか迷い続けていたため、かなり時間をロスしました。
 1時間半ほど入浴して戻ってくると、マダムが難しい顔をしていました。朝食ビュッフェを食べ過ぎ、ほとんど動きもせずにバスに揺られただけなのに昼食のほうとうもまともに食べたせいで、風呂場で測ってみると予想外の体重になっていたらしいのです。どうも夕食まで施設内の食堂で済ませてしまうと、ヤバい状況になりかねないようでした。
 まだ外は明るいし、近くに駅もあるということで、とりあえず散歩に出かけることにしました。風呂で汗は搾り出せますが、それはそれとして少し運動もしたほうが良さそうです。
 長野県も日中の気温は高かったようですが、夕方の空気はさわやかで、さすがに高原だと思いました。健康ランドの敷地を出て線路沿いに歩くと、ほどなく村井駅があります。松本近辺の駅はだいぶ改装が進んで近代化されているそうですが、村井駅は昔ながらの田舎駅の風情を残していました。こんな旅でもしなければ通過するだけの駅だったと思われ、実際「村井」と聞いても、私としたことが最初はどのあたりなのかよくわからなかったほどです。
 駅前にちょっとした医療ビルがあり、眼科も入っていたので、前夜にコンタクトレンズでトラブって不調な左眼を診て貰おうかとも思ったのですが、残念ながらわずかに診療時間を外れてしまっていました。あいかわらずゴロゴロした感じがあり、時折ちくちくと痛みも覚えるのですが、まだレンズがどこかにひっついているせいなのか、それともこすったり圧したりしたために眼が充血してしまったせいなのか、素人では判断できません。
 駅前の道をしばらく行くと、広い道路に出ました。国道19号です。左側のほうを見るとショッピングセンターのようなものがあるらしく、そのあたりにまとまって飲食店もあるようでした。
 マダムは体重計を見て、健康センター内の食堂で食事することに怖じ気をふるったようです。入浴前は、翌朝も朝食ビュッフェで食べるようなことを言っていたのに、そのショッピングセンターで食べ物を買って帰ることに意見を改めました。本当は健康ランド内には飲食物の持ち込みが禁止となっており、内緒にしなければなりませんが。
 夕食も、その近くの回転寿司屋で済ませました。東京では見ないチェーンで、富山あたりが本拠であるようです。ネタがたいへん良いので驚きました。寿司なら食べる量を調節できるので好都合かと思ったのですけれども、おいしくてついつい「普通に」食べてしまいました。
 陽の暮れた道をぶらぶらと歩いて宿に帰りました。少ないながらも運動したせいか、次に測った時にはマダムの体重も許容範囲に戻っていたようです。
 この日は40分のボディケアを予約してありました。私はタイ古式マッサージというのがわりと好きなのですが、ここでは若干料金が違ったので、普通のマッサージにしておきました。もっとも、信州健康ランドには無料で使えるマッサージ椅子もあり(他のところではたいてい有料)、そちらで済ませても良かったかもしれません。
 ともあれ大変心地良くなって、そのあとしばらく部屋で過ごしてから、また入浴しにゆきました。翌朝は5時頃に眼を醒ましたので、またもや風呂に行きました。この健康ランドグループは、未明に1時間、清掃のための閉館タイムがあるだけで、ほとんどずっと入浴できるのでありがたい限りです。何度も行ったクレストホテルは、朝に風呂が開くのがけっこう遅くて、早立ちの場合は朝風呂に入れないのが不満と言えば不満でした。
 ショッピングセンターで買ったパンとコーヒー、それにプチトマトで朝食を済ませ、8時過ぎにチェックアウトしました。この日29日(火)は、少し遠回りして家に帰ります。

 この項、もう一回だけ続きます。


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