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「8人の容疑者」挑戦記 [日録]

 鉄道謎解きに魔が差したわけではありませんが、またもやマダムの発案により、電車乗りまわし謎解きゲーム「8人の容疑者」にチャレンジしてきました。
 前回東京メトロが「リアル脱出ゲーム」を作っているスクラップという会社と協力して実施したイベントでしたが、今回は都営地下鉄です。メトロがやるならと、都営も負けじと謎解きイベントをはじめているらしいのでした。
 ただ都営地下鉄は、路線数にしても、ネットワークの稠密さにしても、東京メトロには遠く及びません。9路線、ほぼ200キロに及ぶ総延長を持つメトロに対し、都営地下鉄はたったの4路線、100キロちょっとでしかなく、しかも大江戸線を除いてはなんとなく四方に伸びているだけで、ネットワークを形作っているとは言いにくいものがあります。
 これでは、あまり複雑な謎を設定するのも大変でしょう。複雑な謎という意味は、解くのが難しいということではなく、この場合あちこち乗り降りさせるということです。どこかの駅に行かせるにしても、その経路が単純に往復乗車になってしまうようだと、プレイヤーたちが飽きてしまいます。
 そこで、都営地下鉄は京王電鉄と組むことにしたのでした。

 都営新宿線京王線と緊密に相互乗り入れをしているので、パートナーとしては妥当です。そして都営の場合、よく考えると京王と組むのが最上であることも納得できます。
 都営の4路線のうち、大江戸線は動力方式が異なることもあってどことも乗り入れしていません。三田線東急目黒線東横線に乗り入れていますが、メトロ南北線との共通乗り入れであるためややこしくなっています。また結節点が目黒という、ちょっと微妙な場所です。
 浅草線は地下鉄相互乗り入れの元祖だけあって、京急・京成と直通しています。結節点が泉岳寺押上という、目黒に輪を掛けて微妙な場所であるという点もありますが、京成を通じて北総鉄道などとも直通してしまっているため、各社の方針や思惑が入り乱れて面倒くさいことになりそうです。
 その点新宿線は片側だけの乗り入れで、本八幡側には直通する鉄道が無いため話が簡単、結節点は新宿という便の良い場所、京王の側は新宿からごく近いところに井の頭線という存在感の大きな支線を持っている点でも謎の設定がしやすいと思われます。都営がこの種のイベントを企画して直通鉄道会社と組む場合、京王がいちばんうってつけであることは明らかなのでした。
 実際、私たちもまず新宿に行き、そこで京王と都営両方の一日乗車券を買って謎解きをはじめました。

 この前のメトロの「地下謎」イベントでは、開始前に「謎解きキット」を購入しなければならず、一日乗車券(正確には「24時間乗車券」)はそのキットの中に含まれていました。
 今回は、参加するだけなら無料ですが、交通費は別払いになります。また、随所で中間報告をしたり、新しい情報を入手したりするために、スマートフォンが必須となります。私はスマホを持っていないのでタブレットを持ち歩きましたが、いわゆるwi-fiタブレットで、フリーのwi-fiが入るところでないと使えないので、あまり役に立ちませんでした。情報入手はマダムのスマホに頼りました。
 都営・京王の共通一日乗車券があれば良いのですが、そういうものは売られておらず、別々に買わなければなりません。京王の一日券は900円、都営のそれは700円ですから、この前の謎解きキット2160円ほどではありませんが、それなりの出費にはなります。果たして元が取れるだけ利用できるのかと心許なく思いました。
 先に結論から言えば、このイベントのためだけであれば、京王のほうは元が取れません(ヒントになってしまうかな?)。都営はかろうじて元が取れます。
 ただ、都営の一日券というのは、地下鉄だけでなく、都営交通全般、つまり都営バス都電荒川線、それに日暮里・舎人ライナーまで乗れるお得なパスで、あとで書きますが私たちはそれらを存分に利用したため、トータルでは充分元が取れてお釣りが来るほどでした。
 さて、新宿駅で貰った冊子を見ると、やはり電車に乗る前にちょっとしたパズル解きをする必要があって、そうしないとどこへ向かって良いのかわからないようです。この前池袋駅で頭をひねったときの問題に較べればだいぶ簡単でしたので、その場ででも解けそうでしたが、マダムに落ち着いて考えて貰いたかったこともあり、近くのコーヒーショップに入りました。
 設定は、探偵助手である「あなた」つまりプレイヤーが、新宿駅の駅員事務室から盗まれた「秘密のダイヤ」を持ち去った犯人を見つけ出すというものでした。犯行は前後1時間のあいだにおこなわれ、そのあいだに駅員事務室を訪れた8人(プレイヤー自身も含む)が容疑者というわけです。そのうちプレイヤーを除く4人の名前がすでにわかっており、最初のパズルを解いて出てくる4つの駅に行くと、その4人の証言が得られるという仕掛けでした。
 もっとも証言の大部分はすでに冊子に書かれており、いくつか穴の空いた文になっているだけですので、それぞれの駅ではその穴を埋めれば良いことになります。いくつかの穴には「証言番号」がついており、あとで中間報告などをするときに必要になるので、こういう形式を採らざるを得なかったのでしょう。
 証言を得る方法は、それぞれの駅に行くとパネルというかポスターが用意されていて、そこに全部書いてあるのでした。穴のところに書いてある言葉を書き写せば調査完了です。
 おそらく……とは思いましたが、やはり好天の日曜日ということもあって、どこの駅でもチャレンジャーがパネルの前に群がっていました。私たちの他に誰も居なかったのは1箇所くらいです。必ずしも1本のルートで解かなければならないわけではなく、何箇所かある(最初の問題では4駅)目的地をどういう順番で廻っても良いので、同じメンツがいつも同じところに居る、というのではありませんでしたが、どうも予想以上にチャレンジャーが多いので驚きました。もちろん謎そのものはそれほど手の込んだ難しいものというわけではないので、大半がクリアできたことでしょう。今日だけでもあれだけのクリア者が居たのであれば、抽籤で当たる賞品などは望み薄です。
 それはさておき、新宿駅のコーヒーショップで、マダムは存外簡単にパズルを解いていました。マダムもだいぶこういうのに馴れてきたのかもしれません。こんなに簡単なら店になど入らなくても良かったかなと思いましたが、その周辺の各種店舗にマダムが興味津々でしたので、まあ良しとしましょう。しょっちゅうマダムに呼び止められながら、移動を開始しました。

 例によって、イベント期間が終わるまでは詳細は書けません。どの駅へどういう順番で廻ったかというようなことを書けば、ヒントというよりほとんど答えをバラしているみたいなことになります。
 途中で昼食をとりましたが、それが私にとっては非常に懐かしい場所で、懐かしいものを食べたのでした。しかしそれが何駅の近くなのかということを書くわけにはゆきません。なぜ懐かしいのかも書けないでしょう。私の日誌の他のエントリーとか、MIC's Convenienceの他のコーナーとかを注意深く精査すれば、何駅なのか見当がつかないとも限らないからです。
 以下、ネタバレにならないように書き進めることにいたします。
 4つの駅で4人の容疑者から証言を得ると、他の3人の容疑者(自分自身は除くので)の名前がわかるようになっています。ここまでが第一段階で、まずボスである探偵に報告を入れます。
 すると、ボスが新たな情報をくれます。また、第二段階のパズルを解き、次に行くべき駅(3つ)を割り出します。パズル自体はごく初歩的なもので、マダムにしてもこちらもわりとあっさり解いていました。
 名前がわかった3人からも証言をとり、それまでの証言や証拠物件、それにボスからの新情報などを照らし合わせると、相互に矛盾するところが出てきます。それで、矛盾する証言をした人物をふたたび問いつめることになります。こういうところでスマホが必要になります。
 すると、案の定その容疑者は証言をひるがえします。
 実は、証言をひるがえした証人を軽々しく信じてはいけないというのが探偵捜査術の鉄則だったりするのですが、今回の場合は、当の矛盾した証言の件以外、関係者はまったくウソをついていない……ということが、冊子の注意書きで保証されています。これでは推理小説としても初心者向きというところです。
 第二段階の証言は3つの駅で得られるので、3つのどこが最後になるかは人によってバラバラであるはずなのですが、どうもいちばん都心に近いところで終わらせたい気分が誰にもあったようで、その駅の構内にあるイートイン付きのパン屋の席はチャレンジャーでいっぱいでしたし、外へ出ていちばん近くにあるコーヒーショップにもチャレンジャーがあふれていました。
 第二段階をクリアして第三段階に向かう前には、ある程度腰を落ち着けてスマホなどを操作する必要があるので、その駅で滞留してしまっていたようです。他の2駅の周辺を調べたわけではありませんが、たぶんその駅ほどではなかったのではないでしょうか。
 冊子は警戒色とも言えそうな派手な黄色をしているので、チャレンジャーであるかどうかはひと目でわかるのでした。
 そこからは最後までほぼ一本道ですので、関係各駅のパネル前の賑わいといったら苦笑ものでした。
 第二段階では最終的に容疑者を3人まで絞ります。そしてまたボスから新情報を得て、第三段階で犯人を割り出すことになります。しかし、割り出した犯人は盗んだ「秘密のダイヤ」をどこかに隠してしまったため、その犯人を追いつめるための最終証拠品を見つけるのがファイナルミッションです。このファイナルミッションをクリアするためのボスからのアドバイスが、なんとなく「語るに落ちた」みたいな雰囲気があって可笑しかったのですが、ともあれ無事に謎解きを終えることができました。
 昼食やコーヒーショップに寄ったり、ときどきマダムの脱線(ある駅で、少し周りを散策してみたいとか言い出したり)が入ったりしたので、少し時間はかかりましたが、正味としては標準並みの解決時間であったろうと思います。この種のイベントでは電車での移動があるため、解決時間をそんなに劇的に短くすることはできませんし、早上がりしたほうが面白いというわけでもありません。けっこう楽しい謎解きでした。

 どうも一日乗車券を使い足りないような気がしたので、最終到達地の駅から、都営一日乗車券を駆使して帰宅することにしました。
 それがどこなのかはやはり書けませんが、そこから地上に出て、都営バスに乗り、とあるJR駅に着きました。そこからもう一回都営バスで……このあたりからは書いても良いでしょう、日暮里まで出てきました(つまり、日暮里から都営バスを2本乗り継いで行ける都営地下鉄か京王の駅がイベントの最終到達地というわけですが、この条件を満たす駅はいったいどのくらいの数になるのでしょうか)。
 日暮里から京浜東北線で帰宅しても良かったのですが、行けるところまでは行ってしまおうとマダムと私の意見が一致し、日暮里・舎人ライナーに乗り込んで江北で下りました。最初に書いたとおり、都営一日乗車券で、日暮里・舎人ライナーにも乗ることができます。
 江北駅近くの江北四丁目のバス停から池袋駅行きのバスに乗り換えます。池袋と西新井という、ちょっと予想外な地点を結んでいる路線があり、それが江北あたりを通るわけです。もしかすると、かつて計画されていた東武西板線の代替路線かもしれません。
 このバスを豊島五丁目団地で下りると、そこを起点とする赤羽駅行きのバスがあり、これが最終ランナーです。赤羽からはもう都営バス路線が無いので、素直に京浜東北線で帰りました。
 帰途だけで、つごう4回の都営バスと、それに加えて日暮里・舎人ライナーに乗ったわけで、普通に乗ればこれだけで千円を超えます。これなら都営一日券を使い潰したと言っても良いでしょう。帰途に使った交通費は赤羽~川口間の133円だけで、マダムに至っては定期券を持っているためそこすらもタダと言えるほどでした。
 ただし時間はたっぷりかかり、最終到達地の駅を発ってから、帰宅するまで3時間以上かかりました。素直に電車だけで帰ってくれば1時間かそこらだったと思いますが。
 私たちとしてはそれで満足でしたが、イベント自体のことを考えると、もう少し一日乗車券などを買って得したと思えるくらいの移動があって良いかもしれません。また駅名を割り出すためのパズルは、もっと難しいものを期待したい気がします。とはいえ、一般的に謎解きを愉しめる水準となるとあのくらいなのかな、とも思うのですが。
 マダムがだいぶ味をしめてしまったようで、またそう遠からず、この種の謎解きイベントに挑戦するかもしれません。


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