SSブログ

浅草の休日 [日録]

 今日、11月14日埼玉県民の日です。
 県内の公立学校が休みになるほか、いろんな施設などで入場料が無料になったり割引になったり、あるいはふだん見られないところを見ることができたりといったイベントがおこなわれます。
 私などにとって気になるのは、県内を走る私鉄各社が、乗り放題のフリーパスを発売することです。県内を走っている私鉄会社は、東武鉄道西武鉄道秩父鉄道埼玉高速鉄道埼玉新都市交通つくばエクスプレスの6つです。このうち全線またはほぼ全線が埼玉県内を走っているのは秩父鉄道・埼玉高速・埼玉新都市の3社で、この3つは全線乗り下り自由のフリーパスを販売しています。
 東武と西武は、県内に限り乗り下り自由にしています。東武では、スカイツリーライン谷塚以北と、伊勢崎線羽生まで、日光線柳生まで、それにアーバンパークライン野田線)の大宮南桜井間。それから東上線和光市以北と越生線の全線が範囲となります。伊勢崎線系統と東上線系統が完全に分離しているわけですが、秩父鉄道のフリーパスを併用すると、かなり使いでのある切符となります。
 西武は、池袋線新宿線も、所沢より先が範囲となります。どちらも所沢の手前の駅までが東京都なのでそうなるわけです。あとは西武球場へ行く狭山湖線と、レオライナー山口線)の遊園地西西武球場前間も乗れると思います。所沢という結節点が埼玉県内であったのは幸いで、そうでなければ池袋線と新宿線を乗り継ぐためには別に運賃を払わなければならないところでした。池袋線~秩父線はかなり使いでがありますが、新宿線の所沢~本川越間というのは、そんなに見どころも無くあんまり面白くないかもしれません。
 残るつくばエクスプレスですが、この線は埼玉県内にある駅が八潮三郷中央のふたつだけで、そこだけでは乗り下り自由のメリットがあまりありません。それで全線フリーパスということにしていますが、その代わり他の会社に較べるとだいぶお高くなっています。
 私は何年か前に、東武・西武・秩父の3社のフリーパスを使って、一日乗り潰したことがあります。また、そのあとに、マダムと一緒に埼玉高速のフリーパスを使って駅前探訪をしたこともあります。
 今年も、県民の日に遊ぶのであれば、まずはフリーパスで乗り潰しということを考えたのですけれども、マダムが午前中仕事があって、午後しか空けられないとのこと。それでは乗り下り自由と言ってもあまり活かされませんので、別の特典を探してみました。
 いろいろある中で、浅草花やしき遊園地が、埼玉県民に限って入場料をタダにするということをやっているのを発見しました。これは埼玉県だけを特にひいきにしているというわけではなく、首都圏の都県であればいずれも、都民の日・県民の日の周辺数日を、入場料無料にしているのでした。例えば神奈川県民は10月17日から1週間、茨城県民は11月13日までの1週間といった調子です。そして埼玉県民は14日から1週間が無料になるわけです。運転免許証や保険証など、住所を確認できるものを持ってゆけば入場できます。
 浅草の花やしきといえば、日本最古の遊園地であり、きわめて狭い敷地にアトラクションを詰め込んでいるので、ナガシマスパーランド富士急ハイランドなどとは別の意味でむちゃくちゃスリリングだと言われます。ジェットコースターなど、あたかもまわりに建て込んだ民家などに突っ込んでゆくかのような勢いで、スピードや距離こそ大したことはないものの、かなり怖いという話でした。広々とした平野を高架で走る新幹線よりも、下町の建て込んだ中を疾走する京急の快特のほうがスピード感が感じられるようなものでしょう。
 大学が上野だったので、目と鼻の先の浅草に行く機会などいくらでもあったにもかかわらず、花やしき遊園地については、上のような話を仲間から聞くばかりで、自分で足を運んだことは一度もありませんでした。マダムも行ったことはないとのことです。
 今年の県民の日は、童心に戻って、花やしき遊園地初体験をふたりでこなしてこようと決めました。ネズミの国のような広大な敷地に多数のアトラクションがあるわけでもないし、午後いっぱいくらいでちょうど良いでしょう。マダムの仕事は八柱なので、武蔵野線南越谷まで戻ってきたところで待ち合わせ、乗換駅であるスカイツリーラインの新越谷から浅草に向かえば、アクセスもわけはありません。
 考えてみると、マダムと遊園地に行ったことはそう多くありません。本格的な遊園地としては、結婚前のデートで東京ドーム・ラクーアに行ったのと、結婚した年の暮れにUSJ、翌年の夏にネズミの海へ行ったくらいです。観覧車に乗ったことは数回ありますが、遊園地というわけではありませんでした。あとサンリオピューロランドナムコナンジャタウンなどの屋内型アミューズメントには行きました。いずれも10年以上前です。久しぶりに遊園地に行くのも悪くありません。合唱祭が連続した忙しい時期を終えての骨休めにもなります。

 13時ちょっと前に、南越谷駅の改札口でマダムと落ち合いました。
 そのまますぐ、スカイツリーラインに乗り換えようとしたのですが、マダムが新越谷駅の駅ビルの中の店に引き寄せられてしまい、なかなか電車に乗れません。カルディをひとわたり見たり、300円ショップでカワイイ付箋を買ったりと、ひどくのんびりしています。
 結局急行電車に乗り、曳舟で鈍行に乗り換えて浅草に着いたのは、もう14時になっていました。
 花やしきへの道順も把握していません。駅の案内図を見て、とにかく浅草寺を目指せばよいことがわかりました。浅草寺から左側の道を進むと花やしき遊園地となるようです。
 浅草寺への道すがらも、マダムはあちこちの店に吸い寄せられて、容易にらちがあきません。花月堂で大きなメロンパンを買わされました。私は早いところ遊園地に行きたいのですが、マダムはぶらり浅草散歩という気分であるようです。
 浅草寺を経由するので、一応お詣りもしておきました。二礼二拍手一礼で詣ったあと、考えてみると、ここは神社でなくお寺であったことを思い出しました。すっかり神仏混淆してしまっています。お寺なので、拝礼の前後に会釈すれば良かったのでした。もっともおみくじを大量に用意したりして、寺のほうも神仏混淆しているようです。
 それに気づく前に、ついおみくじも引いてしまいました。浅草寺のおみくじは「凶」が出る率が高く、私が前に一緒に来た人(ちなみに「昔の彼女」などではありません。グループで来たときの参加者というだけです)は二度引いて二度とも「凶」で凹んでいました。マダムの母も二度「凶」を引いたそうで、そのときマダム自身は「大吉」だったとか。
 今日引いてみたら、マダムはまたも大吉を引き当てていました。大したものだと思う一方、こんなおみくじで運を使ってしまうのもいかがなものかとも考えました。私は「末吉」で、書いてあることはほとんど「凶」と変わりません。なおここでは、読み終えたおみくじをその辺の木の枝に結びつけて換えるのは、「凶」「大凶」だったときに限るのだそうです。「末吉」では持って帰らなければなりません。
 本堂から左へ行くと、花やしき通りというのがあり、そこを進むと遊園地の入り口がありました。狭い遊園地だけに、入り口もこぢんまりとしています。

 ネットで、平日の午後は空いているという情報があったのですが、ほとんど休日並みの賑わいで、アトラクションも30分待ち40分待ちということになっているようでした。考えてみれば、埼玉県下の小学生は今日は学校がお休みです。子供たちが押し寄せるのも当然でした。来年以降、また同じような無料デーに来ようとするのであれば、1週間あるのですから、県民の日それ自体は避けたほうが賢いでしょう。
 無料になるのは入場料(通常千円)だけで、アトラクションの利用料金は別にかかります。フリーパスを買おうとしたら、窓口のおばさんに諫められました。なんでも花やしきは目下改装中で、いくつものアトラクションが運休になっている。稼働している少ないアトラクションにお客が集中するので、上記のとおり30分待ち40分待ちという事態になっている。フリーパスの元を取るには、のりもの券25枚分以上乗らなければならないが、この状態ではそんなに使い切れないでしょう。回数券を少なめに買って、あとで買い足したほうが良いですよ。
 いちおうおばさんの諫めに従い、フリーパスを買うのは断念しました。ただ、のりもの券25枚というと多いようですが、実は1枚で乗ったり参加したりできるアトラクションは無く、最低で2枚必要です。派手なアトラクションほど枚数が要り、4枚5枚と必要なものもあるので、案外すぐに消費します。とはいえ、終わってみると22枚ずつ使っており、微妙に採算ラインを割っていました。
 残念ながら、民家に突っ込みそうで怖いと評判のローラーコースターは運休中のうちのひとつでした。他にもシラサギリトルスタースリラーカーなど面白そうなのが運休しています。
 稼働している中で、いわゆる絶叫型のは、高い柱に沿って座席を射出するスペースショットと、ローターとパイレーツを組み合わせたようなディスク・オーのふたつです。とりあえずこのふたつには乗らなければならないでしょう。
 スペースショットは案外待ち人数が多くなかったので、最初に乗りに行きました。待っているときに間近で見ると、射出はかなり高速で、しかも高度も相当なもので、けっこう怖そうです。マダムも半ばびびっていました。
 安全バーのベルトが、私の腹には短くて、座席を代わるなどのトラブルがありましたが、なんとか無理矢理留めて貰いました。少しおなかをひっこめなければならんと思います。しかし無理矢理留めただけに私はほとんど身動きがとれず、逆に安心できるようでもありました。
 一挙に数十メートルを跳ね上がります。見る間に視界が開けました。隣の座席ではマダムが信じがたいような絶叫を上げています。
 跳ね上がったあとは、落下しかけたと思ったらまた停まって小刻みに跳ね上がったり、また落下したりを何度か繰り返し、最後はわりとゆっくりと降下しました。マダムはその都度
 「ひゃぁぁぁ、ぎゃぁ~~あ」
 と叫び続け、降下したあとで盛大に咳き込んでいました。
 確か結婚前のデートで東京ドーム・ラクーアへ行ったとき、マダムこと当時のはっちぃは、
 「わたしはこういうので叫んだことは無いから」
 と豪語していたはずです。もっとも、そのときも豪語にもかかわらず思い切り絶叫していたと記憶しますが。誰と一緒に乗るかによるのかもしれません。
 久しぶりの遊園地でいきなりの絶叫マシンで、マダムはだいぶ凹んでいました。最近彼女は降圧剤を服んでいるのですが、そのせいか心臓が弱いという被害妄想にかられているようで、
 「なんか心臓が痛い。死ぬかも」
 などと口走っていました。ちなみに私のほうは存外と平気で、血圧や脈拍が高まった気もしません。外が見えるエレベーターが増えたからでしょうか。
 少し毒消しをするべく、次には園内を高架の軌道で一周するスカイシップに乗ろうと思ったら、30分待ちだということなのでひとまず断念。あまり行列の長くないびっくりハウスに入ることにします。これはのりもの券2枚、つまりいちばんイージーなアトラクションで、その分仕掛けもしょぼいようでした。よくあるヤツで、軽く揺動する長椅子に掛けていると、部屋の内装のほうがぐるぐると回転しはじめ、眼の錯覚で自分が回転しているように感じる、というものです。マダムは仕掛けを知らなかったらしく、
 「バッグの中とか落ちたりしない?」
 などと訊いてきましたが、私はあいにくと仕掛けを知っているために、眼の錯覚も起こらないようでした。結論から言うとさほど面白くありません。時間もごく短かったのでした。
 次にディスク・オーに挑戦します。このアトラクションのキモは、揺動に回転が加わっているために、不規則な感じで落下したり上昇したりするところにあります。つまり、次の動きが予測しづらいわけです。私はむしろこちらのほうがスペースショットよりもスリリングに感じました。回転の具合によって、いわば横に落ちてゆくような感じになるときは若干
 「うっぷ……」
 と言いそうになります。もちろんマダムはこちらでも絶叫のし続けで、終わったあとまたもや盛大に咳き込んでいました。ただし、マダムとしてはスペースショットのほうが怖かったようでした。
 スカイシップの行列がかなり短くなっていたので、次にそれに乗りました。しばしののんびりした時間が過ぎます。スペースショットやディスク・オーの間近を通るので、タイミングによっては迫力あるスペクタクルになったと思いますが、私たちが接近したときにはどちらもおとなしい状態でした。
 あとはお化け屋敷系のアトラクションに3つ連続でトライしました。そのものずばりのお化け屋敷は、花やしきのはけっこう怖いという評判だったのですが、私たちのあとに続いた女の子たちのグループが、なんと本日4回目のトライだったそうで、もう何がどんな風に出てくるか知り尽くしています。そのため平然とサクサク進んで、私たちに追いついてきてしまいました。さすがに追い越しはしませんでしたが、ネタバレしている女の子たちがうしろでケラケラ笑ったりしていたので、怖さが半減してしまいました。
 もうひとつは3D映画で、「ダイオウイカ対マッコウクジラ」なる短編を見ました。迫力はありましたが、近年は普通の映画館でも3Dをやっているので、びっくりという感じではありませんでした。
 最後に立ち寄った「ゴーストの館」は、ヘッドフォンをつけて3Dサラウンド音響による演出を愉しむというものでした。耳元でひそひそとささやかれると、怖いと言うよりも、息がかかっているわけでもないのにひどくこそばゆい感じでした。
 参加したアトラクションは以上で、上に書いたとおりのりもの券それぞれ22枚分を要しました。
 花やしきにはこの他、のりもの券ではなく現金で料金を払うアトラクションがいくつか存在します。迷路とか、宝探しとかがそのタイプで、特に現在開催している宝探しゲーム「謎解き花小町」など、2~3時間を要する本格的なものであるようでした。私などはむしろこちらのほうに惹かれるものを感じます。今度来ることがあればプレイしてみたいと思います。

 入り口と違うところから出ると、もう真っ暗です。まだ17時半くらいなのですが、すっかり陽が落ちるのが早くなりました。
 浅草という街は、縦横にいろんな商店街が錯綜して、どの道を通ればどこへ出るのかがなかなかわかりにくい土地です。いくつかの通りをぶらぶらと散策しました。
 夕食をとって帰ろうと考えています。で、夕食はラーメンにするつもりでした。浅草は実は国産ラーメンの発祥の地で、明治43年来々軒という店ではじめてラーメンが供されたとされます。『ラーメン大好き小泉さん』というアニメの中で、浅草を扱った回があったという記憶が残っていたため、昨夜、録画してあったアニメを見て予習していたのです。
 番組中で主人公の小泉さんは、浅草だけでなんと6軒のラーメン屋をハシゴします。屋号がはっきり出てきた店もあり、出てこなかった店もありましたが、いちおうリストアップしてみました。歩いてみて、意外とそれらの店に行き当たらないので不思議に思いましたが、2軒ほどはすでに店を閉じており、また2軒ほどはけっこう遠い場所にあるようでした。
 アニメには出てこなかった、やたらと安い店もいくつか見つけましたが、結局、アニメの中ではイチ押しされていた印象で、昼間に歩いたときにすでに場所を確認しておいた「与ろゐ屋」で食べました。この店は2回出てきます。それというのも、晩になると限定メニューの「富山ブラック」が登場するからで、一日10食に限られているそうです。
 昼間に見たときは店の前に行列ができていたのですが、晩に行くと列は無くなっており、店内も落ち着いた雰囲気になっていました。店員に訊いてみると、まだブラックは完売していないとのことだったので、私は普通のラーメン、マダムは迷わずブラックを注文しました。
 両者は麺の太さから違っていて、普通のラーメンは魚介系のスープに細い麺でしたが、ブラックのほうはチャーシューのタレをベースにした濃いスープに、かなり太めの麺が入っていました。いずれもたいへん美味でした。

 マダムは東京都のボランティアガイドに登録しており、ときどき浅草にまわされることがあるようですが、他の現場である上野や銀座に較べて、浅草については知らないことが多かったようです。今日あちこち散策して、だいぶ様子がわかってきたということでした。マダムにとってかなり有意義な半日であった模様です。
 また私も、浅草という街について、これまであまり興味を持ってこなかったのがもったいなかったような気がしてきました。もう少しちょくちょく訪れても良いと思います。

nice!(0)  コメント(1) 

nice! 0

コメント 1

Pague

絶叫系マシンはね、花やしきなんか全然だと思いますが、いくつかの事故を調べてみると、事故に遭われた方は大抵大柄な方で、シートベルトが締まっていなかった、安全バーが下りていなかった、車軸が折れた等です。痩せましょう!
by Pague (2018-11-17 12:53) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。