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続・温暖化と寒冷化 [世の中]

 9月も終わりというのに、日中の気温は30度、湿度は80%に達し、8月後半並みの蒸し暑さとなりました。いや、昔は確かに、8月も後半になれば、この程度の天候であったと記憶します。夕方以降などむしろ涼しさを感じたものです。それが8月は終わり近くまで連日の猛暑日&熱帯夜で、9月末になっても真夏日という、どうかしてしまったのではないかというような気候です。
 これも温暖化とやらの影響だろうかと思わざるを得ないのですが、温暖化とか寒冷化とかいう言葉は、科学上の概念である以上に、最近では政治的な匂いがつきすぎてしまって、安易に使うのを躊躇する……ということは前にも書きました
 例えばNASAなどは寒冷化説を主張しているわけですが、これはUSAが世界最大のCO2(二酸化炭素)排出国であることと無関係ではないはずです。USAとしてはCO2による温暖化などウソであるという学説に乗っかったほうが都合がよいわけで、そのためにNASAの御用学者に寒冷化説を言わせている(もしくは忖度した学者が寒冷化説を言っている)という事情は無いとは言えないと思います。
 それなら寒冷化説は、NASAがUSAの都合で主張しているだけのトンデモ説なのであるかといえば、それがそうも言えないところがこの問題の難しいところです。同じ政治的配慮は、温暖化説についてもまったく同じように言えるのであって、国の政府や大企業などの経済活動を掣肘するために、野党的な存在とか、あるいは経済規模の小さな小国などが都合良く利用している気配が濃厚に感じられます。この件に関して、真実を見究めるのは容易なことではありません。

 たぶん、地球規模の大きな気候変動としては寒冷化に進んでいるけれど、人間の経済活動の影響もあって、温室効果を持つガスの排出やヒートアイランド効果により、部分的・短期的には温暖化が加速している……といったところが正しい考えかたなのだろうと私は思っています。
 なんとなれば、いま人間が燃やしてエネルギーを得ている石炭や石油などの化石燃料が発しているCO2は、中生代の植物などが、当時の空気中にあったのを光合成のために取りこんだものです。つまりもともとこの地球上にあったものであって、恐竜が活躍していた時代のCO2濃度は、現代とは較べものにならないくらい高かったことがわかっています。巨大な恐竜を養うに足る巨大な植物がそれらのCO2を取りこみまくり、年月を経て化石となり、それを人間が燃やしているのが火力発電であるわけです。
 言い換えれば、石炭や石油をどれだけ燃やそうが、CO2濃度は恐竜の時代並みに戻るだけであり、地球には大局的に見てなんのダメージも与えません。ダメージがあるのは人間や現生動物のほうです。恐竜時代並みのCO2濃度下で、はたして人間が現在の形のまま、現在のような活動力を維持できるかどうか、それがまったく予測できないのです。
 ともあれ、1万年単位という大きな流れでは寒冷化に向かっているというのが正しいでしょう。しかし人間の活動のことを考えると、1万年単位で待っているわけにはゆかず、ここ数十年単位での温暖化現象をなんとかしなければならないというのもまた事実だろうと思います。
 私としては、化石燃料を燃やすことによって得られるエネルギーは減らしてゆくべきだと思っています。それならエネルギーを何に頼れば良いかというと、それはもう核融合しかありません。
 水力は偏在しすぎですし、ダムをもっとがしがし造れという意見に賛成する人は少ないでしょう。水の位置エネルギーを利用した、発電に際してまったく公害の出ないクリーンエネルギーには違いありませんが、ダムを造ることによる環境負荷は大きいものがあります。
 風力地熱潮力などの自然エネルギーは原理的に安定供給が望めず、補助的に使うのならともかく主力にはなり得そうもありません。
 ならば太陽光となりますが、太陽電池のエネルギー変換効率が劇的に上がらない限りは、これも主力は無理そうです。家庭で使う電力の足しくらいにはなりますが、工業その他の経済活動を賄うには、現状ではまったく役に立ちません。千葉での大停電のとき、巻き込まれた知り合いの家では、昼間だけは太陽光発電のおかげで冷蔵庫が機能しており、それほどものを腐らせずに済んだと言っていました。屋根いっぱい敷き詰めたソーラーパネルでも、せいぜいそんなものです。土手を削ってソーラーパネルを設置したために、大雨のとき洪水が起こったなんて話もあり、太陽電池自体がけっこう環境負荷の大きな存在と言わざるを得ません。
 究極的には核融合しか無いと私は思っており、そのための研究には人類の持つリソースを最大限つぎ込むべきだと考えています。核融合発電を軌道に乗せるためには、もういくつかのブレイクスルーが必要であり、ブレイクスルーを生み出すためには何よりも研究費が必要なのです。
 核融合発電には放射性物質の生成が必然的に伴ってしまいますが、核分裂のウランとかプルトニウムとかのように扱いに困るものではありません。しかし放射性物質を安全に扱うためのノウハウは、現在の原子力発電の場でしっかりと継承・発展させるべきです。
 また、核融合には燃料として三重水素が必要です。これは自然界ではなかなか見つからず、いまのところリチウムを精製することで作ることになっていますが、実はこの三重水素こそ、福島の原発跡でタンクに貯蔵され、風量被害をおそれて捨てるに捨てられず困っているトリチウムのことにほかなりません。つまり、原発とは、核融合炉の燃料製造器でもあることになります。
 現在、外国の原発では、福島よりもはるかに放射能の高いトリチウムをそのまま海に流していますが、もったいないことをするものだと思います。まあ、核融合のメドがつくまで保存しておくというわけにもゆかないでしょうが。
 以上の理由で、私は現在の形の原発を継続もしくは改良して利用してゆくことに大賛成なのですが、これも賛同者は少なさそうです。
 本来、現時点においては火力と原子力は二者択一みたいなもので、CO2排出を止めたいのならば原発を推進するしかないし、原発を撤廃したいのならばCO2の増加を看過するしかないはずです。しかし、往々にして、双方の反対者は、双方を兼ねていることが多いようです。つまり、

 ──CO2を排出する火力発電は減らすべきだ。原発も放射線が怖いから廃絶に持ってゆくほうが良い。でもそのふたつを切った場合の有効な代替エネルギーが思いつかない。

 というのが、現時点で多くの人々が抱いているジレンマ(二律背反)というかトリレンマ(三すくみ)でしょう。
 そこで過激な向きは、エネルギーそのものを減らせ、言い換えれば経済活動を減らせと主張することになります。

 先日開催された国連総会で、グレタ・トゥーンベリというスウェーデンの女の子が、怒りのスピーチを披露して話題になりました。気候の危機により、生命の危機や多くの難民が生まれている、怖ろしいことだ、というのです。先進諸国はただちに経済活動を控えて気候変動に対処すべきだと言うような趣旨でした。16歳の女の子が国連で堂々と主張したということで、各国のメディアはこぞって報道しました。日本のテレビでも盛んに採り上げられています。政府や大企業は、この少女の訴えに真摯に向き合うべきっではないか、というわけです。
 もっとも、主張そのものはいままで環境派と呼ばれる活動家たちが叫んできた内容と大差はありません。子供がそういうことをちゃんと学んで、自分の言葉で主張したというところに意義があったようです。わが国の、就任したての、いささか頭の中がおめでたい環境大臣も、グレタ嬢の主張に大いに感銘を受けた旨発言していました。
 グレタ嬢は「環境少女」などと呼ばれるようになり、数日間は、その主張に異議をはさんだりすると、

 ──子供を叩くなんて、なんという非道な!

 といった反応ばかり返ってきた感じでしたが、あいにくなことにいまやネット社会で、一週間も経たないうちに化けの皮がはがれてきました。
 いくつか要因はありましたが、まずは彼女の母親が、
 「うちの娘は、二酸化炭素が『見える』のよ」
 などと発言したことで、一挙にうさんくささが跳ね上がりました。
 「あ、そういうことを言う親の子供なわけね」
 とみんなが察してしまったわけです。
 どんな超能力があれば二酸化炭素が見えるようになるのか、そもそも二酸化炭素というのは空気中に本来かなり多量に含まれているガスですので、それが全部見えるとすれば気が狂ってしまうに違いありません。どうも、グレタ嬢の両親自身が、かなり過激な活動家であるらしいことが見えてきました。
 次に、彼女の日常生活を写した写真が出回りました。写真に写っているだけでも、おびただしいプラスティック製品に囲まれており、とても「環境少女」の日常とは思えません。
 さらに、ニューヨークから帰国する方法が無くて困っているという報がありました。グレタ嬢はスウェーデンからUSAまで、CO2の大量排出装置でもある飛行機には乗ろうとせず、ヨットに乗って大西洋を横断してきたのでしたが、そのヨットが破損してしまって出航できないのだそうです。USAで修理することができず、フランスから修理業者を呼んだということですが、その修理業者は当然飛行機で駆けつけましたし、替えの部品なども飛行機で取り寄せています。また、ヨットを操縦してきた大人たちは、とっくに飛行機で帰りました。グレタ嬢ひとりが飛行機に乗らずに済ますために、ずいぶん多くの人が飛行機で行ったり来たりしているわけで、そこまでして飛行機を避けることに意味があるのかと疑われても仕方がありません。そういえば、北朝鮮の先代金正日も、いまの金正恩も、飛行機が嫌いで、外国へ行くにもお召し列車での移動を強行し、関係者一同に多大な迷惑をかけていますが、なんだか似た話のように思えてなりません。
 グレタ嬢は本国でも、金曜日には学校をボイコットするなどの不思議な行動をしており、発達障害の診断も受けていることが明らかになっています。
 そんな女の子が、環境問題などについて、自分の経験から何か意見を持つとは思えません。その手の本を何冊か読んだか、あるいは周囲の大人から吹き込まれて、いっぱしの活動家のような意識を持ったに過ぎないのではないでしょうか。自分の16歳の頃を思い出しても、社会や政治などについてそれなりの意見は持っていたつもりですが、いかにも頭でっかちでお花畑だったなあと回想せざるを得ないのでした。私などは頭の中だけで終わっていましたが、両親も活動家というような環境に育てば、外に向かって叫びはじめるのというのも理解できます。
 彼女は今年のノーベル平和賞を獲るのではないかなどとも噂されていますが、5年ほど前にやはり国連でスピーチをおこないノーベル平和賞を受けた、当時17歳の少女であったマララ・ユスフザイさんに較べて、その思想も主張もいかにも薄いと言わなければなりません。基本的に男尊女卑なイスラム社会の中で女子教育の必要性を訴え、ときには反対派に暗殺されかかるという苛酷な運命に見舞われ続けたマララさんの主張は、さすがにその数奇な経験に裏打ちされた思想の厚みを持っており、迫力も段違いでした。
 意地悪な見かたをすると、マララさんの成果をまのあたりにした環境活動家たちが、子供を押し立てれば効果的であると判断し、人寄せパンダとしてグレタ嬢を祭り上げたと考えられないでもありません。そうだとすればむしろ卑劣なおこないであると言えるのではないでしょうか。
 とりあえずグレタ嬢は、マララさんのように直接生命を脅かされたなどという経験は無さそうですし、むしろ大西洋横断のためのヨットを乗員ごと雇えるような(カンパがあったのかもしれませんが)きわめて裕福な家庭で、何不自由なく育った少女という印象があります。ただ目つきだけは、何かに憑かれたような、立派に活動家特有の目つきになっていたようですが。
 さらに彼女のうしろだてになっていたアースジャスティスなる団体が、中国の息のかかったものであることも暴露されました。ちなみに沖縄ジュゴン訴訟を起こしたのもこの団体です。中国はCO2排出の多さにかけてはUSAと肩を並べる世界ツートップですから、グレタ嬢の主張の説得力はさらに低下した観があります。
 子供の言っていることだし、そんなに意地悪くあれこれ暴き立てなくとも良いではないか、と思う人も少なくないでしょうが、批判的な人の多くは、グレタ嬢に対して腹を立てているというよりも、グレタ嬢を担ぎ上げて無茶な主張を通そうとした大人たちに厳しい眼を向けているのだろうと思います。
 本当にノーベル平和賞にノミネートされるかどうかはわかりませんが、そんなものを獲らないほうが、彼女の将来のためなのではないでしょうか。

 しかしながら、グレタ嬢もひとつ、良いことを言っています。
 「あたしの言葉は聞かなくてもいい、でも科学者たちの言葉を聞いて!」
 と彼女は言いました。
 まったくそのとおりで、温暖化か寒冷化かなどという議論は、ぜひとも政治の場から離して、純粋に科学的課題としてやっていただきたいものだと思う次第です。
 たとえ短期的な気温上昇であっても、人間の生活には大きな影響が出るわけですので、温暖化否定派の学者も、「大きく見れば寒冷化に向かっている」などとのんきに構えていないで、気候変動への対策を考えていただきたいものです。

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