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e-Taxの初利用 [日録]

 今年の確定申告を済ませました。
 例年は3月15日が申告期限です。今年は15日が日曜日、その前の14日も土曜日ということで、月曜日の16日が期限になっていました。
 例によってその直前になって、申告書類を作らなければなと思い、期限を確認するために国税庁のホームページにアクセスしたところ、コロナウイルス騒ぎのため、今年は1ヶ月延長して、4月16日を期限とする旨の通告が書かれていました。毎年、期限日の税務署には長い行列ができているのが常です。また申告書類の記入の仕方がわからない人のために税務相談というのが催されていますが、その会場も大にぎわいで、しかも相談者と税理士がお互いの息をかぎあうくらいの距離感で向かい合っています。コロナ予防の観点からは好ましくないので、人を分散させるために期限を延長したようです。
 もっとも、いつもギリギリに提出しているような私のようなだらしのない人間は、延長したところでやっぱりギリギリになるのではないかという懸念があります。つまり、いつも3月なかばに繰り広げられている大混雑が、4月なかばに移動するだけではないかという気がしたのでした。
 しかし、私は去年の申告のとき、e-Taxの手続きをしてきました。
 e-Taxが導入されたのは、もうずいぶん前のことであるように思いますが、手続きのためにはいちど税務署に足を運ばなければならないのが面倒で、それまでやっていなかったのです。いまどき、本人が行かないと手続きできないとは遅れている、ネット経由で済ませられないものか、などと感じていました。そのうち手続きもネット化されたらやってみようか、とも考えていたわけです。
 たまたま、去年申告に行くと、e-Taxの手続きのお勧めのチラシが目立つように積まれており、その日は別に急ぐ用事もなかったことから、手続きしてみようかと思い立ったのでした。
 去年は確定申告の期限最後の日ではなかったと思うのですが、それに近かったことは事実で、税務署員はみんな忙しそうにしており、順番待ちのカードを取ってもなかなか呼ばれませんでした。
 20分ほど待って、ようやく順番となり、署員の指示に従って端末にいろいろ入力します。それからまたしばらく待つように言われ、こんどは10分くらいで、「重要書類」と書かれた何枚かの紙を貰いました。要するに16桁のIDナンバーとパスワードが示されていて、それを国税庁のサイトで入力すれば、e-Tax、つまり電子申告が可能になるというのでした。

 確定申告はすでに30回以上していますが、最初の頃はもちろん記入方法が全然わかりませんので、税務相談に行って税理士のアドヴァイスを受けながら数字を入れてゆきました。申告書類というのはまったくもってわかりづらく、特に控除類がややこしいことこの上ありません。税務相談を省略できるようになってからも、基礎控除をうっかり計算に入れ忘れていたことなどもありました。相談窓口の隣で、音を上げたらしき老人が、
 「そう言われたって、わからん。あんた書いてくれんか」
 と叫んでいた記憶もあります。
 「いや、ご説明はいたしますが、記入はご自身でやって貰わないといけないことになっておりますので」
 「わからんもんはわからん。前は書いてくれてたじゃないか」
 「規定が変わったもので」
 老人はなおも、だだをこねるような悲痛な声を上げ続けていました。
 たぶん数回ほど税務相談を利用し、その後は前年の控えを見ながら自分で記入するようになりました。
 結婚した次の年くらいから、書類のweb作成をはじめました。国税庁が用意しているwebソフトで、記入欄に入力してゆき、最後にプリンタで印刷すると、書式がちゃんと調った申告書類が出てくるというものです。
 これは便利でした。必要な記入が洩れていると、エラーメッセージが出るのですぐにわかります。数字の計算も正確で、うっかりミスなどはありません。収支内訳書とのリンクのさせかたとか、源泉徴収の記載のしかたとか、いまだに迷ってしまう部分も無いではありませんが、それでも全部手書きするのに較べれば圧倒的に楽です。何年か前、パソコンの不具合のため──というかパソコンが古くなってwebソフトが動作しなくなってしまったため──に久しぶりに手書きで記入してみましたが、入れるべき数字をすべて準備して税務署へ行ったにもかかわらず、記入が終わるまでは1時間半くらいかかってしまいました。
 何より気分が楽なのは、webソフトで作成してプリンタで打ち出した申告書だとわかると、税務署員のチェックが非常に簡単になることです。必要書類が揃っているかだけ確認すると、すぐに受領印を捺してくれるので、提出が実に短時間になりました。手書きの場合は、やはり記入漏れとか計算間違いとかを懸念してか、かなりじっくりと書類を点検され、こちらはなんだか脱税でもしているような落ち着かない気分になってきたりしていたものです。その点、web作成の書類の場合は、数字には間違いはないだろうと判断してのことだと思いますが、確認作業がいかにも簡単なのでした。
 そしてe-Taxになると、提出のために税務署に赴く必要すらなくなります。自宅のパソコンから(最近はスマホからでも)直接国税庁に、webソフトで作成した書類のデータを送ってしまえるのでした。
 当然ながら、保険料などの払込証明書とか、医療費の領収書、それに源泉徴収票など、いままでは書類に添付しなければならなかった各種の証明書類も、提出を省略できることになっています。何かの不都合があって税務調査などが入ったときに呈示する必要などはあるでしょうが、そうでない限り申告の数字を信用するということでしょう。
 ずいぶんと楽になるので、なぜいままで手続きしなかったのかと自分でも不思議なほどでしたが、やはり直接出向くことの面倒くささが先に立っていたとしか言いようがありません。税務署なんてところは、申告書の提出でもない限り足を踏み入れたい官庁ではないわけですし。
 去年たまたま、出来心みたいな感じで手続きしておいたので、今年のコロナ騒ぎの中税務署まで出かけるという危険を冒さなくて済みそうです。
 それで、すぐにやってしまおうと思って、去年貰ったe-Tax の書類を探したのですが、どこに行ったのかどうも見当たりません。この1年間、ときどき見かけたような気がしていたし、失くすといけないのでどこかに補完したような記憶もあるのに、その保管場所がどうにも思い出せないのでした。
 まあ、期限が1ヶ月延長されたのなら、そのあいだに見つけ出せば良いか、急ぐこともない、と思って、その場は申告書作成を断念しました。

 それがいけなかったので、結局ギリギリになってしまいました。
 1ヶ月のあいだに、何度かe-Tax の書類を探そうとはしたものの、どうも見当たりません。そのうち『ラ・ボエーム』の編曲作業がはじまって、毎日その作業に追われる日々となり、確定申告など考える暇も無くなりました。
 昨日に至って、これはまずいと思いました。国税庁のサイトはその後チェックしていませんでしたが、4月に至ってもコロナ騒ぎはおさまらず、というよりも3月中よりも深刻な状況に陥っているので、もしかしたら期限がさらに延期されたかもしれないと期待して、アクセスしてみました。
 すると確かに、「4月17日以降の提出も認める」旨の通告が掲示されていました。ただ、よく読むと、期限が延びたというのではなくて、16日までに、それこそ武漢肺炎に罹患したりしていて、どうしても提出できない人の救済措置という感じでした。提出窓口を期限後も開いているというわけではなく、17日以降に提出したい場合はあらかじめ税務署にアポをとって、決められた時間に届けにゆくという形になるようです。つまり、余計に面倒くさい手順が必要になるようでした。e-Taxの場合はどうなるのかわかりませんが、書類が見つからないので、今回は税務署に足を運ばなくてはならないだろう、とその時点での私は諦めつつありました。
 そうなると、やはり16日に提出しなくてはならないようです。幸い編曲作業も、ひと息ついたようなところであったので、急いで準備をはじめました。
 準備というのは、経費の計算のための領収書類や、年明けくらいから順次各所から送られてくる源泉徴収票などです。保険料などの支払証明のたぐいも、窓口に行くのなら貼付しなければなりません。
 自宅を仕事場兼用にしているので、私は水道光熱費の半分を経費として計上しています。それで水道料金・ガス料金・電気料金の毎月のかかりを計算する必要があります。検針のときに入れられてくる明細兼領収書を、なるべく保管してはいるものの、1年分となると欠けた月がどうしても出てきます。1年分をそのとき探さないで、月ごとにちゃんと集計していれば良いとは思うのですが、なかなかその手間がとれません。
 領収書が無くても、水道とガスは、貯金通帳を見て引き落とされている額をピックアップすれば済むのですけれども、電気代だけは最近ちょっとわかりづらくなっています。東京電力よりも少し安くなると言うので、ケーブルテレビ会社に払っているのですが、引き落とし額はケーブルテレビや電話代などとの合計額となっていて、そこから電気代だけを取り出すのは、明細を少ししっかり見なくてはならず、通帳だけでは判別できません。
 交通費、消耗品費、交際費、通信費といった経費についても、要りそうなレシートをごちゃまぜに箱に入れているだけなので、それらをまず整理しなければなりません。この作業ばかりは、申告がいかに楽になっても省略できないわけです。
 源泉徴収票は、毎年ちゃんとわかるように保管しており、今年もどこかにまとめたはずなのですが、それがまた見当たりません。期せずして部屋の中をいろいろ片づけるはめになりました。
 さんざん探した結果、非常にわかりやすいところにまとめておいたことが判明しました。源泉徴収票を送ってきたところのうち、一社からの封筒に全部入れておいたのですが、その封筒が予想と違っていたので、なかなか見つからなかったのです。
 ちなみに、e-Tax の書類のほうもあっさり見つかりました。これも非常にわかりやすく保管しておいたのですが、探していたときにはその書類だとは思いもよらなかったのです。まあ、心理的にはよくあることかもしれません。
 昨夜申告書の作成をしてしまうつもりだったのですが、突如としてひどい眠気に襲われ、とりあえず軽く眠ってからというつもりで横になりました。
 眼が醒めたら明け方の4時をまわった頃で、それから本格的に作業をはじめました。
 なんとか7時頃には終わり、データを送信して、今年の申告書提出は済みました。
 例年だと、午前中に税務署まで自転車で行ってこなければならないところでしたが、それをしなくて良い分、やはり電子申告に限るなと思いました。それ以上に、添付書類を全部省略というのが実に楽です。
 なお、私のようなギリギリ派はそう多くなかったようで、3月16日までに未申告だった人の9割くらいは、1ヶ月のうちにわりとばらけて申告を済ませていたようです。税務署に行っても、そう長い行列ができているわけではなかったかもしれません。
 マダムの父は、やはり毎年の確定申告が大変なようで、税務署へ行って申告を済ませると「自分へのご褒美」と称して何やらおいしいものを食べて来るのだそうです。私も申告を済ませたあとはホッとして途中のファストフード店などに寄ることもありましたが、電子申告になると家から出なくて良いため、そういうことをしなくなるだろうという点だけがちょっと寂しくはあります。
 ともあれ、4月までずれ込むとやはり気分的にあわただしいことが判明しました。なるべくギリギリにならないように済ませよう……と、毎年決意している私ではあるのですが。

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