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クルマと私 [いろいろ]

 また運転免許更新の季節がやってきました。私はいわゆるペーパー・ゴールドで、ほとんどクルマの運転をしないがために違反や事故も起こさず、いつも5年間隔での更新となっています。世紀の変わり目ころに短期間だけクルマを所有していましたが、その最期となったタクシーとの衝突事故のときも、点数には影響なかったようで、やっぱり5年めの更新でした。
 事故があったあとクルマを買い直さなかったのは、結局現状の生活では不要と判断したからです。いまの住居は駅にも近いし、その駅からは5分とあげずに電車が出ているし、駐車場代・車検代など毎年100万円近い維持費をかけてまで持っている意味合いをあまり感じなかったのでした。あればあったで便利なこともありましたけれども、他の手段で補えないというものでもありません。
 今後、もっと交通の便の悪いところに引っ越すとかしない限りは、ふたたびクルマを持つということも無いのではないかと思います。
 にもかかわらず運転免許証だけは持ち続けているわけですが、身分証がわりという意味がいちばん大きいような気がします。
 更新は近くの警察署でもできるわけですが、私は鴻巣の免許センターまで行くのを好んでいます。なんによらず、少し遠出できる機会があれば逃したくないと思うのでした。あとの時間が詰まっていなければ、免許センターからは鴻巣駅に戻らずに、バスで加須へ抜けたりもします。
 免許更新に関して、今年は眼鏡を買い換えなければならないかと思います。レンズもだいぶ合わなくなって見えづらくなり、免許交付の条件である「両眼で0.7」が心許なくなっていますが、それ以上にフレームがもうがたがたで、弦を留めるネジがバカになっています。ずいぶん前に眼鏡屋で、これはもう締めることができないと言われました。
 いまのフレームはもう四半世紀も前にあつらえたものですので、がたが来るのも無理はないのですが、よく保ったものだとも思います。確か奥秩父の山中で遭難しかけた際、前の眼鏡を落っことしてしまい、そのあと作り直して以来です。あれは1995年の出来事でしたので、ちょうど四半世紀前ということになります。
 レンズは何回か取り替えました。ずっと近眼鏡でしたが、前回から遠近両用になっています。その交換のとき、安いプラスティック製のレンズにしたので、細かい傷がつきやすいということもあったでしょう。とにかく最近は文庫本やタブレットの文字を読むのも少々難儀するようになりました。
 こんどはフレームごと換えなければと思うのですが、行きつけの眼鏡屋のショーウィンドウを見ると、びっくりするくらい高価で腰が退けます。眼鏡のフレームとはこれほどに高いものであったかと四半世紀前を思い出そうとしても、あまり記憶がありません。
 もちろん、近年は安い眼鏡屋も増えています。マダムに言わせると安いところは安いだけのことがあって、狂いやすかったり壊れやすかったりするから、ちゃんとしたところであつらえたほうが良い、とのことなのですが、安いのをわりと短期間で次々に換えてゆくというのも、それはそれで悪くないようにも思え、どうすべきかと考えています。
 ちなみにマダムもペーパー・ゴールドです。彼女は結婚前に実家のクルマを運転させて貰ったところ、車庫入れか何かで擦ったらしく、そのとき何万円だかの塗装料を請求されて以来、乗るのをやめたそうです。まあクルマの塗装料というのもかなりぼったくりに思えるような額になりますので、それで懲りたのは賢明な判断と言えるかもしれません。マダムにしても、いまの住まいである限りはクルマは不要でしょう。

 自分ではクルマを持ちませんが、旅先でレンタカーを借りるということはありえます。私はいわゆる「駅レンタカー」を2、3回借りたことがあります。
 どちらが先だったか記憶がおぼろですが、1回は小郡駅(現新山口駅)で借りて秋芳洞までドライブしました。もう1回は中村駅で借りて足摺岬へ行きました。もう1回くらいどこかで借りた気がするのですが思い出せません。足摺岬へ行くときは途中の道が悪く、対向車のバスをよけようとしたら後輪が斜面に落ちかけ、バスの運転手や後続車のドライバーに押して貰って貰ってなんとかリカバーしたというチョンボをやらかしました。
 どちらも、バスで移動したらけっこう面倒で時間のかかりそうな行程で、レンタカーを借りて良かったと思いました。秋芳洞には、大正洞景清洞などいくつかの支洞があって、それらにも立ち寄りましたが、たぶんバスで動いていたら時間的に無理だったと思います。
 そのように、旅先でわりと公共交通機関の便が良くないところでレンタカーを活用するのは悪くないと思っています。ただ、しばらくぶりの運転だといろいろ不安なのはやむを得ざるものがあります。
 このさき、レンタカーを借りて巡りたいところはいくつかあります。
 まず、津軽半島の西海岸。津軽鉄道などに乗ったとき、終点の津軽中里から、いつも十三湖のほうへ行ってみたいと思うのですが、バスの便が少なくて断念してしまっています。ちなみに十三湖のあたりには、中世ころまで一大交易港として栄えていた十三湊(とさみなと)の遺跡があり、歴史好きとしてもいちど行っておきたい土地です。ただ、駅レンタカーのある駅がそのあたりに意外と少なく、弘前奥津軽いまべつくらいしかありません。五所川原あたりにあれば楽なのですが。
 五箇荘。バスで行けないこともないのですが、クルマのほうが便利でしょう。白川郷へ行った帰りにバスで通りかかって、こちらのほうが面白そうだと思ったのでした。白川郷がすっかり観光地化しているのに対し、五箇荘はまだ俗化が進んでいないように見えました。ただこのあたり、国道を走っていても非常に頻繁に「岐阜県」と「富山県」が入れ替わります。それでわかるとおり道路はきわめて曲折しており、運転はいささかスリリングなことになりそうです。富山新高岡でレンタカーを借りられます。
 京都綾部附近。これはまあ、自分のルーツの地を探ってみたい気持ちからです。現在は綾部市内ですが、綾部駅の隣に山家という小駅があり、そのあたりに山家藩という小藩があったのでした。たぶん城も無く陣屋程度のもので、遺構も残っていないと思うのですが、家という大名家が代々領していました。分知で一回禄高が減っただけで、いちども国替えなどされていませんので、それなりの殿様が続いていたのでしょう。その殿様に、幕末近くになって、私の高祖父にあたる人が家臣として取り立てられたのでした。その息子(養子)である曾祖父の代にはもう維新を迎えて士籍を離れたので、ほんのわずかのあいだだけの「山家藩士」だったわけですが、それでもいちどその土地を見ておきたいような気がします。こういう探訪では、たぶんクルマのほうが便利でしょう。福知山西舞鶴に駅レンタカーがあります。
 大隅半島。バス路線が限られているので、クルマで巡ってみたい半島です。いちおう西岸(鹿児島湾沿い)を走るバスで、突端の佐多岬までは行っているのですが、バスの通っていない東岸側はどんな感じだろうかと興味があります。ただ駅レンタカーがある駅は近在には大変少なく、鹿児島中央駅で借りなければならなさそうです。対岸の指宿駅にもあるので、そこから山川・根占フェリーで大隅側に渡るというのも楽しいかもしれません。
 あと、駅のレンタカーではありませんが、ある程度大きな島に行ったらクルマを借りたほうがいろいろと動きやすいでしょう。

 クルマを持っていたころ、ふと思い立ってドライブに出かける、なんてことも何度かありました。袋田の滝とか日原鍾乳洞とかはそんな感じで訪ねたのでしたが、特に目的地を決めずになんとなく走ったこともあります。しかし結局、帰ってくると思った以上に疲れていたりして、どうも私は基本的にクルマの運転ということが好きではないのだろうと思わざるを得ませんでした。やはり私は、列車の車窓からぼーっと景色を眺めているのが好きなのです。ちなみに、他人の運転するクルマに同乗するのは、自分で運転するよりもっと嫌いです。
 この嫌いというのは乗用車のことで、バスはわりと好きですし、田舎に行って普通免許で運転できそうな路線バスに乗るのはむしろ大好物です。一方タクシーは緊急避難的な手段というイメージで、それで「旅行」する気にはなれません。観光タクシーというのも利用したことはないのでした。
 なんにせよ、「自動車」というのはずいぶん早まった命名で、ようやく開発がはじまった「自動運転車」に至ってはじめて名乗るべき名称であったと思います。脱水機が装備された段階であわてて名付けてしまった「全自動洗濯機」と双璧の「早漏命名機械」でした。行き先をインプットすれば、信号機その他の交通法規を完全に守った上で、搭乗者が眠っていても目的地まで安全に運んでくれる……そのレベルでないととても「自動車」とは呼べません。いまのクルマは、せいぜい内燃動力車といったところでしょう。
 自動運転車の開発ははじまりましたが、これが一般に普及するまでには、まだまだクリアすべき条件が気が遠くなるほど立ちはだかっています。走行だけは可能かもしれませんが、交通法規を完全にプログラムし、走行時の他車や通行人とのあいだの事故を確実にゼロにするのは、なかなか大変でしょう。私が生きているあいだに行き渡るかどうか、はなはだ心許ないものがあります。いちどくらいは体験してみたいものだと思いますが。

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