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「不思議な蝶の願いこと」リプレイ(1) [趣味]

 去年の10月5日(火)に、JR東日本の謎解きイベント「不思議な蝶の願いごと」というのをプレイしてきました。ずいぶんと時が経ってしまいましたが、とりあえず本日(1月10日)でイベント開催期間が終了したので、またリプレイを書いておきたいと思います。
 前にやった「6枚の写真に隠された秘密」と同じく、JR東日本の「FUN! TOKYO!」キャンペーンの一環として、NAZO×NAZO劇団が制作した謎解きです。NAZO×NAZO劇団のイベントは、タカラッシュ!社のと異なり、スマホ利用が前提でなかったり、あるいは私の旧式のタブレットでも対応できる程度のweb使用のものが多く、当時まだスマホを持っていなかった私としては、マダムを伴わず単独でもプレイできる良さがあります。10月5日も、マダムは仕事のため一日中出かけていました。
 私自身はその時期、編曲仕事などが立て込んでいて、とても遊びに出かけるなどできまいと思っていたのですが、いろいろたまっていた作業が、偶然にも前日の4日までにおおむね終わってしまいました。楽譜を配布したりするのが6日のことだったので、5日はちょうどぽっかりと休みになったのでした。それで、思い立ったが吉日で、行ってくることにしたのでした。
  「6枚の写真」と同様、「不思議な蝶」もまた、山手線を舞台とする謎解きです。下車する駅は山手線に限られます。そんなに遠出することにはならなさそうです。
 9月15日からイベントがはじまって、まだ20日しか経たない日でしたので、謎解きキットもまだNewDaysの各店舗に在庫していました。「6枚の写真」のときは3ヶ月以上経っていたため、売り切れになっている店舗が少なくありませんでした。それで池袋西口店で入手すべくいささか苦労した経験があります。今回は、赤羽駅の店舗にまだ山積みになっており、そこで買い求めると共に、都区内パスも購入しました。東京23区内のJR路線に乗れるパスで、赤羽からすぐに使うことができます。

 物語は、駅の中を舞う季節外れの蝶に導かれて、その「友達」を探して山手線を乗り回す、という設定でした。最初に行くべきは池袋秋葉原と最初から明かされており、どちらを先にしても良いそうです。赤羽からであれば、どちらの駅でも1本で乗ってゆけますが、謎解きキットに入っていたゲームブックに掲載されているのは池袋が先だし、赤羽から近いのも池袋なので、まずは池袋に向かうことにします。
 池袋に向かう前に、「キーワードA」を割り出します。山手線の車内掲示にあるような、各駅までの所要時間を記した路線図みたいな絵があります。各駅(?)には駅名ではなくイラストが付せられています。「ソファ」まで「2」、「くじゃく」まで「4」、「福袋」まで「5」、「浦島太郎」まで「7」とあります。
 最初、私はまともに考えてしまって、

 ──駅間が1分しかかからないのは日暮里西日暮里くらいだろう。とすると「くじゃく」と「福袋」が日暮里か西日暮里を示すとして……

 などと頭をひねりましたが、ふと気づくとなんのことはない、数字は所要時間ではなく「何文字目か」ということに過ぎませんでした。「ソファ」の2文字目が「フ」、「くじゃく」の4文字目が「ク」……と考えると、この絵は「フクロウ」を表していることになります。これがキーワードAです。

 キーワードAを、その後いくつかの問題文のブランクに入れ、最終的に池袋駅で「キーワードB」を発見しなければなりません。私は埼京線電車で池袋に向かいました。
 ゲームブックの各駅のコーナーでは、簡略な地図が添えられており、そこにいくつかの記号がつけられています。記号のうちのいくつかは、実際にそこに足を運ばなければなりませんが、つけかたがわりとアバウトな感じなので苦労させられることもありました。
 池袋駅では、まず西口から出て、そこの広場にあるふくろうの像を探します。ここはそう迷わずに辿り着けました。像の存在は全然知らなかったのですが、いつの間にか大きな切り株に停まっているふくろうの像が据えられています。
 まずここのふくろうが持っている本に描かれたマークをメモするよう指示されます。ハートマークでした。
 次に、東口側の中央通路と南通路を結ぶ地下道、愛称アゼリアロードの途中にある、フクロウの絵の描かれた柱を探します。これも知らなかったのですが、本当に1本だけ存在しました。その近くの壁に、フクロウのレリーフが3枚並べて掲げられています。いちばん右のフクロウが乗っているのは何かというのがここの問題で、答えは三日月
 ページの下に文字拾い迷路があり、道の途中にいくつかのマークが置かれています。この中で、ハートマークと三日月とを最短で結べ、と指示されました。
 迷路を辿ってみると、「あおじのしたよめ」と文字が拾えました。次に青い文字の下にある文字を読んでみると「よつかどよめ」とあります。
 四つ角というのは十字路のことではなく、この場合は「四隅」のことでしょう。左上から横書きのように読むと「ぶろーち」となりました。
 これがキーワードBで、Aと併せて「フクロウ」の「ブローチ」というのが池袋駅の「答え」でした。
 この「答え」をイベントサイトに送信しなければなりませんが、あとでも良さそうなので、とりあえず秋葉原に向かいます。


 池袋から秋葉原へは、山手線の外回り電車に乗るのが早いかとも思ったのですが、なんとなく埼京線でそのまま新宿へ出て、中央線快速御茶ノ水へ、そこから総武線でひと駅乗って移動してみました。そうしたら、案外と接続が悪く、けっこう時間がかかってしまいました。素直に外回り電車に乗ったほうが良かったようです。
 秋葉原のほうでも、まず「キーワードA」を割り出す必要があります。これ自体は赤羽で済ませてありました。
 「『シマウマ シマウ』の順に読もう」と書いてあって、その下に


 おかえり みんな
 きたくは おなじ
 こちらの ばしょ


 と文字が書かれていました。しばらく眺めていると、左下から斜め上に「こ」「た」「え」と読めることに気づきました。どうやら「シ」が3行目、「マ」が2行目、「ウ」が1行目を意味するようです。それでそのあとも読んでみると、「こたえは ばなな」となりました。「バナナ」がキーワードAです。
 私はそれで納得してしまったのですが、あとでイベントサイトの解説を読むと、「シ」は「下」、「マ」は「真ん中」、「ウ」は「上」の頭文字だったのだそうな。まあ、そこに気づかなくとも解けたわけですが。
 秋葉原では、地図の●印の場所で、5つの窓を見つけるよう指示されます。●印は電気街口の外であるようですが、あまり細かい位置はわかりません。だいぶそのあたりを探してしまいました。「秋葉原駅」の駅看板の上、つまり2階だか3階だかにその窓が並んでいるのを見つけるまでに、けっこう余分な時間を費やしました。
 ガイドブックには、その5枚の窓に対応するイラストに、地図に付けられているようなマークが描かれています。そして、5枚の窓のうち、「病から身を守る者」の絵を探して、その絵の位置のマークをチェックせよ、とあります。
 病院の広告でも出しているのかな、と思ったら、いちばん左の窓に「あまびえ」の絵がありました。コロナウイルス流行以来有名になった、病気退散の能力を持つ妖怪です。これが問題の絵でしょう。なんとなれば、他の4枚の窓には、すべて東急ハンズの広告が出ていたので、これはもう決まりです。
 さて地図上で、左の窓のイラストに付けられていた■のマークを探すと、駅の北側、神田明神通りが線路のガードをくぐるあたりのようです。
 該当の場所まで行ってみると、駅名標みたいな形の看板がありました。


 ──日本のいいもの逸品市場 ちゃばら CHABARA


 と書いてあります。このあたりのガード下に並ぶ店舗のことでしょう。
 この「ちゃばら」というのがカギです。その下に表のような解読盤があり、横軸にさっき窓のイラストに描かれていたマーク、縦軸に何やらいろんなもののイラストがあり、それらの交点にさまざまな言葉が入れられていました。
 答えは5文字、というところまで明かされています。5文字の言葉は、■とバラの絵の交点にある「ノコウテン」、■と紫色の何かの絵の交点にある「ストラップ」、そしてその紫色の何かの絵と★の交点にある「ネックレス」の3つしかありません。このうちどれかです。
 ちゃばら、というのがどのイラストにあたるかが問題です。最初はバラの絵が茶色く塗られているのかと思いました。直射日光が当たっている状態なので、色が判別しづらかったのです。しかし、日陰に入ってあらためて眺めてみても、バラはやはり赤く塗られていて、茶色ではありません。そもそも「ノコウテン」とはなんでしょうか。
 ふと気づくと、いちばん上の段に、湯呑茶碗のイラストがあります。「茶碗」ではなく「茶」であり、これと「バラ」を一緒にして「ちゃばら」と考えれば良いようです。すると、「ホシイモ ノコウテン」となりました。
 いちばん下にある、紫色の何かのイラストは、干しイモだったのか……! と脱力しそうになりました。そこにある言葉「ストラップ」が答えなのでしょう。


 さて、これで「第一章」が終わり、次に「第二章」に入ります。「第二章」で訪れるべき駅を割り出すためには、「第一章」の答えを送信して、カギを貰わなければならないようです。
 去年、「6枚の写真」のとき、品川の駅ビル「アトレ」で無料wi-fiが使え、そこで作業をした記憶があります。つまりアトレのwi-fiに入れるはずなので、秋葉原のアトレに行きました。駅ビルなので、ここで作業できれば移動の手間が省けます。
 アトレの店内に入ると、確かにタブレットにwi-fiのマークが表示されました。安堵しながら、まず池袋駅の答え「フクロウのブローチ」を送信しました。送信ボタンもちゃんと表示されており、送信するとタブレットのブラウザがどこかにアクセスしようとしていました。
 ところが、次に表示されたのは、期待したミニエンディングの文章ではなく、アトレのwi-fiのトップページでした。ログインし直さなければならないのかと思い、ログインボタンを押すと、
 「JavaScript及びCookieを有効にしてください」
 という表示が出ました。
 前回はこんな表示は出なかったはずですし、その後Javaやクッキーを無効にした記憶はありません。どうすれば有効になるのか、タブレットの設定モードにしてみてもそれらしき機能は出てこないのです。
 インターネットにつなげられないのですから、やりかたを検索することもできません。要するにアトレでは使えないようです。
 がっかりして、駅の外に出ました。どこか無料wi-fiの使える店が無いかと思ったのでした。
 また神田明神通りのところまで戻り、ガードをくぐって東側に出ました。マクドナルドがあったはずで、そこならwi-fiが使えるでしょう。
 その前に、カフェベローチェを発見したので、そちらに行ってみました。そこでも使えたはずです。
 念のため、店の入口の前でタブレットを出してみると、wi-fiマークが出ています。また「フクロウのブローチ」を送ってみると、こんどは普通にミニエンディングにつながりました。ベローチェのwi-fiなら問題なく使えることが判明しました。
 その場で先を進めても良かったのですが、進めるためには少し工作をする必要もありましたし、「貰いwi-fi」をしているのが気がとがめたということもあり、店内に入って飲み物を注文しました。前回はすべての駅を訪ね終わるまで飲食店にはいちども入らなかったものでしたが、この分だと今回は時間がかかるかもしれないな、と思いました。
 さて、ベローチェの座席につき、続けて「バナナのストラップ」を送ってみると、即座に「違うよ」と言われました。間違えた場合の処理は送信ページのスクリプトに含まれているらしく、ネットにアクセスしていない状態でも「違うよ」とは出てきます。
 驚いて、もういちど表をよく見てみると、干しイモと思ったイラストは、単なるサツマイモであるようでした。そして「ホシイモ ノコウテン」とは、「★とイモの交点」のことでした。そこを見ると、最後に残った5文字言葉「ネックレス」が入っています。「バナナのネックレス」というのが正解でした。
 池袋駅の答えと秋葉原駅の答えを併せて、第二章の駅名を割り出すためのカギが入手できます。また、最終章で使うためのキーワードも伝えられます。
 カギは、5つの数字でした。緑色のマスに入っていますので、これはたぶん山手線の駅番号です。03=秋葉原、17=新宿、24=大崎、25=品川、29=新橋で、それらの駅名と、第一章のふたつのキーワードA「フクロウ」と「バナナ」を使ったスケルトンパズルを解くことになります。
 スケルトンパズル自体はとても簡単で、パズル面のうち数字のついたマス目の文字を順番に読むと「フジサン」となりました。
 これだけでは次の駅は割り出せません。ここで謎解きキットに入っていた別のアイテムが必要になります。
 「緑のリング」というのがそれで、3つのパーツから成っています。台紙から切り取って、指示のとおりに組み立てると、中央に山手線電車の前面が描かれた円盤になります。円盤の上部には四角い突起があり、そこには駅のイラストが描かれていました。また円盤の周囲には、意味ありげなカタカナがぐるりと記されています。
 裏返すと、大きな円盤と小さな円盤が組み合わされたものになっています。小さな円盤にも四角い突起があって電車の絵が描かれています。その下のところに小さな窓があって、その窓から大きな円盤の周囲に描かれたアイコンがひとつずつ見える仕掛けになっていました。またアイコンの外側には01から30までの数字が並んでいます。小さな円盤には矢印も記されていて、窓にアイコンを出すと、その矢印がある数字を指すようになっていました。
 この「緑のリング」で、富士山の形のアイコンを窓に出すと、矢印が10という数字を指しました。これは明らかに駅番号です。駅番号JY10は、駒込です。
 富士山が駒込を暗示したほか、駒込駅をまたぐ本郷通りの陸橋には富士山をかたどった欄干がついていますし、あたりの街灯などにも富士山の意匠が添えられています。駒込と富士山の関係は何かというと、江戸時代後期にこの辺に住んでいた近藤重蔵という人物が別宅の庭に富士山のレプリカを作ったことに由来します。当時、そんな趣向がはやっていたのですが、最上徳内と共に千島列島の探索をおこなったりして、探検家兼地理学者でもあった重蔵氏の設計したレプリカ富士山は、他の凡百に較べてことさらに出来が良く、「近藤富士」と呼ばれてもてはやされました。近藤富士の所在地は目黒だったそうですが、重蔵氏の本宅があった駒込でも、その関係で富士山を掲揚しているのでした。


 秋葉原から駒込までは13分ほど。秋葉原でwi-fiを探してさまよったりしたもので、1時間も費やしてしまい、駒込に着いたのは正午直前でした。
 上にも書いた富士山の欄干はすぐ発見できました。その欄干のある場所で、「赤い部分の花の数をカウントしよう」という指示でしたが、赤い部分というのがよくわかりません。欄干は鋳物製で、鈍色をしています。歩道に赤く彩色された桜の花が描かれていたのでそれのことかと思い、とりあえず数えてみると5個ありました。駒込はソメイヨシノの発祥の地でもあり、桜も街の象徴のようになっています。
 次に、やはり上にも書いた、富士山の意匠のついた街灯を探します。その富士山の意匠の中にも桜の花が描かれていて、その個数をカウントしろと言われます。
 これは間違える余地は無く「2個」でした。
 このふたつの数字を出したのち、「謎A」に進みます。四角い盤面があり、その中が多角形になった点線で区切られています。多角形の中には必ずひとつのひらがなが入っています。
 欄干のところの花の数から、街灯の花の数を引いた数の形を塗り潰すと答えが出るそうです。「3」と思われたので三角形のところを塗りかけて、なんだか変だと思いました。どうも意味のある塗り絵にならなさそうな気がしたのです。
 もういちど欄干のところへ行くと、富士山の意匠の下に花の絵が描かれています。赤くないのでこれではないと思ってしまったのですが、「赤い部分」というのはゲームブックに記されたイラストのことでした。花の絵が3つひと組になった欄干のユニットのうち、真ん中を見てそこの個数を数えろというのが問題の真意だったのでした。
 これは「7つ」であり、差分は「5」、従って五角形の区画を塗り潰します。この作業は、駅前の染井吉野桜記念公園のベンチに坐っておこないました。すぐ隣に、同じ「不思議な蝶」のゲームブックを開いている男性が坐っているのに気がつきました。平日だし、そんなには他のプレイヤーに行き当たらないと思っていましたが、ここではじめての遭遇です。
 五角形の区画を塗ると、塗ったところが桜の花瓣の形になり、その内側の区画の文字を読むと「かめのさきよめ」……
 パズル盤の外側に、「鶴」「亀」「招き猫」「福助」のイラストが描いてあり、それぞれの絵からパズル盤に向かって矢印が出ています。そのうち、亀の絵の矢印の先をまっすぐに読むと、「さくらいろ」という言葉が出てきました。これが第二章のキーワードAです。
 キーワードBは、ちょうどその染井吉野桜記念公園の中の記念碑がカギでした。もっとも私は、地図を読み違えて、その辺を無駄に一周してしまい、また時間を費やしました。戻ってきても、先ほどのプレイヤーはまだベンチに居ました。
 記念碑の「染井吉野櫻発祥之里駒込」という文字がカギとなります。問題には「里の右」「羊の左」「ネの右」「羊の左」と書かれています。里という文字は含まれていますが、これは「野」のほうでしょう。右側を見るとツクリに「予」の文字があります。あとは「祥」の文字をいじくっているだけで、「羊の左」は「ネ」、「ネの左」は「羊」です。
 さらに、「予・ネ・羊・ネ」のどの部分を見るかという指定もありました。「ネ」は全部使いますが、「予」は上だけらしいので「マ」、「羊」は下だけらしく、ちょっと迷いましたが「キ」と判明しました。「マネキネ」と出た文字列の後に、「コノ先」と書かれています。
 招き猫の先、ということらしいので、さきほどのパズル盤の招き猫の絵の先を読んでみると「ぶれすれっと」とありました。
 「さくらいろのブレスレット」が第二章の答えとなります。


 第三章の駅名割り出しは、これまでのキーワードB「ブローチ」「ネックレス」「ブレスレット」を、ある2文字言葉に変換します。その2文字言葉のうち、番号のついている文字を、タテ5マスの格子の中に入れ、さらに他の番号に入る文字を判別するという作業が必要になります。
 問題の2文字言葉は、それぞれのアクセサリーをつける場所、つまり「むね」「くび」「うで」ではないかと考えました。番号のついた「ね」「く」「う」を格子の中に入れてみると、どうやらその格子は50音表であろうと想像がつきました。そこから他の番号を読み取ると、「さかな」となりました。さっきの「緑のリング」で、今度は魚のアイコンを小窓に入れてみると、矢印は21を示しました。JY21、すなわち恵比寿が次の駅です。「魚」と恵比寿の関係は、七福神のえびすさまが必ず鯛を抱えた姿で描かれるからでしょう。
 実は、ここでも一旦、第二章の答えを送信しなければならないことになっていました。そうすると、2文字のうち番号のついていない「む」「び」「で」の三文字が明かされることになっていたのですが、それをせずに私は割り出してしまったわけです。
 前回の「6枚の写真」のとき、第一章終了時に、第二章から第四章までの駅をまとめて割り出すことができてしまいました。そのため私は順を追わずに近いところから駅を訪ねて、最後で痛い目を見たのでしたが、同じことをしてしまった人も多かったのかもしれません。それでクレームが寄せられたりしたのか、今回はちゃんと、順を追わないと次の章のカギが入手できない仕組みになっていました。それはそれで良いのですが、ネットにアクセスしなければならない回数が増えたのは少々厄介です。無料wi-fiが利用できる場所を探さなければなりませんし、利用できる場所であっても先ほどのようにうまくつながらないことがあり、余計な時間をとられるはめになるのでした。
 幸い第二章のラストの送信はせずとも第三章に臨むことができたわけですが、このあとはそうもゆかないかもしれません。
 染井吉野桜記念公園のベンチでいまだゲームブックを開いて頭を抱えている男性を残し、私は駅へ向かいました。


 駒込から恵比寿までは25分ほどかかります。次の謎は、恵比寿までの電車内で解くことになっていました。
 例によって、地図上に付けられているマークのどこかへ向かうことになるのですが、そのマークを割り出すための謎です。4文字の言葉になるようでした。
 その4文字を導くために、電車内の扉上のモニターを見ろというのでした。ゲームブックにもそれを模したようなイラストが描かれています。そして、「つぎは」「まもなく」「ただいま」の時に答えよ、という指示がありました。
 これらの言葉は、駅名の表示の上に示されています。走行中は「つぎは○○」、駅に近づくと「まもなく○○」、駅に停車中は「ただいま○○」となるわけです。ただし、ごく頻繁に英語表記と差し替えられます。「つぎは」「まもなく」「ただいま」の時に答えよ、という問題文は、日本語表記だけ考えろという意味だと考えられます。
 さて4文字分の空欄には、「4/13」「4/4」「1/10」「2/10」と小さな数字が書き込まれています。こういうのがある場合、かなりの高確率で「13文字中の4文字目」「4文字中の4文字目」といった解釈になります。おそらく駅名ではないかと思ったのですが、山手線には13文字という駅名はありません。いちばん長いのが高輪ゲートウェイの10文字です。
 それではローマ字駅名なのか。Takanawa-Gatewayだと文字数が多すぎます。次に長いのはNishi-Nippori、ハイフンまで入れれば13文字で、では4/13とはHなのでしょうか。ローマ字で4文字駅名なのはUenoただひとつで、4/4はOです。ちょっとものになりそうな気がします。しかし、10文字というのが案外曲者で、いくらもありそうなのに、カナ5文字の御徒町も池袋も該当しません。どうやらローマ字で10文字なのはUguisudaniだけであるようです。しかしこれだと、1/10はU、2/10はGとなり、まとめるとHOUGで意味を為しません。そもそも、日本語表記だけ考えるという前提が崩れます。
 あれこれ思い悩むうちに、25分がたちまち経過して、恵比寿に着いてしまいました。謎の答えは得られないまま下車せざるを得ませんでした。こんな無様ははじめてかもしれません。
 このままでは、地図上のどこのマークのところへ足を運べばよいのかわかりません。マークのなかでカナ4文字になるのは、「さんかく(▲)」か「ほしがた(★)」くらいなので、とりあえずその両方に向かってみることにしました。正解の場所には、「対面する2体の像」があるはずです。
 まず▲ですが、恵比寿通りを少し進んだ分岐路のあたりでした。そこらをしばらくうろついてみましたが、向かい合った像などは見当たりませんでした。
 地図にはマークのほか、見どころを示す番号もついています。そのうち4番が、駅西口の「ゑびす像」なので、念のためそちらにも行ってみました。「よんばん」も4文字です。ゑびす像はすぐに見つかりましたが、ほかの像と向かい合っている様子はありません。
 ★のほうはガーデンプレイスの中なので、スカイウォークを歩いてそちらへ向かいました。またしても念のため、スカイウォークの出口近くにある●印と■印のところもチェックしましたが、ここにも像などはありません。
 ガーデンプレイスの中でもかなり奥のほうにあるシャトー広場が★の位置で、そこに至ってようやくふたつの像を発見しました。広場の両側に「永遠なる休息の精」という男性像と「果実」という女性像が立てられ、向かい合ったような配置になっていたのでした。ひと安心です。ここに無ければ、残ったマークである五角形印のところへ行かねばならず、そこまではけっこう距離がありそうだったのでした。
 それにしても、電車内のモニターから★が導かれる理由が、まだわかりません。


 ともあれ、次の問題を眺めます。周囲に簡単なイラストとその名前、そして点が置かれています。それらに囲まれるようにして、多くのひらがなや数字が散らばっているパズル盤になっていました。ちなみに煩をいとわずイラストの名前を記しておくと、「ゴールド」「ニンジン」「スター」「ハチ」「クレヨン」「イチゴ」「コイン」「キュウリ」「アンサンブル」「バナナジュース」の10個でした。
 問題文は、「『精霊』と向かい合う像の名前を見よう。その名前が含まれるものを線で結ぼう」とあります。精霊というのは「永遠なる休息の精」のほうでしょうから、それと向かい合う像は「果実」です。イラストの中にバナナジュースとイチゴがありますので、その近くの点同士を結んでみます。かなり正確に直線を引かないと容易に余計な文字を拾ってしまいそうですが、とにかく「7から十むすべ」という文字が線の上に並びました。
 かつての「ひらけ! ポンキッキ」のヒット曲「いっぽんでもニンジン」の伝で、物の名前に含まれている数字を見つければ良いのだと思われます。そうすると7はバナナジュースでしょうが、十というのも他には見当たらず、やはりバナナジュースになるようです。それでは結べません。
 ふと思いついて、「7」バナナジュース、「8」ハチ、「9」キュウリを経てバナナジュースに戻る線を引いてみました。すると三角形になりますが、その辺の上に、「さすものがこたえ」という文字が並びました。さっきのバナナジュースとイチゴを結んだ線と、いま作った三角形を併せると、矢印のような形になります。それが指しているのは、ゴールドでした。これが第三章のキーワードAです。
 次に、さっきちょっとチェックした■の場所へ移動します。ここで街灯の意匠をチェックし、そこに含まれているものを例の「緑のリング」の小窓に出せというのが、キーワードBを導く問題です。
 見ると、ビールジョッキがいくつかと、そのひとつを車に乗せて牽く馬の姿がありました。そこで小窓に、ビールジョッキと馬を出します。
 そのときにリングの裏面を見ると、周囲に書かれた文字のいくつかを、回転円盤の突起に描かれた電車のイラストに添えられている3色の矢印が指し示すようになっていました。どの色の矢印のところを見れば良いかは、問題文のほうに指定されています。
 ビールジョッキの絵を出したときは「ユビ」、馬の絵を出したときは「ワ」という文字が指されました。「ゴールドのゆびわ」というのが恵比寿駅の答えでした。
 この項、続きます。


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