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続・「快速」を考える(2) [趣味]

 引き続き、全国の「快速」列車について瞥見してゆきます。
 甲信越で本格的な快速列車というと、信越本線新潟県)の快速があります。信越本線は新幹線がらみで分断され、見る影もありませんが、新潟県内ではいちおう主要幹線のひとつです。しなの鉄道えちごトキめき鉄道に蚕食されたものの、JRとして残っている直江津新潟間では、全区間を走る快速が走っています。直江津~長岡間、長岡~新潟間という短い区間のものもありますが、いちおう1往復だけは、全区間を踏破する快速が設定されています。ほぼ同区間を走る特急「しらゆき」と較べてもそれほど遜色無く、通過する駅も多い、「速達列車」の名に価する快速と言えるでしょう。
 上越線には何便か快速と称される列車が見受けられますが、これは実はほくほく線の快速です。2往復運転されていますが、下りの1便は超快速「スノーラビット」という愛称がついています。以前はもう少し多かったと思うのですが、減便されました。しかし超快速という種別は全国でもここだけであり、無くならないように願いたいものです。普通列車が越後湯沢~直江津間を約1時間20分かけて走るところを、1時間02分で走るのですから確かに速いと言えましょう。なお、ほくほく線の列車は上越線の石打・大沢・上越国際スキー場前、信越本線の黒井を通過するものが多いですが、これらは快速とは呼びません。
 もと信越本線であったしなの鉄道には、2往復の定期快速が走ります。上りの1便は小諸止まりです。それから平日のみ運転の「しなのサンライズ号」「しなのサンセット号」という快速がありますが、これらは全席指定であることを考えると、ホームライナー的な列車でしょう。「しなのサンライズ号」は朝の下りに1便のみで、小諸から上田のみ停車で長野まで。「しなのサンセット号」は夕方に下り1便、上り2便で長野~上田をノンストップで走ります。そのほか土曜・休日のみの運転である「軽井沢リゾート号」というのも2往復走っています。「しなのサンライズ」「しなのサンセット」「軽井沢リゾート」は、平日運転とか土休運転とかではあるものの、季節にかかわりなく通年で運行している列車です。
 飯田線には快速「みすず」が1往復走ります。以前はもっと多く運転していたと思うのですが、減便され、その代わりいちおう快速らしくなりました。以前はほとんど各駅停車みたいな便もあったのです。下りは早朝の飯田~長野間、上りは夕方の松本~飯田間を走ります。ただし下りと上りとでは停車駅などがだいぶ違っています。このほか、早朝下りの駒ケ根岡谷間快速、早朝上りの駒ケ根~豊橋間快速もあります。上り快速のほうは平岡大海間だけの通過運転です。
 秘境駅と呼ばれている金野・田本・為栗などを通過する列車もありますが、これは快速とは呼ばれていません。また、豊橋から名鉄併走区間にある船町下地を通過する列車がかなり多いですが、これらも快速とは呼ばれないのでした。
 富士急「富士登山列車」は以前は快速扱いでしたが、現在は各駅停車となっています。従って、現在の富士急には快速は走っていないことになります。

 北陸では、まずIRいしかわ鉄道あいの風とやま鉄道に走る快速「あいの風ライナー」です。平日のみの運転ではありますが、金沢発3便、泊発2便が設定されています。石動や滑川など、新幹線が通らない駅を速達で結ぶという使命が与えられているのでしょう。ただ、当然停車すべきと思われる津幡などを通過するのは、この快速があくまであいの風とやま鉄道の列車(列車名からもそれが窺われます)であって、IRいしかわ鉄道には間借りしているだけという意味合いなのかもしれません。
 えちぜん鉄道には、勝山永平寺線・三国芦原線ともに、朝の上りにただ1便ずつの快速が走っており、これはずいぶん前から同じ形です。もっと増やしても良いのではないかと思うのですが、この形でそれなりに安定しているのでしょう。通過駅もさほど多くなく、最近は一般客向けには快速という案内をやめているようでもあります。なお勝山永平寺線で、比島を通過する列車が多いのですが、これらは普通列車として扱われています。

 東海地方の快速は、名古屋を中心に運転されるものに限られています。静岡県内には1本も走りません。沼津静岡浜松に通過運転をするホームライナーは走っていますが、快速という扱いにはなっていないのでした。
 東海道線豊橋大垣間に、区間快速・快速・新快速・特別快速が走ります。浜松米原まで延長運転する便もありますが、延長部分は各駅停車となります。そうでなくとも岐阜~大垣間は全駅に停車するので、名鉄と競合するところだけ通過運転している趣きがあります。一体に、JR東海は、他社と競合するところにしか速達列車を走らせない傾向があります。
 区間快速はもともと、武豊線直通列車のための種別でした。武豊線が非電化であるため、大府~名古屋間でのろいディーゼルカーが電車のダイヤを圧迫しないように通過運転させたのが起こりです。ディーゼルカーの性能が格段に上がった現在でも、その方式が受け継がれているというわけです。以前はわずかながら武豊線内も通過運転する列車があり、それは快速と呼ばれていましたが、現在は無くなりました。また、豊橋まで走る区間快速も出ています。豊橋~岡崎間を各駅停車する列車で、岡崎以西の停車駅は快速と同じです。
 長らく、最上位の特別快速、大府に追加停車する新快速、さらに三河三谷・幸田・共和に追加停車する快速、と整然としたパターンになっていましたが、最近は追加停車駅の多い新快速も出てきて、やや複雑になりました。つまり三河三谷や幸田に停車する便があり、いまや共和に停まるかどうかが快速と新快速の違いみたいなことになっています。
 中央線の快速は、JR東海管内では唯一、競合路線の無いところに走っている快速です。通過する駅は新守山・神領・定光寺・古虎渓の4駅だけで、先行する各停を追い抜くこともない地味な快速ですが、「セントラルライナー」廃止後もなんとか残ってくれています。けっこう頻繁運転をしていますが、なぜか等間隔ダイヤにはなっておらず、下り名古屋発で言うと毎時02分、24分、45分という発車になります。特急「しなの」がはさまるからでしょうか。
 中央線には、ホームライナーも何本か走りますが、快速の扱いにはなっていません。
 関西線には、伊勢志摩快速「みえ」と、亀山発着の無名快速が走ります。「みえ」は指定席がついているので、予約の便宜のため愛称がつけられています。「みえ」は近鉄特急に対抗すべく設定された快速で、前身となる急行などはありません。非電化単線を走るにしては頑張っており、近鉄の甲特急にはかなわないにしても、乙特急とは遜色ないスピードで走ります。一方無名快速のほうは、四日市以西が各駅停車となり、やはり近鉄と競合している部分のみの通過運転となっています。競争相手が居ないとなると途端にやる気の見えなくなるJR東海の姿勢は、本当になんとかならんものかと思います。

 近畿地方の快速体系、以前はアーバンネットワークと呼ばれていた快速群に関しては、9年前からそれほどの変化がありません。
 東海道・山陽線新快速は、依然として大きな牽引力を発揮しています。近畿の名前付き快速は、一般の通勤車輛とは異なった、クロスシートの専用車輛を使用していることで知られますが、その快速用車輛の新型ができると、まず新快速に投入され、それから徐々に型落ち車輛が他線区の快速にまわされる、というサイクルになっています。
 いまや新快速は、湖西線を経由して敦賀まで、北陸線を経由して近江塩津まで、赤穂線に乗り入れて播州赤穂まで運転範囲を拡げています。末端は各駅停車だったりもしますが、ともあれ最長240キロに及ぶ長距離列車となっています。まさに王者の貫禄があると言って良いでしょう。
 これに対し快速は、時刻表では快速扱いされていなかったりしますが、最近は新快速と同じ車輛が使われたりもして、現地での格は充分と言えます。停車駅も増えて、高槻三ノ宮のみの通過運転になりましたが、日中は新快速と交互に運転されて主力の一角を担っています。
 福知山線丹波路快速は健在ですが、最近はJR東西線を介して学研都市線片町線)に直通する快速が増えて、1対2くらいの割合になっています。停車パターンもほぼ同じになりました。大阪発着の丹波路快速より、都心をスルー運転する直通快速のほうが便利だということでしょうか。
 その学研都市線には、快速のほか区間快速も走っています。快速はだいたい福知山線に直通しますが、区間快速のほうは各駅停車となって東海道線に乗り入れたりすることが多いようです。
 関西線大和路快速は、以前は夜間を除いて一日中走っていたと思うのですが、最近は日中だけの運転になったようです。朝夕は区間快速に切り替えられました。ただし、以前の区間快速は停車駅が大和路快速とは異なっていましたが、現在はほぼ同じとなり、大阪環状線内が各駅停車となるだけの違いとなりました。
 関西線にはこのほか直通快速というのが走りますが、これは久宝寺からおおさか東線に直通する快速です。一日4往復だけなので、快速網の一員とは呼べなさそうですが、平日と土曜・休日で運転時間帯がまるで違っているという珍しいダイヤになっています。
 阪和線には紀州路快速関空快速、それに直通快速区間快速が走ります。紀州路快速と関空快速はほぼ全列車が併結されており、日根野で分割併合をおこないます。紀州路快速の日根野和歌山間は、おおむね各駅停車になっていますが、ここも通過運転する列車が朝夕を中心に走っています。
 直通快速は平日朝上りだけ運転されます。大阪環状線を一周して天王寺に戻ってくる列車を指すはずでしたが、最近は紀州路快速&関空快速も一周運転することが多く、いまひとつ違いがわからなくなりました。どうも、紀州路快速&関空快速は環状線内でも快速運転するのに対し、直通快速は各駅停車になるようです。
 奈良線は主力と言うべきみやこ路快速のほか、無名の快速と区間快速が走ります。たぶんみやこ路快速だけが専用車輛で、無名快速と区間快速は一般車両なのではないかと思いますが、まだ検証はしていません。無名快速は夕方に走り、みやこ路快速の停車駅のほか、JR小倉新田に停車します。区間快速は朝晩に走り、宇治~奈良間が各駅停車となります。
 嵯峨野線山陰線)にも毎時1往復の快速が走りますが、なぜか「○○路快速」という愛称名がつけられたことはありません。通過運転区間は京都亀岡で、亀岡以遠は各駅停車となりほとんどは園部発着、福知山まで延長運転する便もあります。
 和歌山線には、和歌山粉河間を通過運転する快速が2往復走っています。ただし、上り1便のみが毎日運転で、あとは平日のみの運転となります。土曜・休日には各駅停車となるのでした。
 紀勢線にも、下り2便・上り1便の快速があります。和歌山~御坊間を通過運転します。上り便は平日のみの運転で、土曜・休日には各駅停車となります。下り便は2本とも毎日運転ですが、1便は土曜・休日には紀州路快速の延長運転として扱われます。

 私鉄・第三セクターに眼を移すと、北近畿タンゴ鉄道改め京都丹後鉄道は、宮福線に快速「大江山」が7往復も走っています。全線通過運転する便と、福知山~大江間が各駅停車になる区間快速的な便があり、なぜか下りは後者が多くなっています。また朝の上りには「通勤ライナー」というのが快速扱いで1便走っています。
 宮津線のほうにはこういう快速らしい快速は走っていませんが、特急「はしだて」「たんごリレー」の末端がなぜか特急料金不要の快速となっているのがあります。「はしだて2・5・8号」久美浜豊岡間のわずかな区間のみ快速となり、「たんごリレー1・4号」網野~豊岡が快速となります。特急の末端が快速扱いというのは、かつてはJRにもよくありましたが、最近はほとんど無くなっています。京都丹後鉄道がなぜこういう扱いをしているのかはわかりません。微妙な採算ラインがあるのでしょうか。
 大手私鉄では、阪急京都線に快速が走っていましたが、間もなくダイヤ改正があり、これまでの快速が急行と呼ばれることになったと聞きました。関西大手私鉄の快速は間もなく消滅することになります。夕方以降だけの運転でしたが、高槻市以西は準急と同じ、以東は快速急行と同じ停車駅という、なかなかの飛ばしっぷりを見せる種別でした。
 神戸電鉄の快速は、準急に触れた項で書いたとおり、無くなったりまた復活したりして、現在のところは無くなっています。ただし朝の上り2便だけの特快速は残っています。神戸電鉄はずいぶん昔から、急行より快速のほうが上位で、そのまた上位に特快速があるという形をとっていました。英語表記を見たら快速はRapid Expressで特快速はSpecial Rapid Express、つまり「快速急行」と「特別快速急行」に相当するランクになっていたという話は前にも書いたと思います。
 9年前には、播但線舞鶴線にもわずかながら快速が走っていましたし、山陰本線の城崎温泉~豊岡という短距離で、あいだの玄武洞1駅だけ通過するというしょぼい快速もありましたが、いずれも廃止されました。

 中部地方と近畿地方の「快速」を見てみました。残りの地域についてはまた後日考えたいと思います。

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