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「鉄道探偵と0.3カラットの分岐点」リプレイ(1) [趣味]

 日付が若干前後しますが、先週の金曜日(2月10日)に「鉄道探偵と0.3カラットの分岐点」という謎解きイベントをプレイしてきました。イベント期間が12日までだったので、いままでのように挑戦記と解決篇に分けず、リプレイとして様子を書くことにいたします。
 京王都営地下鉄が合同で企画している「鉄道探偵」シリーズの第8弾です。2014年から毎年続いていましたが、2021年度はついに中止となってしまいました。それが去年の秋の終わりごろに、京王の駅のラックに、見慣れた黄色と黒の警戒色みたいな冊子が挿されているのを発見し、喜んで入手したのでした。
 もっともプレイ日は、マダムと私の都合がなかなか合わず、遅れに遅れました。結局イベント終了ギリギリの決行となった次第です。鉄道探偵シリーズは2社にまたがっているせいもあり、プレイ時間がかなり長く、丸一日空いていないとクリアが間に合わない場合があります。ところがマダムは、その丸一日空けられる日がきわめて少ないのでした。どの曜日も、どの時間帯かに用事が入っていて、なかなか都合がつきません。
 金曜日は晩にChorus STの練習があるのですが、12日の演奏会の直前となる10日は休みになっていました。直前練習を休みにするというと驚く人が多かったのですが、少し前にある合唱団で、直前練習のあとコロナに罹患するメンバーが何人も発生して、かなりの数がオンステできなかったという事件があり、Chorus STでも大事をとったのでした。
 おかげで10日は丸一日空けることができ、ようやくプレイすることができたという次第です。
 しかしこの日は関東でも雪が降り続いた日で、気温も低く、遊びに出かけるなど狂気の沙汰と言われそうな天候でした。確かに朝から粉雪が舞っており、われながらどうかとも思ったのですが、まあ電車に乗ってばかりいるイベントですから、さほど大きな問題はありませんでした。解決のために駅舎から離れる必要もほとんどありませんでしたし、最近何年か続いたような「街歩きパート」も無かったのです。京王線は降雪とそれに伴う若干のアクシデントのため、常時数分遅れで運転していたようですが、都営のほうはそれもありませんでした。むしろ京王線の車窓から、ふだんあまり見られない、雪化粧をまとった家並みなどを見られたのが新鮮でした。

 予定は無かったのですが、できれば最後に新宿に寄りたいとマダムが言います。登録している派遣会社で給料を受け取りたいと言うのですが、遅くとも20時までには行かなければならないようです。謎解きにどのくらい時間がかかるかは、やってみなければわかりませんが、とにかくなるべく早く開始したほうがよかろうというわけで、8時20分に川口駅を出発しました。
 もっとも、前回もわりに早く出かけたのですが、最初に謎解きをする駅で、駅ビルのショッピングセンターの中に手がかりが設置されていたため、そのショッピングセンターが開く時刻まで無駄に待たなければならなかったということがあります。今回はさすがにそういうのはありませんでしたが、思ったようにゆかないことはいつでもあるものです。
 今回のストーリーは、おなじみ鉄道探偵「K」のもとに助手としてやってきた「J」なる青年が、「K」の不在中に依頼にきた女性記者と共に、紛失した指輪を探すという「京王編」と、外出中に忘れ物を発見した「K」が持ち主の幼女を探すという「都営編」に分かれていました。
 前回「いまだに新人感が抜けない」などと紹介されていた「K」は、2年経ってだいぶ落ち着いてきたようで、一人称も「私」となって少し偉そうになってきました。
 それにしても、前回の「鉄道探偵と10の証拠」は、そもそも鉄道探偵の助手を公募するという話で、最終選考に残った「金田二耕助」「ワルキュール・ポアロ」はどちらも採用されたはずなのですが、彼らはどこへ行ってしまったのでしょうか。鉄道探偵シリーズは、いちおうシリーズとしてストーリーに連関性を持たせているのですが、細かいところではつながっていなかったりします。
 まずは京王編から取り組むことにします。例によって、最初に訪れるべき駅を割り出す謎が最初にあり、それは開始前に解いてしまえます。
 謎1は「『下高井戸』『したい』こと」「『八幡山』『はまや』大調査」「『???』『めだま』スポット」とあり、なめとんのかと言いたくなるような簡単な問題です。駅名を1文字おきに読むと次の言葉になるわけですので、「めだま」と来ればもう明大前しかないでしょう。
 謎2はさらに簡単で、「にしえいふく」というひらがなを少々わかりづらく書いてあるだけの問題です。ドジであわて者の女性記者が、京王線のいろんな駅で取材しているうちに指輪をなくしたというので、まずは取材に行った各駅を訪ねてみようというわけです。記者はその駅すら憶えておらず、メモ書きなどしているもののそのことごとくが判読不能という状態なのでした。明大前のほうは駅名にコーヒーをこぼしてしまっており、西永福のほうは走り書きしたものの自分でも読めないという設定です。この人、記者に向いていないのじゃないかと思います。
 ともあれまずは明大前に行きました。明治大学の経営学部の入試日であったようで、駅前で誘導の学生がメガホンでがなり立てています。
 明大前駅で取材した相手、という設定の手がかりステッカーが貼ってあります。「J」はその相手に、記者が最後に行った駅について訊ねたようで、「明大前駅から急行で1本で行ける」というカギを得ました。つまり最終取材地は急行停車駅ということです。京王線か井の頭線かはまだわかりません。
 次に西永福に行きました。ここは駅舎の外に手がかりステッカーがありましたが、エスカレーターの下なので雪はそんなに降り込みません。こんどは「(最後の駅の名前は)ひらがな6文字」というカギが得られました。ひらがな6文字の急行停車駅であれば、下北沢・吉祥寺・つつじヶ丘・分倍河原のいずれかです。
 謎3の駅名も、開始前に割り出せました。記者が提出したのは、設定を変なことにしてしまってさっぱり文字が読めない駅名板の写真でした。かろうじて隣の駅名欄に「桜」と「山」が見えましたので、桜上水八幡山のあいだの駅、つまり上北沢とわかります。
 一旦明大前に戻り、京王線の鈍行に乗り換えたら、うしろ向きになっているクロスシートの列車がやってきました。京王線でこんな列車に乗るのははじめてです。朝の時間帯、上りに走っている「京王ライナー」が、新宿に到着したのち、座席をそのままにして各停電車として折り返してきたということなのでしょう。これは面白い列車に乗れたものだと早速乗り込みました。
 残念なことに、その列車は上北沢まで行かず、その手前の桜上水が終点でした。新宿駅には3本しか線路が無く、列車を留置しておく余裕はありませんし、途中の駅にも留置線が無いため、新宿からいちばん近い留置線を持つ桜上水までの「戻り運転」をしているのでしょう。桜上水の留置線ではじめて落ち着いてシードモードを変えたりできるということだと思います。
 幸い、後続の電車は数分後にやってきました。乗り換えて1駅、上北沢で下車します。上北沢の取材相手(という設定の手がかりステッカー)によれば、最終取材地は「上北沢から5駅以内」だそうです。分倍河原までは16駅、吉祥寺までは12駅、下北沢までは6駅ですので、問題の駅はつつじヶ丘と決まりました。
 この上北沢の手がかりステッカー前で、この日はじめてのほかのプレイヤーに遭遇しました。4人組の女性という、ちょっと珍しいグループです。鉄道探偵シリーズのプレイヤーは、警戒色に見える冊子を持っているので、お互いすぐにわかるのでした。

 上北沢駅で次の電車を待っていると、さっき桜上水まで乗った京王ライナーの戻り列車が、回送になって通過してゆきました。見るとシートの向きはそのままです。桜上水で切り替えなどをするわけでないのなら、もっと先まで旅客運転すれば良いのに、と思いました。
 4人組の女性はつつじヶ丘まで同じ電車に乗り、私よりわずかに遅れて手がかりの場所まで到着しました。なおマダムは駅構内の店を眺めていて、なかなか来ませんでした。そろそろティータイムにでもしたいと思っているのかもしれません。
 つつじヶ丘で取材した相手は、記者に名刺を渡していたようなのですが、これまた汚れていて苗字が読めません。またメールアドレスも一部が欠けています。名刺の右半分には、ひっくり返ったり裏返ったりした変な数字の列が書かれていて、メルアドの欠けた部分はその暗号を解けば割り出せるようでした。これが謎4となります。
 手がかりステッカーには、例示された3つの言葉が書かれており、3・ひっくり返った2・2だと「お茶」、左右逆の1・ひっくり返った2・1だと「ベッド」、3・2・ひっくり返った1・ひっくり返った2だと「テープ」なんだそうです。数字の桁数からして、おそらくローマ字に対応するものと思われます。お茶はteaですが、3がt、2がaなのでしょう。aをひっくり返すと、字体によってはeと読めます。
 すると1はd、左右反転するとbでbedという文字になります。そして1をひっくり返すとpで、tapeも導けます。
 さてメルアドの一部は、1・2・3・ひっくり返った2の4桁ですので、dateとなります。これを冊子のQRコードにスマホでアクセスし、現れた入力欄に入力すると、取材相手につながりました。dateはデートではなく、相手の苗字が「伊達」だったのです。「古井企画株式会社 広報部 伊達南平」という人物でした。なお南平というのは「みなみだいら」と訓んで京王線の駅名でもあります。このシリーズは駅名をもじった登場人物が多く、依頼人の女性記者も高幡不動にちなむ「高幡おとは」という名前でしたが、ふだんよりも駅名人物の登場が控えめで、ようやく出てきたかという気分です。
 伊達南平氏は、取材を受けたとき高幡記者はすでに指輪をしていなかったと証言しました。それまでの3駅の取材相手は、指輪をつけているのを見たと証言していたようなので、そうすると上北沢とつつじヶ丘のあいだに行った駅で紛失したと思われるわけです。

 次の駅の割り出しが謎5となります。これも実は事前に解ける問題です。記者の行程表で、取材に立ち寄った駅が書かれていたのですが、駅名は全部塗りつぶされています。用が済んだ場所は塗りつぶすのが習慣なんだそうで、まことに使えない記者と言わざるを得ませんが、立ち寄ったのは全部で5箇所、そのうち4箇所にすでに行ったわけですので、4番目の駅がカギになります。
 記者は例によってその駅名を憶えておらず、変な記憶だけ残っていました。5つの○が並び、その2番目には×がつけられ、「旅」という字に線が引かれています。その「旅」には、右から左に向かった矢印が添えられています。
 これはたぶん「たび」の逆読み、「びた」でしょうし、「びた」なんてのが含まれている駅名は飛田給しかありません。「びた」をひとつに数えると5つの○で字数も合います。
 私たちがその結論に辿り着いたちょうど同じころに、くだんの4人組の女性のプレイヤーの中から
 「飛田給……じゃない?」
 という声がしたのをマダムが聴きつけました。ほぼ同じペースで謎を解いたようです。
 また各停電車に乗って、飛田給に向かいます。このころになると車窓はすっかり雪景色となっていました。
 飛田給では、「ミステリーウォークラリー」のポスターがカギになっていました。これは冊子にも載っていて、ただ空欄があります。「スタート駅の謎」というもので、いくつかのマスが並んでいるのでした。
 しかし、飛田給駅のポスターにその答えが載っていたわけではなく、そこで謎6が完成するという趣向です。マスは全部埋まっているのではなくて、「1□く」「35□く」「152じ」「34から」と、空欄のままのところもありました。
 「1□く」と「35□く」のあいだには「=」が記されています。「35□く」の「5」が小さいマスになっているのもポイントです。マダムは見た途端に、
 「何これ、『あるく』と『ウォーク』とか?」
 と正解を叫びました。近くにいる4人組にも聞こえたかもしれません。
 そうなると簡単なのであって、「12345」がそのまま「あいうえお」であろうと見当がつきます。つまり「152じ」「34から」は「あおいじ」「うえから」
 ポスターの中の文字には、ところどころ色がついているものがあり、その中で青い文字を上から拾うと「ひ」「が」「し」「フ」「抽」となりました。東府中です。なお、緑色の文字もあって、それを同様に拾うと「稲城」となりました。あわてて飛びついてはいけないよ、という戒めでしょう。
 4人組からも、これまたほとんど同時に
 「東府中……?」
 の声が上がりました。勘の良いメンバーがひとり居るようでした。
 そのまま彼女らと競い続けても良かったかもしれませんが、東府中に着いて、私たちはトイレに寄り、そのあと駅構内のベーカリーカフェでお茶を飲んだりしていたので、そのあいだに彼女らは先に進んでしまったのでしょう、そのあとは遇うこともありませんでした。
 東府中の手がかりステッカーには、高幡記者の指輪を持ち去ったと思われる男のイラストが描かれています。三角形がいくつも描かれたTシャツを着ていました。これは冊子にも同じイラストがあったのですが、ただ手がかりステッカーのほうでは、いくつかの三角形が黒く塗られています。これを冊子のイラストに写し取るわけです。
 これを踏まえて謎7を解きます。ミステリーウォーキングラリーのゴール駅がこれで割り出せるのでした。一種の文字拾い迷路ですが、壁にぶつからない限り直進しかできないというタイプのもので、これも確か「パズル通信ニコリ」に載っていたような気がするのですが、パズルの名前が思い出せません。壁にぶつかると、そこで左折か右折のいずれかをおこない、ふたたび直進するということを繰り返してゴールへ抜けるのでした。
 その左折か右折かの回数が、男の来ていたTシャツの黒い三角形の数だというのです。見ると黒い三角形は4つありましたので、4回曲がってゴールへ抜けるようにルートを決めます。
 すると、「T」「M」「G」「W」という文字を通りました。そして

 ──通った文字を拾い、すべてAつけろ。

 と指示されています。TAMAGAWAとなり、ゴールの駅は京王多摩川とわかりました。参加者全員が同じTシャツを着ているわけではないようで、人によってゴールはバラバラという、ひどいウォーキングラリーだったのでした。もっとも、すべてAがつく、つまりア段だけの駅名というのは限られています。京王では多摩川のほか、幡ヶ谷・浜田山・永山・中河原・山田・狭間だけです(けっこうあったか)。
 ともあれ彼がゴールしたのであろう京王多摩川へ向かいます。私の知る限り、鉄道探偵シリーズで相模原線に入ったのはこれがはじめてです。
 ところが、次のページのストーリーパートを読むと、京王多摩川では指輪は見つからず、駅員に訊いてみると今日ゴールしたのは女性がひとりだけだったというのでした。どこかで何かが間違っているようです。
 京王多摩川の手がかりステッカーには、「ミステリーウォークラリークリア者情報」というのが記されていました。今日の唯一のゴール者は、「古井企画株式会社 北野若葉」とのこと。北野駅と若葉台駅からのネーミングです。
 この人に連絡をとる必要があります。これが謎8です。さっきの「伊達南平」氏と同じ会社なので、苗字がネームアドレスのアカウント部分になっていると思われます。伊達南平氏に連絡をとったときのQRコードを再び読み、「kitano」と入力したら、ちゃんと進展があったので
 「お、やった」
 と声を上げてしまいました。
 紛失した指輪については伊達氏から聞いていたとかで、気遣ってくれましたが、あいにくと知っていることは何もないとか。しかし男の姿は見憶えていて、

 ──彼の目線の先に、『真の目的地』が現れれば、新しい事実がわかるのではないでしょうか?

 と助言してくれました。
 冊子の男のイラストを見ると、このシリーズの挿絵の常として顔はシルエットになっていましたが、顔の向きは判別できます。ページの外側に向かっていました。その先に「真の目的地」があるかどうかですが、ページをずらしてみると、前のページのストーリーパートの中に、横向きに「真の」という文字が見て取れました。「の」の右側でそのページを折って、さらに前のページを見ると、同じ高さで「目的地」という文字が並んでいるのがわかりました。うまくその文字が並ぶような文になっていたわけです。
 これで「真の目的地」は現れたわけですが、「新しい事実」というのを確認するのに少々手間取りました。駅のコンコースやプラットフォームに立って考えていると寒くなってきたので、待合室に入りました。謎解きに手間取ったため、電車を1本見送らざるを得ませんでした。
 ページをずらしたり折ったりした結果、男のイラストの手にあたるところから、紐が伸び、ハートマークが2個ついた服を着た犬の絵につながりました。男は単独ではなく、犬を連れていたということであるようです。そして先ほどのミステリーウォークラリーのポスターを見直すと、「ソロでもファミリーでも大歓迎! ペットもOK!」と書いてありました。さらにゴール駅を割り出す迷路には、「参加者(ウォーカー)の服装にある黒い図形の数を『X個』とする。ウォーカーが複数の場合は、全員の個数を合計すること」とあります。
 先ほどは、男のTシャツの黒い三角形の数だけ数えたので間違えたのでした。さらに、連れていた犬の服のハートマークの数も加算すべきだったのです。つまり、黒い図形は6個、従って迷路で曲がる回数は6回というのが正しかったのでした。
 そして解き直してみると、薄々予想はしていましたが、「N」「G」「Y」「M」の上を通りました。すべてにAをつけてNAGAYAMA、「真の目的地」は京王永山であったわけです。

 私たちの謎解きも、永山がゴールでした。永山駅で手がかりステッカーを見つけると、クリアキーワード「祖母の形見」が書かれていて、それをwebで報告するとエンディングとなります。東府中で落とした指輪は、男が持ち去ったのではなく、男が連れていた犬がくわえて持って行ってしまっていたのでした。永山駅で、犬の唾液でべとべとになった指輪を発見したという体裁になっていました。
 京王永山着12時40分。新宿を出発してから3時間45分ほどです。途中東府中で30分ほどティーブレイクをとったので、謎解きタイムは3時間15分といったところだったでしょうか。かなり速かったようでもありますが、駅から離れることがほとんど無かったおかげでもあるでしょう。今回は「想定所要時間」が冊子に表示されていなかったので、速いか遅いかは判断がつきませんでした。ともあれ謎解きのために8駅に下車し、そのほかにも乗り換えのために3回ほど下りていることを考えると、まあまあのペースだったのではないでしょうか。
 永山駅構内のラーメン屋で熱々の味噌ラーメンを食べてから、「都営編」に挑むべく、再び新宿に向かって電車に乗りました。
 この項、続きます。

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