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宇都宮ライトレールと『星空のレジェンド』総合リハ [日録]

 9月18日(月・敬老の日)『星空のレジェンド』第8回公演が近づいてきました。すでに何度も書いているとおり、今回はオーケストラ版初演です。それで私も何度も平塚に通っています。
 最初のころはちょっとした旅行気分だったのですが、通い馴れればどうということはありません。上野東京ライン赤羽から1本、1時間15分ほどで着いてしまいます。
 7月おわりに1回、8月おわりに1回、オーケストラのリハーサルに顔を出してきました。平塚駅まではそう遠い気もしなくなったのですが、リハーサル会場は駅からクルマで20分くらいかかり、そこがけっこう「遠く」を感じました。
 今日、初のホールリサイタルがおこなわれたので、また行ってきました。オーケストラはピットに入るということで、聴こえかたが気になったし、合唱のほうは今回は全然聴いておらず、オーケストラとのバランスがどうなっているかも試聴しておきたかったのです。ただし今日は打楽器がまだ加わっておらず、フルな音はまだ聴けません。これもぜひ事前に聴いておきたいので、17日におこなわれる前日ゲネプロにも足を運ぶことにしました。私が行くと毎回足代を出して貰うことになるので、運営に対してやや心苦しい気もするのですが、たぶん今年だけのことでしょうからご容赦を願うということで。

 さて、これも何度も書きましたが、私の住んでいる川口から平塚までのJR運賃は1340円で、往復すると2680円かかります。さてここに、週末おでかけパスというのがあり、2730円で購入できます。わずか50円の差で元が取れないのですが、私はこのパスを使うことが多く、なんとか元を取るべく、途中下車したり寄り道したりしています。それはそれで楽しいのでした。一度でも途中下車すれば、運賃逓減率があるので、確実に元は取れます。
 7月に行ったときには、往路に時間がとれたので、相模線に久しぶりに乗ったりしました。8月のときは時間が無かったのですが、直前にで仕事があったので、川口で買った週末おでかけパスで一旦蕨まで行き、蕨から平塚へ行けばしっかり額面以上使えました。
 今日も、16時くらいまでにホールに到着していれば良いので、わりに暇があります。オーケストラのリハーサル会場と違って、本番会場のひらしんホールまでは駅からごく近く、歩いても10分ほどしかかかりません。
 それでまた、平塚に行く前にどこかに寄り道しようと考えました。行先についてはいろいろ考えたのですが、ふと、宇都宮ライトレールに乗ってこようかと思いつきました。
 宇都宮ライトレールは、先月の26日、ちょうど私の誕生日に開業したばかりの「LRT」です。LRTはライトレールトランジット、つまり軽量軌道電車ですが、これについてはあとで詳しく述べます。宇都宮駅と芳賀・高根沢工業団地の14.5キロを結びます。所要時間は48分ほどです。
 平塚へ向かう前に真反対の宇都宮に立ち寄ろうとは、考えるだにあほらしい限りですが、時刻表を調べてみると、充分可能であることがわかりました。そして、これだけ広範囲で使えば、休日おでかけパスもお釣りがくるほどのものです。

 朝だけは若干涼しさを感じるようになった道を歩いて、川口駅へ行き、休日おでかけパスを購入し、8時33分の電車で浦和に向かいました。そこで東北線の電車に乗り換えて宇都宮に行きます。
 休日おでかけパスを購入して、ちょっと失敗に気がつきました。このパスの有効区間が、宇都宮までは達しておらず、手前の自治医大で途切れていたのです。自治医大~宇都宮間は別途運賃を払わなければなりません。もちろん元が取れなくなるなどということはありませんが、やや損した気分ではあります。
 朝の時間帯なのでまだ快速が無く、各駅に停車しつつ宇都宮へ。1時間25分ほどの乗車でした。
 宇都宮ライトレールの乗り場は、東口にありました。ずいぶん前に、マダムと一緒にギョーザを食べにきた記憶があります。「みんみん」の店舗が、線路に沿うような空地にあったと思います。それがすっかり再開発が進み、ライトキューブ宇都宮という大きなコンベンションセンターも作られていました。
 陸橋から乗り場に下りてみると、大変な混雑です。どこに居れば行列の後尾につけるのかもよくわかりません。なんだか押し流されるように、先頭車輛に乗り込みましたが、乗り込んだ場所からほとんど動けず、連結器と扉のあいだあたりに突っ立っているしかありませんでした。まだ開業してたった2度めの日曜だから、物珍しさで乗りに来た人が多いのかと思いましたが、そういうわけではなく、終点のひとつ手前のかしの森公園で何か行事があったようです。そこでどっと下りました。もっとも終点のひとつ手前ですので、ほぼ全行程が混雑していたわけです。

 車内広告でも沿線の案内でも、LRTは「次世代路面電車」などと説明されていました。路面電車として全線が新しく敷かれた路線は、現万葉線の軌道区間以来75年ぶりだそうです。富山地鉄に吸収された富山ライトレールは、もともとJR富山港線の設備を流用したものですので、新しい敷設ではありません。
 確かにLRTは路面電車の一形態という面もありますが、欧米で新設されているLRTは、実は路面電車というイメージをはるかに超えています。市街地では確かに路面電車(トラム)としてわりと低速で走るのですが、郊外に出ると時速100キロ超えの高速で快走します。また、既設の鉄道に乗り入れたりもします。わが国ではトラムとしての側面しか考えられていないような気がします。
 宇都宮ライトレールの場合、道路併用軌道の部分で線路敷にクルマを進入させないようにしていること、専用軌道部分もかなりあることなどの点で、LRTらしさもあるにはあります。ただ、15キロ足らずで50分近くも要する速度感については、従来の路面電車のイメージから脱しているとは言えません。せめて専用軌道部分だけでももう少し高速で走れば良いのですが、なぜかスピードを上げようとすると車体が左右に細かく振れる感じで、あんまり速度を上げることはできないのだろうなと思われました。
 列車は3輌固定で、左右に4つずつの扉があります。ICカードがあればすべての扉が使えるのですが、現金で乗ろうとすると運転台近くの扉からしか下りることができません。まだ現金客がかなり多く、必然的に先頭車輛ばかり混雑することになっていました。車体の横幅が狭いのに2×2クロスシートで、従って通路が非常に狭くなっています。現金客が運転台近くの扉に移動するのに、かなり難儀しそうです。
 私はあらかじめ調べて、SUICAが使えることを知っていましたので、宇都宮駅でチャージしてきましたが、現金客はだいぶ多かったらしく、その精算のために停車時間も延びがちでした。特にどっと下車したかしの山公園では、精算が済むまでおそろしく手間取っていました。この状況は、利用者がもう少しICカード利用に馴れるまでは続きそうです。
 現在は12分おきくらいの運転ですが、最終的にはもう少し増やすつもりであるようです。また快速運転も考えているそうです。しばらくはお試し期間ということなのでしょう。
 平石電停とグリーンスタジアム前電停は2面4線になっていて、ここ止まりの電車も走らせるようですが、将来快速が走ったときに緩急接続もできるようにしてあるのでしょう。
 道路併用軌道部分では、昔懐かしい黄色矢印の信号がたくさんありました。路面電車のための信号なので、最近では滅多にお目にかかりません。都電荒川線東京さくらトラム)でも、完全な道路併用になっている飛鳥山のところにしか無いのではないかと思います。また、芳賀側では、「電車連動信号機」というのをいくつも見かけました。なるべく電車を優先させるようになっている信号機で、電車が動き出すとクルマは待つことになります。とにかく路面電車が走りやすいようにいろいろ工夫してあることには素直に感心しました。
 しかし、この程度で「本格LRT」を名乗るにはまだまだ物足りない気がします。日本の地方都市はそろそろクルマ依存から脱却して、あちこちにLRTが走るようになって欲しいものだと思いますが、古き佳き「チンチン電車」のイメージからも脱却して貰いたいところです。
 ところで、宇都宮ライトレールと書いてきましたが、これは事業者名で、正式路線名は宇都宮芳賀ライトレール線です。しかし、案内標識などにはときどき「宇都宮ライトライン」と書いてあるところもありました。これは愛称というところでしょうか。

 混雑で、電車はどんどん遅れ、終点の芳賀・高根沢工業団地には10分近く延着しました。折り返しは、本来乗ろうと思っていた1本あとの便とほとんど変わらないくらいの時間になってしまい、帰りも少しずつ遅れて、宇都宮駅に着いた頃には15分遅れになっていました。ダイヤ上は12分間隔なのですから、1本あとの便よりさらに遅くなったわけで、宇都宮駅で弁当でも買おうかと思っていたのですがその時間も無くなりました。NEWDAYSでサンドイッチなどを買うのが精一杯です。

 宇都宮発12時35分の快速のグリーン車に乗りました。グリーン券は平塚まで通しで買っています。土休日事前購入だと、50キロ以上は一律800円と、ざっくりした区切りですので、赤羽から平塚でも同じ値段です。宇都宮からなら乗りごたえもあるでしょう。
 ただし、この快速は湘南新宿ライン経由の逗子行きで、平塚には行きません。どこかで乗り換える必要があります。
 首都圏の普通列車のグリーン車は、特急のグリーン車などとは異なる特徴があります。それは、同じ方向の電車なら、乗り換えてもグリーン車に乗れるということです。新幹線の自由席特急券などと似ています。グリーン券というのは伝統的に「1列車につき1枚」と決まっていたものですが、普通列車用のグリーン車は自由席ということもあり、融通を利かせられるようになったのでした。
 快速電車は13時57分に赤羽に着きますが、そのすぐあとの13時59分に、上野東京ライン経由の平塚行きがあります。これに乗り換える気になっていました。ただ、よく考えると赤羽駅では、湘南新宿ラインと上野東京ラインは別のプラットフォームであって、乗り換えるには階段を上下しなければなりません。2分でそれが可能か、ちょっと心配です。それで時刻表を繰ってほかの乗り換えかたも研究してみましたが、いくつか案はあるものの平塚到着が微妙に余裕が無い感じです。
 大宮に到着すると、プラットフォームの向かい側に、乗ろうとしていた平塚行きが停まっているのに気がつきました。平塚行き電車も東北線から来ており、つまり先行する平塚行きを、快速が大宮で追い抜くという形であったようです。同じプラットフォームで乗り換えられるのですから楽です。私はあわてて快速電車を下りました。平塚行き電車のグリーン車に乗って、SUICAを感知器にタッチすると、無事にランプが緑色に変わりました。グリーン車乗り継ぎは確かに可能だったのでした。
 実は大宮で乗り換えたのは非常に賢明でした。というのは、何かトラブルでもあったのか、先行していたはずの快速電車が、川口駅あたりで停車しており、私の乗った平塚行きがそれを追い越したのです。向こうは湘南新宿ライン、こちらは上野東京ラインなので、別々の線路で、追い越せるわけです。
 赤羽にはこちらが先に着きました。そしてこちらが発車する頃になって、隣のプラットフォームに快速電車が入ってきました。赤羽で乗り換えようとしたら明らかに不可能だったのです。

 朝から東奔西走していてくたびれたのか、平塚駅で車掌に起こされました。平塚止まりで良かったと言うべきでしょう。そのまま眠って小田原やら熱海やらに行ってしまっては大変です。
 ひらしんホールは本当に近く、わけなく歩いてゆけました。去年マダムと行ったときよりももっと近く感じました。2度めで、様子がわかっていたからでしょう。
 今日はオーケストラの指揮者である田部井剛さんは欠席で、中村拓紀さんが振っていました。中村さんはこのところ毎回本番の指揮をして、合唱指導というか音楽監督といった肩書になっています。合唱指揮者としては充分に実力も経験もある人ですが、オーケストラも振れるとは驚きました。
 独唱・児童合唱・ダンス・ナレーションなど全部加わったリハーサルで、それだけに打楽器がまだ入っていないのが惜しいところです。打楽器が入るとオーケストラの音量が上がる可能性がありますが、いまのところは合唱や独唱のパランスは悪くありません。ピットに入ったせいもあるでしょう。実は、ひらしんホールでオーケストラピットが使われるのは、今回がはじめてなのだそうです。すでに開業して1年数ヶ月経っているはずですが、オケピを必要とするような出し物はひとつも無かったらしい。
 アマチュアとはいえオーケストラの練度もだいぶ上がってきたようです。本番が楽しみになってきました。台本作者にして企画推進者であった大川五郎先生に聴かせて差し上げたかったと心から思います。そしてそろそろ、平塚から飛び立って、ほかの街でも歌われるようにならないかとひそかに念じているのでした。

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