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「鉄道探偵と56年前の犯人」解決篇(その1) [趣味]

 1月15日(水)22日(水)プレイした京王電鉄都営地下鉄のイベント「鉄道探偵と56年前の犯人」のキャンペーン期間が終了しましたので、また解決篇を書いておきます。まあ、懇切なヒントも用意されているイベントなので、解けなかったという人はほとんど居ないでしょう。あくまでも自己満足のための解決篇です。
 東京メトロ主催でscrap社が制作している「地下謎への招待状」シリーズに較べ、鉄道探偵シリーズはストーリー性が強く、しかも毎年のストーリーがそれなりに連作のようになっているのが特徴です。私たちが参加したのは3年目からでしたが、その前の2回もやっておきたかったと惜しんでいます。登場人物の名前はだいたい京王と都営の駅名からとられており、前に出てきた人物が再登場したりすることもあって、なんだか昔なじみに会ったかのような錯覚を感じたりもするのでした。
 プレイヤーキャラと言うべき「鉄道探偵」は3代目だそうで、私たちが参加し始めた第3回のときは、まだ助手でした。それがその年の物語の最後でボスの2代目から事務所を任され、襲名することになっていました。で、今年の「56年前の犯人」には、

 ──これは、鉄道探偵が初めて「失敗」した事件。

 と副題がついています。この失敗した鉄道探偵は、初代という設定です。56年前というと1964年、私の生まれた年であり、前の東京オリンピックが開催された年でもありました。そして今年もオリンピックイヤーということで、今回のストーリーはもちろんオリンピックにひっかけています。物語中では、「トレイン大運動会」なる催しということになっていましたが。
 56年前の大運動会と、今年の大運動会に関連して、いずれも競技者の幼い娘が誘拐されるという似た事件が起こります。56年前の誘拐事件に取り組むのが初代鉄道探偵で、こちらが京王・過去篇。そして今年の誘拐事件に取り組むのが3代目で、都営・現代篇ということになります。もっとも、1964年当時の京王線がネタになっているわけではありませんが。

 さて、過去篇では初代鉄道探偵が、トランポリンならぬパンタグランポリンなる競技の選手である中井アスカという女性から、そして現代篇では3代目鉄道探偵が、吊り輪ならぬ吊り革なる競技の選手である布田ゲンダイという男性から、それぞれ3歳になる娘が誘拐され、その犯人から謎の手紙が来たという相談にやってきます。謎の手紙は暗号になっており、ここから訪れるべき駅を割り出し、その駅に実際に行って設置された謎を解くところまでが第一章です。
 駅を割り出すところまでは、出かける前に家でやってしまうことが可能です。そしてこの駅割り出しの暗号は、最初ということで平易な謎になっています。
 過去篇の最初の駅は、発車時刻表を模したカギから、13:50とか17:23とかいうような時刻を模した暗号を解読することで得られます。時刻の数字がそれぞれカナひと文字に、時刻表が五十音表に対応していることに気づけばすぐに解けます。時刻表には特急や急行を思わせる色つきの時刻も載っていますが、それらは濁音とか拗音などを示しているらしいことは、五十音表に気づけば簡単に類推できます。解読すると、「けいおうしんじゅく」となります。実際には京王新宿という駅は無く、単なる新宿ですが、都営新宿線と共用している新線新宿駅と区別するためにこういう言いかたをすることがあります。
 次は、信号機のようなものが3つ並んでいます。それぞれの信号機に3つずつのランプがあり、青・赤・黄色・灰色・白に塗り分けられていますが、白のところには最初から「D」と記されています。他の色は解読の仕方が記されていますが、いずれも非常に簡単です。青は「3つあるうちのSとLの間」とあり、服のサイズのことで、「M」であろうことはすぐに見当がつきます。黄色はもっと露骨に「東」、当然「E」になります。赤は「IIの前」とありますが、わざわざローマ数字を使っているところがお察しで、「I」が答え。灰色は「26個の内の最初」と、もう思わせぶりな書きかたに飽きたのではないかと思うような雑な説明で、もちろんアルファベットの最初の「A」です。信号機にこれらのアルファベットをあてはめると、「MEIDAIMAE」と読めます。明大前ですね。
 3問目は、

 北(2駅)南(6駅)東(3駅)西(10駅)?(3駅)西

 と書いてあり、「?」に相当する駅へ向かえというわけでした。最後の「(3駅)西」は実際には直角にタテに上がっています。考え込む人も居るかもしれませんが、京王の駅のことは知悉しているので、駅名に含まれる方角名であることはすぐにわかりました。高尾線の分岐駅である北野から新宿方面に進むと、長沼平山城址公園の2駅をはさんで南平となります。さらに高幡不動から府中までの6駅をはさんで、東府中があります。さらに3駅を経て西調布、そこから10駅をはさむと桜上水となります。最後の「西」が折れ曲がった先にあったのは、明大前で乗り換えて井の頭線に入り、西永福を意味しているのでしょう。
 現代篇の第1問は、数学で集合を習ったときに教わったベン図のようなものが書かれており、3つの円が重なっています。それぞれ、「都庁前駅から一駅」「駅名に漢数字がある」「駅名に『西』がある」とあり、第一と第三の条件円の重なったところに「?」があります。第一の条件がいちばん限定的なのでここから考えれば、都庁前駅の隣になるのは新宿新宿西口西新宿五丁目の3つ。このうちで駅名に「西」がある(第三条件)のは新宿西口と西新宿五丁目。そのうちで「漢数字がある」のが除かれるわけなので、西新宿五丁目が除外されて答えは新宿西口です。
 第2問は、電車のようなイラストが3つ並び、「折って二両を繋ぎ一両消せ」と指示があります。その下には「数字が示す駅の頭の文字を読め」とあり、さらに5行ほどにわたって妙な文章が並んでおり、頭に1~5の数字が振ってあります。それぞれの文章の頭を読むと「青山西馬込」となっているのでつい早まった結論を出しそうですが、まずは真ん中の電車が折り込まれて見えなくなるようにページを折ります。すると、2番目の指示が、「数字が示す文字を読め」と変化します。文章の見えている部分のうち、1文字目、2文字目……という具合に拾ってゆくと、本郷三丁目という駅名が出てきます。
 第3問は、いくつかの空欄を、法則に従って埋めるというものでした。最初の空欄は、J→Q→[ ]となっています。トランプの絵札ですので、当然「K」。2番目の空欄は[ ]←→omoteとあるので「ura」。最後の空欄はushiro←→[ ]で「mae」。続けて読めば「Kuramae」、蔵前です。
 ここまではあらかじめ解いてありました。訪れるべき6つの駅が判明したわけです。

 そしてまずは1月15日、『天空ノ鉄道物語』を観に行くついでに、まずは都営・現代篇に手をつけました。その前々日の13日に「地下謎への招待状2019」をプレイしたあとで、『天空』関連のスタンプラリーを少しやってしまったことは前に書きましたが、このスタンプラリーは東京メトロで3駅、都営地下鉄で3駅捺してくる必要がありました。そのうち13日には六本木麻布十番で捺しましたが、麻布十番はメトロ南北線都営大江戸線の両方のスタンプ設置駅でしたので、ここでもう3つ捺せたわけです。さらにメトロのもうひと駅であった麹町は、翌朝、まだ地下謎で使ったメトロの24時間パスが有効な時間中に、マダムが出かけて捺してきました。あとは新橋汐留で捺せば良いのですが、それだけ捺して六本木ヒルズ森アーツセンターに行くのでは、なんとなく都営の一日券がもったいないような気がしました。それで、少し早めに出て、鉄道探偵の都営篇を少し進めてしまおうと考えたわけです。ひとつには、鉄道探偵のクリアにはけっこう時間を要しそうで、その日のうちに終えられるか心許なかったということがあります。もう少し標準タイムが短かった一昨年も、帰りがずいぶん遅くなってしまったのでした。
 そんなわけで、15日の昼過ぎ、まずは大江戸線の新宿西口駅に向かいました。新宿駅構内と言って良いような場所にある駅ですが、乗り下りしたことはまだありません。
 都営の3つの駅には、いずれもコンコースに飾られているパブリックアートを用いた問題が設定されています。新宿西口駅は、たくさん孔のあいた大きな鏡がそれでした。数字と文字が並べて書かれているカギが冊子に掲示されており、左端の孔の数と同じ数字のついた文字を読めというのが問題です。左端の孔の数は9個、従って9と並んでいる文字を拾うと「グローバルオブジェ」なる言葉が出てきました。なんのことだか意味がわかりませんが、それはそれで良いのでしょう。
 他の2駅もいずれも大江戸線の駅です。わざと大江戸線上に並べてくれているらしく感じられます。次の本郷三丁目駅には、多くの作家や詩人の作品から引用した文章が、作者名と共にずらずらと掲示されています。この駅には何度か下りたことがあるのですが、こんなパブリックアートには全然気づいていませんでした。どういうチョイスかよくわかりませんが、引用文は何百にも及ぶように見え、なかなか壮観です。この右端を見て、そこにある作者名と作品名をチェックし、指定された箇所の文字を拾うのが問題でした。
 清水昶「顔」、松浦寿輝「播」、財部鳥子「北京の」、白石かずこ「」、清岡卓行「った焔」で、太字にした文字が指定されたものです。問題文では「●●●●『①●』('69)」という具合に文字が隠されていて、末尾の制作年をヒントに該当する作品名を探さなければなりませんでしたが、同じ制作年であることを利用したひっかけ問題もありました。
 で、この出てきた漢字に相当するイラストを結び、その結んだ線が通った文字を読むというのが最終段階です。「タイヤブレーキ」という言葉が出てきました。
 マダムが一度外へ出たいというので、改札を出ました。本郷三丁目のあたりは、マダムが尚美学園に通っていた頃の想い出の地なのでした。ほんの少しだけ散策して駅へ戻り、また大江戸線に乗りました。
 蔵前のパブリックアートは、将棋の駒を大きくしたような五角形の額縁が並んでいて、いろいろなフォルムのレリーフ風なものが飾られています。「光のかたちー雨・花火・街並・灯・川」という作品だそうで、問題に使われていたのは2番目の「花火」でした。大小さまざまな四角形の区画に、色とりどりなガラスの小片がちりばめられているものです。その色のうち赤と紫のものを選び、冊子に書かれている文字と対応させれば良いのでした。指示どおりに拾うと、ドアツラヌケ」という言葉が出てきました。
 これで第一章で必要な3つのキーワードが揃いました。揃ったところで次の問題があり、新宿西口の第1問と本郷三丁目の第2問で出てきた言葉を欄に埋めたのち、[蔵前の第3問の言葉]ば、メッセージがわかる……となっています。「ドア貫けば」というわけですが、これは駅を割り出すときの第2問の電車の絵にあるドアに違いありません。別に孔をあけなくとも、光にすかしてみれば、ドアの裏面に「グローバルオジェ」のうち「グ」「ロ」「ー」「ブ」、「タイヤブレーキ」のうち「ヤ」「ブ」「レ」が位置しているのがはっきり見えました。

 というわけで、第1章の答えは「グローブヤブレ」でした。これを特設サイトに送信すると、第2章の最初の問題文の空欄を埋める言葉が判明します。それは「偶数番号」でした。
 その問題文はかなり細かいのですが、労をいとわずそのまま写しておきます。

 「一番大きい[偶数番号]の出口から外に出て右に曲がれ。十字路にきたら交差点を渡って右に曲がりまっすぐ進め。左側に見えてくる地下鉄の駅の階段降りろ」
 「着いた駅の、三田方面の列車に乗れ。発車してから、列車が進む方向を向いて最初に左側が開いた駅で降りろ」
 「その駅で乗り換えられるもう一つの路線の都営地下鉄のホームへ向かえ」
 「新宿方面に向かう列車に乗り、最初に現れる読みで七文字の町がつく駅で降りろ」
 「改札出て右後ろにあるラックでTOEI TIMES受け取れ」

 実は、私はこの段階で、「岩本町」という答えを出していました。蔵前駅は大江戸線と浅草線の接続駅ですが、一旦地上に出ないと乗り換えられません。従って、最初の指示は、浅草線に乗り換えろという意味に違いないのでした。
 三田方面へ向かう電車に乗り、最初に左側が開く駅、つまり相対式プラットフォームになっている最初の駅がどこだかは記憶していませんが、その駅で他の都営の路線に乗り換えられるというのですから、これは東日本橋です。東日本橋が相対式であることは、去年の鉄道探偵プレイ中に知る機会がありました。東日本橋は新宿線の馬喰横山と同一駅と見なされており、ここで新宿線に乗り換え、新宿方面に向かうことがわかります。そして「町」が駅名に含まれて7文字の最初の駅といえば、これはもう岩本町ということになります。
 私がそう説明したのに、マダムは「自分でやってみないと納得できない」と主張しました。実は東日本橋~馬喰横山の乗り換えはけっこう遠く、省略したかったのですが、マダムが納得しないのであれば仕方がありません。
 私の想定どおりに移動し、岩本町へ。確かに「TOEI TIMES」と称する謎の「新聞」がラックに入っていました。A4判の紙切れ一枚だけの「新聞」です。
 この日の探索は、岩本町で打ち切りました。なぜなら、後日京王篇を済ましてから都営篇に復帰する場合、京王と都営の結節点である(新線)新宿を必ず通ることになり、そこから新宿線1本で到達できる岩本町から再開するのが都合が良かったからです。なお15日は、そのあとまた馬喰横山→東日本橋と舞い戻って再び浅草線に乗り、新橋で下りてスタンプを捺し、そこから汐留までは地下街を歩いて移動してまたスタンプを捺し、大江戸線で六本木に向かったのでした。

 ちょうど一週間後の22日、残りをプレイすべく出かけました。地上線である京王を明るいうちに済ませたかったので、先に京王篇に取り組みます。
 京王篇のほうは駅中に設置されたものを利用した問題ではなく、鉄道探偵シリーズ定番の、登場人物に「会う」という設定のポスターが駅のコンコースに貼られているという方式でした。新宿で依頼人中井アスカの幼なじみである「中河原鉄也」に、明大前でコーチである「神楽坂光」に、桜上水でライバル選手である「戸越ヨウコ」に会って、それぞれから紙片を渡されるという「設定」です。紙片に書かれた内容も同じポスターに記載されており、それを冊子の該当欄に書き写します。なお中河原鉄也は前作「1/3の奇妙な手紙」に登場した大富豪で、この過去篇では彼の若い頃ということだったのでしょう。「神楽坂光」は前々作「消えた1億の謎」に登場していた「神楽坂明」の父親でしょうか祖父でしょうか。前のシリーズの登場人物を見つけて「おっ、この人は……」とほくそ笑むのがこのイベントの醍醐味でもあります。
 渡された3枚の紙片には、原稿用紙のようなマスが印刷されたところに、いろいろなピクトグラムが配置されています。また小さな数字が書かれたマスもあります。2本の横線に菱形がはさまれたようなピクトグラムがあって、それが「パンタグラフ」を表しているとき、「1234156」で読むとメッセージが現れる、という問題文が、3枚目の、戸越ヨウコから渡された紙片に記されていました。数字はマスに記された小さな数字でしょう。マスにカナを埋めて、その数字に対応するカナを拾うということになるようです。
 3枚の紙片は、元は1枚の紙であったものが3つに破られた形になっています。つなぎあわせてみると、上記のピクトグラムはふたつあり、よく見るとそのふたつにはさまれたマスが6個あります。どうやら同じピクトグラムにはさまれたマスに、そのピクトグラムが表す言葉を入れてゆけば良いらしいと気がつきました。ピクトグラムは他にも「つりかわ」「きんえん」「せんろ」等々があり、それらがクロスワードのように交差しています。ナナメに読むものもありました。右から入れたり下から入れたりしなければならない言葉もあり、少々時間を要しましたが、最終的には「スパイクステロ」というメッセージが出てきました。現代篇の「グローブヤブレ」と趣きが似ていますね。

 この「スパイクステロ」を特設サイトの解答欄に入力すると、第2章の最初の謎とほぼ同じものが入手できます。違うところは、冊子では空欄になっていたところに、「胃」「鳥」「里」「息」「戸」と漢字1文字ずつが書き込まれていたことでした。
 問題の上部には、さまざまな形の縁取り模様がされた正方形にカタカナが書き込まれています。そして、漢字の読みを縦書きで書き込むらしい空欄が下にありました。しかし、用意されたカタカナには、「ト」や「リ」はあっても、「イ」や「キ」などが見当たりません。
 カタカナがちょっと変な字体になっているのがミソです。実は90度回転させると、別のカタカナに見えるような仕掛けになっているのでした。たとえば「ト」を左に90度回すと「イ」に見えます。「サ」を同様にすると「キ」に見えます。そうやって見つけたカタカナを、縁取り模様ごと空欄に書き込んでゆくと、その縁取り模様が「cHoFu」というローマ字に見えるように配置されます。次に向かう駅は調布です。
 すぐに調布に向かいますが、調布という駅は使い勝手が良いのか、いままでプレイした4回の鉄道探偵シリーズで、必ず一度は訪れなければならない駅になっていました。
 調布に着いてからの行動は冊子に指示されています。持って回った指示になっていますが、要するに中央口から出て東口にまわるというだけのことでした。東口の階段を下りると、地下謎のときに日比谷駅で見たような、手形のレリーフが並んでいました。その隣に、「トレイン大運動会・パンタグランポリン」のポスターが貼られています。色分けされた3人の選手とその名前が出ていました。そして冊子のストーリーパートに、「大事なのは選手の名前だけ」という、初代鉄道探偵の露骨なセリフがあります。
 冊子に提示されている謎は、一見何かの路線図のように見える図形でした。赤・青・黄色・緑の4色の「路線」が描かれ、「駅」に見える小円には数字が書き込まれています。そしてそれぞれの路線の端っこに、「[  ]から○番目の駅」という記述がありました。この空欄に、選手の名前を埋めれば良いわけです。青い選手は八王子、緑の選手は神泉、黄色の選手は吉祥寺とこれまた露骨な名前でした。赤の路線にはこの記述が無く、代わりに「?」とあります。そしてこの「?」が示す駅へ行けというのが次の指示でした。
 調布駅ビルの中の中華料理屋で昼食をとりながらこの問題に取り組みました。まあ、それほど難問というわけでもありません。青は「八王子から1番目の駅」となっていて、これはどう考えても北野です。そして青の路線には「駅」が3つしかありませんので、「駅」がカナを示していることが予想されます。「駅」に書かれている数字は、その駅名の読みにおけるカナの順番を表しているようです。「きたの」はたまたま1・2・3と順番に並んでいましたが、緑の路線「神泉から2番目の駅」すなわち池ノ上は1・4・5・2・3となっているので、「いうえけの」の順になるわけです。そして緑の3と青の3はあたかも「乗換駅」のように隣接していました。いずれも「の」に相当するので、「乗換駅」の文字は共通であることがわかります。
 黄色の線は「吉祥寺から6番目の駅」だったので浜田山です。この路線は、2と5が同じところに並べられているので、これもヒントになるわけです。
もうひとつヒントがあり、濁点のつく文字には、「駅」にご丁寧に濁点がついています。そして北野の2と浜田山の3が「乗換駅」で、浜田山の3に濁点がついています。「た」と「だ」を表します。
 さて、そして赤の線ですが、「駅」が7つあり、7の駅が緑の4、つまり「う」と「乗換駅」になっています。そして「乗換駅」はこれしかありません。また2の「駅」には濁点がありました。つまり、「カナで書くと7文字で、2文字目が濁音、最後の文字が『う』になる駅名」が「?」の正体です。
 京王で7文字になる駅名は、永福町・東府中・高幡不動・高尾山口・南大沢の5駅しかありません。永福町・東府中・高幡不動は最後の文字が「う」ですが、2文字目が濁音になるのは東府中だけです。これが次に訪れるべき駅でした。

 現在のダイヤだと、日中の本線の調布以遠は、各停と準特急と特急しか走っていません。東府中は急行停車駅ですが、急行以下の優等列車は朝晩しか走っていないので、調布から東府中に行くには各停に乗るしかないのでした。
 「武蔵野」風情が強くなった車窓を眺めながら、東府中へ。改札正面にベーカリーカフェがあり、そこのトレードマークが次の謎のネタになっていました。トレードマークと似た図形が冊子にあって、文字が散らばっています。ただし本物のトレードマークと較べると、いくらか線が足りなくなっています。この線を補充したとき、「四角に囲まれた文字を読め」というのが問題でした。
 この答えは「左に進め」だったのですが、ちょっと設問が破綻しています。というのは、台形に囲まれた「段」という文字が他にあるのであって、台形も立派な四角形の一種です。「長方形に囲まれた文字を読め」とするべきでした。
 左に進むと、「トレイン大運動会・定期拳」のポスターが貼られていました。そのポスターにある文字を冊子の空欄に書き写します。「サ・そ・ル・ぶ・す・ぜ」の6文字でした。その隣に、「S→H」「S→T」「R→M」「B→T」「S→K」「Z→R」というローマ字が書かれた欄が並んでいます。空欄に入った文字の子音と、ローマ字の左側のものが一致していますので、これは子音を変換して読めということです。「サ」のSをHにすると「ハ」、以下同様に「と」「ム」「つ」「く」「れ」と変換されます。「ハとム作れ」というわけです。
 問題のコーナーに、妙な模様がいくつかあるのがカギです。その中に、さっきのカタカナ問題(第2章の最初)の縁取り模様の一部と思われるものがありました。念のためカタカナ問題のところを見ると、それと対になるらしき模様があり、ページを折ってそのふたつをくっつけると、「ハ」と「ム」の文字の縁取り模様が出てきました。この状態でコーナーを見ると、ふたつのページをつなげて「サソリトハサミセンムすぶ」と読めました。その下を見ると確かにサソリとハサミのイラストが描かれています。その線を結ぶと、途中にある小円を連ねて、京王の路線図の一部のようになりました。

 さっきの「cHoFu」が出てきた欄の下には、黒・青・黄・緑・オレンジ・赤の小円が並んでいます。調布には各停・快速・区間急行・急行・準特急・特急の全列車が停まりますよ、という意味合いのようです。そこから左側に、ふたつの小円がタテに並んだものが3つ連なっています。小円がタテに並んでいるのは、各停と快速が停まる駅ということのようです。3番目の駅に矢印がついています。調布から3番目の駅、つまり武蔵野台です。
 マダムが少々手間取っているようだったので、さっき調布で昼食をとったばかりでしたが、東府中のベーカリーカフェに入って食後のコーヒーを飲みました。この日は何かのフェアをやっていたようで、500円以上の買い物をすると小さなパン・オ・ショコラが貰えることになっていました。コーヒーをふたつ注文すると500円を超えましたので、私らにもパンが渡されました。デザートもゲットです。

 武蔵野台などという駅にはいままで下りたことがありません。マダムも同様で、なんだか嬉しそうでした。
 この駅で「京王スポーツだより」という「新聞」を入手します。岩本町で入手した「TOEI TIMES」と同じようなあやしげな「新聞」で、指示に従ってそこの「ポエム欄」に書かれたとおりに歩くと、「トレイン大運動会・車輪投げ」のポスターがありました。「R級・50kg」「E級・30000g」「SE級・0.02t」と単位がバラバラな「車輪」の重さが記されています。このうちいちばん重い車輪の級を冊子の空欄に埋めろとのこと。小学生向けの算数パズルみたいな問題です。
 30000gは30kg、0.02tは20kgですから、もちろんいちばん重いのは50kgの「R」です。また、「11」という数字も示されていました。これも空欄に埋めると、「Rの11番目の駅に向かえ」という指示になりました。
 問題欄には、表のようなものも提示されています。

   1番目 2番目 3番目 4番目 5番目 6番目 7番目 ……
 SE  1   6   18   24   25   27   29  ……
               36   40   41   43  ……
  E   1   2    3   4   6   8   12  ……

  R   1   2    3   4   6   7    8  ……

 この表の法則に従い、「Rの11番目」を割り出せ、というわけです。
 そんなに難しくはなく、これは列車の停車駅を示しているのだとすぐにわかります。SEは特急、Eは急行、Rは快速のことです。なお京王では、特急をLimited Expressではなく、Special Expressという英語名で表示しています。
 「○番目」というのは停車する回数、数字はステーションコードです。01は新宿、02は初台、03は幡ヶ谷、以下同様です。明大前が06で、特急は新宿からノンストップであるため「2番目」が6になっています。急行と快速は05の代田橋を通過するので「5番目」が6となります。SEが途中からふたつになるのは、本線と相模原線の停車駅を分けているのでしょう。
 快速の11番目の停車駅はというと、新宿・初台・幡ヶ谷・笹塚・明大前・下高井戸・桜上水・八幡山・千歳烏山・仙川と停まって、つつじヶ丘になります。これが次の目的駅です。

 このあたりからマダムが、私らのすぐあとに動いている年配のご夫婦の存在を気にしはじめました。若者に追い抜かされるのは仕方がないと諦めているようですが、もっと年配の人に追い抜かされてはたまらないという意識だったのでした。
 「あの夫婦、さっき東府中でも居たよ」
 と指摘します。それはまあ、このあたりは電車の本数もそう多くないし、同じような動きになるでしょう。
 つつじヶ丘に着き、指示された場所に行くと、今度は「トレイン大運動会・時刻表割り」のポスターがありました。時刻表が拳で割られており、それぞれの切れ端に字が書いています。「桜」と「明」、「富」と「浜」、「八」と「桜」という組になっています。冊子のほうには、「[ ]と[ ]の間の駅」と親切なことが書いてくれてあったので、漢字が何を示しているかは一目瞭然でした。「間の駅」などと書いているからには、漢字もそれぞれ駅を表しており、桜上水明大前の間の下高井戸富士見ヶ丘浜田山の間の高井戸八幡山桜上水の間の上北沢であることはすぐにわかりました。そしてそれぞれの駅のところに、いろんな型の車輌を並べた電車のイラストが描かれています。
 白い車輌と青っぽい車輌を連ねた電車が下高井戸、青っぽい車輌だけのが高井戸になっていますので、白い車輌が「下」を表しているのは言うまでもありません。上北沢はオレンジ色っぽい車輌と緑の車輌が連なっています。さてその場合、白い車輌と緑の車輌を連ねた電車はどこの駅を表すか?……というのがここの謎だったわけです。ほぼ考えるまでもありません。白は「下」、緑は「北沢」に決まっていますので、下北沢が答えです。この過去篇、ここまではずっと京王の本線上を行き来していましたが、最後に至ってはじめて井の頭線が出てきました。すんなりと新宿に戻って現代篇を再開できるかと思ったら、そうは行きませんでした。

 明大前で下りて井の頭線に乗り換え、下北沢へ。この駅は実家に近くもあり、かつては非常にしょっちゅう使っていましたが、いまは大きく変貌して、どこがどことつながっているのかよくわからなくなってしまいました。ともあれ冊子に書かれた指示の通りに歩くと、昔懐かしい「伝言板」が設置されていました。
 駅の伝言板といえば、つい最近まであったし、「シティーハンター」冴羽獠と連絡を取るためには新宿駅の伝言板に書き込まなければならなかったはずなのですが、誰もがスマホを持つようになったいまではほとんど見られなくなりました。「過去篇」の60年代テイストと言うべきは、この伝言板くらいなものだったかもしれません。
 「ひまわりの花が咲く、笑顔にはさまれた場所」に、依頼人の娘であるキョウコが居るという伝言でした。初代鉄道探偵はここで行き詰まったようですが、依頼人の中井アスカのほうがピンと来たようです。さっき武蔵野台で貰った「京王スポーツだより」に、「ひまわり保育園」の広告が載っていて、そこにひまわりの花の写真がありました。また「ひまわり幼稚園」の文字の両側にスマイルマークがつけられています。なんのことはない、キョウコが通っていた幼稚園なのでした。
 ここで特設サイトに「ヒマワリホイクエン」と送信します。カタカナで入力するようにと註記されていました。

 以上で、過去篇はエンディングを迎えます。キョウコは何者かに連れ去られて幼稚園に預けられたけれども、その相手が誰だかはわからなかったとのこと。かくて、誘拐された幼女は戻ってきましたが、初代鉄道探偵は結局、犯人を突き止めることには「失敗」したわけです。犯人がわからない以上、再び同様の事件が起こることを怖れた依頼人は、アスリートから引退することを決意するのでした。そして、特設サイトからは「クマのヌイグルミ」というクリアキーワードが送られてきました。キョウコが犯人から貰った品物のようです。
 私たちのすぐあとに続いていた年配の夫婦は、ここまで一緒でした。ほぼ相前後してクリアキーワードを入手していたようです。そのあとは姿を見なくなりましたが、私らは都営篇でショートカットしていたので、それは当然でしょう。あるいは、すでに17時くらいになっており、この日のところは打ち切ったのかもしれません。
 この解決篇も、ここまででずいぶん長くなってしまったので、一旦切ります。続きはまた明日にでも書きたいと思っています。

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