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房総謎解きイベント挑戦記 [旅日記]

 コロナ禍のせいで、いろいろなイベントが中止になってしまっているのはご存じのとおりですが、この夏はいつもやっているミュージアム&メトロめぐりの謎解きイベントも中止になりましたし、秋からはじまる「地下謎への招待状」も見送られています。
 博物館や美術館などは、それでなくても入場制限などをして、来客が密にならないよう配慮しているわけで、そんなところへ謎解きイベント参加者なんぞがふらふらと迷い込まれてはすこぶる迷惑でしょう。このイベントの中止はやむを得なかったと思います。
 また「地下謎」は、少数のプレイヤーが地下鉄を乗り下りしている程度だったら良かったのでしょうが、ここ何回かでプレイヤーが増えすぎました。20万人とか30万人とかが参加しているのでは、イベント期間が数ヶ月に及んでいたとしても多すぎます。開始場所が分散するよう考慮はしていますが、後半になると共通の流れになるため、謎の設置場所にものすごい人数が押し寄せることになります。一昨年の渋谷マークシティ、昨年の日比谷「手形の回廊」永田町の偏光メガネ問題など、どう考えても「密」きわまる騒ぎになっていました。これも、強行するわけにはゆかないでしょう。
 私たちがもうひとつ参加している「鉄道探偵シリーズ」はどうなるかまだわかりません。地下謎ほど一箇所に参加者が集中する仕組みにはなっていないと思いますが、それでもやや「密」に感じられるくらい集まってしまうことはちょくちょくあるようです。このシリーズはだいたい年明けからはじまりますが、もしかしたら今シーズンはやはり見送られるかもしれません。
 そんなわけでちょっと欲求不満気味であった私らでしたが、駅のチラシラックで「千葉房総を巡るナゾトキ宝探し・放課後の手紙と消えた彼女」というパンフレットを見つけました。ざっと見たところ、千葉県内のJR線を乗り回して謎解きをしてゆくというイベントであるようです。どうやら今年で3回目で、去年と一昨年もやっていたらしいのですが、まるで気がつきませんでした。ミュージアム&メトロや地下謎が無くなってしまって、この手のイベントに飢えていたからこそ発見したということでしょう。
 千葉県内というくくりとなると、東京メトロの圏内とか、都営地下鉄&京王電鉄などというのとは桁違いのスケールです。まあ、よく見るとこのイベントに関しては、総武線の国電区間と京葉線、それに外房線のみを探訪範囲としていました。それなら動きはある程度限られてきますが、それでも途中宿泊前提、また「サンキューちばフリーパス」という企画切符の使用を推奨されています。この切符は、千葉県内のJR路線だけでなく、多くの中小私鉄、バス路線、さらに東京湾フェリーなどまで自由に乗り下りできるという使い勝手の良さを持ち、2日間有効だそうです。青春18きっぷなどとは違って普通列車限定パスではなく、特急券を買う必要はありますが特急に乗ることも可能です。まさに謎解きイベントのために作られたような企画切符……というより、最初からタイアップしていたのかもしれません。
 なお、内房線を探訪範囲とする謎解きイベント「ちばたん」というのも同時に開催されており、実は私は「ちばたん」のほうのポスターを先に見て、そちらのチラシをチェックしに行ったら「放課後の手紙」を発見したという経緯なのでした。
 どちらのイベントも、「鉄道探偵シリーズ」を運営しているタカラッシュ!社の企画でした。この会社はミュージアム&メトロもやっているし、今年のはじめにやった都電荒川線&日暮里・舎人ライナーの謎解きイベント「不思議なキャンパスの秘密」も担当しています。もはや鉄道謎解きの老舗というべき会社でしょう。会社のホームページを見ると、日本全国、実にいろんなところで鉄道謎解きイベントを実施しているようです。

 早速マダムと打ち合わせて、プレイ日を決めました。マダムはこのところけっこう忙しくて、なかなか2日連続で休みを取れるところが無かったのですが、10月の上旬と下旬に、なんとか予定を空けられそうな日を見つけました。
 マダムはどちらかというと、下旬のほうにしたい様子だったのですが、ひとつ問題がありました。
 というのは、この「放課後の手紙」は、全体で大きく3部分よりなっています。第一章は総武線国電区間と京葉線を使うところで、これは誰でも参加できるのですが、外房線を使う第二章は、ある場所で「謎解きキット」を入手する必要があり、そのキット配布は、なんと先着4000名に限られるそうなのです。さらに、第三章(「アナザーストーリー」と称している)は、同じくある場所で謎解きキットを入手することになりますが、第二章を完全クリアしていることが条件で、こちらは先着2000名です。
 そのほかに、指定された宿泊施設で宿泊することにより、「おまけ謎」というのを貰えるらしいのですけれども、これも先着2000名。
 イベント参加者がどのくらい居るのかわかりません。地下謎のように何十万人というようなことは無いとは思いますが、約90日の会期中、平均一日110人くらいプレイすれば4000名に達してしまいますし、2000名といえばその半分です。私らのように他の謎解きイベントが中止になって欲求不満な人たちが押し寄せる可能性も無いとは言えないし、なるべく早くプレイしたほうが安全だろうと考えました。
 それで、10月6日(火)7日(水)という日程を組みました。平日なので、たぶん他のプレイヤーもそう多くはないでしょう。イベントは9月1日からはじまっており、すでに1ヶ月以上経過しているわけですが、もし第二章のキットが定員に達していて受け取れなかったら、普通に房総旅行ということにしてしまおうと決意しました。「おまけ謎」を貰える宿泊施設はいずれもれっきとしたホテルで、平日といえどもそこそこの値段を取られるようでしたが、Go To トラベルキャンペーン実施期間であるため、額面よりはだいぶ安く済みそうです。
 そもそも第二章のクリア確率が50%ということは無さそうな気がするのでした。地下謎にしろ鉄道探偵にしろ、ほとんどのプレイヤーがパーフェクトクリアしているのではありますまいか。そうでもないのかな。

 さて、ともかく「サンキューちばフリーパス」を購入しようと思い、川口駅の指定券販売機に向かいました。昔は指定券を買うと言えば「みどりの窓口」と相場が決まっていましたが、最近は省力化が進んで、みどりの窓口を廃止し、指定券販売機を設置する駅が増えてきました。私の愛用するJTB時刻表の索引地図でも、みどりの窓口設置駅を表す緑色の丸印はずいぶん減って、その代わり指定券販売機設置駅を示す赤丸が多くなりました。川口駅はまだみどりの窓口が残っていますが、指定券販売機でかなり用が足りるようになっているので、ゆくゆくは廃止されるかもしれません。
 その指定券販売機で、指定席券などとは別に、トクトクきっぷなども購入できます。青春18も、最近ではそちらで買うことが多くなりました。川口駅で購入可能なトクトクきっぷは網羅していますが、サンキューちばフリーパスというのは出てきません。
 よくよく調べてみると、サンキューちばフリーパスというのは、千葉県内だけの販売でした。他県から使うには、まことにまぎらわしいのですが「サンキューちばフリー乗車券」という別の切符が必要です。しかし、コロナの影響で、「当分のあいだ販売を見合わせます」と注意書きがありました。JR東日本のサイトで確認しても「当分のあいだ……」とあるだけで、いつから販売をはじめるのか、まったく情報がありません。
 となると、千葉県の駅に出かけて行って、サンキューちばフリーパスを入手するしかないようです。マダムの実家は千葉県内にあるので、実家に帰ったときにでも買ってきて貰えば良かったと思いましたが、そう気がついたときにはすでに遅く、イベント決行日までにマダムが里帰りする機会は無くなっていました。
 当日買うというのも、どうも心許ないものがあります。というのは、第一章での駅のまわりかたを検討した結果、みどりの窓口も指定券発売期も無い駅が最初になりそうで、その駅でサンキューちばフリーパスが買えるかどうかわからないのでした。発売場所は「千葉県の主なJR駅」とあるだけで一覧にはなっていません。他の駅で買うことはできるでしょうが、無駄な運賃を使うことになりかねません。
 やむを得ず、事前に買いに行くことにしました。これも「無駄な運賃」ではありますが、列車を乗りまわすのは私の趣味でもありますので、その意味では無駄とは言い切れません。
 なるべく安くあげようとすれば、千葉県に入って最初の駅というのが妥当でしょう。武蔵野線なら三郷常磐線なら松戸総武線なら市川京葉線なら舞浜がそれにあたります。まあ松戸か市川かな、と思いました。
 ところで、先着4000名に配布される第二章の謎解きキットですが、上ではぼかして書きましたけれども、入手できるのは千葉駅近くの「チーバくん物産館」です。このことは最初に駅で手に入るパンフレット(第一章のストーリーシートを兼ねている)に書かれているので、別に情報の漏洩にはあたりません。
 その入手方法はふたつあって、ひとつは500円を支払うこと、もうひとつはサンキューちばフリーパスを見せることです。2日連続でなく、あいだを置いてプレイするような人は、サンキューちばフリーパスは使えないので、500円支払うということもあるのでしょう。
 で、どうせサンキューちばフリーパスを買いに行くのなら、第二章キットを事前に入手しておこうと考え、松戸や市川でなく、千葉まで行ってくることにしたのでした。なお第二章キットを入手するにあたって、第一章をクリアしている必要はありません。つまり事前入手が可能なのでした。
 先週の木曜日だったかに、千葉駅まで出かけました。珍しく東京駅始発の快速電車に乗ったので、車輌をよく見ることができたのですが、横須賀線~総武快速線直通電車というのは、9・10・11輌めがセミクロスシートになっていることにはじめて気がつきました。いつ乗ってもロングシートばかりだったので、総武快速にはクロスシートは無いものと思っていたのですが。
 古い115系以来のクロスシートに乗っての千葉までの道中はなかなか快適でした。午前中遅くで、がら空きであったせいもありますが。
 千葉駅はなんだか常に工事中という印象のあった駅でしたが、ずいぶん変貌していて驚きました。基本的な駅機能をすべて上階に集めてしまって、たいへんわかりやすいレイアウトになったと思います。
 改札から外に出て、指定券販売機のところへ行きました。ここでサンキューちばフリーパスも出てこなかったらどうしようかと一瞬不安になりましたが、無事にマダムと私の分2枚を購入できました。サンキューちばフリーパスは、東京湾フェリーの相方である久里浜駅でも発売しているそうですが、これは現在休止中だとか。徹底的に県外からのアクセスを制限しようとしている感じです。
 切符を持って、500メートルほど離れたチーバくん物産館へ。郵便局の一角を利用してご当地物産を販売している店です。レジにサンキューちばフリーパスを出すと、第二章謎解きキットをくれた上で、切符の券面に鉛筆で印をつけました。二重取りを防止するためでしょう。
 無事に用を済ませ、その日は京成千葉線新京成線北総鉄道などを経由して帰りました。北総の運賃が高くて、ちょっとびっくりするような額になりましたが、まあ特に不満はありません。

 6日の朝、6時00分の京浜東北線電車で出発しました。えらく早立ちになりましたが、各章の想定所要時間が大変なことになっていたのです。東京に近いところをうろうろするだけの第一章だけで3~4時間が想定されており、第二章に至っては「7時間~」と書かれていました。外房線だけでなく内房線や総武本線でも同様ですが、どの路線も千葉から奥へ進むに従って段階的に列車が少なくなり、最終的には1時間に1、2本ということになってしまいます。そういうところで乗り下りしながら謎解きを進めてゆくので、どこかの駅で下りたら1時間くらい乗り継げないはめになりかねず、7時間というのも誇張ではないのでした。ややネタバレ的になるかもしれませんが、その長い待ち時間を退屈させないためにか、どの下車駅でも、謎解きをするために、けっこう駅から離れた場所まで歩かされるはめになっていました。列車に乗るイベントではありますが、かなりよく歩くイベントでもあったのでした。
 ストーリーシート兼用であるパンフレットをよく読むと、どうも第一章は第二章とは別の日にプレイすることを想定しているようでした。第一章に関してはサンキューちばフリーパスでなくSUICAの利用を推奨していたのです。つまり、第一章と第二章を同じ日のうちにクリアしきるのは相当困難と思われたのです。
 そこを無理にやろうとしたので、とにかく早立ちをおこなったのでした。できれば午前中に第一章をクリアしてしまいたいという気持ちでした。
 しかしながら、そううまくは問屋が卸しません。恥ずかしながら、最初に訪れた駅での謎解きに失敗し、そのことにあとで気づいてもういちど訪ねたりしているうちに、あれよあれよいう間に正午が過ぎ去り、第二章に着手できたのは14時過ぎになっていたのです。
 例によって詳細は書けませんが、とにかくそういう見通しの悪さにより、6日のうちに第二章をクリアすることはできませんでした。クリアは翌7日にずれ込み、第三章(アナザーストーリー)やおまけ謎はクリアできたものの、かなり無駄な費用をかけることになってしまったのです。運賃に関してはフリーパスがあるのでそれ以上の費用はかからなかった、というあたりで察していただければ幸いです。
 ちなみにアナザーストーリーは、外房線の終点である安房鴨川がスタートになっています。これも最初のパンフレットに明記されています。そしてこの想定所要時間も、第一章と同様、3~4時間となっていました。
 マダムは鴨川シーワールドで観光できるかもしれないとあって期待感を高めていたようですが、残念ながらそんなところに寄っている時間はまるきり捻出できませんでした。ほとんどの時間をイベント進行に費やし、両日の昼食もきわめて軽く済ませたほどでした。マダム同行の催しとしては信じがたいほどです。
 しかし、地下謎や鉄道探偵で味わえないスケール感があったのは事実でした。サンキューちばフリーパスも存分に活用しきったという実感が得られました。充実したイベントであったと思います。
 イベント会期は11月末までなので、12月に入ったらまた解決篇を書くつもりです。しばらくお待ちください。

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