SSブログ

「放課後の手紙と消えた彼女」解決篇(2) [趣味]

 10月6日(火)の昼過ぎに、JR東日本タカラッシュ!社による謎解きイベント「千葉房総を巡るナゾトキ宝探し・放課後の手紙と消えた彼女」の第一章をクリアした私たちは、クリア地である千葉みなとから、千葉都市モノレールに乗って千葉駅に向かいました。第二章のスタートは千葉駅、というよりもそこから300メートルばかり離れた「チーバくん物産館」からになっています。第二章の謎解きキットを貰えるのがこの店で、最初の手がかりも店内にあるのでした。
 駅のチラシラックに入っているパンフレットだけで用が足りた第一章と違い、第二章の謎解きキットはずいぶんと盛りだくさんです。「地下謎への招待状」ほど凝ってはいませんが、ノート風のゲームブック、「書籍セット」なる組み立て式部品、「小テスト配布用封筒」と書かれた茶封筒とその中のテスト用紙、占いの紙、そしてペグシル(小さな鉛筆)が、布製のトートバッグに収められていました。第三章(アナザーストーリー)の謎解きキットやおまけ謎を入手するには、このトートバッグを持っている必要があります。
 第二章謎解きキットは先着4000名に配布されることになっており、焦燥感にかられた私は事前にチーバくん物産館を訪れて入手していました。しかしもちろん、そのときには最初の謎には手をつけていません。従って、もういちど店を訪ねなければなりませんでした。
 第二章は、第一章の7年後という設定です。主人公(成田翔一という名前らしい)と、ずっと文通を続けていた「彼女」宮原いずみは共に高校3年生となっていますが、しばらく前から宮原いずみが消息不明になっているらしいのでした。そして、いずみの親友を名乗る「葵」という人物から手紙が届いたところから第二章が開始されます。葵によると、いずみは数ヶ月前に謎の失踪を遂げ、心配していずみの部屋を探ったところ、主人公宛ての謎めいた手紙が残されていたとのこと。手紙は暗号のようで、葵には解くことができなかったので、主人公に送ってきたのでした。

 第二章は全部で5つの部分に分かれており、ゲームブックのページは帯封がかけられています。それぞれの部の謎を解き、指示があったら次の部の帯封を切ってページを進ませるという仕掛けになっていました。第1部が、千葉駅周辺で進行する謎解きです。
 第1部の「謎1」が、チーバくん物産館で手がかりを得られる問題でした。

  んちくんばーちくんば

 という文字列がゲームブック(設定としては「いずみからの手紙」)に記されており、店内のチーバくんの大きなぬいぐるみが置かれたところを見ると、「赤いチーバくんを読まないで」と書かれたカードが添えられていました。
 赤字でかかれた「ち」「ー」「ば」「く」「ん」の文字を読まないことにすると、残るのは「ちゅうおうかいさつ」です。千葉駅の中央改札が次の目的地です。

 「謎2」は、十字形の上、右、左に矢印がついた図形が示され、上には「ちょくしん」、左には「さ②③」、右には「①②③」と記されています。で、「謎2の答えは①②③」と、身も蓋もないような記述が添えられていました。もちろん「うせつ」が答えになります。その横に指示文があります。

 中央改札を背にして《   》し、突き当たりまで進み《   》、さらに直進し、丸いプランターにある手かがりを探して

 というもので、《   》には謎②の答えが入ります。指示されたとおりに右折すると、ペデストリアンデッキに出て突き当たりましたので、もういちど右折すると、駅ビルの壁に沿ってデッキ上を歩くことになります。その突き当たりまで行くと、なるほど丸いプランターがあり、そこにおなじみのステッカーがありました。ゲームブック上で「手がかり1」とされる文章の空欄を埋めるべき言葉が記されています。

 また戻り中央改札を背にして《直進》、エスカレーターを2回降りて《左折》、そのまま直進し、地下道に入ったら[5417]のロッカーを探して開けて。

 チーバくん物産館から千葉駅中央改札に行くためにたどった経路をそのまま逆戻りする形で、また駅の外に出ます。地下道というよりガード下と呼ぶべき通路に入ると、なるほどコインロッカーが並んでおり、5417番の扉を開けると本当に「手がかり」が入っていました。

 次の空欄はこれまでの[《 》の言葉]を[逆から]埋めること。

 そして引き続いて「謎③」があります。一種の文字拾い迷路で、ロッカーの手がかりの指示どおりに空欄を埋めると、

 矢印からスタート→[左折]→[直進]→[右折]→[右折]

 となり、そのとおりに迷路を進むと「ていきけん」という文字を拾うことができました。

 この「ていきけん」を、「葵」に知らせる……というていで専用サイトに送信すると、葵とのLINEめいたやりとりがはじまり、その後、「謎4」の問題文にある空欄を埋める情報を入手することになります。やりとりの中で、葵が男性であることが判明し、しかも現在いずみの部屋に居ることもわかり、主人公は何やらもやもやしはじめている様子です。
 ともあれ、どうもこの「謎4」は、少し腰を落ち着けて工作めいたことをしなければならないようなので、どこかで昼食をとりつつ進めることにしました。しかしそのあとで外房線の列車に乗らなくてはなりませんので、電車の発車時刻を気にしておく必要があります。国電区間と違って、便数が著しく少なくなるのです。
 それで、駅ビルのフードコートに入って、簡単に済ませることにしました。私は丸亀製麺、マダムは吉野家で食事を購入し、テーブルにつきます。しかしマダムがよそ見をした拍子に牛丼と水を載せた手許が狂い、水の入った紙コップをひっくり返すという騒ぎがあったりして、なかなか謎解きに取りかかれません。
 ようやくひと息つき、ゲームブックに書かれている手順に従って、キットの中の「書籍セット」というのを組み立てます。文庫本みたいな見た目のホルダーができあがり、そこに「しおり」を差すことで、文章が完成します。ここはいちいち引用しませんが、出てくる答えは「ダイヤ」でした。それで次に向かう駅がわかるというので面食らいますが、ゲームブックをひねくりまわすと、裏表紙にJRの路線図が出ており、第一章の路線図と同じようにいくつかの駅にマークが添えられています。その中でダイヤマークがついているのは大網駅でした。

 14時26分の外房線261M列車で大網に向かいます。本当はその1本前に乗りたかったのですが、間に合いませんでした。
 想定所要時間では、第二章クリアまではそこから6時間くらいかかることになっています。それでは20時半くらいになってしまいます。
 私らは途中一泊を予定しており、当然ながら宿の予約をしています。いくつかイベント指定の宿があり、そこでトートバッグを見せるとおまけ謎が貰えるそうなので、当然その中のひとつを選びました。宿は勝浦安房小湊安房鴨川などに分散しています。これから第二章の中でどの駅に下りることになるのかわかりませんが、アナザーストーリーの開始地が安房鴨川であることは判明しており、そもそも安房鴨川駅のJR東日本売店Newdaysでアナザーストーリーの謎解きキットを受け取れることになっています。だから確実に安房鴨川には行くことになりますので、宿も安房鴨川で取りました。値段の関係で、比較的安いところをと考えたら、鴨川シーワールドホテルということになりました。ここに泊まると、鴨川シーワールドに無料で入園できるので、マダムが楽しみにしていましたが、果たしてシーワールドに寄るほどの時間が捻出できるかどうか、この分ではあやしい気配です。
 それはともかく、ホテルには18時頃に着くと言ってあり、夕食時間の関係からしてもそんなに遅くなるのは無理でしょう。第二章は、途中で中断せざるを得ないことになりそうです。
 大網着14時54分。列車は一気に房総半島の根元あたりを突っ切って太平洋岸に出ます。それまでにゲームブックの「第2部」の帯封を破って次のページに進みます。車内ではけっこう忙しく、第2部のストーリーパートを読み、謎解きキットの中の茶封筒から「テスト用紙」を取り出し、記されたパズルを解きます。その答えが、ゲームブックに記された問題文の空欄を埋めるという仕掛けになっています。
 「国語のテスト」では、間違ったふりがなを正してそれを続けて読むとか、原稿用紙のようなマス目に書かれた文章から文字を拾うといったパズルが供され、「ポスト」「黄色」という答えを得ました。「算数のテスト」では、25マス計算で偶数になった目に添えられた文字だけ読むとか、環状に並んだ文字をいくつかずつ飛ばして読んでゆくとかして、「交番」「黒色」という答えを得ました。これを問題文の空欄に入れると、大網駅からの順路を示す文章が完成します。
 文章に従って駅前を歩くと、大網で外房線から分岐している東金線のガード下に着きました。実は東金線は、駅よりも手前で分岐しており、プラットフォーム自体が外房線とはかなり離れています。
 ガード下には、さまざまな動物の絵が描かれていました。落書きではなくパブリックアートというヤツでしょう。大網駅が代表駅となっている大網白里にちなんで、「おかみ」「ポッサム」「ルマジロ」といったように、市名のそれぞれの文字を頭に持つ動物が並んでいます。それぞれの絵には、「お」「お」「あ」「み」云々と、カルタの取り札のようなひらがな1文字が添えられていました。
 ここで、「図工のテスト」を解くことを求められます。ガード下の動物の絵のうち、アルマジロとオポッサムの絵を模写した図が印刷されています。添えられたひらがなは伏せられ、それをガード下の絵から読み取るのが第一段階でした。これは見ればわかるので、「あ」と「お」です。
 で、これを次の文章につなげると、「あお色の文字を左上から順に読みましょう」となります。何を読むかというと、その下に印刷されている

  おか
  
  よめ

 という文字列です。
 この文字列から、青い文字だけ抜き出すと、「おおかみのますのいろをよめ」となります。それでガード下の「おおかみ」の絵を見ると、バックがピンク色に塗られています。今度はピンク色の文字だけ抜き出すと、「みらい ふみきり しんごうき」と出てきて、これが「テスト」の答えとなります。
 次にゲームブックを見ると、この答えを空欄に埋めるようになっており、埋めれば次の行動を指示されることになります。
 これも引用は遠慮しますが、東金線の線路に沿ってしばらく歩くことになりました。6、7分といったところでしょうか。
 秋晴れで空気もさわやかです。いままでの都会の中の鉄道謎解きと違って、雑木林などもあちこちに見受けられるのどかな道を歩くことになり、とても気持ちの良い散歩となりました。
 道中で、同じトートバッグを持った男女とすれ違いました。朝からプレイしていて、確か幕張本郷で立ち寄った浪浜公園でそれらしき人と行き逢いましたが、それ以来です。他に気づかなかった場合もあるでしょうが、平日の昼間とはいえ2組くらいしかプレイヤーに遭遇しないとは、やはり「地下謎」などとは知名度が違うということでしょうか。
 指示どおりに歩くと、小さな公園に行き着きました。園内に古い腕木式の信号機があって、そこに手がかりがあったのでした。迷路のような図形と、そこに描かれた赤い斜線。
 図形は、第1部の「謎3」に出てきた文字拾い迷路と同じ形をしていますので、その迷路に赤い斜線を合わせてみると、「かしだしかーど」という文字を拾うことができました。これをまた「葵」に報告します。前と同じく、しばらくLINEめいたやりとりがあったのち、ゲームブックにある次の指示となる文章の空欄を埋める情報が示されます。
 さっき作った文庫本風のホルダーに、同じく「書籍セット」に含まれていた2枚の「貸し出しカード」と1枚の「しおり」を差し込みます。差し込む場所には小さな色とりどりの三角形が並んでいて、まず「しおり」に書いてある文字の中から、「しおり」の上端に塗られている色と同じ三角形と一致する位置の文字を拾うことになります。色はピンクなので、ピンクの三角形に相当する文字を各行で拾うと、

 日月天に昇らせ同じ法則デ拾エ

 となりました。貸し出しカードの1枚に太陽の絵が、もう1枚に月の絵が描かれていたので、「日月」はこれのことでしょう。まず太陽の書かれた貸し出しカードは、上端が赤く塗られていたので、赤い三角形に相当する文字を拾います。すると「あールあいビ」となりました。同様に、月の描かれたほうは青です。「ービーおーえと出てきました。最後の「」はちょっと見逃しやすくなっていて、マダムはなかなか気づけなかったようです。
 続けると、「あールあいビービーおーえぬ」、ローマ字に直すと「RIBBON」です。これが次に向かうべき駅を示しているわけですが、例によって路線図を見ると、上総一ノ宮駅にリボンのマークがつけられていました。
 本当はここまで判明してから電車に乗らなければいけないのですが、私たちはしおりや貸し出しカードの文字を解読するより前に、15時33分発の263M電車に乗り込んでいました。時間が足りなかったからですが、たぶん経路を逆戻りすることはあるまいと判断してのことでした。

 電車に乗ってから次の目的地を割り出しましたが、そのあともやることはたくさんあります。まずはゲームブックの次の帯封を切って、第3部のページを開きます。第2部と同じくストーリーパートを読み、「理科のテスト」「社会科のテスト」を解き、さらに「広告会社の無料キャンペーンを利用して至急広告を出す」という謎のミッションを完了したのち、上総一ノ宮駅からまたお散歩探索となります。
 持参の時刻表を見ると、ホテルに18時、遅くとも18時半までに到着するには、安房鴨川着18時04分の267Mに乗らなければなりません。この電車の上総一ノ宮発は16時50分です。いま乗っている263Mは16時05分に上総一ノ宮に着きます。大網滞在が約40分でギリギリだったことを考えると、おそらく10月6日の探訪は上総一ノ宮で終わりでしょう。上総一ノ宮での課題をすべてクリアできるかどうかも心許ないところです。
 「理科のテスト」第一問目はズッコケ問題でした。

 「はい」か「いいえ」で答えましょう。
 空気中の酸素をからだに取り込んで、いらなくなった二酸化炭素を外に出すはたらきをする器官はなんでしょう?

 え、こんな問題に「はい」「いいえ」で答えられるのか……と焦ってしまいますが、答えはもちろん「肺」つまり「はい」なのでした。

 第二問目はよくある「○○→××、□□→▲▲のとき、☆☆は何?」というタイプのパズルです。この場合はビーカーに入っている液体の色と量がカギとなっており、こたえは「あか」でした。第二問目も同様ですが、「イ+マ→赤」「シ+マ→青」「イ+シ→?」というので、ノーヒントだとちょっと難しいかもしれません。しかしヒントがゲームブックのストーリーパートにあることがちゃんと附記されており、ストーリーパートを再読してみると、挿絵の部分がヒントになっていました。色の三原色の図で、イエローとマゼンタで赤、シアンとマゼンタで青という意味であり、イエローとシアンでできるのは「緑」です。
 「社会科のテスト」第一問目は、ある年の出来事の表という体裁で、「1/12 最低気温を更新」「2/14 登山道が雪により閉鎖」「6/17 新しい列車が運行開始」「10/16 千葉県で落花生の収穫」「11/19 全国各地でみこし祭りが開催」と書かれています。月日のように見える数字で、必ず前項より後項のほうが大きな数字になっていること、それから記事をカナで書いた場合の文字数が、すべて後項の数字に等しくなっていることに気がつけば、前項の数字がその記事の中で何文字目にあたるのかを示していることはすぐにわかります。「最低気温を更新」の1文字目は「さ」、「登山道が雪により閉鎖」の2文字目は「ざ」、とすべて拾ってゆくと、「さざれいし」という言葉が出てきました。
 第二問目は、炎、水滴、魚、太陽の4つのマークが、それぞれひらがな1文字に対応しているのだが、どの文字か……という問題で、これだけではまず解けません。実は列車の中に吊ってある謎解きイベントに関する中吊りポスターに答えが出ているのでした。この問題に取り組むまでに上総一ノ宮に着いてしまったり、あるいは中吊りポスターが見当たらないときには、上総一ノ宮駅構内に貼られているポスターを見るようにと、わざわざ注意書きがキットの中に入っていました。専用サイトにも注意事項として書かれていたような気がします。ともあれこたえは、順番に「あ」「か」「め」「た」で、これを踏まえて次の表を解読します。

 ……→な▲→へ●[炎]ん→[水]②く▲→……→①ど→[魚]●■゛→[陽]●■ょう→……

 なんだか、ポスターで文字を見ておかなくとも解読できそうな気もしますが、ともあれ代入してみると、

 ……→な▲→へ●あん→か②く▲→……→①ど→め●■゛→た●■ょう→……

 同じマークには同じ文字が入るとのことですので、もうほとんどバレバレです。

 ……→な[ら]→へ[い]あん→か②く[ら]→……→①ど→め[い][し]゛→た[い][し]ょう→……

 これで、①②が表す言葉が最終的な答えというので、「えま」となります。なおこの問題も、ストーリーパートの挿絵にヒントが描かれていました。ストーリーパートは読み飛ばさずに、じっくりチェックしたほうが良さそうです。

 第三問目はいくつか並んだ地図記号を解読する問題です。上の行は丸に×印の警察署のマークが6つ並び、6番目が小さくなっているので、どうやら「けいさつしょ」というカナ文字列を表していると思われました。2行目はブランクになっていましたが、問題文中に鳥居のマークを書き込むよう指示がありました。4つ並び、やはり最後だけ小さくなっているので「じんじゃ」となるのでしょう。下の行の、三角形の下にタテ棒という地図記号が思い出せませんでした。はて、針葉樹林だったか営林署か何かだったか、と頭をひねりました。これも6つあり、最後が小さくなっています。
 問題では、その3行が並んだ上に赤い矢印が置かれ、その矢印に沿って文字を読むようになっていました。2行目までで「けい・じ」となり、そのあと3行目の3文字目4文字目に矢印がかかっています。私は「掲示板」ではないかと思い、逆に「○○ばん○」とはなんだろう、と考えて、「裁判所」に辿り着きましたが、あとで見ると、これもストーリーパートのページにヒントがありました。ストーリーパート、あなどるべからずです。
 以上のテストで得られた「はい」「あか」「緑」「えま」「けいじばん」を、ゲームブックの問題文の空欄に埋めると、上総一ノ宮駅からの道筋と地図が示されます。
 どうやら、文字どおりの「上総の一の宮」である玉前(たまさき)神社まで行ってくることになるようです。その前に、広告会社のミッションも終わらせなければなりません。
 広告会社のミッションは、スマホがないとどうしようもないようです。JR普通列車の車内ではwi-fiなど入っていませんので、私の持参したwi-fiタブレットは役に立たないのでした。従って、マダムのスマホに頼らざるを得ないのですが、マダムは謎解きが私より少し遅れていたようで、上総一ノ宮に到着してもまだ社会科のテストを解いていました。
 上総一ノ宮駅舎のベンチで、マダムが地図を埋めるところまで解き終えると、もう16時半近くなっています。最終ラインである16時50分発267Mに乗るまでに、神社まで往復するのは無理でしょう。早朝から動いて、マダムは相当くたびれたようで、駅構内を歩くのもほとんどよちよち歩きのようになっています。駅舎から向こう側のプラットフォームに移動するだけでも数分見なければならなさそうです。どうやら、この日はここまでのようです。
 翌朝、安房鴨川から上総一ノ宮まで戻ってきて、続きをプレイするしかありません。問題は、上総一ノ宮から安房鴨川というのは意外と遠く、普通列車だと1時間20分くらいかかります。上総一ノ宮の問題をクリアしたあと、また安房鴨川に戻る必要があるので、移動時間がいかにも無駄な気がしてしまいます。特急を活用するしかないかもしれません。幸い、私たちの使っている「サンキューちばフリーパス」は、特急券を別に買えば特急に乗ることは可能で、青春18きっぷなどのように、さらに乗車券まで買い直す必要は無いのでした。

 結局、駅の外へは出ず、267Mに乗って安房鴨川へ向かいました。17時34分、勝浦に着く頃には、秋の陽はつるべ落としに暮れて、すっかり暗くなっていました。その先は、駅周辺を除いて、ほとんど灯りも見えません。千葉地域の普通電車に使われている房総型209系(2000番台・2100番台)は、4輌編成か6輌編成固定で、ときに4輌編成をふたつ連ねて8輌になることもありますが、いずれも両端の車輌がクロスシートになっています。マダムも私もそれを知っていたので、今回は先頭車両か後尾車輌にばかり乗っていました。クロスシートに坐っていて外が暗くなると、昔ながらの夜汽車に乗っているような気分になります。もう同じ車輌にはほとんど人が乗っていません。

 18時04分、安房鴨川に到着しました。この駅は改札口の手前に水槽があって、熱帯魚が泳いでおり、「駅の水族館」などと呼ばれています。何年か前にここを通ったときは、内房線への乗り継ぎがタイトで、水槽を見ることができませんでした。
 鴨川シーワールドホテルへは、無料送迎バスがあるのですが、こんな時間ではもう運行していません。あと鴨川日東バスの市内線でも行けますけれども、様子もわからないので、タクシーを拾いました。最初は、歩いても行けるんではないかなどとのんきに構えていましたが、タクシーの初乗りでは辿り着けず、何回かメーターが上がったので、歩くのは少々しんどかったかもしれません。疲れてもいましたし。
 ホテルでチェックインすると、シーワールドに入場するためのパスをくれたり、翌日のイベントの観覧券をくれたりしましたが、活用は難しそうです。むしろ朝はさっさと出て再び上総一ノ宮に行かないと、謎解きが終わりません。
 トートバッグを見せて、
 「これ、やってるんですけど」
 と言うと、フロントのお姉さんは
 「え……?」
 と固まっていました。何それ、という顔をしています。他の職員に訊きに行って、説明を受けていました。それからうしろの抽斗から紙を取り出して渡してくれました。その半ペラの紙が「おまけ謎」なのでした。様子を見ていると、このホテルまで来て「おまけ謎」を要求する客は滅多に現れないらしいと思われました。先着2000名というので焦っていましたが、焦る必要はまるで無かったようです。
 鴨川シーワールドに併設されたホテルであって、部屋の様子も、バイキングになっている食事の様子も、家族連れ、というか子供連れを想定しているらしいと気がつきました。実際、平日の晩ですが、子供連れのグループがずいぶん泊まっているようでした。
 温泉場ではありませんが、近くの源泉から汲んできた鉱泉を、加水・加温して風呂に流していたようです。ちゃんと成分表なども表示されていましたから、いちおう温泉ということになります。少しぬるいかなと思ったのですが、しばらく漬かっていると充分ぽかぽかとしてきました。
 部屋はwi-fiが入りますので、私はタブレットを取り出し、道中のマダムのスマホを覗き込んだだけではよくわからなかった部分を確認したり、広告会社のミッションを済ませたりしました。「星の下を読んで」という言葉を入れたポスターを、即時玉前神社に掲示するという依頼をしたことになるようです。
 早朝6時の電車で動きはじめて、さすがに疲れていたようで、温泉効果もあって22時過ぎには眠くなりました。もう謎解きでできることは無さそうで、あとはともかく翌朝上総一ノ宮を再訪してからの話です。オーシャンビューの部屋で、太平洋の荒波の音を聞きながら、私は眠りにつきました。
 この項、続きます。


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。