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「名もなき本の最後の旅路」リプレイ(1) [趣味]

 JR東日本千葉支社が主催した「名もなき本の最後の旅路」という謎解きイベントに参加しました。本日(9月30日)でイベント期間が終わるので、リプレイという形で書いてみたいと思います。
 4月末から開催しており、駅置きのチラシも取得していたのですが、なかなかプレイする日程が組めませんでした。なぜかそのあいだに、「WEST CODE 西武謎道中」「異世界回想鉄道記」といった別の鉄道謎解きをプレイしたりしていました。その理由は、交通費の問題です。
 「西武謎道中」は西武鉄道のイベントであり、このイベントのためのフリー切符が発売されていました。また、「異世界回想鉄道記」は上野松戸エリアと明記されており、乗り降りのたびに運賃を払ってもさほどの額にならないことが予想されました。
 ところが、「名もなき本の最後の旅路」は、エリアが広く、そのエリアを対象としたフリーパスがあるわけでもなく、いちいちSUICAをかざして乗り降りしているとどれほどの運賃が引かれることになるのか、少々心許ないのです。
 今回のイベントは、去年プレイした「蜃気楼列車と追憶のカケラ」と同じシリーズと思われます。探索エリアはほぼ同じでした。「蜃気楼列車」のときは「休日おでかけパス」を使いました。2720円で購入するこのフリー切符が、はたして元が取れるのかどうか、最後までドキドキものでした。結果は、エリアへの往復を含めれば元が取れた、という按配で、今回も元が取れるかどうかはわかりません。
 それに「休日おでかけパス」はその名のとおり土休日しか使えないわけです。夏休み期間に入ると毎日使えるようになりますが、それ以前、マダムも私も土日はほとんど用事が入っていて、遊びに行くことが無理なのでした。そして、夏休みに入ってしまうと、「青春18きっぷ」のほうが安上がりになりそうです。何かほかに旅行する予定が入るかもしれないし、青春18を使うことにしようか、と思っていました。
 夏休みに入ってみると、私は地方公演などが相次ぎ、とても青春18きっぷで出かける暇は無さそうでした。それでそのプランもついえ、9月に入ってしまいました。
 9月に入ってから、珍しくマダムも私も空けられる日曜日があったので、もうあとが無いことではあるし、その日に決行することにしたのでした。 

 しかし、マダムの尿管結石が痛み出し、休日診療の泌尿器科に駆け込まなくてはなりませんでした。痛み止めをたくさん出して貰い、石の排出をうながす利尿剤なども出して貰って、なんとか落ち着いたのが11時過ぎでした。
 当然、その日の午後は家で安静にして過ごすのだろうと思い、謎解きイベントは今回は縁が無かったな、と考えていたら、なんとマダムは
 「え? 行くでしょ?」
 と平然とのたもうたのでした。まあ、結石というのは、痛んでないときはごく普通にしていられますし、安静にしていれば楽だというものでもないので、出かけても悪いわけではないのですが、いつ痛み出すかわからない状態なので心配です。しかも、この日は颱風が近づいていて大雨になっており、非常な悪天候でした。体調が悪くなくともあえて出かけたくなどないような日に、わざわざ謎解きのために出かけると言うので、私はなかば感心、なかば茫然としてうなづくしかありませんでした。
 謎解きの推定所要時間は「約6時間~」となっています。出かけたのは結局13時過ぎになり、謎解きキット入手場所である錦糸町駅で探索をはじめるのは14時過ぎになるでしょう。そうすると、この日のうちに最後までクリアすることはできなさそうです。脇目も振らずひたすら謎解きに専念すればクリア可能でしょうし、私ひとりならそうするかもしれませんが、マダムはわりに飲食店などに寄りたがります。陽が暮れるとわかりづらい手がかりなどもあるでしょう。
 途中までで終わらせ、残りは後日続けようと言うことになりました。後日と言ってもイベント期間は残り少ないのですが、マダムは予定をやりくりして、最終日の30日に続きをプレイする時間を捻出したのでした。つまり、今日です。
 さて、そうなると休日おでかけパスを使うまでのこともありません。途中まででは元が取れるとも思えないのでした。マダムと私のSUICAに2000円ずつチャージして、プレイ開始です。


 秋葉原から乗った総武線電車は、幌に当たる雨音すらうるさいくらいの大雨の中を進みました。錦糸町に着き、南口のNewdaysで謎解きキットを購入します。問題の載った冊子、「東山研吾」という東野圭吾みたいな名前の作者が書いたというサスペンス小説本……という体裁のもっと小さな冊子(岩波文庫みたいな表紙がついていました)、それに透明のしおりが3枚と「折り紙」1枚、そしておなじみペグシル。あとはクリア報告用の紙片があり、それらを格納するための小さなクリアバッグもありました。
 篠つく大雨で、大勢の人々が駅舎の屋根のあるところからいらだたしげに空を眺めています。こんな雨の中を出るのは嫌だなあと思いましたが、幸い最初の謎解きは駅ビルの中で進められるようでした。
 謎解きは、まず「小説本」の第1話(見開きのショートショートが6話収録されています)を読み、それにちなんだ冊子の問題を解くという順序で進められます。答えがわかったり行先がわかったりしたら、その都度スマホからLINEで報告すると、話が進むようになっているのでした。
 「小説」の文中のどこに着目すれば良いかは、冊子に引用されていたりしますので、わりにわかりやすくなっています。ここでは子供たちの中で評判になっている「ロケット」を探すという問題でした。
 冊子には色とりどりの星の絵が描かれており、星にはそれぞれカタカナがひとつずつ入っています。小説から判断すると、そのうち赤い星に書かれている文字を読めば良さそうでした。


 ──アオホシミギカラヨメ


 指示に従い、こんどは青い星の文字を読んでみると、


 ──シロホシツナイデヨメ


 白い星はふたつあり、「キ」と「ウ」が書かれていましたが、ふたつの白い星を結ぶ直線状にあるいろんな色の星の文字をつないで読むと、「キンシチョウ」と読めました。いや錦糸町であることはわかっているんですけどね。
 この「導かれた地」の南の改札を出て左に進み、エスカレーターとコインロッカーのそばで証言を得た……という冊子の文言に従い、駅ビルのエスカレーターの下のところに行くと、「北口の方の大きな公園にロケットがあるよ!」という「証言」が書かれた手がかりステッカーが掲示してありました。わざわざ道順まで示してくれています。錦糸町駅は北口と南口がコンコースによってさえぎられており、自由通路が無いので道順を教えてくれたのでしょう。
 北口の大きな公園といえば、錦糸公園に違いありません。その名のバス停まであるような公園です。
 ここまで探索するうちに、雨はだいぶ小降りになっていました。しかし止んだわけではありません。
 錦糸公園へ行きしばらく歩くと、遊具のロケットがありました。そしてある子供が言っていた「小さな惑星」も見つけられました。
 冊子の指示はいささかあいまいでしたが、透明なしおりの一枚にロケットと惑星の絵が描かれており、これを遊具のロケットと惑星のシルエットに一致させれば良いようでした。距離をいろいろとって、なんとか一致させたのは良いのですが、そのあとどうすれば良いのか、しばらく迷いました。
 どうやら、ロケットや惑星を含む遊具の輪郭に沿って、しおりに書かれた文字を読めば良かったようです。


 ──こどものこころをわすれない


 と読めました。本当にこれで良いのだろうか、と若干不安がありましたが、LINEで報告すると、無事「正解!」と返ってきました。そして、第2話を読むようにとの指示がありました。


 第2話は電車に乗っている疲れたサラリーマンの話で、次に下りる駅が「みねくいし」と思い浮かんでしまってなんだかわからない、という状態でした。彼は「鏡」「医学」「度外視」「眼鏡」という4つのワードにひっかかって、それで駅名が「みねくいし」と変換されてしまった、というのです。
 つまり、この駅名を復元できれば、それが次の目的地ということになります。4つのワードにはすべて「が」という文字が含まれており、それに気づけばよくある文字変換問題であることがわかります。たとえば「あさがや」とあれば「『あさ』が『や』」、つまり「あさ」という文字を「や」に変換する、というたぐいです。
 「鏡」「医学」「度外視」「眼鏡」は「『か』が『み』」「『い』が『く』」「『ど』が『いし』」「『め』が『ね』」となります。変換された文字のほうを明かしてあるというのがちょっとした新しさではありますが、それを組み合わせると確かに「みねくいし」となります。元の字に復元すれば、「かめいど」ですね。亀戸が次の目的地でした。
 各停電車にひと駅だけ乗って、亀戸で下ります。冊子に記された地図に従って駅構内を歩くと、アトレの入り口に来ました。その案内図の上に「半透明の生き物」が居るというので面食らいましたが、見てみると本当に、透明板に親子亀の絵が描かれています。
 この絵を再現すると、次に向かうべき場所がわかる、と言います。透明がらみですから、また例のしおりでしょう。さっき使わなかった2枚を見ると、片方に親亀の絵が、もう片方に子亀の絵がありました。子亀が親亀に乗るようにしおりを重ねてみると、その右側に、井戸、梅の花、矢、そして「四季」を表すらしき絵が並びました。亀と合わせて、「かめ」「いど」「うめ」「や」「しき」と読めるようです。
 「梅屋敷? これから京急に乗りに行くの?」
 とマダムがボケをかましているのを横目で見ながら、検索してみると、亀戸梅屋敷というのが確かに存在して、駅前の道路を400メートルほど行った先にあるようです。
 商店街のアーケードの中を歩いてゆくと、そのアーケードの最後のあたりに、亀戸梅屋敷がありました。しかし、門のところに、「『名もなき本の最後の旅路』謎解きをしている方へ」と書かれた貼り紙がありました。
 読んでみると、現在は梅屋敷の建物が休みなので探索ができないこと、「うめやしきそうさく」とLINEに送るようにとのことが記されています。
 なんだそりゃ、と言いたくなりました。施設が閉まっているということはありえなくはありませんが、そんなところを謎解きの舞台に選ばないでくれ、と思います。答えは得られましたが、どうにもモヤモヤした気分です。
 文句を言ってもはじまらないので、指示されたとおりに「うめやしきそうさく」と送ってみると、中にある茅の輪を題材にした問題が送られてきました。茅の輪の絵があり、その周囲にローマ字が散らばっています。どうやら、茅の輪くぐりのルートに従ってローマ字を読めば良いようです。
 茅の輪くぐりは、正月の下谷七福神めぐり元三島神社にありましたし、この前「西武謎道中」で立ち寄った田無神社にもあったので、くぐるルートについてはよく知っています。よく見ると茅の輪のかたわらに、説明文もついていました。まず輪をくぐって左まわりに元に戻り、またくぐって今度は右まわりします。もういちどくぐって再び左まわりして、4度目にくぐったあとに正面に歩を進めるのです。
 このルートのとおりにローマ字を読むと、


 ──NAGAIKISHIYOU


 すなわち「ながいきしよう」という言葉が出てきました。これが第2話のキーワードです。


 第3話は汽車旅を妄想する男の話で、冊子に記された車窓風景と、小説の文章とを照らし合わせながら謎を解くことになります。車窓風景にはところどころに小さな字が散らばっています。雲のところに「の」の字、海に「い」の字といった具合です。
 文章の流れに従って、この文字を拾ってゆくと、「あかいもの2つ」という文が出てきました。絵の中で赤いものを探すと、海に浮かんでいる船と、小川にかかっている橋のふたつでした。つまり次に向かうのは船橋です。
 実は私は最初、この仕掛けがわかりませんでした。絵の中に示されたものを漢字1文字で表す、それがふたつあるというので、1文字の漢字で表せるアイテムの中から、駅名になりそうなものをピックアップすると船と橋になった、という次第です。ほかには上に挙げた雲や海、畑などが1文字でしたが、それらの文字が含まれる駅名は探索エリア内には無かったのです。しばらくあとになって、ああそうだったのか、と気づいたのでした。
 それから、太陽の絵に「たいようさんさん」と文字が記され、雲の絵に「くももくもく」と記され、そしてSL牽引列車の絵に「き[   ]っぽ」と記されています。これはもう「き[しゃぽ]っぽ」でしょう。この[しゃぽ]を次の空欄に入れると、船橋駅の中央改札を出てまっすぐ進み、[しゃぽ]ーの入り口のモニターの裏を探せ……という指示文が出てきました。なんのことだろうかと首を傾げていると、マダムが
 「あ~、シャポー船橋ね」
 とあっさり言いました。船橋駅構内のショッピングセンターであるようです。
 船橋に向かう前に、マダムは道路の向こう側にあったカフェテリア式の大衆食堂に入りました。なんの迷いもなくその店に直行したので驚きましたが、食事をしようと思って往路から目をつけていたのだそうです。確かに午前中バタバタして、朝食が遅くなったため、私らはまだ昼食を食べていなかったのですけれども、すでに16時を過ぎています。昼食にしては微妙な時刻です。マダムはどれほど時刻がずれようとも、食事を抜くということを滅多にしない人なのでした。
 軽い食事を済ませてから、亀戸駅に戻り、船橋に向かいました。こんどは8駅も乗ることになります。
 シャポー船橋の入り口はすぐわかりました。モニターの背後を見ると、冊子の車窓風景に酷似した絵のポスターが貼られていました。ただし、白波が不自然な形で加えられています。
 写真を撮って、シャポーの休憩所の椅子に坐って謎を検討します。よく見ると、こちらにも文字が散らばっていて、順番に読んでみると今度は「船から波見ろ」となりました。ポスターの船は冊子の絵よりも左側に描かれています。不自然な白波はその船のうしろ側に並んでいます。
 船のところに眼を当て、絵を横から眺めるようにすると、白波が文字になっていることがわかります。


 ──アイラブユー


 と読め、これが第3話のキーワードでした。


 第4話は、「朝と夜で変わる文字」という話で、駅の割り出しはごくごく簡単でした。「同じ名がつく3つの場所」というので、探索エリア内のJR駅に限れば「船橋」「幕張」「千葉」しかありません。しかも「本郷」「海浜」と読めるイラストが添えられているのですから、これは幕張に決まっています。そのうち、行くように求められているのは「いちばん北の駅」、つまり幕張本郷でした。
 さて、幕張本郷駅周辺に、本当に「朝と夜で変わる文字」というのがあるらしく、その場所へ導くためにいろいろ書かれていましたが、要するに駅前から操車場の上を通っている陸橋を渡り、その下の橋脚のあたりへ行けば良いのでした。冊子に模式的に描かれていた「6つの立方体」はすぐに見つけられました。
 ただ、ちょっと困ったことがあります。立方体に書かれている文字を冊子に写し取らなければならないのですが、右3つの立方体の右面にある文字が読み取れません。すでに暗くなってきたからかもしれませんが、角度的に橋脚が邪魔になって見えないのです。こんなものを問題にするなよ、といささか憤慨しました。
 その立方体は操車場の中に据えられており、操車場の中を通っている道路からなら見ることができそうです。陸橋の途中に、操車場に下りる階段がありましたが、関係者以外立ち入り禁止、と明確に記されていました。
 しかし、その道路に行かないと、文字を読む方法が無さそうです。階段の入り口は鍵がかかっていたわけではないので、私がこっそりと下へ降りてみることにしました。とがめられたら面倒なことになりそうですが、幸いあたりにJRの職員は居なさそうです。
 明らかに不法侵入なのでうしろめたい想いを覚えつつ、立方体の文字を読み取ってすぐに戻りました。右面を見ると「今日も安全に」、左面を見ると「おつかれさま」と読めるようになっていて、これが「朝と夜で変わる文字」の正体です。
 で、この写し取った文字に「スポットライト」を当てろ、という指示です。その場ではできないので、幕張本郷の駅構内のプロントに入り、お茶をしながら謎解きを進めました。
 透明なしおりを見ると、それらしき薄色のしみのようなものが並んでいます。右面に青いしみ、左面に緑のしみが並ぶように冊子としおりを重ねると、なるほどスポットライトのように見え、さらに立方体の面を指す数字が出てきました。この数字の順番に字を読め、ということでしょう。ただし数字のそばに、「-4」とか「+2」とかの小さな数字が見えます。
 まず字を番号順に読むと、「おつもおれかつお」となるのですが、3つある「お」には、それぞれ-3、-4、-2が振られています。「れ」には-2、ふたつめの「つ」には+2、そして「か」には「+゛」と振られていました。
 プラスマイナスは五十音表の順序を動かすことで、「+゛」は濁点をつけることでしょう。この操作を加えてみると、


 ──いつもありがとう


 となりました。
 プロントの店内のテレビでは「ちびまる子ちゃん」をやっていました。つまり、すでに18時をだいぶ過ぎています。おそらく次の駅で終わりというところでしょう。実は次の駅までが「第1章」です。謎解きは第3章まであるので、やや先が思いやられますが、時間的には第1章ほどかかるまいという気もします。
 雨はもうほとんど止んでいましたが、電車は遅れ気味になっていました。車両点検などがあったようです。


 その「次の駅」は、ごく簡単に判明しました。黄色と青の矢印が「??」と記された図形に向かい、その図形からは黄土色・緑・青の矢印が出ていたのですが、これだけでもう「千葉とわかります。黄色は総武線各駅停車のラインカラー、青は総武線快速線のラインカラーです。黄土色は内房線、緑は外房線を意味します。それぞれの線がその配置になるのは千葉しかありません。
 第5話の主人公は、「本能的な不快感」をずっと感じています。その不快感の理由を突き止めるのが謎解きの重要なポイントです。
 千葉駅の、「4Fにある商業施設の名がつく改札を出ようとしたところで、質問を投げかける不思議な掲示物を見つけた」というのですが、この改札は駅ビルペリエにつながるペリエ口のことです。ペリエ口の手前に、問題の掲示物がありました。よくあるYes・No診断のようなものです。「最近電車に乗っていない」とか「どちらかというとインドアだ」といったような質問がかかれており、それぞれ「はい」と「いいえ」の矢印がほかの質問へ導いています。
 ゴールはいろんなアクションにつながっていて、一瞬


 ──こんなの、人によってバラバラになるじゃん。


 と思ってしまいますが、よく考えてみると一意的に結果が定まることに気がつきました。
 というのは、最初の問い「最近電車に乗っていない」は、現在この鉄道謎解きをプレイしている以上「いいえ」に決まっています。次は「謎解きをやったことがない」で、これも「いいえ」となります。
 次は「ここまで来るのに3駅以上回った」で、錦糸町・亀戸・船橋・幕張本郷で下車していますから必ず「はい」。その次は「最近小説を読んでいない」で、マダムはここで「はい」を選んでわけがわからなくなっていましたが、これも、この謎解きをやっているからには「いいえ」に決まっています。小説の体裁をとった文章を、すでに5話は読んでいるのです。
 「いいえ」に進むと、「ペリエ1Fのフードコートへ」と記されたゴールに辿り着きます。これが次の目的地でした。
 このフードコートは、一昨年「放課後の手紙と消えた彼女」をプレイした際に立ち寄ったことがあります。冊子の指示に従い、そのときとは別の入り口に行くと、手前にこの謎解きイベントの大きなポスターが貼ってありました。ただし、下端のほうに、いろんなもののアイコン風なイラストが並んでいます。電話機や紙幣、壺、ニンジンなど種類はバラバラで、それぞれのイラストの下に1~2文字のひらがなが書かれていました。そして、「本能の正体に関係するものだけ逆から読め」という、例によって意図のあいまいな指示文も。
 しかし、ここまでくると主人公の「本能的な不快感」の正体は明らかでした。もういちど「小説」を読むと、主人公は朝食を抜いて出かけてきたようです。つまり、「不快感」とは空腹のこと、「本能の正体」は食欲で、導かれてフードコートにやってきたのも自然な話だったのでした。
 従って、「本能の正体に関係するもの」とは、食べ物の絵ということになります。食べ物の絵の下に添えられているひらがなを、右から順に拾ってゆくと(ヨコ書きなので右から拾うのが「逆」となる)、


 ──ごちそうたくさんたべよう


 という文が出てきました。第5話のキーワードです。


 このあたりで一旦切り上げるべきでしょう。もうすっかり夜になりました。
 しかし、次に向かうべき駅だけ割り出しておきたいと思います。千葉駅構内のベンチに坐って、第2章の冒頭の謎解きをおこないます。
 第1章で駅ごとに出てきた5つのキーワードをまとめると、


 ──こどものこころをわすれない
 ──ながいきしよう
 ──アイラブユー
 ──いつもありがとう
 ──ごちそうたくさんたべよう


 これを踏まえて、第2章に進みます。
 いままで使用しなかった「折り紙」が登場します。冊子に書かれている手順で折ってゆくと、最終的にはリング状となり、その内側に、日付のような数字が並んでいるのが見えます。


 5/7 8/12 12/13 3/6 5/7 4/13 2/7-゛ 2/6 7/12 2/8 6/8 2/6


 こういう日付もしくは分数が羅列されている場合、「なんらかの文字列の中の何文字めか」を表していることが多いのです。これまでも何度も同趣の問題に行き合ったことがあります。月あるいは分子の数字が、すべて日あるいは分母の数字よりも小さいのがポイントです。
 さて、分母の数字をよく見ると、7・12・13・6・8の5種しか無いことに気がつきます。そうすると連想するのは「5つのキーワード」であり、見てみると確かに13文字、7文字、6文字、8文字、12文字となっています。
 5/7は7文字のキーワード「ながいきしよう」の5文字め、つまり「し」でしょう。同様に8/12は12文字のキーワード「ごちそうたくさんたべよう」の8文字め、「ん」です。
 2/7に「-゛」という変な記号が付随しているのは苦肉の策と言うか、あるいは一種のヒントのつもりだったのかもしれません。2/7は「ながいきしよう」の2文字め「が」ですが、「マイナス濁点」がつくことで「か」になると考えられます。
 同じようにすべての文字を解読してみると、


 ──しんなラしのかイさつがイ


 新習志野駅の改札外、が次の目的地でした。
 ここまで、ひたすらに総武線各停電車に乗ってちびちびと先に進んでいるばかりでしたが、新習志野は京葉線の駅で、千葉駅から向かうにはちょっと面倒くさいところです。やはりここで一旦中断とします。亀戸の安食堂で遅い「昼食」を食べてから、まだあまり時間が経っていない感じですが、ペリエの食堂街で夕食を済ませて帰宅しました。この日の交通費は2000円を少しはみ出したくらいです。千葉からの帰りの運賃が大きかったとはいえ、一度で済ませるのならばやはり休日おでかけパスを用いるのが妥当だったかもしれません。
 この項、続きます。


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