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続・「快速」を考える(3) [趣味]

 「続・『快速』を考える」のシリーズを続ける前に、別のエントリーが2本ほど入ってしまいましたが、引き続き残りの地方の「快速」列車を瞥見してゆきたいと思います。

 山陰地方では、大動脈である山陰本線に走っていた快速「アクアライナー」はすでに消滅しています。その分特急「スーパーまつかぜ」の便数が増えたようなので、格上げによる増収を図った感じでしょう。
 支線区にもほとんど快速列車はありませんが、因美線津山智頭間に1往復、津山~美作加茂間に1往復(上り便は平日のみ)の快速が走っています。上り便はいずれも早朝で、そんな時間に停まっても仕方がないような小さな駅を飛ばしているだけという様子ですが、下り便のほうは晩で、もう少し利用しやすいかもしれません。

 山陽地方では、まず大動脈の山陽本線および呉線で、広島を中心として「通勤ライナー」「シティライナー」「安芸路ライナー」が走っています。
 「通勤ライナー」は下りにしかありません。山陽本線・呉線の双方に設定されています。本線の「通勤ライナー」の通過区間は西条~広島間、呉線のほうは~広島間となっていますが、たいていは前後にもっと先まで、各駅停車で運転しています。「通勤ライナー」という名称からして平日だけの運転と思われますが、呉線に1便だけ、土曜・休日も運転する「通勤ライナー」があり、この列車は広島以西は「シティライナー」として走ります。
 その「シティライナー」は、かつては広島地区にかなりの便数走っており、運転区間も通過区間も長いものでした。しかし現在は広島~岩国間だけの運転となっていて、しかも土曜・休日のみです。平日の需要が無かったのでしょうか。いずれにしろずいぶん凋落してしまった感じです。
 「安芸路ライナー」はその点頑張っています。快速運転するのは「通勤ライナー」と同じく広島~呉間だけですが、日中は30分おきに走っており、もちろん毎日運転です。時間帯によっては各停よりも多いくらいで、山陽地方の快速列車としてはいちばん頑張っていると言えるでしょう。
 山陽地方では、支線区でも快速の活躍がけっこう目立ちます。
 先に地味なほうから行くと、姫新線には朝晩に快速が走ります。運転区間はさまざまで、必ずしも上り下りで対になっているとは思えないようなダイヤです。下りから言うと、早朝に津山中国勝山間、晩に佐用~津山間と美作江見~津山間、また中国勝山~新見間にも平日だけ。上りは、早朝に津山~上月間が2便と新見~中国勝山間に1便、晩に中国勝山~津山間に1便、といった配置です。上記の因美線と同じく、そんな時間帯に停まっても仕方がないような小駅を通過している、という趣きで、通過する駅もそう多くはありません。因美線と合わせて、津山を中心にいくつかの快速が設定されている感じでしょうか。
 津山線は快速「ことぶき」下り7便・上り8便が活躍中です。ローカル線でこれだけ多いと、主力列車と称しても良さそうです。停車駅は法界院・金川・福渡・弓削・亀甲でほぼ決まっていますが、上り2便だけは、福渡~岡山間、津山~福渡間を各駅停車しており、普通列車を補っているというか、2便あわせて1本の快速というような雰囲気もあります。上りが1便多いのはこのためかもしれません。
 芸備線の広島~三次間快速「みよしライナー」も以前から頑張っていますが、4往復のうち毎日運転するのは2往復だけになってしまいました。あと2往復は土曜・休日のみの運転となっています。「シティライナー」もそうでしたが、なぜか広島附近の快速は土休運転というのが多くなっています。旅客動態から考えてそう決めたのだとは思いますが、快速の需要がそんなに少ないのだろうかと不思議に思います。
 なお芸備線には、新見~備後落合間にも、下りのみ早朝の快速が走っています。これは例によって、停まっても仕方がない駅を通過している感じでしょうが、新見~矢神間の4駅連続通過は、ローカル線の快速には珍しくなかなかの飛ばしっぷりと言えましょう。
 山口線にも「通勤ライナー」が走ります。新山口宮野間(上りは山口~新山口間)の短距離で、夕方1往復のみ、新山口~大歳間がノンストップというだけの、ささやかな快速ですが、なぜか土曜・休日も運転されます。山口線には有名な「SLやまぐち号」「DLやまぐち号」も走りますが、不定期運転なのでここでは触れません。
 昔は宇部線などにも快速が走っていたものですが、廃止されて久しいですね。

 四国の快速列車は、ごくシンプルです。JRの快速「マリンライナー」「サンポート」そして土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の快速のみです。
 「マリンライナー」は岡山高松を結ぶシャトル快速で、早朝から深夜に至るまでほぼ30分間隔で往復しています。早朝と深夜のみ、若干停車駅が増える便がありますが、基本的には妹尾・早島・茶屋町・児島・坂出という停車パターンで統一されています。
 「サンポート」は高松~坂出間のみを快速運転する列車です。途中、端岡に停車します。鴨川に追加停車する便もあります。日中は、高松を通らない土讃線特急「南風」宇多津で接続するダイヤになっており、「サンポート南風リレー号」という列車名になります。「サンポート」は高松~坂出間を通過運転するほかは各駅停車として運転されますが、運転区間がかなり長いものもあり、観音寺発着、松山発着、琴平発着などさまざまです。
 ごめん・なはり線の快速は、大部分が高知発着となっています。高知~後免間はJR土讃線に乗り入れているわけですが、乗り入れ区間に関しては各駅停車となっています。快速区間は後免町穴内間で、「隔駅停車」と言うに近い停車パターンですが、下り6便、上り4便と、わりと多めの運転になっています。なお、ごめん・なはり線には「しんたろう」「やたろう」というネームドトレインが毎日走っていますが、これらはいずれも各駅停車です。

 九州では、まず北九州地域・鹿児島本線に走る快速群が筆頭と言って良いでしょう。最長が門司港大牟田間147.5キロで、運転区間だけでもかなりのものです。快速と区間快速がありますが、快速のほうはこの運転区間のほぼ全域にわたって通過運転をしますので、名古屋あたりの快速群よりも長距離の快速と言えます。ただし、現在では日中は区間快速だけになり、快速は朝と夕方以降の運転となりました。区間快速は福間鳥栖(一部は二日市)間を快速運転します。以前は準快速というのが走っていましたが、準快速よりも停車駅の多い快速もあったりして、ややこしくなったせいか、快速と区間快速だけに整理されました。
 大牟田以南には快速は走りません。肥薩おれんじ鉄道と、鹿児島本線鹿児島側には、以前は土曜・休日運転の快速が走っていましたが、廃止されたようです。
 大村線の快速「シーサイドライナー」も便数が多く、線区の主力列車となっています。ほとんどが佐世保長崎を結んでいます。日中の標準停車パターンは、佐世保~新大村間が各駅停車、あと大村・諫早・喜々津・浦上に停車というものですが、長崎線内は各停で、その代わり諫早~ハウステンボス間を通過運転するという便もあります。時間帯によって、普通列車が走らない区間もあり、そうしたところを「シーサイドライナー」が各停運転して補っているのだと思われます。
 松浦鉄道は、佐世保~佐々間だけ、3往復の快速を走らせています。上り・下りとも朝だけの運転です。93.8キロあるうちの19.8キロだけの快速運転であるわけです。
 筑肥線にも、下り5便、上り4便(土曜・休日は5便)の快速が走ります。平日と土休日とは停車駅が違い、平日は筑前前原東唐津間だけの通過運転ですが、土休日には姪浜~筑前前原間も通過運転しています。
 筑豊本線にも快速が走りますが、「隔駅停車」で、原町・門松・筑前山手・九郎原・勝野の5駅だけ通過します。九郎原などは快速となっていない列車でも通過する便が多い、仮乗降場みたいな駅です。日中は原町と門松に停車する快速も多く、あんまり快速という印象が無いほどです。かつて「赤い快速」という、なかなか走りっぷりの良い快速を運行していた筑豊本線にしては、だいぶしょぼくなっているように思います。とはいえ、便数はけっこう多くなっています。
 日田彦山線には、上り朝1便だけ快速が走ります。採銅所呼野の2駅を通過するだけで、大部分は各停として走っています。
 日豊本線にはもともと快速はほとんど走っていませんでした。朝の上り、柳ヶ浦小倉間に1便だけ残っています。
 日南線には「日南マリーン号」という、季節運転かと思われそうな名前の快速が走っていますが、通年運転です。下りは珍しく昼の運転で、上りは夕方の便となっています。飫肥~志布志間は各駅停車となっていますが、貴重な快速と言って良いでしょう。
 指宿枕崎線の快速「なのはな」は、下り4便・上り3便が運転されています。鹿児島中央指宿・山川間を走りますが、通過運転をするのは平川二月田間だけです。
 あと肥薩線にも快速が走っていましたが、現在は2020年の豪雨により八代吉松間が不通となっており、当然快速の運転もありません。

 JR・民鉄・第三セクターをひっくるめて、現時点での全国の快速を見てきましたが、大都市近郊などでパターン化されているところを除くと、だいぶ整理されつつあるようだというのが大雑把な印象でした。特に、毎日運転というのが減ってきているような気がします。平日運転だったり、あるいは逆に土休日だけの運転だったり。また停車駅も増える傾向にあるようで、行程の大半は各駅停車、というものが多くなりました。
 ローカル線のユニークな快速が減ってゆくのは、どうにも寂しく思えます。
 一方で、季節運転、あるいは特定日運転で、えらく豪華な車輛を用いて、全車指定席だったり全車グリーン席だったりする変則的な「快速」が増えてきています。「リゾートしらかみ」などが嚆矢となったのだと思われますが、こうなると「気軽に乗れる速達列車」としての「快速」のありかたとはだいぶかけ離れてきているようでもあります。
 その線区の一般車輛を使って、ただ何駅か通過するだけの「快速」。ちょっとグレードの高い車輛を使って、普通列車とは差別化した「快速」。そして眼を瞠るような豪華車輛を使った、観光用列車としての「快速」。同じ「快速」というカテゴリーの中でも、いろいろとバラエティが拡がりすぎて、いささかカオスな状況になってきているように思えます。「快速」は、これからどうなってゆくのでしょうか。

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