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沖縄の想い出と颱風6号 [世の中]

 沖縄を襲った颱風6号は、いったん通り抜けたかと思うと、東にある太平洋高気圧にはね返され、謎めいた軌道を描いて再び沖縄に戻ってきたとのことです。おかげで飛行機は連日欠航、観光客も足止めを食らってえらいことになっていると聞きました。延泊しようにもホテルがなかなか確保できなかったり、食糧を買おうとしてもスーパーやコンビニからはほとんどの商品が無くなってしまっていたり、だいぶ多くの人が苦労しているようです。
 何しろ離れ島なので、交通が途絶すると物流が非常に心許なくなるのでした。今日もほとんど全便欠航ということになっているらしく、皆様の無事の帰還を祈らざるを得ません。

 考えてみれば、去年のちょうどこの時期、私は沖縄に行っていました。確かめてみたら8月5日8日という日程です。観光旅行ではなく仕事で行ったのでしたが、あれが今年の話だったらと思うとぞっとします。
 そのときは沖縄市嘉手納町でコンサートをしました。まあ、今年のような状況だったら、演奏会そのものが中止になっていたかもしれませんが、出発する前にわかっていたならともかく、向こうへ着いてから中止などということになったら、何をしに行ったのかわからないことになります。
 宿からは一歩も出られないことになるでしょう。国際通りからそう遠くない場所にある宿ではありましたが、伝え聞く嵐の状況では、その国際通りまで行くのも容易ではなさそうです。
 思い返せば、去年の初日、ほぼその日しか土産物などを買う機会が無かったので、国際通りまでひとりで出かけました。マダムからいろんな食べ物のリクエストがあったので、あちこちの土産物屋で買い求めました。途中で薄暗い横丁のアーケードに入ってみたら、そちらで買ったほうがなんでも表通りよりはるかに安いことがわかり、後悔しましたけれども、まあそういうことは何度か来てみないとわかりません。私は2019年の年末から20年のお正月にかけて、家族でパックツアーに参加してきたのが沖縄初体験であり、去年の夏が2度目だったのでした。パックツアーのときは予定がギチギチに詰まっていて、横丁をぶらつくなんて時間はまったくありませんでしたから、まだ初心者です。
 アーケードにはいろいろと、昭和レトロっぽい店が並んでいました。途中で枝分かれなどもしていて、思ったよりも大規模であったようです。那覇の本来の繁華街はこのあたりであったのかもしれない、と思ったりもしました。
 と、突然、ラジオで最大音量のノイズが入ったような音が轟きました。最初は本当になんだかわからず、驚きましたが、なんのことはない夕立だったのでした。大粒の雨が古いアーケードの屋根に当たって大層な音を立てていたのです。
 空の見えるところへ行くと、笑えることに太陽はかんかんと照っています。それなのに、地面に水煙が立ち上るようなものすごい大雨が降っているのでした。いわゆる狐の嫁入りというヤツなのですが、それまでの狐の嫁入りの観念を覆されるような雨の勢いでした。南国のスコールというのはこれかと実感しました。
 しばらくアーケードの中で雨宿りしていましたが、雨はなかなか上がりません。古い屋根はところどころ雨漏りしていて、滝のような水流が落ちている箇所もありました。その水しぶきと、腕にかいた汗のせいか、持っていた紙袋の手が切れてしまいました。
 あわてて荷物を詰め替え、手が切れる心配が無くなったので、まだ雨の勢いはおさまっていませんでしたが、ゆいレール牧志駅に向かって走り出しました。途中何箇所かで雨宿りしながら、なんとか駅に辿り着いて宿に帰ったのでした。
 そのときは夕立のようなものでしたけれども、沖縄の雨はバカ降りするのだな、と学びました。なおその日は、スマホやテレビの天気予報でも、那覇に雨が降るとはまったく予想していなかったので、私は傘を持たず出かけていてしまったのでした。
 宿に帰ってからしばらくして、私は夕食を買いにふたたび出かけましたが、このときは傘を持ってゆきました。そしてその傘は役に立ったのでした。雨は一旦止んでいましたが、夜になってまた降りだしたのです。
 そのときも、月が雲に隠されもせず煌々と照っていましたので、いい加減あきれてしまったほどでした。

 沖縄の雨の降りかたを、身をもって知ったわけですが、あんな状態の雨が、颱風で何日も降り続くのであれば、やりきれないものがあるだろうな、と思います。
 まあ、沖縄まで行かなくとも、九州あたりの雨の降りかたは、東日本人の想像を上回るものがあるようです。梅雨でも、関東の人間の感覚では、しとしと降る淫雨というイメージが強いのですが、九州地方ではドカ振りして過去何度も水害が起こっています。
 颱風も、沖縄や九州地方が、いわば最初に矢面に立つ順序になるので、勢力が強いうちにぶつかるケースが多いわけです。雨風の被害はいつも大変なことになります。
 関東地方には、海上を進んできた颱風が直撃すると大雨・大風となりますが、九州から中国四国、関西から東海へと陸上を進んできた颱風は、辿り着く頃にはだいぶ勢力が弱まっているのが普通です。日本列島が「長い」ことを私たちは感謝すべきでしょう。そしてたいてい矢面に立ってくれている沖縄や九州には、心からのねぎらいを伝えなければなりません。
 なお颱風6号は、このあとの進路も素直でないようで、おおかたの予想を裏切って西のほうに偏したルートをとる見込みだそうです。つまり九州に上陸するだろうと思われていたのが、九州のかなり西側海上を進み、朝鮮半島を直撃するのではないかとのこと。九州西部や五島列島などは、進路の東側になるため風が強くなりそうです。そして海上を進む颱風はほとんど勢力を落としませんので、韓国などでは数日後に暴風雨となるかもしれません。最近、こういう西寄りの進路をとる颱風も増えてきており、これまでずっと日本列島を防波堤のようにしていた朝鮮半島に、いきなり上陸するケースが少なくないようです。水害対策が日本ほどは進んでいないように思われるので、これから大変かもしれません。

 沖縄に出かけていた観光客は、おそらく目的である観光もほとんどできずに降り込められているばかりでしょうから、ご愁傷様としか申せません。旅先で雨に遇うというのは、まま生じるアクシデントですが、外歩きがはばかられるような大雨となると、そうぶつかることも多くないのではないでしょうか。
 航空運賃が値上がりしている昨今、安からぬ飛行機代をすでに払い込んでいるのでしょうから、簡単にキャンセルする決断がつくものでもありません。直前のキャンセルでは半額くらいしか返ってこないでしょう。宿のキャンセルだってお金がかかります。それを考えると、いちがいに、こんな時期に出かけて行った人たちを嘲笑うのも気の毒と言わねばなりません。まあ、運が悪かったとしか言いようがないでしょう。
 沖縄には、また行きたいと思いますが、さていつのことになるやら。
 去年はまったく仕事のために行っただけですし、その前は2泊3日のパックツアーで駆け足の観光に過ぎませんでした。本当は、ゆっくりと時の流れに身をゆだねるような滞在をしてみたい場所です。
 北のほうは、本部半島あたりまでしか行っていません。その先の、奥ヤンバルと呼ばれる地方も訪ねてみたいと思っています。奥ヤンバルまで行くと、海岸にはほとんどサンゴ礁がなくなりますし、観光という意味では地味であるようですが、南洋の島へ行ったようなひなびた雰囲気があるようで、惹かれるものがあります。
 最北端にはその名も「奥」という集落があり、特異な文化を持っているそうです。宮脇俊三氏の「ローカルバスの終点へ」という本の最後に置かれた章が、この奥への旅を書いたものでした。また、去年同行したメンバーのひとりも、奥を訪れたことがあるようで、写真などを見せて貰いました。私もぜひ行ってみたいものです。
 南岸のほうもまだ行っていません。ひめゆりの塔にはやはりいちど詣でておくべきではないかと思いますし、一面のサトウキビ畑というのも見てみたい気がします。
 そして本島以外の離島も興味があります。宮古島石垣島西表島与那国島と、できれば船で順番に訪れてみたいものです。半月くらい休みがとれれば可能かもしれませんが、この先そんな休暇をとる機会はあるでしょうか。私のような仕事は、齢をとるほどむしろ忙しくなるような気もしていて、もっと若い頃に遊びに行っておけば良かったと思ったりもします。

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