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自転車の故障 [日録]

 指やら両腕やら肩やら脇やらが、広域的に筋肉痛になっており、一挙手一投足に難儀しています。
 原因はわかっていて、昨日いささか無理をしたからでした。
 昨日は土曜日なので、恒例の仕事であるピアノ教室に出かけていました。ほかの用事につながっていたり、天気が悪かったりということが無い限りは、自転車で往復しています。脇目も振らずに最短距離を突っ走れば45分くらいで走れるのですが、たいてい途中で昼食を買ったり、帰りにはほかの買い物なども済ませてくるので、まあ片道1時間あまりというところです。帰りはなるべくアップダウンの少ないルートを通るためにやや遠回りもしており、そのせいもあって1時間半くらいになることもよくあります。
 この仕事をはじめたころは、JRの東川口駅まで行って、そこから歩いたりバスに乗ったりすることが普通でした。その後、2年ばかりクルマを使っていた時期は、往復にもクルマを利用していました。その後クルマを使わなくなってから、いろいろな交通機関を試しました。おりから埼玉高速鉄道が開通し、戸塚安行駅が最寄り駅となったのでしたが、この路線の自宅最寄り駅である川口元郷も、そして戸塚安行も、けっこう歩かされます。
 それにも増して、埼玉高速は運賃が高く、あまり使う気になれませんでした。
 結局、バスで行き来というのがいちばん妥当だったわけですが、結婚を契機に、それまでしばらく使っていなかった自転車に乗ることになり、それでかなり長距離でも移動できるとわかって、以降は晴れた日は基本的に自転車を使うようになりました。ただ、途中には安行の台地が鎮座していて、短距離で行こうとするとアップダウンがかなり激しいことになっています。かと言って坂道を避けようとするとかなりの迂回となってしまいます。できるだけ楽に行き来するために、ずいぶんといろいろなルートを試しました。いまだに最適解が何なのかわかっていません。スマホの地図では、途中の起伏まで考慮した経路は出せないのでした。
 なお、天気の悪い日、ほかの用事が連なっている日は、ずっと川口駅から戸塚安行駅までの路線バスを使っていたのですが、去年以来の運賃値上げで、埼玉高速とあまり差のない額になってしまいました。そうなると、乗車時間わずか10分という電車ルートに魅力が出てきます。駅からの徒歩距離は長いものの、全体の所要時間はバス利用に較べるとずっと短くなるのでした。

 それはともかく、自転車での移動です。
 こちらも、ここしばらくはだいたいルートが決まっていました。往路は、樹モール商店街からふじのいち商店街を抜け、中央道路に沿ったような裏道を走って、イオンモール川口近くの上根橋に出て、再びちょっと脇に入って見沼代用水沿いのサイクリングロードを走り、神根あたりからバス通りに戻り、さらに微妙にショートカットしつつ、石神交差点を経て戸塚安行駅に下りてゆくという道です。ややこしい感じですが、走りやすさや信号機の数などをいろいろ精査した上で、比較的楽なルートとして認識したのでした。神根から安行台地に登るところで急坂があるのが残念ですが、往路なのでまだ気力や体力がある点、また新郷のほうから登るよりはずっと坂が短いという点で採用しています。
 帰りは、上記のとおり、極力アップダウンの無い道を使っています。教室前のけやき通りを走り、道の駅あんぎょう川口緑化センター)のところへ出ます。実はこの道、私が認識してからでも十数年にわたってずっと工事中だったのが、何年か前にようやく開通したものです。どこから道路名が変わるのか知りませんが、この道は尾竹橋通りに直通しています。ここを新堀という交差点まで走り、そこから川口~草加間を走るバス路線に沿って本郷橋まで行きます。前はさらにそのままバス通りを走り、江戸袋交差点経由で帰っていたのですが、最近は途中で裏道を通り、毛長川に沿って八幡木の近くまで走って、そこから抜け道を通ってあずま橋まで行くようになりました。あずま橋を渡ってからは、また脇道に入って、あずま橋通りのたくさんの信号機を回避しつつ家に向かいます。
 そういうルートにほぼ固定していたのですが、昨日に限って、往路にほかの道を使いました。それが悪かったのかどうかはわかりません。
 つまり昼食を、家の近くの西友で買うことが多かったものを、少々飽きたということもあり、また時間に余裕があったということで、少し遠くのサミットストアで買うことにしたのでした。買い物を済ませて、スマホの地図で教室へのルートを表示させてみると、これまであまり使わなかった経路が最短距離として示されたので、面白く思い、そのルートを走ってみることにしたのです。
 使わなかった経路とはいえ、まったく知らない道というわけではなく、部分部分は見覚えのあるところを通っていたのですけれども、首都高川口線の下の道をずっと走ってゆくというのは、いままでやっていておかしくないのにやっていなかったルート選定でした。
 しかしこのルート、かなりアップダウンがあります。毎回使うのはやはり避けたいものがありました。
 細かい登り下りを繰り返して、赤山の交差点まで到達しました。ここで交差している赤山街道は、埼玉高速が地下を通っており、私も何度も通ってよく知っている道です。ここから2キロばかりで戸塚安行駅近くに出ることができます。時間はまだまだ余裕がありました。
 赤山街道を走って、外環道の下の道を横断したあたり(安行西交差点)で、異変が起こりました。

 自転車が全然動かなくなったのです。気づくと、左ハンドルのブレーキレバーがまったくびくともしなくなっていました。
 何が起こったのかはすぐにわかりました。左ブレーキ、つまり後輪のディスクブレーキがいかれてしまったのです。ブレーキのケーブルが切れたという事故はよく聞くし、マダムも遭ったことがあります。この場合、ブレーキレバーはまったく手応えが無くなり、ブレーキがまったく「利かなくなる」状態になります。しかし、今回はその逆でした。ケーブルが伸びきって、ブレーキが「利きっ放しになっている」状態なのでした。
 ブレーキが利きっぱなしなのですから、後輪がまるで動かないわけです。押して歩こうにもものすごい力を必要とするようで、しかも無理に押して歩けばタイヤが地面にこすれて使い物にならなくなりそうです。
 後輪を持ち上げて歩くしかないのでした。
 前に、鍵を失くして付け替えるときに、自転車屋まで後輪を持ち上げて行ったことがありますが、えらくしんどかった記憶があります。
 これはかなわんなあ、と思いつつ、スマホの地図で「最寄りの自転車屋」を検索してみました。
 近くには全然ありません。もともと、戸塚安行駅近くには自転車屋というものがまるで無いということを知っていました。駅の近くに1軒くらいあっても良いだろうにと思いますが、無いものは仕方がありません。
 いちばん近いのは、たったいま走ってきた道を戻り、川口線の下の道に入ったところにあって、約1キロ離れています。戻るのは気分的に滅入りますし、ここもアップダウンがけっこうあります。
 先へ進んだほうが、預けて修理してもらうことになった場合にも都合が良さそうだと思いましたが、そちらは1.5キロあるとか。しかもこちらもアップダウンがあります。
 まずは先へ進もうと、左手でハンドルを、右手で荷台を持って歩きはじめましたが、どうも想像以上に歩きづらいのでした。荷台の金属棒が、たちまち指に食い込んでえらく痛くなります。
 さらに凹むことに、200メートルばかり歩いてからスマホで確認すると、道を間違えていたことが判明しました。だいぶ戻らないと修正が利きません。
 げっそりして、それまでの半分ほど戻りました。そのあたりに、外環道の下をくぐり抜ける通路があり、私はそちらへ進みました。戻ることになっても、いちばん近い自転車屋に行くことにしたのでした。
 持ち手のところにはタオルを当てて、荷台が指に食い込むことはなくなりましたが、それでもかなりの難行です。たまに右手と左手を持ち替えたり、フレームに差してあった傘の柄をひっかけて持ち上げたりと、いろいろ試しましたが、労力はさほど変わりません。
 20~30メートル程度歩くと、もう限界で、少し息を整えなければなりませんでした。1キロほどの道のりでそんなものですから、40~50回くらい休みながらであった計算になります。
 普通に歩けば15分程度の道であったと思いますが(スマホの地図では「徒歩で19分」と出ていましたが)、たぶん45分以上かかったと思います。知っている道だけに、かえって長く感じました。
 さらに悪いことに、この日は11月としては異例の暑さで、25度を突破した夏日だったのです。たちまち汗びっしょりになりました。
 こんな広範囲にわたって自転車屋のひとつも無い赤山地区を小声で罵りつつ、ときどき地図を確認して距離がだんだん近づいてきているのを見て安心しつつ、ようやく目当ての自転車屋に到着しました。いやはやこれで休業日だったとしたら私は錯乱してしまったかもしれません。

 ディスクブレーキがかかりっ放しなどという故障は、私の長い自転車暦を思い起こしてもはじめてのことです。自転車屋の主人も、そうそう遭遇する故障ではなかったようで、
 「おお、ありゃ」
 と声を上げていました。
 もっとも修理方法としては、ケーブルをブレーキディスクにつなぎ直せば良いだけですので、そんなに手間はかかりません。
 「10分ほどでできると思いますから」
 と言われて、店内の椅子に坐って待ちました。持っていたペットボトルから、紅茶をごくごくと流し込みます。
 別にこの日に限っていつもと違うルートを走ったからこうなったわけではないと思いますが、途中のアップダウンの多さが関わっているのだろうか、と疑わざるを得ませんでした。
 修理はすぐに済み、料金も思ったよりもずっと安かったのでほっとしましたが、明日はきっとひどい筋肉痛になるだろうなあ、と想像してげんなりしました。
 ふたたび自転車に乗り、苦労して歩いた赤山街道を5分足らずで駆け抜けて、幸いなことに仕事の開始には遅れずに教室に辿り着くことができました。しかしすでに指には影響が出ていて、教室のピアノを弾いてみると、若干思ったように指が動かないところがありました。
 そして翌日である今日、覿面に痛くなったという次第です。ふだんあまり使っていない筋肉をだいぶ使ったのだろうな、という実感があります。
 齢を重ねると、筋肉痛などが出るのがだんだん遅くなり、ときには翌々日になって出てくるなんて話を聞きますが、翌日に出てきたのはまだましだろうか、などと考えています。まあ数日は大変そうです。

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