SSブログ

「蜃気楼列車と追憶のカケラ」リプレイ(1) [趣味]

 当日の挑戦記は書かなかったのですが、1週間ほど前である9月23日(木・秋分の日)に、また鉄道謎解きイベント「蜃気楼列車と追憶のカケラ」をプレイして来ました。9月30日に終了ということでしたので、日程も接近していることだし、挑戦記と解決篇を別々に書くのはやめて、まとめてリプレイをしてみたいと思います。
 イベント自体は5月末くらいからはじまっていて、駅置きのチラシを見かけて、すぐにでもプレイしたかったのですが、なかなか機会が訪れず、西武東武東上線の謎解きイベントのほうを先にやってしまいました。西武の「タイムトレインの切符」を7月下旬にやったので、すぐにまた「蜃気楼列車」をやる日程調整が難しかったという点もあります。私はわりと昨今暇なのですが、マダムが忙しく──仕事もさることながら、趣味のフラダンスのリモート発表会などを控えていたりしたため、1日空いている日というのが滅多に無かったのでした──、そうそう謎解きにかまけているわけにはゆかなかったようです。で、東武東上線の「幽霊切符であいにいこう」は単独でやってきました。これはプレイ中にスマホを使う必要が無かったのでひとりでできたのでした。
 しかし「蜃気楼列車」はスマホ利用前提で、しかもLINEを用いるため、私には歯が立ちません。何度かご説明申し上げましたが、私はいまだにガラケーユーザーですのでスマホ対応のweb上の送受信などができません。タブレットは持っていますが、これがかなり旧型で、ブラウザのヴァージョンが古く、やはり送受信などができない場合があります。LINEなど論外な感じです。去年やった「危険なビーナス」と同様、LINE前提となるとマダムに頼らざるを得ないのでした。だから単独チャレンジはできません。
 もともとマダムは平日に用事が入っていることが多かったのですが、最近は日曜もフラダンスその他に没頭していて、なかなか暇がとれません。祝日などを狙うしかないのでした。
 それでイベント期間も終わりに近づいた23日にプレイしてきた次第です。

 「蜃気楼列車と追憶のカケラ」はJR東日本のイベントですが、探索範囲が微妙でちょっと形容に困ります。JR東日本の謎解きとしては、去年「放課後の手紙と消えた彼女」というのをやりましたがこれは千葉県内限定(しかも後半は外房線限定)、それから今年のはじめに「6枚の写真に隠された秘密」というのをやり、これは山手線限定でした。そういうすっきりした探索範囲と違って、「蜃気楼列車」の範囲は、山手線の東側の一部、総武線京葉線、それに武蔵野線の一部という、なんとも中途半端なものなのでした。しかし一応千葉管内のイベントということになっていたようです。
 そういう範囲で困ることのひとつに、手頃なフリー切符のたぐいが見当たらないという点があります。「放課後の手紙」では「サンキューちばフリーパス」という、千葉県内ならJRに限らず私鉄や一部の路線バスまで乗れるすぐれものが大活躍しました。また「6枚の写真」では「都区内パス」が使えました。民鉄のイベントの場合はそれぞれの一日フリーパスが使えます。普段は売ってないのに、わざわざイベントのためにフリーパスを設定している会社もありました。
 しかし、「蜃気楼列車」の探索範囲をうまくカバーするこの種のフリーパスが無いのでした。ということは、いちいち運賃を払わなければなりません。案内にも、SUICAに入金してお使いください、というようなことしか書いてありません。鉄道謎解きの宿命として、あちこちの駅で乗ったり下りたりを繰り返すことになり、塵も積もればで交通費が大変なことになりそうです。
 それで、すでにプレイした人のブログなどから、だいたいいくらくらいかかるのかを、あらかじめ調べてみました。
 すると、出発点の両国駅(これは固定)から最終目的駅まで、1802円という数字が挙げられていました。これはSUICA利用の場合で、いちいち切符を買っていたらもっとかかります。
 さて、ここで悩ましいのが「休日おでかけパス」の存在です。このあいだ平塚に行くときにも使いました。川口から平塚まで往復するだけではわずかに元が取れないので、わざわざ小田原まで足を延ばしてみたりしました。お値段は2720円。このフリーパスは非常に有効範囲が広いので、首都圏を広範囲に動くときにはたいへん使い勝手が良いのですが、さて今回のイベントで元が取れるかどうか。
 数字だけ見ると全然元がとれなさそうですが、1802円というのはあくまでスタート地点の両国から最終目的駅までの交通費であり、自宅から両国まで、最終目的駅から自宅までの行き帰りの交通費は含まれていません。この行き帰りにJRで918円以上を要するようであれば、休日おでかけパスが有効になるわけです。なお夏のあいだから9月いっぱいは、「ひみつの平日パス」というのが発行されており、その有効範囲や値段は休日おでかけパスとまったく同じでした。平日にプレイするならこれを考えるところでしたが、秋分の日だったのでその必要はありませんでした。
 川口から両国までは、たぶん駅数からして東京駅までと同じ値段でしょう。SUICAで308円です。そうすると、最終目的駅から川口までが610円以上というのが採算ラインです。しかしプレイしてみないと最終目的地がわからないわけで、これは迷いどころです。あんまり川口に近いようで200~300円くらいしかかからないようなら、どこかで途中下車したり、遠回りで帰ってきたりすべきかもしれません。
 結局川口駅を出発する前に、休日お出かけパスを購入してしまいました。あとで触れることがあるかもしれませんが、結果としては元は取れたようです。まあまあ良かったと言うべきでしょう。

 推定所要時間は7時間~、とチラシに書かれていました。これは両国でスタートしてからの時間でしょうから、けっこうボリュームがあります。家を出たのは9時半過ぎでしたが、両国駅に着いてその構内のJR東日本直営コンビニNewdays「謎解きキット」を購入して、プレイを開始するまでには1時間ほどかかりました。10時半開始ということは、一目散にスムーズに進んでも終わるのは17時半くらいになりそうです。実際には昼食とか休憩時間もあるので、秋分の日という日柄からしても、明るいうちには終わらなさそうだと思いました。
 両国駅にはプレイヤーが大量にたむろしていました。「地下謎への招待状」ほど密になっていたわけではありませんが、それでもけっこうな人数です。あとで気づいたのですが、これからスタートする人たちと、両国駅界隈での謎解きを済ませて駅に戻ってきた人たちがごっちゃになっていたので、実際以上に混雑して見えたものと思われます。この「蜃気楼列車」、スタート地点も決まっているし、ストーリーはずっと一本道で順番に解いてゆくしか無く、プレイヤーがばらける要素がありません。イベント終了前のほとんど最後の休日(あと26日の日曜がありますが)、しかも快晴とあって、プレイヤーもふだん以上に多かったものと見受けられます。
 両国駅のNewdaysは「謎解きキット」販売を一手に引き受けていただけあり、「6枚の写真」のときの池袋西口店の店員のように戸惑ったりはしませんでした。というかレジ前に当のキットが山積みになっています。駅のコンコースにもこのイベントのポスターが何枚も貼られていて、

 ──当駅からはじめられます!
 ──9月30日まで、まだまだ遊べます!

 等々と駅員の添え書きがされていました。戸惑う余地も無いようなものです。
 キットは1500円とけっこう高めです。グループにひとつあれば充分、と書いてあるブログなどもありましたが、やはりひとりひとつ持っていたほうが楽しいでしょう。それにしても休日お出かけパスと合わせて4220円、私らの場合はそれがふたり分なので8440円と、かなり多額な「参加費」となりました。
 で、キットの内容はというと、A4判の紙1枚のスタートガイド、B5判でコンパクトなストーリーブック、クリア後にタカラッシュ!社の宝探し専門サイト「ハンターズ・ヴィレッジ」に報告するための発見報告用IDが書かれたハガキ大の紙、B5判に対応したバインダー、小さな鉛筆のペグシル、それに「追加キット」と記された封筒が入っていました。
 スタートガイドは駅置きのチラシとほぼ同内容ですが、裏面が少し違っていました。各パートでの推定所要時間などが書かれています。またヒントサイトに導くQRコードもありました。ヒントを利用するには「ハンターズ・ヴィレッジ」に登録しなければなりません。登録すると、謎解きの内容に応じた「ハンターポイント」なるものが付与されるのですが、ヒントを利用するたびにこのポイントが減ってゆくという仕掛けです。
 バインダーは役立ちました。鉄道謎解きをしていると、立ったまま書きものをすることが多く、場合によってはそれがなかなか厄介だったりします。下が硬いバインダーで固定されているだけでも、ずいぶん書きやすいのでした。
 追加キットの封筒は、指示があるまで開封できないことになっています。ただし内容は封筒のおもて面に書かれています。「Schedule Book(手帳)」「列車クリップ」「列車シール」の3点です。それぞれがどういうものかは、使うときに説明します。
 ストーリーブックは何箇所かシールでページが封緘されており、これも指示があるまで破れないことになっています。とりあえず最初の謎(第1部・謎1)に挑みます。
 まずイラストを用いた覆面算みたいな問題。等式にはなっていますが、イラストで表されたところは、実は数字ではなく文字であるというのがポイントです。そしてひとつだけ明かされた文字「ク」が、手書き風フォントのため数字の「7」のように見えるところがミスリードでした。2種類の覆面はカタカナの「ロ」と「ナ」であることがすぐわかります。この覆面イラストが斜めに並べられている絵が解読対象で、答えは漢字の「右」でした。
 もう1問(第1部・謎2)、赤と青と紫の3色からなる図形が示されています。で、赤と青がある文字を示しているというのですが、紫が赤と青の重なった色であるのがポイントで、要するに「赤と紫」「青と紫」といったように見ればすぐに解けます。「力士」という文字が見て取れました。
 この「右」と「力士」を、その下の歩きかた指示文の空欄に当てはめ、指示に従って駅の外を歩きます。国技館通りを歩いてそのまままっすぐ回向院の境内に入り、その中に立っている樹のところに、タカラッシュ!イベントでおなじみの手がかりステッカーが掲示されていました。小さなステッカーということもあって、肝心の樹を発見するのに少々手間取りました。左向きの三角形に「左」、右向きの三角形に「右」、そのあいだにはさまれた正方形に「手」と書かれた手がかりです。これにより「第1部・謎3」の問題文のブランクを埋めることができます。またこの手がかりはこのあとでも使うことになります。
 ブランクを埋めた問題文によると、両国駅構内にずらずらと掲示されている力士の手形がカギになるようです。そういえば駅に着いた時も、手形のところに人がたかっていました。右手の手形と左手の手形が混在しているのですが、解読盤でその左手に相当するところだけ読む、という問題でした。
 すぐに駅に戻って手形を見ます。左手のところだけ見てゆくと(右側から読むように、という指示も添えられていました)、解読盤では「しゅっぱつ」と読むことができました。で、これを「先輩」のLINEに入力すると、次の行動が示されます。
 申し遅れましたが、今回のイベントの設定ストーリーは、都市伝説である「蜃気楼列車」のことを調べていた「先輩(♀)」から、主人公(♂)のもとに救難を求めるLINEが飛び込んできたことからはじまります。どうも自分は問題の蜃気楼列車に乗ってしまったらしい、列車は走りはじめて下りることができないので助けて欲しい……という内容でした。主人公は憧れの「先輩」を助けるべく奔走するというのがイベントの骨子です。
 それで、主人公は随時「先輩」とLINEでやりとりしながら探索を進めることになります。その設定からしても、頻繁にLINEにアクセスする必要があり、私のwi-fiタブレットではたとえLINEが使えたとしても、環境的に通信できないケースが多いでしょう。やはりマダムの助けを得なければなりません。
 最初に「先輩」の友達登録をしなければならないため、マダムも少々手間取っていましたが、無事通信開始です。「先輩」はまず自分の手帳をどこかに置き忘れたので探して貰いたいと頼んできます。そして、上野に行ったはずだと言うのでした。また、謎の図形が示されます。「第1部・謎4」の解読盤に示されている図形と一緒で、その中にいくつかの丸印があり、そのまたいくつかに文字が入っていました。その文字を解読盤のほうに書き写せと言うことらしい。
 方位磁石みたいなイラストの下にある丸印に「S」とあるので、ブランクになっているほかの3つをつい「E」「W」「N」としたくなってしまうのがミスリードなのですが、とりあえず上野に向かうことにします。ようやく両国駅から「出発」で、すでに11時03分になっていました。

 上野駅に着いたあとは、ストーリーブックに載っている指示文のとおりに歩きます。文中にさっきの左向き三角形や正方形が出てきますが、そのまま「左」「手」と代入すれば意味が通じます。
 上野駅構内にこんな通路があったのかと驚くようなところを歩き、それが十字路になっているところの床面に、先ほどの方位磁石みたいな図形が描かれていました。下にあった「S」はサウス(南)ではなく「Seventh ave.」の頭文字でした。他のところも東西南北とは関係なく、ルネッサンスストリートとかミュージアムアヴェニューとか、駅ビル「アトレ」の中の通路の名前を指すものとなっていました。
 これで埋めた文字を、「先輩」からのメッセージから転記した文字と一緒に読むと、「PROMISE」という単語が出てきました。これをまた「先輩」に伝えることになります。
 そうすると、「第1部・謎5ステップ1」に関連するメッセージが帰ってきます。この問題は、マンガのコマ割りみたいになっている解読盤に、マンガのフキダシみたいなのがいくつもちりばめられています。絵はほとんどありません。
 フキダシの中のセリフは、かつて「先輩」と主人公が交わしたのかもしれない会話らしき内容ですが、ところどころ虫食いとなっています。その虫食いのところに入る文字がカギになるようでした。
 「゛ソラ”と゛ドレ”の間にあるのは?」「□でしょ!」
 「゛えき”の間にある盛り上がってるものって何」「□だよ!」
 というような調子で、答えはすぐに見当がつきます。全部埋めてみると、「シ」「丘」「八」「木」「ハ」「ム」「田」「T」となり、これらをコマ割りに従って配置してみると「浜松町」という文字であることが判明します。次の目的駅は浜松町です。
 このステップ1問題は、私はすぐできたのですが、解読盤に「座って解くのがオススメ」というマークが添えられていることを盾に、マダムは十字路の角にあった甘味処「みはし」に入って一服することを主張しました。この日は思ったよりも暑くて、冷たいものを求めていたということもありますが、それにしてもそんな店に入っているとだいぶ時間を食います。
 とはいえ、私は謎解きをどんどん進めたいタイプですが、マダムは途中で食事や喫茶を楽しみたいほうです。わりといつもマダムに我慢させているという自覚があったので、今日はできるだけ彼女の好きにさせてやろうという気になりました。その結果最後が遅くなってもやむを得ません。それで「みはし」に入り、マダムはところてんを、私はかき氷を食べました。どちらも550円もしたのでびっくりです。かき氷など原価は30円程度ではありますまいか。
 そのわりに問題のほうはマダムもすぐに解いてしまったようで、はたして坐って解くほどのことがあったのかは疑問です。いずれにしろここで、25分ばかり余計に時間を費やしました。
 ところでこのステップ1の解読盤の上にあったストーリーパートが、それまでの文章の調子と少し異なった雰囲気で、若干の違和感を覚えました。フォントもそれまでと違って太字になっています。わりと坦々とした印象のあった語り口が、急に「先輩」への想いを熱烈に独白するような調子になっています。だいたいそれまで「先輩」と呼んでいた相手のことを、ここではいきなり「あなた」呼びにしているのでした。主人公が「先輩」に惚れていることは最初から明かされていましたが、ここへ来て内心がほとばしり出たというところでしょうか。

 快速運転中の京浜東北線電車に乗って浜松町へ。ただし土休日は上野~東京間が各駅停車となるため、快速運転と言ってもさほど速くはありません。
 「第1部・謎5ステップ2」の問題は、特にひねりも無い道案内の文章で、書かれたままに歩けばそのまま目的地に到達します。
 到達して驚いたのですが、そこは「6枚の写真に隠された秘密」でゴールになっていたウォーターズ竹芝でした。示された道順がちょっと違っていたので、着くまで気がつかなかったのでした。おやおやです。その一角に、「先輩」の手帳を発見した旨を書いたステッカーが掲示されており、「先輩」に「みつけました」とメッセージを送れとの指示文も書かれていました。
 ここで「第2部」の封緘を破り、かつ「追加キット」を開封することになります。袋とじになっていたページには「第2部・謎1~謎3」の解読盤が記載されていました。また「座って解くのがオススメ」マークがあったので、そのあたりのテーブルに就きます。本当は近くのバーベキュー店の客のためのテーブルらしいのですが、みんな構わずに使っていました。
 謎1は、「犬→ウニ」「牛→イス」のときに「□→□」、さて□に当てはまる「虹の色」は? というのですが、例題によりローマ字で書いたときの逆読みであることはすぐにわかります。□→□というのは一瞬考えましたが、逆読みしても同じ綴りになるという意味でしょう。虹の色の中でその条件に当てはまるのは「赤(AKA→AKA)しかありません。
 謎2は、示されているブレーキみたいな記号を、反時計回りに90度回転させろ、という問題です。詳細は省略しますが、カタカナで「キイロ」と読める配置となりました。
 謎3は山手線と総武緩行線のような、環状に並べられたマスとそれを突っ切る形で直線状に配置されたマスがあり、いくつかのマスにはカタカナが記されています。他のマスも埋めたうえで、番号のついているマスの文字を順に読むという問題でした。環状のほうはひとつだけ「シ」とあります。マスは7つあり、マスのあいだの矢印が循環しています。少し考えると、ドレミファソラシであろうと見当がつきました。循環しているのがミソでした。直線のほうは「ル」と「ロ」が書かれており、環状の「ラ」と「レ」を共有していましたので、これは普通に「ラリルレロ」でしょう。それで番号つきの文字を見てみると、「ミドリ」となりました。
 次のページの解読盤には、ブランク付きの指示文が書かれており、そのブランクに謎1~謎3の答えを記入すると文が完成します。「追加キット」の封筒に入っていた「手帳」(当初の状態では1枚のA4判の紙)を組み立て、そこに「列車クリップ」を添付する作業の工程です。
 「手帳」は、A4判の紙を折りたたむことで、A7判の小冊子のような形になりました。子供の頃よく作った「魔法の手帳」にちょっと似ています。魔法の手帳というのは、折りたたむやりかたによって、ページに書かれている内容が出たり消えたりするというちょっとした手品みたいなものでした。この「手帳」はそれとは違いますが、つい連想してしまいました。
 「列車クリップ」というのは透明なアクリルシートで、そこから3つの「クリップ」が切り離せるようになっています。「クリップ」にはそれぞれ赤・緑・黄色の車輛が描かれています。切り離したあとのシートものちに必要となります。
 このクリップと手帳に描かれている、同じマークを揃えるように手帳のページをクリップではさみます。ハート形の赤電車のクリップは違う向きにつけられることになりますが、丸形の緑と黄色のクリップは重なるようにつけられており、それを一緒に引き抜いてみると、車両に書かれた模様みたいなものが重なって、「TOKYO」という文字が見て取れました。次の目的駅は東京です。

 東京駅で解くべき「第2部・謎4」は、丸の内中央口の近くにある顔はめ看板を用いたものでした。観光地によくあるアレですね。駅員の絵の顔のところがくり抜かれていて、お客がうしろから顔を出して撮影するというヤツです。で、この看板に東京駅の開業年月日、「1914年12月20日」が書かれており、その8つの数字がカギとなります。
 問題そのものはすぐに解けそうでしたが、もう13時を過ぎていて、マダムが空腹を訴えました。そろそろ昼食にしたほうが良いでしょう。
 東京駅は改札内にも殷賑な商店街があり、飲食店もいくらでもありましたが、若干値段が張ります。本当はこの駅では改札を出る必要は無いし、普通に運賃を払っていれば出ないほうが得なのですが、そこは休日おでかけパスを使っている強み、私らは南口の改札を出て隣のKITTEビルに入りました。地下の食堂街の一店に入ります。
 私は料理を待っているあいだに次の問いを解いてしまいましたが、マダムは悠然たるもので、待つあいだにはスマホを眺め続け、食べ終わってからようやく謎解きをはじめました。多少なりとも時間を節約しようとした私のもくろみはあえなく失敗したのでした。
 19141220という数字を「先輩」に送ると、その数字の変換方法を教えてくれました。手帳に変換表が載っているというので、見てみると確かに表がありました。2数字ずつを足し算して、その答えとなる数字を変換表にかけるということであるようです。足し算の結果は10・5・3・2となりますから、それぞれ変換してみると、「ブカツドウ」という言葉になりました。で、手帳のカレンダーで「部活動」の日を見るように指示があります。カレンダーを見ると、左下のほうに小さく、「部活動の日 3の倍数」と書かれていました。
 カレンダーの日付のところにはさまざまなひらがなや記号が書かれており、3の倍数のところを順に読むと「かさいりんかいこうえん」という文字が拾えました。次は葛西臨海公園へ向かいます。そうわかってみると、南口側のKITTEに入ったのは好判断でした。葛西臨海公園ならば京葉線に乗ることになります。ご存じのとおり東京駅の京葉線乗り場は他の路線とは遠く離れています。しかし南口側からなら少しは近いし、何よりもKITTEの地下からそのまま地下道を通って乗り場に出ることができます。
 KITTEのエリアを出ると、隣のTOKIAのエリアに入ります。こちらも食堂街になっていましたが、見るとKITTEの各店よりも少し安いように見受けられます。しまった、こちらにすればよかったと後悔しましたが、次に乗るのが京葉線とわからない時点では、駅から遠ざかることになるのであまり気が進まなかったことでしょう。
 TOKIAエリアを抜けるともう京葉線乗り場となります。14時13分発の各駅停車に乗りました。東京駅には1時間03分滞在したことになります。

 13分で葛西臨海公園に着きます。もう9月も下旬というのに真夏日で、昼下がりの日差しはプールにでも入りたくなるくらいです。快晴の休日ということもあいまって、公園はかなりごった返していました。私は葛西臨海公園には何度も訪れているのですが、こんなに人出の多いことははじめてです。
 16年半前、マダムとの初デートで来たのがこの葛西臨海公園でした。そのときは日の出桟橋だったかから水上バスで行くという、少し変わったルートを選んだのでした。そういえば先ほどの浜松町は結婚式を挙げた場所(世界貿易センタービル)でした。今回奇しくも、想い出の場所に立ち寄ることが多くなっています。
 駅を出て、小さいエフと大きいエフを探せ、と指示されていました。南口側に出て少し歩き、振り返ると見つかるそうです。噴水のあたりまで歩いて、振り返ってみると、京葉線のガードに麗麗と巨大な「f」の文字が掲げられていました。もうひとつのエフはどこかと少し探しました。マダムはガード下にあるファミリーマートの「F」ではないかと推測しましたが、これはふたつあるので違いそうです。少し横のほうに入り込んでみると、「F-f」という看板が見えました。これが実は駅ビルの名前であったようです。それならと思い、さらに左のほうを透かし見ると、なるほどさっきの「f」と同じサイズの巨大な「F」の文字がありました。小さいエフと大きいエフとは、字の大きさではなく、小文字と大文字のことだったようです。
 その両方の「エフ」の中間あたりの下にある柵を探せ、とあるので、だいたい見当をつけてビルに近づいてみると、手がかりステッカーがあっさり見つかりました。線路の絵が描いてあり、その枕木に「ススメ」の文字。
 ここで「先輩」に連絡すると、その「ススメ」が蜃気楼列車の車輛間を移動するキーワードになっていたとかで、少し話が動き出します。
 ステッカーに書かれていた線路(「先輩」は「レール」と言っています。枕木とレールが合わさって「線路」となるのですが)は、先輩の集めていた「部品」のひとつで、次のミッションはそれらの「部品」を集める作業となりました。で、まずは「先輩」が子供の頃に住んでいた家を訪ねるという設定で、次の目的駅を割り出す作業となります。これも「座って解くのがオススメ」でした。
 駅前のベンチに坐って、ストーリーブックの指示に従います。追加キットの中の「列車シール」がここで活躍しはじめます。いろんな小物のシールが用意されていますが、その中で七本の矢印のシールを、ルールに従って「手帳」に次々に貼ってゆくのでした。矢印の根元にハートマークをふたつに割ったような小さな印がついており、それを「手帳」で対になる印と合わせてハートを作ってゆくという作業です。矢の先のほうは宙に浮くので、それはページの裏に折り返して貼りこみます。シールが小さく、また粘着力があまり強くないので、けっこう神経を使う作業となりました。なんとなれば、「手帳」の紙よりも私の指のほうにくっついて場所がずれてしまったりするのでした。
 全部貼り終わってから、一旦「手帳」を解体します。つまりもとのA4判の紙に戻し、「手帳」の記載事項が書かれている面の裏側を見ます。
 すると、子供の描いた絵のようなイラストが描かれており、そこにいろいろと散らばっているひらがなのいくつかを、折りこまれた矢印シールが指し示していました。シールは虹の七色に相当する色になっていて、七色の順に指示された文字を読むと、「いちかわおおの」……次の目的駅は市川大野と判明したわけです。

 この項、続きます。


nice!(0)  コメント(2) 

nice! 0

コメント 2

phaos

そろそろ MIC 先生もスマホをお持ちになったらいかがですかね。
by phaos (2021-10-01 19:05) 

コンビニ作曲家MIC

#phaos先生
来年の春くらいには、何やら帯域が変わるとかで、いまのガラケーが使えなくなるそうなので、否応なくスマホ持ちにならざるを得ないかと(^_^;;
もともと、私は携帯電話を持つこと自体が遅かったんですよね~~……
by コンビニ作曲家MIC (2021-10-02 00:25) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。