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「蜃気楼列車と追憶のカケラ」リプレイ(2) [趣味]

 9月23日に参加してきた鉄道謎解きイベント「蜃気楼列車と追憶のカケラ」のリプレイです。
 両国駅から出発し、上野浜松町東京葛西臨海公園の各駅に立ち寄って謎を解き、次に訪れるべき駅は市川大野と判明しました。
 武蔵野線市川大野駅……そんな駅で下りたことはいちどもありません。鉄道謎解きをしていると、ときどきこういう、思いもかけない駅での下車となるので面白いのです。
 葛西臨海公園から市川大野へ向かうとすると、京葉線に走っている武蔵野線直通電車を使えば簡単ですが、そうでないとなかなか面倒くさいことになります。幸い、私たちが15時02分に乗り込んだ電車は武蔵野線直通でした。日中は20分に1本というところなので、運が良かったと言うべきでしょう。
 市川塩浜を過ぎて、二俣新町駅に近づくあたりで、電車は京葉線と別れ、西船橋への連絡線を渡りはじめます。南船橋からの連絡線と合流してしばらくすると西船橋駅に到着します。西船橋駅での停車時間は少し長めになっています。そこから2駅めが市川大野です。
 市川大野駅は、高台のふもとにある感じの駅前でした。狭い駅前広場ですが、いちおうタクシープールなどもあるようです。緑地もあちこちに見えて、郊外と田舎の中間というような印象を受けました。

 駅の構内に手がかりステッカーがあり、いくつかの記号が書かれています。これを「第3部・謎1」の解読盤に書き写します。
 この解読盤の下に、「暗号解読表」というのが書かれていて、それぞれの記号がどういう指示に相当するのか説明されています。例えば左向きの白抜き三角形(?)は「改札を出て左折」、右向きの黒い三角形([>])は「階段を下りて右へ」、ハートマークは「緑のある道を直進」などなど。この「解読表」は、このあともいくつかの駅で活用することになります。 その指示に従って道をたどると、武蔵野線のガードをくぐったのち、高台にある大野緑地に沿う小道をたどることになります。マークによる指示に引き続いて文章による指示が書かれていますが、「緑の階段」を見てから次の次の階段を上がる、とあります。高台に登るためにいくつか階段が設置されているわけですが、「次の階段」はすぐに見つかったものの、「次の次」はなかなか見当たらず、指示の解釈を間違えたかと疑ってしまったほどでした。それでもしばらく行くとようやく階段があり、そこを少し登ったあたりに手がかりステッカーがありました。そのあたりが「蜃気楼列車」に閉じ込められた「先輩」の「昔の家」のあった場所という設定だったようです。
 主人公はそこで、文字の消えかけたプレートを入手しました……という設定です。「先輩」に連絡すると、そのプレートには

  あきち
  ふもと
  ことば


 という3つの言葉が書かれていたと返信がありました。
 「先輩」の指示により駅に戻り、駅前のナチュラルローソンで買ったアイスキャンディを舐めながら、「第3部・謎2ステップ1」に取り組みます。四角い格子に何本かの折れ線が描かれた解読盤。折れ線には色がついており、青は「あきち」、緑は「ふもと」、紫は「ことば」という、先ほどのプレートに書かれた3つの単語を意味するとのこと。さてもうひとつ赤い折れ線があるのですが、これは何を意味するのか?……という問題でした。
 実はこの謎が今回の謎解きイベントでいちばん難しかったかもしれません。折れ線のドットの位置を格子の位置と較べ合わせると、どうしても格子が五十音表になるとしか思えません。「あ」はいちばん右上で、その左下に「き」があり、そのふたつ左に「ち」が来ます。「ふもと」もぴったりと五十音表の位置に置かれています。ところが、「ことば」が変な位置にあります。五十音表だとしたら、「ねには」という意味不明の言葉になるようなドットの位置なのです。
 とりあえず「ことば」の件は措いておき、五十音表として赤の折れ線を読んでみると……


 ──みすていくさ


 と、人を馬鹿にしたような言葉が出てきました。この方向では誤り(ミステイク)だというわけです。
 私が頭をひねっていると、マダムが早々とヒントに頼りはじめました。ヒントを使うとハンターポイントが削られるのですが、マダムは別にハンターポイントをためるつもりは無いのでした。
 残念ながら、マダムが開いたヒントサイトを、私もついあてにせざるを得ませんでした。ちょっと負けた気分です。
 格子は、五十音表ではなく、「手帳」のカレンダーページなのでした。「追加キット」の中に入っていたアイテムです。前項にも、東京駅のくだりで書いたとおり、カレンダーには日付ごとにひらがなや記号が書かれています。それを見ると、「あ」「き」「ち」「ふ」「も」「と」は五十音表と同じ位置にあり、「こ」「と」「ば」は確かに解読盤に書かれた位置にありました。うまく作ってあるなあと、若干悔しい気がします。
 さて赤線のドットの位置を辿ってみると、「つ」「だ」「ぬ」「ま」「え」「き」……次の目的駅は津田沼と判明しました。


 西船橋に戻り、総武線の各駅停車に乗り換えて津田沼へ。すでに最初の両国から数えて7駅目ですが、あと何駅に訪れることになるのか、いまだわかりません。何せ、第5部まであるうちの、まだ第3部なかばでしかないのです。時刻は16時27分、暑さはまだ厳しいものですが、秋の陽はそろそろ傾きかけてきました。
 津田沼駅の北口に出ると、解読盤に示されていた形のオブジェがありました。そのオブジェは特に関係が無く、オブジェの隣の立て札のところに手がかりステッカーが掲示されています。第三の部品「連結器」を入手したことになったようです。「先輩」に連絡すると、こんどは「第3部・謎3」の解読盤にある図形と同じようなものが示されました。あみだくじの形になっており、渡り線のところに空白の丸印と、線路の転轍機みたいな絵が描かれた解読盤だったのですが、その丸印のところに入るひらがなを「先輩」が教えてくれた形です。
 あみだくじのスタート地点には列車のアイコンが、ゴール地点には駅のアイコンがあり、列車を同じ色の駅に着くようにあみだくじの渡り線を「消す」のがここの問題でした。あみだくじの渡り線を「加える」という問題はよくありますが、「消す」というのは珍しい気がします。消すためには、シールを利用します。渡り線の無い、転轍機だけの絵になっていました。
 列車や駅のアイコンは、やや消えかけています。蜃気楼列車に乗っている「先輩」の記憶がだんだん消えつつあることを示しているようです。まったく消えてしまったアイコンもあり、若干頭を使わなければなりませんでした。
 しかしさほど難しいということもなく、「あみだな」という言葉が残ることがわかります。これが、「先輩」が次の車輛に移るためのキーワードになったらしいのでした。
 ところでこの解読盤の上にも、太字によるストーリーパートが掲げられていました。内容的に、明らかに探索中の主人公とは別人によるモノローグと判断できます。「先輩」のことと思われる「あなた」への想いを切々と綴っていますが、誰のモノローグなのでしょう?
 ここで、第4部の封緘を破ります。袋とじのページを見ると、唐突に、主人公が「先輩」の昔の家で見たことを思い出すシーンになっており、


 ──ともきくん 一緒に遠くへ旅しようね


 と幼い頃の「先輩」が家の向かいにあった「列車の研究所」の外壁に落書きした言葉を想起していました。主人公は、「先輩」に恋するあまり、「先輩」の筆跡なら間違いなく判別できるようになっていたそうです。それが幼い頃のものであれ……ってちょっと怖いですね。
 で、「ともきくんって、誰だよ!?」とイラつきます。去年の「放課後の手紙と消えた彼女」でも、主人公がちょっとヤキモチを焼くくだりがありました。「先輩」に訊いてみても、よく憶えていないとはぐらかされ、主人公のイラつきはつのるのでした。
 しかし、このあたりから、「手帳」の記載が徐々に消えはじめたそうです。主人公は急がなければならないと肝に銘じます。
 たぶん、太字のストーリーはこの「ともきくん」のモノローグではないかと想像できました。しかし「ともきくん」とは……?
 ここでちょっと場違いとも思われる謎。「飛行機まで続くシャボン玉を作り、シャボン玉の中を読もう」とあります。次の目的駅を割り出すために無理やり挿入したような問題で、はたしてストーリー的に意味があるのかどうかはよくわかりませんでした。
 しかし指示はわりに明確です。それは「手帳」の裏に描かれた童画風のイラストで、女の子がストローでシャボン玉を吹き、雲でできたような飛行機が飛んでいました。シャボン玉を飛行機まで届かせるには、「列車クリップ」を取り外したあとの透明シートを使います。シートの片隅に、飛行機のうしろ半分と思われる絵柄があり、その反対側には女の子のくわえているストローにつながりそうな絵柄があり、シャボン玉らしき円形もいくつも描かれていました。
 透明シートの飛行機とストローを、童画のそれに合わせると、途中のシャボン玉のところに文字が入りました。「れっしゃいれて」と読み取れます。
 取り外した列車クリップを、もういちどシートの中に戻してみると、こんどは列車の窓のところに文字が入るのがわかりました。
 「そがえき」とあります。目的駅は蘇我です。
 最初の頃は山手線周辺でうろうろしているなあと思っていましたが、だいぶ離れたところまで来ました。


 津田沼から蘇我なら、内房線外房線への直通快速に乗れば乗り換え無しなのですが、次の電車は成田空港行きでした。その次に内房線の君津行きが来ますが、少々間隔が空いているようです。成田空港行きに乗って、千葉で下りれば、君津行きより早い外房線の電車などに乗り継げるのではないかと思われました。
 ところがマダムがスマホの乗換案内をチェックしたところ、そんな乗り継ぎは出ないと言います。成田空港行き快速より前に出る各駅停車なら外房線の電車に乗り換えられるらしいのですが、成田空港行きからは後続の君津行きにしか乗り継げない様子です。総武線では快速と各停が別のプラットフォームなので、各停に乗るのならば階段を昇り降りしなければなりませんが、たぶんもうそんな時間は無さそうでした。
 しかし、時間を勘案してみると、そんなばかなことは無さそうに思えます。外房線電車が、快速をあえて待たずに出てしまうダイヤにする理由がわかりません。各停と快速の千葉までの所要時間の差を考えれば、外房線への乗り換えは、タイトではあるでしょうが可能であるはずです。
 千葉駅は先のほうがばらけた形になっているので、乗り換え口はうしろ(西千葉寄り)のほうにあります。なるべく後方の車輛に乗るためにプラットフォームを歩きました。
 千葉駅ではちょうど階段のところに停車し、わりと余裕を持って外房線の安房鴨川行きに乗り換えられました。乗り継ぎ時間は4分でした。この時間だと、もし千葉駅の構造を知らずに前のほうに乗っていたりしたら、もしかすると間に合わなかったかもしれません。乗換案内はその辺を考えて、あえて乗り継ぎができるとは示さなかったのでしょうか。
 蘇我には17時25分着。もうだいぶ夕闇が迫ってきています。
 蘇我駅からの行動は、市川大野駅で使った記号により示されています。ただしこのたびは記号そのものもパズルで割り出さなければなりません(第4部・謎1)。迷路というか、直線にしか進めず壁にぶつかったら方向転換できるというパズルで、「パズル通信ニコリ」にこんなパズルが載っていたような気もするのですが、名称は忘れました。スタートは盤面の中央にあり、三方向に白抜き三角形が示されています。白抜き三角形は「改札を出てどちらへ向かうか」という意味で、謎1の解読盤には、すでに「まずは?の方向に進め」という指示がありました。迷路盤上で右方向に進み出口までのルートをたどると、ハートマーク、左向き黒三角形、二重丸、ふたたびハートマークという記号が拾えました。これ、壁にぶつかったときに右へ曲がるか左へ曲がるかによって結果が違ってくるはずなのですが、添えられたルールには、


 ──壁にぶつかったら、必ず  に曲がる。


 とあり、その空白のちょっとずらしたところに「左?」と書いてありました。たぶんこれは、「先輩」の書いたルールが消えかけていて、主人公が補ったという設定と思われます。「?」があるので気になって、一旦左曲がりで答えを出したあと、念のために右曲がりでもやってみましたが、答えはなんとまったく同じ記号の並びになったので感心しました。
 暗号解読表に従って道をたどります。このあたりになると、マダムはほとんど解読をあきらめ、私のあとについてくるだけになっていました。
 指示どおりにあるくと、今井神社に着きました。神社の境内にある街灯に手がかりステッカーがあります。「先輩」の集めた部品のひとつ、「継目」が見つかったのでした。レールをつなぐときに使う部品です。またそれを「先輩」に報告すると、こんどは「第4部・謎2」の解読盤と同じような「メモ書き」が示されました。「〇〇わ〇  〇〇  〇〇  〇〇〇  〇う〇〇  〇ろ  さ〇」と、文字と丸印が並ぶ解読盤でしたが、「先輩」の情報で、丸印の中に入る「数字」が判明します。


 ──③⑤わ⑧  ⑧①  ①②  ②④⑥  ⑥う⑦⑥  ⑥ろ  さ④


 その下に、いくつかの矢印。それからインクの染みの一部のような絵。
 私はすぐに解きかたの見当がつきましたが、マダムが休憩したがったので、駅前のファーストキッチンに入って飲み物を注文しました。
 これは「手帳」にあったイラストしりとりらしきものに対応しているはずです。最初のひまわりと最後のクロワッサンは明らかで、クロワッサンの絵には「いや、それだめじゃん!」と字が添えられていました。「ん」で終わってしまったからでしょう。解読盤のほうで「くろわっさん」から「わっ」の文字が抜けているのは、「手帳」の記載がだんだんと消えてゆきつつあるというストーリーパートに従ったものと思われます。
 そうすると、この解読盤は、すでに「手帳」に描かれていたイラストもほとんど消えてしまった状態と見て良さそうです。ちょっとだけ痕跡が残っているのがインクの染みだけなのでした。
 それはともかく、これで3、4、5、6、8の数字に対応する文字がすでに判明したわけです。


 ──××ひんまく×り。


 これはもう、海浜幕張駅を示しているのはどう見ても明らかなのですが、念のためほかの数字も確認します。
 「手帳」のほうに三角フラスコやビーカーが描かれているのは、「理科」ということでしょう。次の絵がそれまでなんだかわからなかったのですが、どうやら「貝」らしい。そして「インク」、次は何も書かれていませんが、「空白」ということでしょう。
 まぎれもなく、1は「か」、2は「い」、7は「は」となって一件落着です。


 蘇我発18時17分。京葉線の各駅停車で海浜幕張に向かいます。秋分の日はもうとっぷりと暮れなずんでいます。18時半くらいには終えられるだろうかと考えていましたが、ちょっと無理であるようです。海浜幕張駅に着いたのが18時30分ちょうどでした。
 ここからまた街歩きとなります。またさっきの迷路盤、そして暗号解読表を使うことになります。こんどは指示文のところに「ま  : ?」とありました。記載の消失がだいぶ進んできているようです。しかし「謎1」と同じ形式なので、これは「まずは?の方向に進め」と書かれていたものと考えられます。
 迷路盤で左に進み、まず壁で左に曲がるようにすると、あるところでループしてしまい先へ進めなくなりました。右に曲がれば無事に迷路を抜けられます。拾った記号はさっきよりも数が多く、指示が複雑になっていましたが、10分ほど歩くと海浜幕張公園の北の広場に到達しました。そこの日時計の「5」の先にある木に手がかりステッカーがあるらしいのですが、日時計には「5」の数字はありませんでした。「4」と「6」のあいだの目盛りの先を探します。
 問題の木のところには先客が居ました。やはり、まだ謎解きを続けているプレイヤーは居たようです。ふと見ると、広場のベンチに坐っている人の大半がプレイヤーであるようでした。もうすっかり暗くなって、文字も読めないくらいですが、スマホのライトなどを使ってストーリーブックを読んでいる模様です。
 先客は、親切にも手がかりステッカーにライトを当ててくれました。「先輩」の残した部品のうち、「車止め」を発見したことになります。これでアイテムはすべて揃いました。
 訪れる駅は、海浜幕張が最後でした。ここで第5部の封緘を破ることを許可されますが、第5部自体は現地探索を必要とせず、帰宅してからでも解けるとのこと。つまり謎解きの旅はここで終わりということになります。最初の両国から数えると9駅に訪れました。あとで全部SUICAで運賃を支払っていたらいくらになるか確認したら、1645円という数字が出ました。はじめに攻略者のブログで見た1802円とはなんだったのだろうかと首を傾げましたが、差額は157円、そこでふと気がつきました。1804円というのは、東京駅で改札を出たとして計算した結果なのです。実際には東京駅では改札を出なくても良いので、そこでSUICAから運賃を引かれることは無く、葛西臨海公園では浜松町からの運賃を引かれることになります。実は東京~葛西臨海公園と浜松町~葛西臨海公園は同額(220円)で、東京で改札を出た場合、浜松町~東京の157円が別にかかるわけです。
 私らは東京駅で下車していますので、1804円のほうで計算しなければなりません。プラス、川口~両国の308円を加えて2112円。休日お出かけパスの元を取るには、あと608円分乗らなければなりません。海浜幕張から川口までダイレクトに帰ると670円ですから、なんとか採算ラインを超えてくれます。
 しかし、私たちはいちど下りて、夕食をとることにしました。マダムのお奨めで、新浦安で下りることにします。この途中下車により、帰途の合計運賃は809円となり、いちおう充分元を取った気分になりました。
 新浦安駅にもはじめて下車しましたが、ずいぶん殷賑な街並みになっていました。駅近くのイオンスタイルの中のフードコートで食事しましたが、20時閉店とのことでだいぶあわただしい雰囲気でした。
 武蔵野線直通電車を狙って乗り、のんびりと大回りして帰ってきました。いい加減くたびれていて、東京駅の京葉線からの長い乗換通路を歩くのも気疎かったのです。電車はネズミの国帰りと思われる乗客でけっこう混んでいましたが、どんどん下りてゆき、新松戸から先はガラ空きと言って良い状態でした。
 帰宅したのは9時45分ほど、ちょうど12時間ばかり遊んできたことになります。


 さて、謎解きはまだ終了していないのでした。第5部が残っています。
 第5部は、去年の「放課後の手紙」と同様、情報整理というか、いわば推理パートとなっていました。いままで出てきた言葉を、ブランクの多い文中にあてはめてゆきます。
 ストーリーパートの太字の文章は、海浜幕張での探索前のところにまた出てきていましたが、これはもう「列車」自身の呟きであることが明らかな内容でした。かつて「先輩」の家の向かいにあった列車研究所で試作され、そのまま実用化せずに廃棄された列車が「蜃気楼列車」であり、そして「ともきくん」なのでした。ともきくんの名は、プレートに書かれていた「あち」「ふと」「こば」の3つの単語から、幼い頃の「先輩」がそれぞれの単語の真ん中の文字をとって、試作列車のあだ名としてつけたものだったのです。列車は廃棄されましたが、「先輩」との交流で魂を持った試作列車は、蜃気楼列車としてときどき人目に触れながら、「一緒に遠くへ旅しようね」という約束を果たすために「先輩」を探していたのでした。それでついに「先輩」と巡り合い、彼女を乗せて幻想の旅に出てしまったというわけでした。
 「先輩」を奪回するために主人公のなすべきことは、ほぼストーリーブックに示されています。「手帳」の裏の童画に線路のシールを貼って、その上に、列車クリップをシールで連結させた「列車」が走るようにします。「列車」がもと居た場所、つまり研究所の向かいにあった「先輩」の旧家と思われる家の絵のところにプレートのシールを貼り、さらにシャボン玉を吹いている女の子の絵のところに車止めのシールを貼ります。そうすると、車止めより先に列車は進めませんので、列車を停車させることができる……という、かなり強引な展開となりました。
 停車した列車の窓に映っている文字を読むと、「ぶれーき」という言葉が出てきました。
 この「ぶれーき」を、解答サイトに入力送信します。ここではもう、LINEによる通信を装うことをやめてしまっています。従って、私のパソコンからでも入力送信ができることになります。
 すると、「違います」とはなりませんでしたが、すっきりとエンディングには到達しませんでした。「先輩」と主人公のボケ&ツッコミみたいなやりとりがあって、「もういちど考えてみよう」と投げ返されました。
 やりとりの中で、「先輩」は、列車が走ったあとに、空が裂けているというようなことを言っていました。動画の空の部分には裂け目があります。これは「手帳」を組み立てるための切れ込みなのですが、その裂け目に合わせてもういちどクリップ製の「列車」を走らせると、こんどは「やくそく」という文字が窓に入りました。これこそトゥルーエンドというものでしょう。
 もういちど入力送信してみると、やっとエンディングになりました。「先輩」は無事帰ってきて、列車から下りてきます。列車は「先輩」を下ろすと、約束を果たして満足したのかどこかへ消えてゆきました。主人公はエンディング間際のどさくさまぎれに「先輩」に告白していたのですが、その結果かどうか、「若干距離が縮まっていた」というところで幕切れです。
 なお、ハンターズポイントを貰うために、最後の「やくそく」というキーワードをハンターズ・ヴィレッジのサイトに送ったのですが、「違います」と表示されました。どうしたものか、もしかして「おまけ」としてつけられていた最後のLINEを送信するとさらに別のキーワードが出てくるのかと思い、マダムに試してもらいましたが、特にキーワードらしきものは見当たりません。いろいろ確かめるうち、キットに同梱されていた「発見報告用ID」というものでログインしないといけなかったことに気がつきました。私は登録名である「ハンターズネーム」でずっと送ろうとしていたのでした。答えが違っているのではなく、IDが違っていたわけです。「IDが違います」とでも表示してくれれば良いものを。
 謎解き自体は、市川大野の折れ線問題以外はさほど大変ではなく、やや食い足りない程度の難易度でしたが、ボリュームは充分にあったと思います。ストーリーも、多少強引な展開はあったものの、よく練られていて愉しめました。ただ交通費の予測がつかないというのはやはり不安です。先人のブログを参照してなお、休日おでかけパスが元を取れるかどうか迷うというあたりの範囲設定が、なんとも微妙でした。JRを舞台にすると、どうしても範囲設定でなかなか苦労するということもあるのかもしれません。


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