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品川区散歩と東急乗り潰し [日録]

 「しながわde宝探し」というイベントがあったので参加してきました。鉄道謎解きではなく、街歩き謎解きという感じのイベントで、去年の終わりごろにやった日野市の街歩きや、正月にやった日暮里の街歩きと同傾向のものです。
 タカラッシュ!社のホームページで見つけたのですが、web上ではそれほど詳しい情報が出ていませんでした。冊子は現地に行って入手するようにとのことです。
 現地と言われてもよくわかりません。どうも、品川区内にある4箇所ほどの商店街に訪れて手がかりを探すということであるようです。それらの商店街に行けば冊子も配布されているようですが、まったく馴染みの無い商店街なので途方に暮れます。
 配布場所の最後のところに、「品川区内の東急の駅」というのがありました。まずはここからはじめたいと思います。JRの駅では配っていないのか、と意外に感じました。
 東急は品川区内にいくつも駅を持っていますが、私の家からいちばん行きやすいのは大井町駅でしょう。京浜東北線で乗り換え無しで行けます。大井町は品川区役所の最寄り駅でもあります。前にも書きましたが、品川駅というのは実は品川区ではなく港区にあります。品川区の中心と言うべきは大井町駅なのでした。
 朝のうち、ちょっとした買い物などの用事があったので、それらを済ませ、10時28分の京浜東北線電車に乗りました。この時間帯ならすでに快速運転タイムに入っており、40分ほどで大井町まで行けます。まあ、乗っているあいだの大半は寝ていたので、各駅停車でも快速運転でもあんまり違いは無かったのですが。
 大井町駅の北口を出ると、真向かいに東急大井町線の改札口があります。チラシなどを置いてあるラックを見てみたのですが、「しながわde宝探し」の冊子は見当たりませんでした。おやおやと思います。
 大井町に無いとなると、どの駅に行けば入手できるでしょうか。実は鉄道謎解きと違って、行くべき場所についてはパズルにはなっておらず、明々白々と指定されています。スマホで確認すると、「武蔵小山」「西小山」「戸越銀座」そして「荏原中延」のそれぞれ商店街が舞台になっている模様です。このうち、武蔵小山と西小山は目黒線、戸越銀座と荏原中延は池上線の駅です。大井町線にはありません。
 大井町線と目黒線は大岡山で、大井町線と池上線は旗の台で交差しています。しばし考えたのち、旗の台という駅で乗り換えをしたことが無いので、まずは池上線に乗ることにしました。
 溝の口行きの各停電車に乗ります。大井町線は大井町~二子玉川の路線ですが、ほとんどの電車が田園都市線に乗り入れて溝の口まで走ります。日中の急行は中央林間まで行くのでした。面白いのは、乗り入れた電車は各駅停車であっても二子新地・高津の両駅を通過することが多いという点です。ここを通過運転することで、例えば田園都市線の上り電車から大井町線に乗り換える場合に、二子玉川ではなくその手前の溝の口で乗り換えるモチベーションを喚起し、二子玉川駅の混雑を軽減するという目的によるのかもしれません。
 まずは最初のところだけちぎって、旗の台で下ります。ここで緩急接続ができるようになっています。
 エスカレーターを下りて池上線のプラットフォームへ行きます。わりと最近改築したのか、真新しい木組みの壁や屋根になっていました。いくぶん、隈研吾氏の建築を思わせるようでもあります。
 プラットフォームが3輌分の長さしか無いので驚きました。都内の鉄道路線で、3輌固定というのはいちばん少ないほうでしょう。都電荒川線が単行、東急世田谷線が2輌編成ですが、どちらも半ば路面電車です。
 次の荏原中延は地下駅で、3輌ばかりの電車が地下駅に停まるのが、なんだか奇妙な光景に思えました。

 さて、荏原中延で下りても良かったわけですが、私はなんとなく勘が働いたようで、もうひとつ先の戸越銀座まで行って電車を下りました。ここも真新しい木張りの駅でした。池上線といえば東急でも近代化に取り残されたようなイメージがありましたが、最近になっていろいろリニューアルを進めているようです。とはいえ、相対式のプラットフォームにそれぞれ改札口がついていて、構内では上下線を行き来できないなど、昔ながらの私鉄駅らしい構造も残っています。
 この駅にはさすがに冊子が置いてありました。ようやくイベントの全貌がはっきりしたわけです。
 武蔵小山・西小山・戸越銀座のそれぞれの商店街で、冊子に示された謎を解いて、おなじみ手がかりステッカーのある場所を割り出します。その手がかりステッカーを3つ発見して、書かれていることを冊子の該当箇所に転記すると、最後の荏原中延の商店街で解くべき謎のカギになる……という構成なのでした。つまり、荏原中延へは他の3つの商店街を訪ねたあとでないと赴けないことになります。なんとなく勘が働いて、荏原中延で下車しなかったのは、正しい判断だったというわけです。
 先ほど、東急線ワンデーパスという切符を購入していましたので、いちいち電車を使って移動しても良かったのですが、問題になっている4駅はいずれも2キロ圏内くらいに集まっています。ことに、戸越銀座の商店街の末端から武蔵小山の商店街の末端まではごく近く、歩いても大したことはありません。私は一箇所だけ電車を使いましたが、あとは最終キーワードを得るまで全部歩きました。
 謎解きイベントなので、謎そのものについては詳述できませんが、難易度はほど良かったと言っておきましょう。日野市のイベントなどは、ほとんど考えるまでも無かった感じで、ただただ歩く距離が長かっただけというような印象でしたが、今回のは移動の手間と謎の難易度のバランスがちょうど良かったように思います。
 戸越銀座、武蔵小山、西小山の順にまわりました。戸越銀座の商店街はアーケードがありませんが、そこそこ賑わっています。武蔵小山のは相当に長いアーケードになっていました。西小山のはそれに較べるとかなりコンパクトで、やはり急行停車駅と通過駅の差というものかもしれません。
 武蔵小山で手がかりを集め終わった時点で、駅に近かったので、西小山に行く1区間だけ電車に乗ったのでした。ところが、その手がかりから謎を解いて手がかりステッカーを見つける過程を忘れていて(というか、この時点ではまだ謎解きの構成をはっきり認識していなかったため)、西小山での用が済んでからもういちど武蔵小山の商店街まで歩いて戻ったのです。それで少し余分な時間がかかりましたが、荏原中延まで歩くためには、案外大差無かったようです。
 荏原中延の商店街は駅の南側に連なっており、アーケードを抜けると眼の前に大井町線の中延駅が見えました。とにかくこのあたりの東急の路線は、かなり密集して、もつれ合うような配置になっているようです。
 最後の謎では若干手間取りましたが、最終的に謎解きが終わったのは13時半ごろでした。戸越銀座で冊子を貰ったのが11時半くらいでしたので、だいたい2時間で解き終えたわけです。まあまあ、良いペースだったのではないかと思います。歩数計を見ると、7キロくらい歩いたことになったようです。
 しかし、これで帰るのは少々物足りない気がします。それに、せっかく買った東急線ワンデーパスの元が全然とれていません。
 それでこのあとは、久しぶりに東急の路線を乗り潰してみようと思いつきました。

 さしあたっては、昼食がまだで、いささか空腹を覚えても居たので、再び戸越銀座まで歩き、駅前の松屋で牛めしを食べました。
 それから池上線に再度乗り込みます。戸越銀座は起点の五反田から数えて3つめの駅で、いっそいちど五反田まで行ってみようかとも思ったのですが、過去に踏破はしているのでそれはやめ、反対側の蒲田へと向かいました。
 住宅地の中をことことと走って、20分ばかりで蒲田に到着します。蒲田のふたつ手前に、路線名と同じ池上という駅がありますが、特に主要駅という感じではありません。
 東急の蒲田駅は、池上線と東急多摩川線の共用駅なのですが、どちらも東急の中ではいわばローカル線みたいな立場であるにもかかわらず、かつての東横線渋谷駅と同じく5面4線を有する堂々たるターミナル駅となっています。現在は池上線と東急多摩川線とは車輛共有をおこなっていて、どちらも3輌固定編成です。堂々たるターミナル駅から出て行くのが3輌編成のローカル線というあたりに、妙な可笑しみがあります。
 まあ、目蒲電鉄(現在の目黒線と東急多摩川線)が池上電鉄(現在の池上線)を吸収合併したのが東急の濫觴で、その2線が共用していたターミナルが蒲田だったわけなので、現在の東急もこの駅を大切にしているということなのかもしれません。
 東急多摩川線の電車に乗り換えて、多摩川へ向かいます。これもだいたい住宅地の中を走ります。下丸子あたりまでは環八通りに沿うように敷かれており、池上線と数百メートルしか離れずにほぼ並走しています。環八から離れて多摩川沿いに出たと思うと、間もなく終点の多摩川です。昔は近くに小さな遊園地があって、多摩川園という駅名でした。目蒲線と言っていた頃は、ここから田園調布まで東横線と並走し、それから目黒へ向かっていたわけですが、いまは完全に分離しました。東急多摩川線の多摩川駅が地下駅になっていたとはまったく知りませんでした。一方東横線と目黒線の多摩川駅は高架ですので、もはや蒲田方面から目黒方面に直通することは、物理的にも不可能になっているのでした。
 高架プラットフォームに上がり、目黒線の電車に乗ります。3駅乗って大岡山で下りました。
 子供の頃、従弟たちが大岡山に住んでいたので、この駅はよく乗り降りしていたのですが、その時分は地上駅で、目蒲線と大井町線(当時は田園都市線)の複線同士が並んでいる形でした。現在は地下駅となり、配線も変わって、外側が目黒線、内側が大井町線の2面4線となりました。ワンデーパスもあることだし、いちど改札の外へ出てみたのですが、昔の面影は全く無く、かつての従弟の家がどっち側にあるのかすらわからなくなっていました。
 大岡山からは、急行の中央林間行きに乗りました。自由が丘から二子玉川までの4駅通過は、東急の急行電車としては東横線の菊名横浜と並んでいちばん通過駅が多いところです。
 東横線には乗る機会が多いので、今日は東急のもうひとつの幹線である田園都市線の奥のほうまで行ってみようと考えたのでした。
 多摩川を渡って神奈川県に入ります。車窓を見ようとしましたが、どうも眠気が襲ってきて、気がつくと次の駅に着いていたりします。まあずっと住宅地ではあるのですが、だんだんと丘陵地帯に近づきつつあるのが感じられました。
 そのまま中央林間まで行ってしまおうと思ったのですが、ふと思い立って長津田で下りました。長津田からはこどもの国線が出ています。わずか2区間の支線ですが、それこそこんなときでもないとまず乗る機会がありません。まだ陽は暮れないようだし、これに乗ってこようと思ったのでした。

 こどもの国線の乗り場とのあいだには改札がありました。一瞬、西新井駅の大師線乗り換え口のように、ここでこどもの国線内の運賃を精算してしまうのかと思いましたが、そういうわけではないようです。どうしてかと考えるうち、こどもの国線は横浜高速鉄道に移管されていたことを思い出しました。東横線から直通しているみなとみらい線を保有しているのと同じ企業体です。なるほど、それで中間改札を設けたのかと得心しました。
 とはいえ、東横線とみなとみらい線のほうは、運行が完全に一体化していて、もちろん中間改札などありません。こどもの国線のほうは、逆に運行が完全に独立していて、田園都市線から電車が直通するようなことが無いのでこのようにしてあるのでしょう。
 東急ワンデーパスは、管轄の違うこどもの国線にも乗れるようでした。あとで調べたら、なんとみなとみらい線には乗れないそうです。東急と横浜高速鉄道の関係はややこしいのでした。
 こどもの国線は、西武山口線のように路線形態そのものが他の路線と異なるということはなく、普通の鉄道線です。電車は「ひつじでんしゃ」とか「うしでんしゃ」と言った子供向けのラッピングはされていますが、実際にはやはり普通の18メートル車です。別に観光用というわけではないようで、発車時刻が近づくと、普通の高校生や勤め人などがプラットフォームにひしめきました。
 長津田駅を出ると、ほぼ直角に方向を変え、北へ向かいます。ここのカーブは相当に急であるらしく、電車は慎重にソロソロと進みます。ずっとゆっくり行くのかと思ったら、カーブが終わるとこれまた普通にスピードを上げました。なお、この路線は東急(横浜高速を含む)では唯一の単線となっています。
 一編成が行ったり来たりするだけのダイヤにするには少々距離が長いようで、途中に恩田という、行き違いのできる駅が設けられています。昔は恩田駅は無かったと思いますが、それでもそのあたりに信号所でもあったかもしれません。
 7分ほどかけて到着した終点のこどもの国駅は、これまた東急唯一の片面駅でした。世田谷線の三軒茶屋駅は単線駅ではありますが、両側にプラットフォームがあるので片面駅ではありません。
 少しその辺を散歩してみようかとも思いましたが、さほど面白くもなさそうなので、折り返しの便ですぐに戻ります。

 長津田駅に戻り、田園都市線の終点である中央林間に向かいました。こんどは各停でしたが、長津田~中央林間のあいだだけを走る区間列車でした。東武の車輛だったので、

 ──へ~、このあたりを走るだけの区間列車に東武車を宛てるんだ。

 と驚きましたが、なんのことはなく、中央林間に着いたら急行押上行きとして折り返すことになっていたのでした。区間列車は、いわば間合い運用であったわけです。
 長津田~中央林間のあいだでの唯一の急行停車駅である南町田は、いつのまにか南町田グランベリーパークという長い駅名になっていました。さっき乗った急行の車内アナウンスでそう言っていたので気がついては居たのですが、「グランベリーパーク」というのは副駅名のようなもので、例えばカッコ付きで記されているものとばかり思っていました。しかし、2019年から「南町田グランベリーパーク」というのが正式名称になっていたそうです。駅近くにもともとグランベリーモールというショッピングモールがあり、それが周辺を巻き込んで整備されグランベリーパークと改称したのを機に、駅名にもその名前を導入したとか。
 南町田グランベリーパークのほか、この区間にはつくし野すずかけ台つきみ野という、いかにも新興住宅地っぽい名前の駅が並んでいます。ところで、車内アナウンスのボーカロイドが、どの駅の前でも「つくし野」としか言っていないのに気がつきました。英語音声でも同様です。設定がおかしいのか故障しているのか。つきみ野の前でようやく車掌が気づいたらしく、
 「失礼いたしました。次はつきみ野です」
 と言っていました。こんなこともあるのですね。

 中央林間に用事があるわけでもないので、すぐに戻ろうと思います。陽もそろそろ傾いてきました。
 さっき乗ってきた、大井町線直通の急行に乗り、大岡山でまた目黒線に乗り継げば、そのままメトロ南北線で家の近くの王子まで帰れる、と思ったのですが、すぐに出るらしき各停電車は押上行き。次に出るのはいま乗ってきた区間列車の折り返しの急行押上行き。さらに次は準急押上行きだそうで、全部押上行きです。大井町行きは無いのかと思い、一旦改札を出て発車時刻表を確認すると、大井町線直通急行は15時台までしか運転していないことがわかりました。日中だけの乗り入れ運転だったのです。
 仕方が無いのでプラットフォームに戻り、まだそこに居た折り返し急行に乗りました。溝の口で大井町行き各停電車に乗り換え、さらに大岡山で目黒線に乗り換えました。
 さっき1区間だけ乗った西小山~武蔵小山を再び通って、目黒へ。

 そのまま乗っていれば王子まで行けたのですが、ふと、改札での精算が面倒くさいのではないかと思いました。東急ワンデーパスが自動精算機に対応しているかどうかわかりません。窓口で目黒からと言えば良いようなものですが、東急とメトロとは、渋谷でも東横線と副都心線、田園都市線と半蔵門線が直通していますし、中目黒日比谷線にも改札無しで乗り換えられます。どこで乗り入れたかをこちらが証明する必要は無いでしょうが、窓口の処理に手間取るのではないでしょうか。
 そんなことを思ったので、目黒で一旦下車し、改札を出ました。そしてSUICAで入り直します。ちょうど尿意を覚えてもおり、王子までの約40分を我慢する自信が無かったので、ついでにトイレも済ませました。
 これでいちおう、ワンデーパスの元も取れたと思います。なお東急には、電車の他バス路線にも乗れる一日券があるようで、使い道によってはなかなか面白い一日を過ごせそうです。また考えてみたいと思います。
 いままで触れませんでしたが、大井町線の各停、池上線、東急多摩川線の電車には、車輛の端だけですがボックスシートが設置されています。全部優先席となっているので、坐るのに若干気後れしますが、すいているときならボックスシートに陣取り、ちょっとした旅行気分も味わえました。
 謎解きイベントからの東急乗り潰し、なかなか楽しい一日でした。

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