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謎解きトレインと川越市散歩 [日録]

 コロナ禍のせいで、今シーズンは「地下謎への招待状」はもちろん、鉄道探偵シリーズも実施されていません。それで、そうしたいわゆる長篇というべきイベントではなく、短篇みたいなのをいろいろやっています。去年の12月にプレイした日野市街歩きイベント「土方歳三の宝」や、1月3日にやった日暮里街歩きイベント「猫と不思議なたからもの」19日にプレイした品川区街歩きイベント「しながわde宝探し」など、いずれも解き味はライトで、せいぜい2時間かそこらでクリアできる謎解きイベントでした。途中ではほとんど電車に乗らず、おおむね歩いてまわってエンディングに辿り着く感じですから、まさに短篇ですね。
 地下謎にしろ鉄道探偵にしろ、丸一日空けて、気合いを入れて取り組む必要がありますが、これら短篇の場合は半日くらい空ければ良く、ほかの用事とつなげるということも可能です。「猫と不思議なたからもの」は下谷七福神めぐりを済ませたのちにプレイしました。「土方歳三の宝」と「しながわde宝探し」では、用事というほどではありませんが、路線バス乗り継ぎとか東急乗り潰しとかにつなげたわけです。
 しかし、謎解きイベント同士をつなげておこなうというほどのことは、まだやったことがありません。そううまく組み合わせられるイベントが無かったということもあります。
 そんな中、東武東上線でまた謎解きイベントをやるらしい情報をつかみました。去年の夏にNAZO×NAZO劇団制作の「幽霊切符であいにいこう」というのをやっていて、イベント期間ぎりぎりにプレイして来ましたが、今回は特に謎解きの制作会社の名前が出ていません。もしかしたら東武の社内で制作したイベントかもしれません。
 今回のイベントは「謎解きトレイン・6つの謎と切符の秘密」というタイトルです。イベントサイトを見てみると、そのサイトにすでに6つの謎が示されています。そこまでは出かけなくとも解けるわけでした。6つの謎はすべて答えが駅名になるようです。なんとなれば、それぞれの謎の下に、答えとなる駅の構内図が記載されているのです。その構内図で指示された場所へ行くと二次元コードがあり、その二次元コードを全部読み込むと東武のポイントが入手できるという仕掛けらしいいのでした。
 予想される所要時間は4時間ほど、と書かれていましたが、どう考えてもそんなにはかからなさそうです。二次元コードを読み込んだところで別の謎が提示され、ほかの場所に行かされる……というのであれば時間を要しそうですが、どうもそういうわけでもないようです。
 すると、このイベントはわりと簡単に済ませてしまえそうですので、また何かと連結できれば良いな、と思いました。
 と、タカラッシュ!社のイベントで、「川越浪漫財宝譚」というのを見つけました。川越に市制が敷かれて今年で100周年なのだそうで、その記念イベントということかもしれません。こちらは鉄道謎解きではなく、川越市内を歩いて手がかりを集め、謎を解く(というか、宝を発見する)という、「土方歳三」や「しながわ」のタイプです。
 しかも、このイベントは3つの独立した宝探しより成っています。イベントサイトに堂々と書いてありますので、ネタバレにはならないと判断しますが、「新河岸」「伊佐沼」「霞ヶ関」の3つのコースがあり、例のハンターズポイントも別々に貰えることになっています。つまり、すべてを当日中に済ませなくとも、それほどフラストレーションがたまるわけではなさそうです。
 ということは、まず「謎解きトレイン」をクリアしたのち、東上線の途中駅である川越へ行って「川越浪漫財宝譚」のキットを買い求め、あと時間の許す限りそちらをプレイするという方針で、一日を潰せそうです。

 朝のうちに食糧品の買い物などを済ませ、10時くらいに家を出ました。
 埼京線が遅れているようでしたが、湘南新宿ラインの南行は平常運転だったので、そちらに乗ります。もっとも、大塚駅のあたりで急ブレーキがかかり、吊り革につかまっていた私は一回転しそうになりました。どうもあちこちで不都合が起こっているようです。
 池袋から東上線の電車に乗ったのは10時54分でした。11時に川越特急が出るので、乗ってみたいと思ったのですが、残念ながら導き出された駅名のほとんどが特急停車駅ではありません。
 まだ会期中の謎解きイベントなので、どの駅で下車したかを記すわけにはゆきませんが、いくつかの駅は、添えられている構内図でだいたい見当がつくかもしれません。
 問題の二次元コードは、たいてい改札を出てすぐのところに掲示されていました。東武のポイントのイベントサイトを見ると、それぞれの駅の二次元コードの写真が表示されています。券売機の近くであったり、発車時刻表の傍らであったり、いろいろでしたが、構内図と写真を合わせれば、ほぼ間違いようの無い状態でした。
 二次元コードをスマホで読み込むと、その写真が、切符の形に変わります。あらたな謎が提示されるわけではありませんでした。6箇所で切符の形を入手すればクリアです。
 謎解き要素は、駅名割り出しだけと言って良さそうです。それもそんなにヒネリは無く、ごくシンプルな謎解きでした。
 6つの駅で二次元コードを読み込み終わったら、まだ12時を少し過ぎたくらいでした。4時間どころか、1時間ちょっとで済んでしまったのでした。いささか拍子抜けです。

 さて、川越駅の案内所で、「川越浪漫財宝譚」のキットを購入します。1500円もするので驚きましたが、レジャーシートみたいな大きな布が同梱されていたので、まあそのくらいするかもしれないと納得しました。そのレジャーシートはどうやら、川越観光をテーマにしたすごろくのようになっている様子です。
 「新河岸」「伊佐沼」「霞ヶ関」のコースごとに、冊子が分かれています。冊子と言ってもA4判の紙をふたつ折りにしただけですが、いずれもノートみたいな表紙があり、裏表紙には附近のマップが印刷され、中には3~4つの問題が記されています。それらの問題は、マップに表示されているさまざまな観光スポットのいずれかを割り出すようになっていました。割り出したスポットへ行くと、おなじみの手がかりステッカーがあり、そこに書かれている指示を集めることになります。すると最終的に「宝」のある場所がわかるというわけでした。
 3つのコースのうちどれから着手しようかと迷いましたが、「伊佐沼」というのは起点となる駅が南古谷、東上線ではなく川越線の駅です。川越線は埼京線と直通運転をしているものの、東上線沿線に較べるとちょっと行きづらいような気がします。それで、まずはこれを先に済ませてしまおうと考えました。
 JRの改札を通り、大宮行きの電車に乗ります。本来は新木場行きだったりするのですが、朝の埼京線のトラブルがまだ片づいていなかったようで、大宮止まりになっていたのでした。そういえば、川越からは埼京線・りんかい線まわりでも、東上線・有楽町線まわりでも新木場に直行できることに今さら気がつきました。
 南古谷という駅にははじめて下りましたが、相対式プラットフォームの片方にしか出入り口が無いという、ひと昔まえのローカル駅という感じの駅です。しかもこれから歩いてゆく伊佐沼方面は北側なのに、駅の出入り口は南側にしか無いのでした。駐輪場の中を抜けて、踏切のある道路に出ます。
 踏切を渡ったところで、スマホの地図を出してみました。冊子のマップには縮尺が書かれておらず、目的地までどのくらいの距離があるのかよくわからなかったのです。
 目的地を書いてしまうとネタバレになりますので遠慮しますが、伊佐沼コースというくらいですから伊佐沼周辺までは行かなければなりません。その第一の目的地を検索してみると、いきなり「自転車で17分」と出たので、思わず眼をむきました。徒歩ならどうかと思って調べてみると、「44分」と出ました。伊佐沼は思ったよりも遠いようです。相当に歩かされるイベントであることがわかりました。
 冊子のマップは主要な道路しか記していないので、スマホの地図を併用しないとわからなくなりかねませんでした。特に、最短距離として記された経路の中には、あぜ道のような、普通の地図には載っていないような道を歩く部分もありました。
 あぜ道を歩いていると、冬枯れの田畑がずっと遠くまで拡がっています。川越などというところに、これほど広大な平地があるとは思いませんでした。地平線までと言うと大げさですが、とにかく家々などははるか遠くまで見えません。川越藩というのは13万石だったか17万石だったか忘れましたが、それなりに広い田畑を領していたのだなあと感慨を覚えます。いままで、川越というと市街地や線路沿いしか見ていませんでしたが、少し入ればこんな田園地帯が拡がっているとは、不明を恥じるばかりです。
 伊佐沼の北側にある、旧民家を利用したようなウドン屋で、遅めの昼食をとりました。観光地価格かと思ったら、案外と安く、しかもかなりの量があったので驚きました。麺はいわゆる武蔵野ウドンというヤツで、非常に腰の強い太麺でした。
 そもそも伊佐沼という沼の存在もこれまで知らなかったのでした。平地の中にあり、ぐるりを住宅地や道路などで囲まれているので、なんだか白々として、沼というよりも調整池みたいな印象でしたが、古代蓮が生育していることで知られているとか。まあ、いまは真冬ですから蓮の姿も見えませんが、川越という、そんなに家から遠くもない場所にこんなところがあるとは、まったく意外でした。
 伊佐沼コースの「宝」は無事発見しました。さて、もうひとつくらいプレイできるでしょうか。時計を見ると14時50分ほどです。南古谷に到着したのが12時29分でしたので、クリアするまで約2時間20分。ただしその中には昼食をとった時間が入っていますので、まず1時間50分というところでしょうか。ただし、クリアした場所から南古谷へ戻るのにも時間がかかりそうです。
 これについては、幸運が舞い降りました。伊佐沼の南岸を通っている国道16号線に出ると、西武バスのバス停があり、しかもすぐに本川越駅行きのバスがやってきたのです。南古谷までまた何十分も歩かずに済んだわけです。
 本川越までは行かず、川越駅で下車したところ、15時23分ほどでした。他のコースも同じくらいのサイズ感であるとすれば、次に川越に戻ってくるのは18時過ぎになりそうです。さすがに18時過ぎでは暗くなっているでしょう。
 迷いましたが、「新河岸コース」をプレイすることにしました。問題を解いてみたところ、訪れるべき場所が伊佐沼コースよりは固まっていそうな気がしたのです。伊佐沼コースほどには歩かなくて済むのではないでしょうか。もちろん、冊子のマップの縮尺がわからないので確かではありませんが、そんな気がします。

 川越から東上線にひと駅乗って新河岸駅へ。この駅名は、新河岸川という川に近いから名づけられたのでしょうが、それよりも船に荷物を積み込む貨物ターミナルみたいなところがあったことが大きいかもしれません。新河岸川は寛永年間に整備され、江戸への物流を担う重要河川となったのです。新河岸川は、私の家の近くで荒川に合流しています。かつての荒川は新河岸川と合流したのちに隅田川と名前を変え、江戸湾に流れ込んでいました。
 江戸時代の水運ターミナルの跡地は、河岸場跡、あるいは舟運遺構として新河岸の観光スポットのひとつになっています。新河岸ルートは、主にそのあたりを探訪する流れになっていました。
 ありがたいことに、冊子のマップの縮尺は伊佐沼ルートよりも大きかったようで、歩く距離もだいぶ短くて済みました。最後の「宝」を見つけたのは16時半ごろでした。

 思ったよりは早く済みましたが、霞ヶ関ルートまでまわるのはちょっと無理そうです。これは今日は諦めることにしましょう。実は川越の市街地を舞台にした「風詩吟堂(ふしぎどう)のヒミツ」なる別企画が同時開催されており、霞ヶ関ルートはこちらと組み合わせて後日プレイしようと考えました。

 新河岸ルートの最終目的地からは、バス停などは近場に無く、やむを得ず新河岸駅まで歩いて戻りました。川越特急の夕方上り便に乗ってみたかったのですがそれは無理で、新河岸駅で待っているあいだに通過してゆきました。特急は無理でも快速急行に乗りたいと思い、ひとまず川越市駅まで行きました。坂戸まで行ってしまうと行き違いになりそうだったので、川越市で快速急行を待ちました。
 乗ったのは川越市発17時18分という電車でしたが、これはちょっと面白い便です。というのは、月水金の先頭車輛の最前部扉は、「農産物輸送のため」乗降ができなくなっているのでした。JAの直売所などで売り切れなかった農産物を池袋まで運び、池袋駅の改札外で店を開いて通勤客に売り、フードロスを削減するというもくろみです。そういえば池袋で農産物を売っているのを見たことがあるような気がします。
 私は先頭車輛がまるまる農産物輸送に宛てられているのかと思っていたのですが、来た電車を見ると、最前部扉のところに、わりと小ぶりなカートを引いたJA職員が乗っているだけでした。とはいえ、昔は田舎へ行くとよく、担ぎ屋のおばさんの専用車輛みたいなものが走っていたものですが、規模が小さいとはいえそれを東武東上線の電車で再現していることに、つい感心してしまいました。
 いろいろと発見の多い一日であったように思えます。

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