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沖縄公演行(1) [旅日記]

 先月の島根行きに引き続き、8月5日8日の日程で、沖縄に行ってきました。
 夏に沖縄へ行くなどと言うと、
 「そりゃあいいですね。うらやましい。愉しんできてください」
 という反応を返されることが多いのですが、あいにくと仕事です。6日(土)7日(日)にコンサートがあり、5日は夕方近くなって宿に着くだけ、8日は昼の便で帰ってくるだけですので、フリーの時間はほとんどありません。観光などまず無理な日程なのでした。
 出演者やスタッフの中には、8日を遅い時間の飛行機にして貰って、いささかなりともクルマで観光する、という人も居ないではありませんでしたが、それにしても大した時間はとれなさそうです。
 そんなわけでほとんどとんぼ返りみたいな沖縄行でしたが、多少は旅の要素もありましたので、主にそれについて記しておこうと思います。コンサートの詳細については、例によってどの程度公開して良いのかわかりにくいので、簡単に触れるにとどめておきます。「むしろそこを読みたいのに」というかたがた、申し訳ございませんm(_ _;;m

 5日(金)の昼過ぎに羽田を発ちました。この前の島根行きのときは午前中の飛行機で、品川から乗った京急電車はまだ朝のうちだったせいか急行でした。京急蒲田から空港線に入ると各駅停車になってしまうので、やや間延びします。その点、日中になると空港行きは快特になります。急行は横浜方面からの空港行きを担うようになります。
 快特も最近は京成車輛や北総車輛の一般車だったりして、「京急の快特」の持っていた一種のスペシャル感が全然無くなってしまったのですが、京急蒲田だけ停車で、あとは第三ターミナルまで全部通過という飛ばしっぷりは頼もしいものがあります。
 この前、昼食をとり損ねたので、この日は行きがけにセブンイレブンでおにぎりを入手して行き、空港の待合室で食べていました。そのうち同行の人々が集まったようです。
 飛行機は事務所がずいぶん前に押さえており、そのときはグループがみんな近い席だったのでしょうが、機種が変わったとかで、座席もだいぶ変わっていました。少なくとも私の周囲には出演者もスタッフもほとんど見受けられませんでした。こういうことはよくあるようです。
 那覇までは約2時間半。1回くらいトイレに立ちたい所要時間ですが、今回は我慢してみました。というのは、このたびのコンサートが休憩無しの2時間あまりという、お客さんにとっても出演者にとっても、なかなかハードなものだったので、その練習というつもりがあったのです。結果は、いちおう耐えたものの、飛行機から下りるや否や空港のトイレに駆け込む状況でした。搭乗してから出発するまでにけっこう時間があること、着陸後ゲートに着いてから実際に下りるまでにもけっこう時間を食うこと、などを計算に入れていなかったのでした。はたして本番、尿意をこらえられるか、まだ心配です。
 5日の朝は、首都圏は珍しく涼しい天候で、空は曇っていました。飛行中もほとんど雲の上でしたが、沖縄に近づくと、島々の姿がくっきりと見えるようになりました。地図を持っていれば愉しかったろうと思います。帰ってから日本地図を見ながら想起するに、たぶん最初に見えた細長い島が伊平屋島、その次に見えた丸っこい島が伊是名島でしょう。伊江島渡名喜島なども見えたように思います。上空から眺めるととても小さな島なのに、しっかりと住んでいる人が居るらしいので感嘆しました。
 私は右側の窓に近い座席に居たのでそういう小島を眺めて喜んでいましたが、左側の窓からは沖縄本島の海岸線が見えたのではないかと思います。いずれにしろ、よく晴れていて幸運でした。
 空港に下り立つと、首都圏が涼しかっただけにさすがに蒸し暑さを感じたものの、6月おわりから7月前半にかけての、あの気違いじみた猛暑に較べれば、だいぶしのぎやすい気がしました。実際、この日の那覇の気温は最高31度くらいで、むしろ首都圏の暑い日よりも低かったのです。

 タクシーに分乗して、那覇バスターミナルの隣と言って良い近さにあるビジネスホテルに投宿しました。このあたりは泉崎と言い、かつては沖縄の公共交通の拠点みたいなものでした。宮脇俊三氏はバスターミナルを見て、これが鉄道のターミナル駅だったらなあ、と夢想しておられたようです。現在でも13だか14だかのプラットフォームに、バスがひっきりなしに発着していますが、ゆいレールが通ってからは、少し利用者が減った感じでもあります。以前は、空港からまずこのバスターミナルに来て、そこから各地へのバスに乗り換えるという手順が要りましたが、ゆいレールは空港から直接那覇の繁華街に乗り入れてしまうため、必ずしもバスターミナルを利用しなくともいろんなところへ行けるようになったのでした。
 バスターミナルに隣接したゆいレールの駅は旭橋です。それでビジネスホテルも、もとは泉崎店と言っていたのを、旭橋駅東店とあらためたようでした。同じチェーンのホテルの中では、わりに古株であるような気がします。ルームキーは最近多いカード式ではなく昔ながらの錠前式でしたし、部屋もあまり広さを感じさせません。コインランドリーが非常に少ないのが残念でした。途中で1回洗濯するつもりだったのですが、見たときはつねに使用中で、結局使うことができませんでした。
 とはいえ、温泉ではないものの大浴場があり、しかもかなり長い時間帯入れたので満足しました。3泊したわけですが、毎日部屋の狭いバスではややストレスがたまります。沖縄は銭湯文化、温泉文化が希薄だと、前回来たときにガイドさんに聞きました。シャワーだけで済ませる人も多いそうです。従って手近なところにスーパー銭湯などもありそうにありません。ホテルに大浴場がついていたのはまったくありがたい話でした。

 ひと息ついてから、国際通りに出かけました。マダムから、いろいろ沖縄の食べ物を買ってくるよう頼まれていたのですが、初日のこの日に土産物を買わないと、どうも買いそびれそうだったのです。最終日に空港の売店で揃えるという手もありますが、高くつくのは眼に見えています。
 ホテルから国際通りまでは歩いて7、8分ほどで、すぐに国際通りの入り口の交差点にたどり着きました。通りに入ってみると、すぐに前回ツアーで連れて来られた居酒屋が眼につきました。三線などのライブがある店です。国際通りの端っこだったのだなあと、うなづく想いでした。
 そのツアーというのは、2019年の大晦日から2020年の正月2日までの家族旅行で、うちの両親と妹、それにマダムと私の5人で「沖縄で暖かいお正月」とかいうツアーに参加したのでした。私にとってはそれが沖縄初体験でした。わずか2泊のあわただしいツアーでしたが、まあ要所要所は見られたと思います。あのころはまだ新型コロナ騒ぎも局地的なもので、マスク着用とか三密を避けるとか、そんなことを何も考えずに済んでいました。わずか2年半前ですが、なんだか隔世の感があります。
 まだ2年半しかたっていないので、街並みには見憶えがあります。ああここにこんなあやしげな土産物屋があったっけ、などと納得しながら歩きました。ときどきそれらの土産物屋に足を踏み入れ、雪塩ちんすこうやら紅いもタルトやら、定番の土産を買いました。ジーマーミー豆腐も入手しました。
 マダムから頼まれていたわけではありませんが、海ぶどうも買いました。海藻の一種で私の好物のひとつです。これは冷蔵するとドロドロに融けてしまうという不思議な海藻で、常温保存でけっこう1週間くらいもちます。飛行機に乗るときに手荷物として預けないようにとガイドさんが言っていました。飛行機の荷物庫は冷凍庫並みに冷えるので、海ぶどうを入れておくと台無しになってしまうのです。
 もういくつか買わなければというところで、前回は足を踏み入れなかった横丁に入りました。そちらにも土産物屋はあり、どうも表通りより安いようです。とりわけ海ぶどうなどはだいぶ安くなっており、こちらで買えば良かったと後悔しました。
 そのまま横丁を探訪してみました。屋根がついており、けっこう長く続いています。それがまた枝分かれしたりして、どこか魔窟じみた雰囲気さえ漂わせはじめました。本来の那覇の繁華街というのはこちらだったのかもしれません。
 そのあと何を買うでもなく、昭和の香りが匂ってきそうなアーケードの中をうろついていたら、急にものすごい騒音、ラジオが最大ボリュームで混線したときのような大音響が轟きました。何かと思ったら、大変な勢いで雨が降りはじめたのです。驟雨(しゅうう)という呼びかたがふさわしいでしょう。それがアーケードの屋根に当たって大音響になったというわけでした。
 空を見ると、あろうことか青空が見えています。太陽もさんさんと輝いています。すでに18時くらいになっていましたが、西のほうに来たのでまだ太陽の位置も高いのでした。
 いわゆる「狐の嫁入り」ですが、狐の嫁入りという気象現象に対して抱いていたイメージを思いきり覆されるような大雨なのです。南国のスコールというのはこれかと腑に落ちました。
 すぐに止むかと思ったら、なかなか降りやみません。まさかこんな大雨になると思わなかったし、スマホの天気予報でも雨という可能性は低いようだったので、傘を宿に置いてきてしまっていました。アーケードから出られないまま、ぼんやりと雨を眺めていました。いろいろ買い込んだので、けっこう荷物が重くなっています。
 アーケードの屋根も、古いせいかところどころ雨漏りしており、思わぬところで水滴が落ちてきたりしました。そんな水滴と、私の腕の汗のせいもあってか、紙袋のひとつの手がちぎれてしまいました。あわてて荷物を詰め直します。
 とりあえず手がちぎれる心配が無くなったので、まだ雨は続いていましたが、若干小降りになったタイミングを見計らって、私は外に出ました。そろそろ宿に帰りたかったのです。国際通りの出口あたりにゆいレールの牧志駅があり、そこまで歩いてゆいレールで旭橋まで戻ろうと考えたのでした。前回も同じ区間を乗った憶えがあります。
 雨は小降りになったかと思うとまた大降りになったりして、牧志駅にたどり着いたときはだいぶ濡れてしまいました。高架の駅に上がると、ちょうど日没近くで、夕陽が西空に美しく沈みかけていましたが、それなのに大粒の雨が降り注いでいるという、わけのわからない光景になっていました。
 一旦宿に帰ってから、夕食の買い物をしにもういちど出かけました。スマホのマップで、スーパーマーケットというワードで検索して出てきたところへ行ったのですが、スーパーというよりはデパ地下という雰囲気でした。実際、その上の「リウボー」というのは沖縄県内の百貨店チェーンなのでした。
 見ると、さっき国際通りでいろいろ買い込んだ土産物はここでだいたい揃うようでしたし、値段も観光客目当てでないためにかなり安いようです。次に沖縄に来ることがあったら、土産物を国際通りなんかで買うのはやめようと決心しました。
 このときも、往路は雨は止んでいましたが、帰りは降りだしました。さすがに私も学習して、こんどは傘を持っていましたので、大事は無かったのですが、空を見るとやはり月が煌々と照っているのであきれました。
 ほかの皆さんはどこかへ飲みに行ったようですが、私はデパ地下で買い込んだ食べ物をホテルの部屋で食べて夕食としました。そうそう、リウボーの地下では主食系が手に入らなかったので、帰り道にあったファミリーマートに入ったところ、タコライス巻きという沖縄らしいジャンクフードがあったのでそれも買いました。タコスの具を入れたのり巻きです。たぶんほかの地方では売っていないでしょう。
 こういう発見があるので、私は地方へ行っても、店などにはあまり入らず、ついつい地元のスーパーとかコンビニを利用してしまいます。マダムも似たような趣味があるので、一緒に旅行してもわりに不満を言われません。
 さて、翌日から2日連続でコンサートです。島根のときはあいだに1日、移動日がありましたが、2連続はなかなか厳しそうです。

 この項、続きます。

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