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「日々是修行」作曲家ハイドン [ひとびと]

 ハイドンのピアノソナタをひとわたり弾くということは、これまで何度かやっているのですが、それなりに毎回違った発見があって、なかなか面白かったりします。もちろん、人前で弾くわけではなく、自分個人の娯しみですが。
 使っている楽譜は音楽之友社から出ているウイーン原典版という本で、なるべく自筆譜や初版本に基づいて編集されています。校訂者の意見はページ下の註釈で示され、それで足りない部分は附録として巻末に記載されています。ハイドンの若い頃、1750年代くらいだと、まだ統一された記譜法が確立されておらず、装飾音の表記とか、ダイナミクス、アーティキュレーションなども、現在に較べてきわめて不充分な記載でしかありませんでした。さすがに1790年代くらいまで下ると、記載もかなり詳細になってきますが、そういう移り変わりが見て取れる点、やはり原典版は便利なのでした。
 当然ながら、初期作品はフォルテとかピアノなどの記号、あるいはスラーなどが欠けたものが多いわけで、それをどう補って弾くかは演奏者に委ねられることになります。当時の演奏スタイルをどのように解釈するか、あるいは自分自身の感覚の赴くままにフレージングなどをつけてゆくか、そんな自由もあって、作曲者の事細かな書き込みを読み解かなければならない近現代の作品を弾くのとは違った愉しみかたができるのでした。

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