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地下謎2018解決篇 [趣味]

 今日で1月も終わりです。平成の御代もあと3ヶ月ですね。
 さて、1月が終わると共に、東京メトロの謎解きイベント「地下謎への招待状2018」のキャンペーン期間も終了します。それで例によって、解決篇を書いておこうと思います。
 毎回説明していますが、謎解き自体ができなかったという人は少ないだろうと思います。だからこの解決篇を読んで、ああそういうことだったのかと腑に落ちる人はあんまり居ないでしょう。期間中はネタバレ厳禁であるため、当日に書いた日誌はいろいろ書けないことがあり、全体的に奥歯に物のはさまったような書きかたとなっているので、それで私の感じているモヤモヤ感をすっきりさせるために、解決篇と称してその日のことを書き直すというのが要諦です。
 とは言っても、今回はプレイ日がずいぶん前のことです。はじめて地下謎シリーズをプレイした「2016」では、年が明けてからの決行だったので、まだ記憶が新しかったのでした。次の「2017」では確か11月23日勤労感謝の日にプレイしました。それに対して、今回の「2018」は、イベントが開始された10月はじめから間もない10月8日に、早々とやってしまったのでした。「2017」と較べても1ヶ月半くらい早い時期であり、いまから考えるともう4ヶ月近く前になります。はたして当日の行動をそんなに克明に憶えているかどうか。
 ともあれ、当日使用した「謎解きキット」を眺めながら、思い出してみることにいたします。
 
  「2016」と「2017」は池袋からスタートしたのですが、今回は王子からの出発です。2017までは、謎解きキットの販売駅が東京・上野・渋谷・銀座・池袋の5駅だったのが、銀座と池袋が除かれて、新宿・王子・北千住が加えられた形になります。確かに銀座というのは、事実上地下鉄でしか行けない駅で、キットの中にメトロの24時間パスが含まれているのに、銀座までのメトロの運賃を別に払わなければならないというのは少々腹が立つようです。だから銀座が外されたのはわかるのですが、池袋はなぜ外されたのでしょうか。人が集まりすぎて、まわりから迷惑の声が上がったのかもしれません。
 まあ、うちからは池袋も便利ですが、王子も京浜東北線でわずか3駅という近さです。王子が出発地のひとつとなったのは都合が良かったと思います。
 王子のメトロの定期券売場に行くと、謎解きキットの販売のためのカウンター(というかテーブル)が特設されていました。ここでまず、ふたり分のキットを購入します。2セットで4400円もするので、けっこうな出費ですが、それでもあちこちの駅で、昼前に売り切れてしまうという事態が発生していました。
 最初の謎は、改札口を通った先のコンコースの壁に掲示されており、地下謎挑戦者でごった返していました。私たちも24時間パスを改札機に通して、そこへ行きました。パスには10:14と印字されました。
 キットの中には、協賛企業であるアサヒグループ食品の製品であるミンティアというタブレットのサンプルが入っていました。最初の謎は、このサンプルのパッケージに書かれた文字をカギにして解くことになります。
 掲示されたパネルに、パッケージのどこを読むかという指示があり、それに従って読むと「のどスッキリ」という言葉が出てきます。この「のどスッキリ」を、キットのガイドブック(小冊子)に記された問題に当てはめると、3つの駅名が出てきます。
 小冊子にはあみだくじが書かれていて、そのところどころに文字があります。その文字から、上の「のどスッキリ」を拾えるように線を引いた場合に、A・B・Cの各スタートから出発して読み取れる駅名は何か、というのが問題です。導入問題だけに比較的簡単で、A=四ッ谷、B=秋葉原、C=神保町という駅名が出てきます。
 もう1問あります。壁のパネルには、「8-12 3-5 1-6 8-10」と記されており、ガイドブックの「謎ii」というページを見ると、ローマ字と数字が6文字3列に混在している文字列が2つ記されていました。その文字列の周囲に、1から12までの数字が散っています。
 これはパネルにあった対の数字を直線で結び、その直線がどの文字の上を通っているかを見れば答えが出ます。8から12を結ぶと、その線が通っているのは「Y12」という文字。そしてこれが「江戸川橋」を示すというヒントが書かれていました。
 つまり駅番号を調べれば良いわけです。キットが収納されているファイルバッグには路線図が印刷されており、そこに駅番号も全部書いてあります。確かに江戸川橋はY12、有楽町線の12番目の駅です。
 3-5は「C15」、1-6は「C05」、8-10は「N04」という文字の上を通ります。これがそれぞれD、E、Fの駅名になります。
 C15は千代田線の15番目、すなわち千駄木。C05は同じく千代田線の5番目、乃木坂。N04は南北線の4番目、麻布十番ということになります。
 これで6つの駅名が出てきたわけですが、6箇所に全部行くことはありません。第1問で出てきた3つのうちひとつ、第2問で出てきた3つのうちのひとつを訪ねれば良いことになっています。プレイヤーを少しでも分散させようという魂胆でしょう。
 今回のガイドブックには親切なことに、それぞれの駅に向かった場合の謎解きにかかる所要時間の目安まで記載してくれています。それによると秋葉原は高難易度で目安は60分だそうです。あとは20~30分というところでした。
 私たちは、とりあえず王子から南北線に乗ることになるので、南北線上の駅である四ッ谷と麻布十番に向かうことにしました。特に麻布十番はマダムのお気に入りの街でもあります。
 麻布十番は大江戸線との接続駅ですが、東京メトロとしては南北線しか通っていません。四ッ谷には丸ノ内線が通っています。ふたつの駅で謎を解いて出てきた答えによって、次の向かうべき駅が決まるわけですが、動きやすい四ッ谷を後に回して、先に麻布十番を訪れることに決めました。

 王子から麻布十番までは、同じ路線ではありますが、12駅もあります。ひと駅間平均2分としても24分かかることになり、メトロの乗車時間としてはかなり長いほうです。
 麻布十番駅に下り立っても、地下謎プレイヤーはそこかしこに目につきました。
 さて、最初の謎で出てきた6つの駅には、それぞれ独立したシートが割り当てられています。2枚ずつ貼り合わせられており、それぞれ外側にはその駅に関する問題が書かれています。6つの駅名がわかったところでシートをはがすことが許されており、内側には正解と、駅周辺のおすすめ店情報などが書かれていました。
 麻布十番駅の問題は次のようなものでした。駅周辺の略式の地図が示され、そのあちこちにひらがなが1文字ずつ記されています。傍らに添えられた文章のとおりに道を歩き、そのとき地図上の文字をどういう順番で通過するかによって、ある言葉が出てきます。それが答えというわけです。
 マダムは何度もこの街を歩いているのですが、日中に歩いたことは無く、しかも行動範囲と違った道も通るということで、それなりに新鮮な気分だったようです。
 マダムの大好きなフランス発のスーパーマーケット「ビオ・セ・ボン」に行く途上に、ちょっとしたロータリーがあります。10月8日は何かのフェスティバルみたいなものがあったらしく、そのロータリーで楽器演奏や和太鼓演奏などがおこなわれていました。そこらじゅうに地下謎プレイヤーも歩いているし、なんとなく街の中が浮き立っています。
 問題のほうはそんなに難しくはありませんでした。もっともマダムはいわゆる「地図の読めない女」なので、自分が地図上でどこに居るのかがわかりづらかったようで、ひとりでプレイしていたらけっこう苦労したかもしれません。
 文章に書かれた「茶色の親子」やら「9本のつくし」やらのオブジェをきょろきょろと探しながら散策するのはなかなか楽しかったと思います。文字を拾った結果は「うらない」「ちけっと」でした。
 すぐに次の目的地である四ッ谷に向かっても良かったのですが、マダムの希望で、ビオ・セ・ボンのイートインコーナーでコーヒーを飲みました。そんなことをしているとどんどん他のプレイヤーに追い越されてしまうので、私はじりじりするのですが、マダムは悠然たるものでした。まあ、けっこうな出費をしているので、あんまり早く解いてしまうと逆にもったいないという考えかたもありますね。
 そのマダムは、さていよいよ四ッ谷に向かおうとして麻布十番駅に戻り、そこでトイレに入ったところ、危うく謎解きキットを置いてきそうになっていました。ちょっと悠然としすぎかもしれません。

 4駅戻り、四ッ谷駅へ。ここでもシートの指示に従って歩いてゆくと、中央線市ヶ谷寄りに拡がる外濠公園へと導かれました。この外濠公園にあるオブジェや表示などから、キーワードを見つけ出し、そのキーワードの中の指定された順番の文字を読むと言葉が出てくるという趣向でした。文章に含まれているオブジェなどの描写が必ずしも明確でなく、少々手間取りましたが、答えは「ふうけい」「さくひん」です。
 この「ふうけい」「さくひん」そして麻布十番で出てきた「うらない」「ちけっと」をガイドブックの回答欄に記入すると、その回答欄に小さなアルファベットが添えられているところがあり、アルファベット順に文字を読むと「ちいさいふうとうひらけ」という文章が現れます。これが次のミッションとなります。
 が、ここでマダムが空腹を訴えたので、探索は一旦中断して、昼食にしました。マダムがよく行ったことがあるという定食屋です。手軽に食べられますが、キットの中身を出して謎解きを続行できるようなお店ではありませんでした。

 昼食のあと、四ッ谷の駅ビルの中のベンチで、次のミッションを開始しました。
 キットの中には、ピンクの封筒と水色の封筒が入っており、大きさはほぼ同じで、どちらが小さい封筒であるのかわかりづらくて困りました。ピンクのほうが幅があるのですが、水色のほうがわずかに高さがあるようなのです。しかしまあ高さのほうは誤差範囲みたいなものと見なし、水色を小さな封筒と判断して開封しました。
 中には、ひらがなと色とりどりの円がたくさん描かれた紙片が入っていました。そして、
 「同じ色の丸を9組隣り合わせ、ふちをぐるりと1周なぞれ。
 それを5回行うと、線で区切られたエリアがたくさん現れる。
 その中で3文字だけ入った2つのエリアを見つけ出し、
 その2つに書かれたマークを作れ。」
 
という、地下謎によく登場する、目的語を欠いたような微妙な物言いの問題文が書かれています。
 私もいい加減、こういう物言いに馴れてきたので、その意図はすぐわかりました。
 色のついた円をよく見ると、オレンジの円の中に「G」とか、赤の円の中に「M」とか書かれており、これが地下鉄のラインマークであることは明らかです。東京メトロの9路線にはそれぞれラインカラーとラインコードが与えられていて、銀座線はオレンジのG、丸ノ内線は赤のM、日比谷線は銀のH、東西線は青のT、千代田線は緑のC、有楽町線は黄色のY、半蔵門線は紫のZ(頭文字だと日比谷線と同じHになるので、2文字目の「ぞう」のほうを採った)、南北線は深緑のN、副都心線は茶色のFです。謎解きのために特製された24時間パスを見ると、その周囲ぎりぎりのところにそれらのマークが描かれており、パスを紙片にうまく当てると、紙片のマークとパスのマークが隣り合うように置けるのでした。
 最初はいろいろ動かしましたが、銀座線マークと丸ノ内線マークがわかりやすく直線上に並ぶことに気づくと、あとは簡単でした。パスの外周に合わせて鉛筆でなぞります。全部で5回できるようになっていました。
 すると確かに、パスの外周の線がいろいろからまりあって、紙面が区切られます。その区切りの中には1~4つの文字が入っていて、そのうち3文字のものは「うさぎ」「みかん」と読めました。
 「うさぎ」「みかん」のマークを作れ、というのは、手持ちのキットの内容をいろいろ使ってどこかにマークを出現させろという意味ですので、見てみると、ファーストミッションで使ったシートのうち千駄木と四ッ谷のものの片隅に、どうやらその一部らしい絵が見えます。キットの中に入っていたシールを合わせるとウサギとミカンの絵ができ、ついでにそのあいだに「NEXT STATION IS G10」なる文字も浮かび上がりました。次の目的地は、G10、つまり銀座線の10番目、京橋駅です。

 丸ノ内線で赤坂見附へ行き、そこで銀座線に乗り換えて京橋に行きました。東京駅に近いわりに地味な駅でしたが、最近は京橋エドグランという巨大な商業施設ができて急にオシャレな雰囲気になりました。
 ガイドブックのうち、それまで封印されていたページをここで開けると、セカンドミッションが記されていました。京橋に着き、記された文章のとおりに歩くと、まさに京橋エドグランの中に入ったようです。
 吹き抜けになっている上のほうを見上げると、何階になるのか知りませんが、三重の飾りガラスに掩われたフロアが見えました。その飾りの意匠を見極めろというのがセカンドミッション最初の問題で、ここでも多くの地下謎プレイヤーが、ある者はニンマリ笑い、ある者は途方に暮れた顔をしてガラスを見上げていました。
 三重になっているので、飾りが重なって見極めづらいのですが、注意深く見ると、菱形を連ねた模様のついた2枚のガラスに、三角形を連ねた模様のガラスがはさまれているということがわかります。そして、ガイドブックで該当する模様のところを見ると、菱形模様には「ま」、三角模様には「と」というひらがなが与えられていました。3枚を順に並べると「とまと」となります。
 第2問は、第1問で出てきた答えを問題文の空欄に入れて文を完成させ、その指示に従えというものでした。その文というのは「(  )(  )を結び、通った文字を読め」というもので、その下には文字やいろんな物の絵が散らばっている迷路が印刷されています。
 第1問の答えが「とまと」であったので、この文は「(とまと)(とまと)を結び……」ということになるわけですが、迷路にはトマトの絵はひとつしかありません。しかし、弓矢の「的」の絵がありました。「トマト、トマトを結び」ではなく「トマトと的を結び」ということだったのでした。脱力ものです。
 トマトの絵をスタート、的の絵をゴールとして迷路を解くと、「きいろいすいか2つ作れ」という文字を通ります。「作れ」というのは上記のとおり、キットの内容物を使ってなんとかしろということです。いかにもこの迷路と意匠の合っているシールがあるので、黄色いスイカの絵がふたつできるように貼ると、元のとは違った迷路が出来上がります。新しい迷路で、再びトマトから的まで読んでみると、今度は「きいろいすぺーど2つ作れ」という文が。迷路シールはまだあるので、今度は黄色いスペードマークがふたつできるように貼ります。
 まだ終わりません。今度は「黒いいるか2匹作れ」と出てきたので、これまたシールを貼ると、さらに「黒いいちご2つ作り現れた矢印の先読め」と出てきます。そして4たびシールを貼ると、なるほど矢印が出現しました。実は元の迷路の描かれた紙面は白いのに、シールの地の色は少々グレーがかっており、そのシールを4枚重ねて貼ることで、その貼り残しの部分が矢印状の形となり、白い矢印となって浮かび上がるという仕掛けになっていたのでした。手が込んでいて感心します。
 さて矢印の先を読むと、「車両切り離せ」という文章が読み取れます。
 先ほど開けなかったほうの封筒、ピンクの封筒の封印の部分に、車輌の絵が描かれています。開封すると、その車輌の絵が切り離されます。つまり、ピンクの封筒を開封せよという指示だったのでした。
 ピンクの封筒を開けると、また問題の書かれた紙片が入っています。こんどは2択双六でした。短い問題文があり、それに2択で答えて矢印に従って進むとまた次の問題文がある、という形です。
 京橋駅の1番線、渋谷方面行きの銀座線に乗って、その扉上のモニターを見ながら答えてゆくという趣向でした。最初は、モニター上でエレベーターマークと重なっているのは何号車かという問いで、3と6の選択肢がありました。次の銀座駅のエレベーターは6輌目のところにあるので、6が正解という工合です。
 銀座を出ると次の問題に進みます。紙面に描かれた新橋駅の模式図の中で、モニターに出るのと違っているのはどの部分かという問題です。
 こんな調子で正解の矢印を進んでゆくと、「そのまま終点で降りよう!」という最終指示に辿り着きました。他の指示は「次の駅に停車したら降りよう!」「次の次の駅に停車したら降りよう!」といったもので、どこかで間違えると見当はずれの駅で下ろされます。
 終点、つまり渋谷で下りて、サードミッションが開始されるのでした。

 渋谷駅についてはよく知っているので、記述に従って実際に歩いてみる前に、どう進めば良いかのイメージはできていました。要するにマークシティに入ってどんどん歩いてゆけという指示です。そのマークシティの通路に現れるいろんな模様やオブジェを順番にチェックし、ガイドブックに書かれている文字列をあてはめてタテ読みすれば、次の指示が現れます。
 実はこのタテ読みパズル、少し頭を働かせると、実際に実物をチェックしなくとも解けます。私も事前に解いてしまっていました。煎じ詰めれば「うドむや同本」「せクガし作さ」「かッにるにか」「こブきじ時の」「をイのりを2」という横書きの文字列を積み重ねてタテ読みできるようにすればそれで解読完了です。
 「2本のかさを同時に作りやじるしのむきにガイドブックをうごかせ」という文章はすぐに出てきました。
 上に何度も書いたとおり、地下謎において「作れ」というのはキットの中身を使って何かやれということです。しかし歩きながらとか立ったままでとかは作業がしづらいので、どこかに腰を落ち着けなければなりません。マダムは例によってどこか店に入りたそうでしたが、あいにくとマークシティのそのあたりの店はどれも高そうです。道玄坂出口を出たところの植え込みのところに腰掛けて作業しました。なお、その出口の手前に、地下謎プレイヤーがわらわらとひしめいていました。出てきた指示を実行するとある4桁の数字が得られるらしく、その数字を「ピンクの電話」とやらに入力すると次の指示を受け取れるというのですが、そのピンクの電話が出口のところにあったのでした。
 さて「2本の傘を同時に作る」作業です。ガイドブックの次のページに、謎の図形が散らばっていたのですが、その中に、傘の柄になりそうな「J」字型の図形がふたつ、向きも位置もばらばらに描かれていました。この柄のサイズに適うような傘布を、キットのどれかに探し当てれば良いわけです。
 ファイルバッグに路線図が印刷されていることは上に書きましたが、その路線図に、ぱっと見あんまり意味の無さそうな黒い半円がふたつ記されています。そして、それぞれの半円の隣には、透明な部分があります。
 この半円が傘布の部分になりそうだと思い、ガイドブックをファイルバッグに入れて合わせてみると、ちょうどぴったりと合わさって、2本の傘が同時にできました。すると、路線図の下にあるダイヤル盤のようなところに、ファイルバッグとガイドブックの図柄が重なって矢印ができています。それに従ってガイドブックを動かしてみると、ダイヤル盤のところに空いた透明な円に、次々とガイドブックに印刷されている黒丸が一致してきました。その順番は「4・5・1・0」です。
 これが求める数字でした。ピンクの電話のところへ行きます。電話機は何台も用意されているのに、いずれも行列ができていて、順番待ちに少々時間がかかりました。
 電話機で4510とダイヤルすると、受話器をガイドブックのさっきの図形ページにかざせという指示が聞こえ、それに従ってかざしてみると、「出口7a」という文字が映し出されていました。
 出口7aというのは次の指示がある場所で、それだけでも良さそうですが、ややわかりづらいせいか、そこへ向かう道順も記されていました。ややこしい書きかたをしていましたが、要するに半蔵門線の乗り場に近いコンコースです。
 そこに、特設の飲料自販機が設置されていました。前回も途中で特設自販機からペットボトル入りの水を買うというイベントがありましたが、今回は買わなくとも良いようです。その自販機をカギとして、
 「A1 C1 B8 B3→あふりか C4 B3 B4→たから のとき、B6 A8 C3→(  ) A7 B9→(  )」
 という暗号を解読するというのが問題だったのです。
 マダムがだいぶ疲労を訴えていたので、どこかでお茶でも飲むことにしました。渋谷駅の地下街は私の知っていたころとだいぶ様変わりしており、しかるべき喫茶店などがなかなか見つかりません。とうとうヒカリエのほうまで行ってしまい、そこのベーカリーカフェに入りましたが、パンもお茶もえらく値が張る店で、四ッ谷で食べた昼食より高くつきました。
 ここでさっきの暗号文を解読します。自販機にはサンプルが3列に並べられていたので、ABCは明らかにその列を示しており、数字のほうはその列で何番目かということでしょうが、さて、それがどうして特定の文字を示すかということです。
 自販機に並べられていた飲料を見ると、アクエリアスいろはすQooからだ巡り茶ファンタ綾鷹、そしてまたQooでした。で、よく見ると、アクエリアスは6本、いろはすは4本並んでいます。もしかしたらと思ってQooを見ると2本で、これはカタカナで「クー」と考えて良いでしょう。「からだめぐりちゃ」は8本もありました。
 どうやら飲料の銘柄の文字数と本数が一致しているようです。すると、こういうことになるのでしょう。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
 A あ く え り あ す い ろ は す
 B く ー か ら だ め ぐ り ち ゃ
 C ふ ぁ ん た あ や た か く ー

 Aと1の交点(A1)を見るとなるほど「あ」ですし、同様にC1は「ふ」になるので、これで間違いなさそうです。問題の「B6 A8 C3」は「めろん」、「A7 B9」は「いち」が答えになります。
 この答えを、次に記載されている指示文の空欄に入れ、その指示を実行します。文字が書かれたマス目がループ状に配置されているものがあり、ところどころのマス目には果物の柄も印刷されています。で、
 「『めろん』から『いち』文字飛ばしで、『めろん』に戻るまで読め」
 というのが指示でした。
 指示に従って読むと、
 「くろとしろのえんとつのあいだにぺぐしるをさしよこにうごかせ」
 という次の指示が出てきました。「黒と白の煙突のあいだにペグシルを挿し横に動かせ」ですね。
 ペグシルというのは、よく演奏会のアンケートなどを書くために渡される、小型の使い捨て鉛筆です。これはメモをとるために地下謎のキットに必ず入れられていたのですが、いままでの地下謎だと、キットの中の他の内容物は漏れなく使用するのに、ペグシルだけは本来の用途である「書くこと」以外には使いませんでした。今回はそのペグシルを、ついに謎解きそのものに利用する場面が設置されていたのでした。
 黒の煙突というのは、ファイルバッグに、さっきのダイヤル盤の隣にレンガ造りの小屋が印刷されており、そこに煙突がついているので、これのことだと見当がつきます。しかし「白の煙突」とはなんでしょうか?
 あちこちキットの中身をひっくり返してみても、白の煙突らしきものは見当たりません。しかし、「あいだにペグシルを挿し……」というからには、黒の煙突のすぐ近くにあるに違いありません。
 実は、この小屋の絵のところは、24時間パスを収納できるポケットになっているのですが、そのポケットの内側を見ると、同じ小屋の絵で、煙突だけ白くなっているものが印刷されていました。そしてどうやら、ポケットのパッチの部分が、2枚貼り合わせになっているらしいのでした。ごく細いもの、そうたとえばペグシルの芯くらいなら入りそうな小さな孔が発見されます。
 孔にペグシルを突っ込んで動かしてみると、ポケットのパッチは簡単にはがれました。そして中に、これまでの封筒の中身よりもさらに小さい紙切れが入っていました。プレイヤーの「謎解き力」を測る、という名目ですが、言ってみれば地下謎には珍しいタイムトライアル問題でした。内容は、ふたつの言葉の一部が隠されており、そこに共通して入る文字を当てるというパズルです。たとえば「こん___」と「ぬきうち___」というふたつの言葉があれば、共通してはいるのは「てすと」である、という工合です。
 ところがその、明かされているほうの文字も、すぐにはわかりません。鉛筆で黒塗りすると文字が浮かび上がるようになっているのですが、黒塗りするのは、半蔵門線の電車に乗って、しかもひと駅間ごとに1問ずつと決められています。各駅を発車してから黒塗りして、出てきた問題を次の駅までに解くというわけで、タイムトライアルということになります。もちろんズルをしようとすれば簡単にできるのですが、そこはパズリストの良心に任せるというところでしょう。
 私はすぐにでも動きたかったのですが、マダムがスマホを取り出してメールなど打ちはじめ、結局ヒカリエのベーカリーカフェにずいぶん長居してしまいました。
 「けっこう高かったから、すぐに出てきたらもったいないじゃない」
 とマダムは言いましたが、すでにプレイ開始から8時間くらい経過しており、私はそろそろラストを迎えたい気持ちになっていました。
 また半蔵門線の乗り場に戻りました。さっきの自販機のところの改札から入れば良かったのですが、しかしふたりともトイレに行きたかったので、トイレを探して歩きました。地下道には見当たらず、直結している109の地下まで行ってようやく用を足しました。渋谷にはだいぶ長時間滞在した気がします。
 半蔵門線の電車に乗り、最初の問題を黒塗りします。「だん___」「___ぺん」という文字が出てきました。これは考えるまでもなく「ぼーる」ですね。表参道駅まではだいぶ余裕がありました。
 表参道駅を出てから、次の問題を塗ります。「じ___ゃ」「___んはん」で、答えは「てんし」。
 青山一丁目からの問題は「___せす」「す___ぐ」で、答えは「ぷりん」。
 次の永田町で、有楽町線の電車に乗り換えるよう指示があります。池袋方面行きに乗り、次の問題を塗ります。「ふ___ぐ」「あい___」で、答えは「らいん」。だんだんと難しくなってきました。
 麹町を発車してから最後の問題を塗ります。「ぷち___」「ひ___め」。これはだいぶ迷いました。普通の人が使う言葉で「プチ」がつくものは限られていると思いつき、「とまと」という答えを出したときには、市ヶ谷駅に到着する寸前でした。辛くも全問解答できたというところです。ここで何問解けたかで、ファイナルミッションの難易度が変わってきます。

 袋とじになっていたガイドブックのページを指示に従って開けると、飯田橋で下車して書かれているとおりに進むよう指示されていました。道順は省略して結論だけ言えば、飯田橋ラムラのロビーのような場所が目的地でした。マダムは飯田橋の学校でフランス語を学んでおり、ラムラにもしょっちゅう訪れているようで、妙にテンションが上がっていました。
 正面階段の踊り場の壁に飾られているステンドグラスがカギです。6行3列の長方形に区切られているその絵の中から、特定の柄になっている区画を探し出します。ガイドブックのほうには6行3列の、ひらがなが1文字ずつ書かれた枠が記載されており、探し出した絵柄の区画に相当する枠からはじめて、枠すべてにトランプの4スートを、指定されたルールに従ってあてはめてゆきます。ちなみに先ほどのタイムトライアルの回答数によってスタートとなる区画が違っており、全部試してみたら、回答数が多いほどスートのあてはめが難しくなるようでした。ズルをしているとここでしっぺ返しを食らうというわけです。
 いままでの問題でいちばんパズル度が高い感じでしたが、とにかく最終的には、「せんろ」か「きっぷ」のいずれかの言葉が答えとして出てきます。どちらの答えであるかは、タイムトライアルの成績によって決まります。
 これをイベントサイトに送信してミッションクリアとなりますが、例によってそのあと、イベントサイトから「最終問題」が提示されるのでした。
 家に帰ってからでも良かったのですが、マダムがラムラの中に作業のできるスペースがあるというので、案内して貰いました。昔は公衆電話コーナーだったらしい場所で、いまはがらんとしたカウンターになっています。案外穴場であるらしくて、他の地下謎プレイヤーもほとんどやってきません。
 最終問題はかなり強引な工作が必要で、電車の中などではとても無理です。途中の作業は省略しますが、ガイドブックにいろいろ貼り付けて、あげくに何やら「とびだす絵本」みたいなていにしてのぞき込むと、最後に出てくる言葉は

 ──TRAVEL

 でした。これを再度送信すると、エンディングロールが流れて終わりになります。

 ところで先日、1月14日(月・成人の日)に、私はひとりで、プレイ日に訪れなかった4つの駅に行ってみました。マダムも行きたがったのですが、所用で都合がつきませんでした。
 お昼に下北沢で用件があり、それが終わってから行動を開始しました。スタート地点からして、まずは代々木上原から千代田線に乗り、乃木坂で下ります。下りてから地上を歩く文章が書かれているのですが、ところどころ穴あきになっており、実際に歩いてみてそれを埋めることになります。その埋めた文字を解読ボードで消してゆくと、麻布十番と同じく「うらない」「ちけっと」の文字が残りました。
 表参道に戻り、半蔵門線で神保町へ。駅出口のところにある地図と、シートに描かれた地図を対照させて文字を導き出すという問題で、答えは「ふうけい」。次に、神保町交差点にゆき、交差点の4つの角の歩道上にある柱のオブジェを見て、シートに示された文字を読み解くという問題がありました。柱には、羽根とか本とかのマークがついているのですが、問題はその羽根のマークの場所をチェックして、そこに相当する文字を拾うというものでした。答えは「さくひん」。四ッ谷駅の問題と同じ答えです。
 さらに半蔵門線で水天宮前へ。この駅は最近になって、日比谷線人形町と接続駅と見なされることになりました。今回はじめてその乗り継ぎをしてみましたが、なるほど、いちど地上に出なければならないとはいえ、ごく近いのでした。同じ駅名になっている丸ノ内線と大江戸線の本郷三丁目よりも近いかもしれません。人形町は「地下謎2016」で下り立ったことがあり、なんとなく懐かしい気がしました。
 日比谷線に乗って秋葉原へ。所要時間目安60分とされるハード問題です。街の景色からキーワードを読み取ること自体は簡単だったのですが、問題自体のパズル度が、他の駅に較べて飛び抜けて高いのでした。寒風に吹かれながらパズルを解く気力が無く、近くのマクドナルドに入って取り組みました。2問ありますがいずれもかなりハードで、この手のパズルには馴れているつもりの私も、答えが「ふうけい」「さくひん」であるとわかっていなければもっとずっと時間がかかっただろうと思われました。
 パズルを解き終えて外へ出ると、もうすっかり暗くなっています。再び日比谷線で、ひと駅乗って次の仲御徒町で下りました。ここから長い地下道とその先の地上の道を経て、千代田線の湯島駅まで歩きます。最後の目的地は千駄木です。
 電車を下りて、指示のとおりに地上を進むと、須藤公園に辿り着きました。こんな公園があること自体私は知りませんでしたが、そう広くはない園地の中に、かなり大きな池と、相当な高低差を持った遊歩道が張り巡らされた、なかなか本格的な公園です。まだまだ東京には、私の知らないところがあるのだなと実感します。
 須藤公園の中のオブジェを見つけて、それが略図上のどこにあるかによって指定された文字を読むというのが第1問でした。これも答えが「うらない」とわかっていたので全部すぐに見つけられましたが、こう陽が暮れてしまうと、白紙の状態で来ていたらなかなか苦労したろうと思いました。
 第2問は公園ではなく、少し離れたところにある谷中銀座商店街が舞台でした。商店街に掲示された絵をチェックしながら、答え「ちけっと」を割り出すという問題でした。この谷中銀座も、存在することは知っていましたがはじめて訪れ、その不思議な賑わいに驚かされました。雰囲気が一気に昭和に戻ったかのようです。
 前回の「2017」が、あんまり駅から離れない範囲での問題が多かったので、プレイヤーから要望があったのかもしれません。今回は「街歩き」要素がかなり重視されていた気がします。それと同時に、テレビコマーシャルまで打っていた甲斐あってか、開催期間の末期に近い1月14日でも、どこの駅にもプレイヤーが見受けられました。カップルで歩いているのが多かったようです。
 謎解きキットに入っていた特製パスではありませんが、この日も私はメトロの24時間パスを購入していました。千駄木でまた千代田線に乗って、西日暮里でJRに乗り換えて帰宅する予定だったのですが、谷中銀座の雰囲気が面白くて、つい出口まで歩いてしまいました。そうすると日暮里駅のほうが近かったため、そのまま日暮里まで歩いて京浜東北線の電車に乗りました。まあ、24時間パスの元は取ってありますし、日暮里でも西日暮里でも川口までの運賃は違わないので、損したわけではありません。
 それにしても、最初の問題のところで、千駄木と秋葉原など選んでいたら大変だったでしょう。秋葉原では時間がかかりまくったでしょうし、谷中銀座はマダムが喜びそうな商店街で、なかなか離れようとしなかったと思われます。結果、ファーストミッションだけで午後も遅くなっていたかもしれません。出発点が上野や北千住だったら、そういうチョイスの可能性もあったわけで、思えば危ないところでした。

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