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横浜彷徨と『星空のレジェンド』第8回公演(1) [日録]

 いよいよ『星空のレジェンド』オーケストラ版初演です。18日(月・敬老の日)のマチネで、さすがにワクワクを禁じ得ません。もう何度も聴いている自作なのに、やはりフルオーケストラとなると期待感が高まります。
 考えてみると、自分の作品で、正統派なオーケストラを用いたものというのは、学生時代以来のことではないかという気がします。かろうじて『セーラ』の再演のときがフルオケに近い編成でしたが、それでもファゴットの代わりにサクソフォンを使ったりして、完全形のフルオケではありませんでした。そのほかにも音楽劇やレクイエムなどで、「オケ」と称した編成の楽器群を伴ったことはあるものの、室内オケとかアンサンブルオケとか称すべきものであって、いわゆる二管オケ、三管オケなどと言われている標準形にはほど遠い編成に過ぎません。
 他人の作品のオーケストレーションならばけっこう場数を踏んでいますが、自作のものは学校卒業後はじめてとも言え、その意味でも感慨深い演奏会なのでした。
 オーケストラはアマチュアということもあり、私は久しぶりに何度も平塚へ足を運びました。ピアノ版初演(つまり本当の初演)の年と同じくらい顔を出しています。7月末の初合わせのときに行き、8月末の指揮者練習のときに行き、9月あたまの総合練習のときに行き、そして前日(17日)のリハーサルにもしゃしゃり出ました。私が行くとその都度車代を出して貰うことになるため、あまり出張ると迷惑かとも思ったのですが、オケ版初演とあってはやはり手を抜きたくありませんでした。
 実際、打楽器が加わったのを私が聴いたのは、前日練習のときが最初でした。打楽器奏者はその前週の練習から参加していたそうですが、そのときは私は行けなかったのです。打楽器が加わると響きや迫力がまるきり異なりますし、やはり行って良かったと思いました。また、私のほうから注文を出すこともぎりぎりまであって、意味も無く顔を出したというわけでなかったことには安心したりしました。

 さて、前日練習と今日の本番と、連日だったわけですが、私ははじめて平塚で宿をとりました。
 前日練習が20時過ぎまであって、当日の最後の合わせが10時からということで、片道1時間半以上かかる身としては、遅くに帰宅して翌朝また早く出てくるのが面倒だったということもありますが、それだけだったら泊まったりはしなかったでしょう。泊まることにしたのは、別の理由です。
 それは、去年の10月に湯西川温泉行ったときと似た事情で、じゃ×んのポイントが今月末にかなりの部分を失効するという通知が入ったことによります。みすみす失効するのだったら、利用してやれと考えたのでした。
 平塚の宿ということであらかじめ調べたときに、いちばん安かったホテルは、じ×らんでは扱っていませんでした。このホテル、口コミが星2個台(満点は星5個)ということで若干おぞけをふるっていたのですが、とにかく安かったのです。しかし、ポイントを利用することで、そこよりももう少し安く、東横INNをとることができました。
 チェックイン時刻は16時でした。これ、東横INNの会員になっているともっと早い時刻でも部屋に入れるらしいのですが、非会員は厳然として16時までは入れてくれません。まあ、前日練習は17時くらいからの開始で、私としても16時半くらいにホールに着いている心づもりでしたので、16時に入れれば充分です。会場のひらしんホールは、駅西口からなら6、7分、正面口というべき東口からでも12、3分で歩けます。
 そうなると、それまでの時間を別のことに使いたくなります。
 日帰りでないので、いつも利用している「週末おでかけパス」は使えません。使えないことはありませんが元が取れません。前回のように宇都宮くんだりまで逆行すれば良さそうですが、そこまでする気もしないのでした。
 そこで考えたのは、まだ乗りに行っていない東急相鉄新横浜線に試乗してきたらどうかということでした。週末おでかけパスを使わないのであれば、JRに固執する必要も無いわけです。そして、平塚までの経路で「最安値」を条件にして乗換案内を検索すると、JRだけで行くよりも、なんと途中に小田急をはさんだほうが安かったりしますので、実は私鉄乗り潰しを加えても、さほど運賃が変わらない可能性があります。
 さらに、横浜市営地下鉄が現在の形になってから未乗であることを思い出しました。ずっと昔に乗ったことはありますが、確かまだ1号線とか3号線とか言っていた頃で、ブルーライン・グリーンラインと称してはいなかったはずです。現在のブルーラインが、戸塚までしか通じていなかったのだと記憶します。反対側はどこまで行っていたか忘れました。
 新横浜まで行くのであれば、ついでに横浜市営地下鉄を改めて乗り潰そうと思いついたわけです。グリーンラインはわりと短い路線で、すぐ乗り潰せそうですが、ブルーラインのほうは総延長40.4キロ、日本の地下鉄の単独路線としてはもっとも長い線区です。強いて言えば都営大江戸線は全部ひっくるめると40.7キロで、かろうじて上回りますが、環状部分と光ヶ丘までの枝線部分があるので、単独路線と言い切れるかどうか。
 このべらぼうに長い距離のため、ブルーラインには本格的な快速電車が走っています。両端は各駅停車になるものの、4駅通過・5駅通過などの部分もあって、東京メトロ東西線の快速などに較べても、より優等列車らしい風格があります。ほぼ終日、30分おき程度で走っています。
 せっかくなら、ブルーライン全線を、快速電車に乗って走破してみたいと思いました。
 東急と相鉄のそれぞれの新横浜線、そして横浜市営地下鉄のブルーラインとグリーンライン全線を乗り潰してから平塚に向かうべく、逆算しながら行程を立ててみると、意外と早く出発しなければならないことがわかりました。

 10時20分の京浜東北線電車で、川口駅を発ちました。
 王子でメトロ南北線に乗り換えます。東急目黒線に入ると急行になって、新横浜まで直通する電車です。1本前に来た白金高輪行きの電車がずいぶん混んでいたので、うんざりしましたが、私が乗った電車はけっこう空いていました。東急線内で急行になる電車は、日中1時間に2本走っていますが、片方は浦和美園発着で、もう片方は赤羽岩淵発着です。私が乗ったのは後者だったのでしょう。
 この電車にも、1時間近く乗ることになります。途中少しうつらうつらして、気がつくともう目黒線に入っていました。もっとも目黒線は、大半が地下にもぐっているので、地下鉄が続いているような雰囲気です。急行は、武蔵小山大岡山間のみ2駅通過しますが、あとは連続停車か1駅のみの停車、いわゆる隔駅停車です。
 田園調布日吉間を東横線と並走し、さていよいよ新横浜線の初乗りです。ゾクゾクするかと思いましたが、線路はあっさりと地下トンネルに進入してゆき、新線の車窓も何もありません。あたらしく設置された新綱島も地下駅ですし、新横浜もえらく深い地下駅になっていました。
 乗換案内を見ると、新綱島で乗り換えるようになっていたので、終点の新横浜までは行かずに新綱島で下りたのですが、別にどちらで下りても良かったようです。新横浜の先へ行くためには、階段やエスカレーターの上り下りをして別のプラットフォームに行かなければならないのかと思ったのでしたが、新横浜駅は2面3線になっており、新横浜駅止まりの電車は中線に入るようになっていたので、いずれにしろ同一平面で乗り換えができたのです。
 後続の湘南台行きに乗り、新横浜を経て羽沢横浜国大まで行きました。トンネルを抜けるとすぐに駅です。この駅は前に、埼京線直通電車に試乗したときに通りました。かくて、地下線のみだった新線試乗は終わりました。暗い中を走っているばかりで、さほどの感慨も覚えません。
 折り返して、新横浜で下車します。何基ものエスカレーターを乗り継いで、ようやく市営地下鉄のコンコースにたどりつきました。
 新横浜駅を通るのはブルーラインだけですが、それより北側にあるセンター南・センター北両駅でグリーンラインと接続しています。先にグリーンラインを踏破してからブルーラインの北端であるあざみ野まで行き、湘南台まで一気に快速電車で駆け抜けようと思います。
 北新横浜を過ぎると、線路は地上に出ました。それより先は、高架線を走ったりトンネルに入ったりと、めまぐるしく車窓が変わります。このあたりはもう丘陵地帯になっていて、高台の支脈をいくつもぶち抜いて走るような形になっているのだと思います。
 センター南もセンター北も、例えば両路線が同一平面で乗り換えられるというようなことにはなっていませんでした。ブルーラインとグリーンラインがそれぞれ別個に駅を構えていて、コンコース上でつながっているだけのようなものです。不親切だなあと思いかけましたが、よく見るとその理由がわかりました。高架駅なので気がついたのですが、グリーンラインの線路上には架線があり、ブルーラインにはそれが無いのです。ブルーラインが非電化だということではなく、メトロ銀座線丸の内線と同様の、第三軌条式の集電方式を採っているのでした。架線ではなく、線路面にもう1本添えられた第三軌条から電気を供給される方式です。両線を同一プラットフォームで接続させようとすると、第三軌条式の線路と架線式の線路を複雑に組み合わせなければならず、できないことはないにしても面倒くさそうです。
 センター北で下りてグリーンラインの乗り場へ。先に来た中山行きの電車に乗りました。
 ブルーラインは曲がりなりにも6輌編成が基本ですが、グリーンラインは4輌編成という短さです。そんなに輸送需要が無いのだろうとは思いましたが、この日は日曜日であるせいか、全区間けっこう混んでいました。
 JR横浜線との乗換駅である中山まで行って折り返しましたが、折り返しの電車で座席を確保するのも大変なほどでした。
 こんどはセンター北を通り越して、もう片方の終点である日吉へ行きます。全線を乗っても21分程度です。
 センター北に戻り、再びブルーラインに乗って、あざみ野まで行きました。乗って行った普通電車が折り返し快速になるのでしたが、ここも起点から乗ってくる乗客がかなり多いようでした。
 仲町台まで各駅に停車し、そこから快速運転となります。新横浜の次はもう横浜です。それから桜木町関内に停まって次が上大岡、その次が上永谷、戸塚となり、戸塚から先はまた各駅停車です。
 快速が全線を走るのには61分かかります。各停だと69分くらいで、8分ほど速いわけですが、実は通過する駅は14個あり、1駅通過で1分短縮という原則から言えば、もう少し頑張っても良さそうです。まあ、緩急接続できる駅が新羽(にっぱ)と上永谷しか無いので、これ以上縮めるわけにもゆかないのかもしれません。あざみ野を出た快速は、新羽で始発の普通電車に接続し、その前を走る先行普通電車に上永谷で追いつくというわけです。
 次々と駅を飛ばしてゆく快速はなかなか爽快ではありますが、なにぶん地下鉄のことなのでさほど面白くはありません。また、通過する駅名もほとんど読み取れませんでした。モニターで、どの駅を通過したのか確認する程度のことしかできません。
 上大岡を過ぎると、また地上に出る部分が目立つようになります。こちらも丘陵地帯なのでしょう。

 61分の地下鉄の旅を終え、湘南台着14時31分。これだけ乗って、そのほぼすべてが横浜市内をうろうろしていただけ(湘南台駅だけは藤沢市)という事実に驚かされます。東京都区内で、1本の電車に1時間以上乗っていられる区間は、山手線と大江戸線の環状2線しか無いのではないでしょうか。
 湘南台から小田急に乗り継いで藤沢まで行き、さらにJRに乗り継ぎます。
 14時59分の快速急行に乗ることにして、乗り換えコンコースにあった箱根そばで遅い昼食。
 小田急江ノ島線は、現在は日中は各停と快速急行(と特急)だけで、朝のみ急行が走るようです。つまり、本来の急行停車駅である南林間長後に停まる優等列車は朝だけになってしまったわけで、東急田園都市線が伸びてきた中央林間、そして地下鉄のほか相鉄いずみ野線も乗り入れてすっかり交通の要衝となった湘南台に停まる快速急行にほぼ置き換わったと言えます。
 7分ほどで藤沢に着きます。JR連絡通路というほうに進んでみたら、エスカレーターすらないのでうんざりしました。小田急はこの駅でスイッチバックして江ノ島へ向かうので、プラットフォームは頭端式(櫛形)になっています。本来の改札口はそっちのほうで、JR側にもエスカレーターやエレベーターが設置されていたようです。
 JRの電車は混んでいて、坐れませんでした。3駅だけのことなので辛抱して立っています。
 平塚着15時23分。川口駅を発ってから5時間ほどかかっています。直行すれば1時間半くらいなので、だいぶ遊んだと言えそうですが、実は思ったとおり、運賃のほうはあまり大差がありません。羽沢横浜国大でUターンしたり、グリーンラインを行ったり来たりしたのは別として、もし

 川口~王子~新横浜~湘南台~藤沢~平塚

 というルートで乗ったならば、合計運賃は1648円。JRのみで行ったときの片道運賃1340円に較べて、308円超過しているに過ぎなかったのでした。JR~東京メトロ~東急~横浜市営~小田急~JRと5社を乗り継いでこんなものなのですから、JRの運賃の高さを嘆くべきか、私鉄の運賃の安さに瞠目すべきか。

 おまけである横浜市内彷徨の話だけで、すでにかなりの長さになってしまい、書いている私も眠気に襲われてきたので、本題の『星空のレジェンド』についてはまた次項に譲ります。タイトル詐欺みたいになりましたが、何卒ご諒承ください。

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