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「組曲」を考える [いろいろ]

 組曲というのは、いくつかの曲がまとまって、ひとつの作品として成立しているものを指します。邦楽で言う「組歌」というのも似たようなものでしょう。
 基本的には、ソナタなどと同じく、全曲を通して演奏されるのが正式と考えられています。その点で、むしろピックアップして演奏することの多い「曲集」とは異なっています。
 ただし、「曲集」と「組曲」の中間のようなものも無いではありません。たとえばショパン『練習曲集』作品25などは、もちろん1曲1曲が独立した目的を持つ練習曲を集めた本ではあるのですが、なんとなく1番を弾くとそのまま2番が弾きたくなり、続いて3番も……という具合に、全体の流れのようなものがあるように思えてなりません。同じくショパンの『前奏曲集』などもそうでしょう。これがドビュッシーの前奏曲集になると、組曲というイメージはほとんど無く、おそらく作曲者も通奏することを意識していたわけではなさそうに思われます。
 いくつかの曲を、通奏することを前提として組み合わせるというやりかたは、ルネサンス期以前から見られます。特に声楽においては、教会での典礼のためにミサ曲などが作られていますので、組形式として作られるのはほとんど必然だったと言えます。いちばんポピュラーなのはキリエグローリアクレドサンクトゥスベネディクトゥスアニュス・デイを取りそろえた荘厳ミサという形です。その他、式次第に応じてレクイエムその他の大規模な組形式の声楽曲が作られました。

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