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とんぼ返りコンサートと墓参り [旅日記]

 一昨年、NHK交響楽団「団友オーケストラ」という小編成オケに伴って、愛知県瀬戸市まで演奏に行ってきたことがあります。そのまた2年前には、同じオケと、岐阜まで行きました。いずれも終演後すぐに帰途につくとんぼ返りコンサートで、観光はおろか土産物を買う暇も無いほどのタイトなスケジュールでした。
 本来、私の後輩であるMくんがこのオケでピアノを弾いているのですが、彼の都合が悪いとき、たまに私が頼まれることがあるのでした。
 世にピアノ弾きの数は多いのに、なぜ私が頼まれるかというと、これが実に大変な仕事であるからです。
 曲は毎回、スタジオジブリ作品の挿入音楽を集めたプログラムになっているのですが、ほぼ久石譲氏の作になる原曲は、フル編成のオーケストラを想定して書かれていますし、そうでない原曲もバンド用だったりして、N響団友オーケストラの小編成規模に適した形にはなっていません。従って木村弓さんがひとりでライアを弾きながら口ずさむ「いつも何度でも」などを別にすると、すべての曲がアレンジを必要としています。
 Mくんはそのアレンジを全部やっているわけではありませんが、大半を手がけています。
 ところが、自分で弾くことがわかっているので、アレンジスコアにはピアノパートがほとんど書かれていません。毎回、その場の勢いでアドリブで弾いているようです。
 また、ピアノのパート譜なるものも作られていません。彼はフルスコアを見ながら弾いているのです。
 こんな弾きかたのできるピアノ弾きは、そう滅多には居ないのでした。
 それで、ときどき私にお鉢が回ってくることになります。

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