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国語世論調査結果に思う [いろいろ]

 文化庁がやっている「国語世論調査」というのがあって、平成7年から毎年実施されているようです。調査そのものは多項目にわたり、外国人と日本語に関する意識とか、漢字に対する印象などにも及んでいますが、例年新聞などで話題になるのは、慣用句などの意味とか使いかたについての調査結果であることが多いようです。
 今度発表されたのは、令和元年度調査の結果です。令和元年度といってもこれは会計年度で、調査は今年の2月から3月にかけておこなわれました。
 慣用句というのは、どうも意味の取り違えが多くなる傾向があるようで、有名なところでは「気の置けない」「役不足」「おざなり(お座なり)となおざり(等閑)」などが、本来の意味と取り違えた使いかたをされていたりするようです。「おもむろに」「やにわに」なども必ずしも正しい意味合いが理解されていない気がします。
 「汚名挽回」というのもよく槍玉に挙がります。汚名(悪い評判)を挽回してどうするんだ、「汚名返上」の間違いだろう、と普通は考えますが、挽回というのはただ「元に戻す」だけでなく「マイナスからプラスに引き上げる」意味なので、「頽勢(劣勢)挽回」などと同様「汚名挽回」も別に間違ってはいない、という説もあります。ことばの意味というのは時代によって揺れ動くものですから、そんな論争が起こることも避けられません。
 さて、今回の調査で採り上げられたのは、まず「浮き足立つ」「敷居が高い」「手をこまねく」の3つの言い回しの意味でした。この3つが、いずれも本来の意味よりも、違った意味合いで理解されていたというのが驚きです。「手をこまねく」は正しい意味で理解していたのが37.2%、「敷居が高い」は29.0%、「浮き足立つ」は26.1%しか合っていなかったそうです。

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信仰と法の狭間 [いろいろ]

 『大草原の小さな家』という海外ドラマを毎週見ていたのは何十年前のことだったでしょうか。私が小学生の時代にははじまっていたと思うので、かれこれ50年近く前にはすでにやっていたことになります。相当な長寿番組で、私が大人になってもまだ続いていたような気がしますが、いつの間にか終わっていました。
 ドラマに登場する三人姉妹の次女であるローラ・インガルス・ワイルダーの自伝的小説が原作で、19世紀のUSAの中西部を舞台に、開拓民の家族の日々を描いています。原作小説のほうも一部読んだことがありますが、ドラマのキャラクターとはだいぶ違っていたので驚いた記憶があります。ドラマではどこまでも優しく頼りがいのある「父さん」が、意外と頑固オヤジでしたし、これまた優しさあふれる「母さん」は、インディアンや黒人に対してあまり好意を持っていない感じで、いまなら差別主義者とか言われかねません。
 最近のUSAのポリコレ(ポリティカル・コレクト)は度を超していて、『風と共に去りぬ』が差別主義的であるというので動画配信を停止するほどの騒ぎになっています。さすがに停止はすぐに撤回されましたが、ただ差別主義的な内容である旨の注意書きをつけることを要求されました。こんな状態だと、『風と共に去りぬ』どころか、『アンクル・トムの小屋』『若草物語』『ハックルベリー・フィンの冒険』も全部ダメになりそうです。19世紀USAの現実を赤裸に描いた文学作品が、ことごとく差別主義の汚名と共に貶められようとしているのは、見ていて情けなくなります。ポリコレ勢は、19世紀USAの現実そのものを「無かったこと」にでもしたいのでしょうか。少なくとも、現在の価値観で過去を裁くというのは、20世紀以降の文明国ではやってはいけないことになっていたはずです。

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前歯復活 [日録]

 一昨年の10月に、自転車で走行中どうしたわけか電柱に衝突してしまうという事故を起こしました。どういうぶつかりかたであったのか、自分でもその瞬間の意識が飛んでいたようでよくわからないのですが、とにかく気がつくと上唇から大量に出血していました。
 通りがかりの人が、出血に驚いたらしく救急車を呼んでくれました。家の近くだったので、ひとまず一旦家に戻り、保険証や現金など必要なものを持ちました。血まみれになっていた服も着替えましたが、着替えたほうの服にもたちまち血がついてしまいました。出血が弱まってきていたと思ったのですが、下を向いた途端にまたドバッと出てきてしまったのです。
 ありがたいことに自転車も運んでくれていて、それからあらためて救急搬送されました。
 どうも上の前歯が唇に突き刺さったのであったようです。あるいは突き抜けていたのかもしれず、表側からと裏側からと、両方から3針か4針くらいずつ縫合しました。
 それとは別に、左手の人差し指が骨折していて、これはこれでしばらく難儀したのでしたが、唇のほうはとにかく軟膏を塗りたくってイソジンでうがいしまくった成果か、1週間ほどで抜糸できました。しかし、いまでも天候などによってはピリピリと痛みが走ったりすることがあります。

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さらばわがソウルフード [日録]

 火曜日はローテーションでコーロ・ステラの指導をしています。コロナ禍の影響で、全国的に合唱活動が目の敵にされている昨今であって、私が関わっている他の合唱団はいまのところ活動休止中ですが、この合唱団だけは、7月に練習を再開しています。
 とはいえ、本来の予定であれば7月11日に演奏会を開催していたはずで、それは残念ながら中止にせざるを得ませんでした。この演奏会は、いちおう、場所を換え、内容もスリムアップした状態で、11月下旬にやり直すことになっており、そのためにも練習を再開したわけです。
 合唱団の練習場所としては、地区会館とか公民館とかが使われることが多いのですが、幸いなことにコーロ・ステラが活動拠点としている世田谷区では、部屋の定員を半分にした状態で、合唱活動にも貸してくれるようです。この許容範囲は、自治体によってまちまちで、とにかく合唱はNGというところもたくさんあります。私が指導しているもうひとつの女声合唱団であるクール・アルエットが活動場所としている新宿区は、いまのところまだ貸してくれないようで、いつ活動再開できるかまったく読めません。
 ともあれ世田谷区は制限付きとはいえ貸してくれるので、いままであまり使っていなかった広い部屋を借りたり、それが借りられなければメンバーを半々にしたりして、なんとかやっています。半々というのは、週によって入れ替えるのではなく、一日のうちにダブルヘッダーで同じ内容の練習をおこなうというやりかたなので、先生のほうはなかなか大変です。昔中学校で講師をしていたとき、3クラスおんなじ内容の授業をしなくてはならずうんざりしたことがありましたが、ちょっとそれを思い出しました。

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失敗の旅──飯田線半分乗り [旅日記]

 今年も青春18きっぷが1枠余っていました。先日の墓参行のときに、かろうじて元はとっていたものの、あまり充分に活用した気がしなかったので、最後の1枠でまたできるだけ長距離を乗り倒してやろうと思いました。
 3年前、「日帰り大周遊」と称して、新潟県から福島県までまわって1日で帰ってくるということをやりましたが、同じようにできるだけ長距離を乗るということになると、残っているのは飯田線くらいでしょうか。3年前も飯田線に乗ってくるルートを検討したのですが、帰りが非常に遅くなるようだったのでそのときは断念したのでした。
 飯田線は東海道の豊橋と長野県の辰野を結ぶ、195.7キロの長いローカル線です。ひとつながりになっていた4つの私鉄、豊川鉄道・鳳来寺鉄道・三信鉄道・伊那電気鉄道を戦時買収で一気に国鉄が入手したのでした。もとが私鉄であることもあって、ローカル線なのに最初から電化されていました。また、駅間距離がやたらと短い(平均2.1キロ)のも私鉄ならではでしょう。山間部はそれなりに駅間距離もあるので、平野部に限って言うと本当にちょっと走っては停まるという印象です。
 駅数が多いので、特に鈍行に乗るとなかなかはかがゆきません。195.7キロという距離は、幹線系、たとえば東海道線で言えば東京から焼津くらいなもので、鈍行でも3時間ちょっとで走れるのですが、飯田線の鈍行は、全線を走りきるのに6時間半くらいかかります。昔は「7時間」と言われていたのですから多少のスピードアップはしたようですが、それも上下線の行き違いを合理化したくらいのことであって、電車そのものが速くなったわけではないでしょう。94も駅があるので、減速・停車・発車・加速のシークエンスだけでも2時間くらい必要と思われます。

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